Fate/Grand Order-仮想虹彩乱戦にじさんじ- 作:七倉八城
都内某所の広い公園。
モードレッドとタマモキャットが戦った後、楓とモードレッドはベンチで休憩していた。
「はぁー、疲れた」
「お疲れさん。なんか飲み物買ってくるわ」
「ん。頼むわ」
楓はベンチから立ち上がると自動販売機に向かった。
自動販売機に向かう途中、先の戦いを思い返していた。
悲しそうな環の表情が思い浮かぶ。
「はぁ……やっぱりキツイなぁ」
自動販売機に小銭を入れ、ボタンを押す。ガコッとお茶のペットボトルが落ち、拾うためにしゃがむ。
楓はため息を漏らしながらペットボトルを取り出そうとした瞬間。
「マスター!!」
「は? ぐぇっ!!」
突然、現れたモードレッドが楓の襟を掴み、強引に引っ張った。
引っ張られた楓はバランスを崩し、尻もちをつく。
「痛っ!! ちょっと、モードレ……ッ!!」
楓が顔を上げると、さっきまでいた自動販売機にクナイが突き刺さっていた。
もし、何も知らない楓がペットボトルを拾い、立ち上がっていたら、飛んできたクナイが間違いなく突き刺さってしまっていた。
現状を理解した楓は血の気が引き、顔が真っ青になる。
「おい、どこのどいつか知らないが、マスターを殺すのは反則だろ?」
「確かにマスターを殺してはいけない。というルールはあるけど、狙ってはいけない。ってルールはないよね?」
暗闇から現れたのはましろだった。
「…………ましろ君」
「こんばんは。樋口先輩」
ましろの背後には複数の人影が立っていた。
「やれるか?」
「いや、さすがに連戦はキツイ。ましてはこの人数だ」
「逃げるが一番ってわけかいな」
「逃がしませんよ」
ましろが指を鳴らすとモードレッドと楓を囲むように数人の人影が現れた。
人影の正体は百貌のハサンだった。
「お覚悟をッ!」
一体の百貌のハサンがクナイを構えると楓に襲い掛かった。
モードレッドは咄嗟に楓の頭を掴み、押さえつけた。クナイが楓の頭上を通り過ぎる。そして、モードレッドは畳み掛けるように襲い掛かってきた百貌のハサンを蹴りつける。
蹴り飛ばされた百貌のハサンは自動販売機に激突する。
ぶつかった衝撃で自動販売機が壊れ、ジュースやお茶などが取り出し口から大量に溢れ出す。
今度は刀を持った百貌のハサンと棍棒を持った百貌のハサンが同時に襲い掛かる。
「ちっ! 面倒くせぇ!!」
モードレッドは苛立ちながらクラレントで刀を受け止め、そのまま飛び上がって棍棒をかわす。
そして、空中で体を捻らせ、回し蹴りで襲い掛かってきた二体の頭を蹴り飛ばす。
しかし、百貌のハサンの猛攻は止まらない。クナイを持った三体の百貌のハサンが同時に襲い掛かる。
「マスター! しっかり着地しろよ!!」
「はっ?」
モードレッドは楓を抱えると、そのまま放り投げた。
放り投げられた楓は百貌のハサンの包囲を抜け、地面に落ちた。公園の芝生のおかげで怪我はしなかった。
「ちょっ!! モードレッド!! っ!?」
突然、放り投げられた楓はモードレッドの方を振り向く。
すると三体の百貌のハサンのクナイがモードレッドの体に突き刺さっていた。
「モードレッドッ!!」
「クソッ……!!」
「マスターを守ったか。だが、これで終わりだ」
モードレッドにクナイを突き刺した三体の百貌のハサンが力を込める。クナイがモードレッドの肉体に深く刺さる。
突き刺されたところから鮮血が流れる。
そして、モードレッドが怯んでいる隙に二体の百貌のハサンが左右から襲い掛かる。
「くっ…………うおぉぉぉぉ!!」
「何ッ!?」
モードレッドは苦悶の表情を浮かべながら、突き刺してきている内の一体の頭を掴み、そのまま力任せに投げ飛ばした。
投げ飛ばされた百貌のハサンは襲い掛かってきた二体の百貌のハサンを巻き込んで倒れ込む。
そして、残った二体の百貌のハサンが突き刺していたクナイを手放し、距離を置こうとした瞬間、クラレントを振り放ち二体の百貌のハサンを切り裂いた。
