仮面ライダーSPIRITS feat.ZERO ONE   作:けーやん

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第9話を投稿します。

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本編も投稿中ですので、そちらもどうぞ。


第9話『彼に出来るツグナイとは何か』

「ハァ、ハァ、ハァ、ハァ……」

 

誰も居ない新宿の路地裏をニードルは壁に手を当てながら歩く。

 

ニードルはボロボロの身体で歩いていると、後ろから何者かの気配を感じ取る。

 

後ろの表通り前に立っていたのは、服を着てはいるが、ZXに似た頭部をした量産型の改造人間だった。

 

「ニードル様……」

 

「バダンへお帰り下さい」

 

2体の改造人間の言葉にニードルは聞く耳持