モードレッドは息を切らしながら突き刺されたままのクナイを引き抜き、投げ捨てた。刺された部分から血が滴り落ちる。
「はぁ……はぁ……舐めるなよ」
「コイツ……だが、確実に傷は負っている!! 全員で襲い掛かれ!」
女性の百貌のハサンの指示により、一斉にモードレッドに襲い掛かる。
「クソったれが!!」
モードレッドは相打ち覚悟でクラレントを構える。
その瞬間。
「下らぬ」
無数の閃光が襲い掛かってきた百貌のハサン達を貫いた。
その衝撃は凄まじく、周辺が土煙で覆われる。
「ごほっ! ごほっ!」
モードレッドはクラレントで土煙を払うと、周囲を囲っていたはずの百貌のハサンが全滅していた。
残っていたのはましろの側で立っていた女性の百貌のハサンだけだった。
「な……何だと……」
「……マジか……」
突然のことで驚愕するましろと百貌のハサン。
楓は閃光が放たれた先を見ると、そこには黄金の鎧を纏った男が立っていた。
「あのセイバーの子というから見に来てみれば……この体たらく」
黄金の鎧の男はモードレッドに近づくと蔑むような目で見下す。
「何だ……今のは……。貴様ッ! 何も」
百貌のハサンが黄金の鎧の男に問いかけようとした瞬間、閃光が百貌のハサンの頬を掠めた。
背後で爆発が起き、百貌のハサンは何が起きたか理解できず、言葉が詰まってしまう。
「おい……雑種。誰に対して口を聞いている? まずは平伏せ」
黄金の鎧の男の高圧的な眼光に思わず、膝をついてしまう百貌のハサン。
(コイツは危険だ!! マスターを連れて逃げ切れるか)
思考を巡らせながらましろの方を見る百貌のハサン。
マスターであるましろも間にが起きているか理解できていなかった。
「なんや、助っ人か」
「まったく……あの王様は」
楓の横にいつの間にか制服を着た青年が立っていた。
「剣持!!」
「こんばんは。でろーんさん」
「あのサーヴァントはアンタのか?」
「えぇ……一応は」
「一応?」
「彼、まったく僕の言うことを聞かないので」
青年。剣持刀也は呆れながら自分のサーヴァントである黄金の鎧の男を見つめた。
「てめぇ……邪魔する気か」
「ほざけ。あの騎士は気品があったが……」
黄金の鎧の男はモードレッドの全身を見る。
「貴様には気品の欠片もない。先の戦いもまるで野犬のような下品な戦い方だ」
「あぁん!?」
モードレッドはクラレントで体を支えながら、立ち上がると黄金の鎧の男を睨みつける。
「今だッ!!」
モードレッドと黄金の鎧の男が揉めている内に百貌のハサンは逃げるためにましろを抱えようとする。
それを横目で見ていた黄金の鎧の男が手を上げる。すると、空中に黄金の穴が開かれる。黄金の鎧の男が上げていた手を振り下ろすと、黄金の穴から閃光が放たれる。
閃光は百貌のハサンの体を貫いた。
「がっ……」
「この
体を貫かれた百貌のハサンは消滅してしまった。
「ハ、ハサン」
ましろはその場で立ちすくんでしまった。
「クソッ! よくも俺の獲物を横取りしたな」
「ほぉ……この我に盾突くか」
黄金の鎧の男の上空に無数の黄金の穴が開かれる。
「ストップ! ストップです!」
剣持が黄金の鎧の男の前で静止を促す。
黄金の鎧の男は黄金の穴を閉じる。すると背後に黄金の玉座が現れ、黄金の鎧の男はそれに座る。
「なんだ?」
「なんだ。じゃない!! アンタがでろーんさんのサーヴァントが気になるからって来てみれば、いきなり戦闘とか! 勘弁してくれよ!」
「我に意見するか」
「あぁ、意見するさ! 僕はお前のマスターなんだぞ!!」
「その小五月蠅い口を塞いでやろうか」
黄金の鎧の男の上空に再び、黄金の穴が開かれる。
「良いのか? 僕が死ねばアンタも消えるぞ?」
「マスターである貴様が死んでも一定時間なら活動は可能だ。その時間で全てのサーヴァントを全滅させることなど造作もない」
「本当か?」
「…………よかろう。貴様の意見を尊重してやる」
黄金の穴が消滅する。
「はぁ……まったく、この王様は」
「で、剣持。アンタらはウチらの敵か?」
剣持を睨みつける楓。モードレッドも傷を負いながらもクラレントを構える。
「いえいえ!! 今回はこの王様の暴走したせいであって敵意はありませんよ」
「っざけんな!! 今すぐ、切り捨ててやる!!」
「落ち着かんか、モードレッド!!」
興奮するモードレッドを抑え込む楓。モードレッドも乱暴に頭を掻きむしると深呼吸して、自らを落ち着かせた。
「ったく……分かったよ。それにアンタはさっきから気になることを言っていたしな」
「ん?」
「アンタ。俺と誰かを比べていただろ?」
「あぁ……そのことか」
黄金の鎧の男は顎に手を置くと何か考え始めた。
「そうだな。だが、来客の到着を待とう」
「「「?」」」
三人が黄金の鎧の男の発言に首をかしげていると、上空から何か音が聞こえた。
楓と剣持が見上げると、空を戦車が駆け抜けていた。
「「はっ?」」
二人が困惑していると戦車は目の前で静止した。戦車から飛び落ちてきたのはイスカンダルだった。
「久しいな、英雄王」
「息災であるか、征服王」
黄金の鎧の男はイスカンダルを見て嬉しそうな表情を見ていた。
「イスカンダル!!」
イスカンダルに続き、ベルモンド、立香、マシュも降り立った。
「ベルさん……それとあの二人は通達で来ていた」
「やぁ、楓ちゃん、刀也くん……それとましろくん」
「先輩」
「あぁ……あそこにいるのは【ギルガメッシュ】王」
ギルガメッシュ
紀元前、シュメルの都市国家ウルクを治めていた半神半人の王。
伝説だけではなく実在したとされる、 人類最古の物語『ギルガメシュ叙事詩』に記された王。
ギルガメッシュを見た立香とマシュに緊張が走る。
二人はギルガメッシュの傍若無人ぶりを知っているため、何が起きるか分からないからだ。
「あー、あの王様のこと知っているんですね。言っておきますが僕は戦うつもりはないですからね」
「あぁ、分かってるさ。本当は文野環と楓ちゃんの戦いを止めたかったんだけどね」
その言葉を聞き、楓は気まずそうに頬を掻いた。
「それで……その二人は?」
「あぁ、自己紹介してなかったね。どうだろ? サーヴァントはサーヴァント同士で話したいことがあるようだし。マスターはマスター同士で話し合おう」
「そうですね。でろーんさんも良いですよね」
「せやな。今、戦ってもしゃぁないし。モードレッド、アンタも剣持のサーヴァントと話したいことがあるんやろ? 行ってこいや」
「……ったくよ。分かったよ」
ベルモンドはモードレッドと楓のやり取りを見ていると、そのままましろの方を見た。
「ましろくんはどうする?」
「あー……僕は負けちゃいましたからね。このまま帰りますよ」
「そうかい」
――――――――――。
イスカンダル、ギルガメッシュ、モードレッドは向かい合わせになるように座り込んだ。
三人はギルガメッシュが用意した酒を飲んでいた。
「こうやって、語り合うのはあの時以来か。それでこの子娘は?」
「あの時のセイバーの子だ」
「なんと!! セイバーの!!」
イスカンダルはモードレッドを見定める。
「しかしのぉ……あのセイバーとは何か……こう違うの」
「あぁん!? てめぇも何か言いてぇのか。……………いや、待て。今、なん言った?」
「あのセイバーとは」
「違ぇ!! あのセイバーの子って言ったか? もしかして……お前ら、父上を知っているのか?」
「あぁ、そうだ。余とそこの英雄王。そして、貴様の父……いや、だが、女だから違うのか? まぁ、良いか。貴様の父親、騎士王はとある聖杯戦争で戦い、そして三人で酒を飲んだこともある」
「マジかよ」
モードレッドは頭を乱暴に掻きむしりながら酒を一気飲みした。
「で、何で集まっているんだ?」
「そうさな……では、セイバー。貴様の実力を見せてもらおうかの」
「ほぉ……」
「あん?」
モードレッドはクラレントを呼出し、そのまま握った。
「それは俺とやるってことか?」
「いや、相手は余や英雄王ではない。……出てこい」
イスカンダルは茂みの方を見つめると、そこから黒い靄で覆われた人影が現れた。
人影は黒い靄のせいで正体が分からなかった。しかし、腰に刀を差しているのは分った。
「なんだ?」
「招かれざる客よのぉ」
「……ィ……」
「あん?」
モードレッドはクラレントを構えながら人影を警戒する。
「……ィ……。首……」
「首だぁ?」
「首ヲ寄コセェェ!!」
人影は刀を抜くと、モードレッドに向かって襲い掛かった。
モードレッドは咄嗟にクラレントで人影の刀を受け止めた。
「くそっ! 結局、俺が戦うのかよ!!」
「首ィ……首ィィィ!!」
人影は刀身に手を置き、体重を掛けてくる。クラレント事、切り裂こうとしてきたのだ。
クラレントと刀の刃が擦れ合う度に火花が散る。
モードレッドが距離を置くために人影を蹴り飛ばそうとした瞬間、人影が自らの刀を手放した。そして、拳を構えると右フックを放ってきた。
「何ッ!?」
人影の右フックはモードレッドの脇腹に刺さる。
鎧を纏っていたモードレッドだが、メキメキと骨が軋む音が聞こえた。
「ちっ……コイツ、意外と動けるじゃねぇかよ!!」
「死ネッ!!」
人影は自由落下する刀を左手で掴み取ると、そのまま下から上へ振り上げる。
モードレッドはバックステップして紙一重で回避する。
しかし、刀は頬を掠め、頬から血が滴り落ちる。流れ落ちる血を左手で乱暴に拭き取る。苛立ちながらも息を大きく吐いて己を落ち着かせる。
その姿を見て、嘲笑うかのように刀を振り回す人影。振り回される刀は空を切り、ヒュンヒュンと音を鳴らしながらモードレッドを挑発する。
落ち着いたモードレッドの目つきが変わり、クラレントを構える。
地面を踏みしめると人影との距離を一気に詰める。そのまま、クラレントを振り下ろす。
凄まじい勢いで振り下ろされたクラレントを人影は刀で受け止める。受け止めた瞬間、人影の背後に衝撃が放出され、地面の表面が吹き飛び、抉れ取られた。
抉られた地面の破片が観戦していたギルガメッシュとイスカンダルの方に飛んでいくが、ギルガメッシュが展開させた黄金の穴によって防がれる。
ギルガメッシュとイスカンダルは何事もなかったかのように酒を飲み続ける。
振り下ろされたクラレントの威力が物語っている。クラレントを受け止めた人影の足元もクレーターとなり、地面が凹んでいる。
「うおぉぉぉぉ!!」
モードレッドはクラレントを強く握り力を入れる。受け止めていた人影の足元のクレーターがさらに広がる。人影はまっすぐ立つことができす、片膝をついてしまう。次第に人影が持っている刀にひびが入り、軋む。
「喰らいやがれ!!」
受け止めていた刀が粉砕され、クラレントが人影を一刀両断した。
人影はうめき声を上げながらよろめく。
モードレッドはその隙を逃さず、クラレントを体に突き刺す。クラレントを突き刺された人影はピタリと動きを止めた。
これで終わりかと思えた。
「はぁ……はぁ……」
「おぉ。セイバーのやつ、やりおったか」
「いや。まだだ」
様子を見ていたギルガメッシュが呟くと人影が纏っていた黒い靄が濃くなってきた。やがて黒い靄は切り裂かれた部分に吸い込まれ、切り裂かれた箇所が見る見るうちに塞がっていく。
完全に元の姿に戻った人影は突き刺されたままのクラレントを掴んだ。
「何ッ!?」
「首ヲ置イテケェ!!」
モードレッドはクラレントを引き抜こうとするが人影がクラレントを掴んでいるため、身動きが取れなかった。すると人影の体から無数の刃が生えると、モードレッドに向かって伸びてきた。
「マジかよ!!」
咄嗟にクラレントを離し、バク転しながら伸びた刃をかわしていく。
伸びきった刃は人影の元に戻り、人影は体中に刃を生やしたまま、モードレッドのクラレントを抜き出すとモードレッドとは反対の方向に投げ捨てた。
人影は右手で自身の刀を掴むと左手の形を変形させ、巨大な刀へと姿を変えた。
「オオォォォ!!」
人影が雄叫びを上げると体中の刃が伸びだし、モードレッドに襲い掛かる。
モードレッドは襲い掛かる刃に向かって走り出す。刃をギリギリで躱しながら人影と距離を詰める。
近づいてくる相手に人影は左手の巨大な刀を振り上げる。その大きな動作の隙を見て、モードレッドはタックルを仕掛ける。
タックルを喰らった人影はバランスを崩し、倒れる。モードレッドは体勢を立て直すと、そのまま捨てられたクラレントに向かって走り出す。
人影は倒れ込んだまま、体中の刃を伸ばす。
モードレッドの背後を狙う刃。刃がモードレッドに突き刺さる前にクラレントを回収したモードレッドは襲い掛かる刃を振り払う。
自分の武器を取り戻したモードレッドはクラレントを構え、魔力を溜める。赤い魔力がクラレントに集まり、周囲に赤い稲妻を放つ。
立ち上がった人影はもう一度、体中の刃を伸ばす。
「遅い!!」
魔力を最大限溜めたモードレッドはクラレントを振り下ろす。
振り下ろされたクラレントからは赤いレーザーのような斬撃が放たれる。斬撃は襲い掛かる刃を消し去り、そのまま人影を飲み込んだ。
人影は肉体を再生させようとするがモードレッドの斬撃に焼き尽くされ、徐々に消滅していく。
「……ァァ……天下ヲ……我ガ主ニ…………アァァァァァ!!」
人影は断末魔を上げながら消え去った。
「……はぁ……はぁ……今度こそ……やったか」
「いやー! 見事!!」
いつの間にかモードレッドの背後に立っていたイスカンダルがモードレッドの背中を勢いよく叩いた。
その衝撃でせき込むモードレッド。
「ごほっ! ごほっ! この野郎!!」
「どうだ、英雄王? こやつは合格かの?」
「いいや、あのような雑魚一体に手こずるとは無様だな」
「あんだとッ!?」
「モードレッドッ!!」
騒ぎを聞き連れて来たマスター陣が一斉にやってきた。
マシュも盾を構えて臨戦態勢だった。
「何があったんや!!」
「あー……説明すると長くなるっちゃなるが……」
「イスカンダル。説明を」
「うむ。ちと、こやつの技量を知るために一興をな」
「……まったく」
イスカンダルから事情を聴いたベルモンドは頭を押さえながらため息をついた。
「雑種、帰るぞ」
「ちょっ!! 待ってよ、王様!! では、皆さん。また会いましょう!!」
いつの間にか姿を消していたギルガメッシュの後を追いかけるように走り出す剣持。
「み、皆さん。取り敢えず、戻りましょう」
「……はぁ……そうだね。藤丸君の言う通りだ。一度、俺のバーに戻ろうか」
残ったメンバーはこの場を立ち去った。
――――――――――。
奈切の喫茶店地下倉庫。
薄暗い地下部屋で奈切は一人、椅子に座りながらグラスにワインを注ぐ。
奈切はグラスを鼻に近づけるとワインの香りを楽しんでいた。
「いい香りだ……素晴らしい」
一口飲むと口いっぱいにワインの深みが広がる。
奈切はワインを飲みながら棚に陳列されている複数の黄金の盃を眺める。
ワインを一口飲むと、何かに感づき、グラスを置いた。
「…………セイバーがやられたか」
奈切は立ち上がると黄金の盃を手に取った。盃の輝きを眺めながら、盃を傾ける。
すると盃から黒い液体が滴る。黒い液体は泥のような粘度を持っており、垂れるように滴が落ちる。
液体が水たまりのように溜まると、液体が動き出す。そして、少しずつ盛り上がり人の姿に変わっていく。
人の姿をした液体は先ほど、モードレッドと戦った人影となって、奈切の前に跪いた。
「……アァ……ァ……ァ……」
「うむ。まだ、復活したばかりだから言語が話せないのか」
黄金の盃を棚に戻すと、再び椅子に座った。
「実験は成功だ。次のフェーズに移行だな…………ハハハハハッ!!」
奈切は嬉しそうにグラスに手を取る。
【???】
モードレッド達の前に現れた人影。
刀を差しており、侍であることは間違いないが姿形は黒い靄で覆われている。
相手の首に執着しており、首を取ることで勝利を得ることができると考えている。
パワーなどは一切ないが俊敏さと剣戟の技量はセイバーの中でも上位に入ると思われる。
ステータス:筋力C、耐久E、敏捷A+、魔力D、幸運B、宝具C
宝具:『???』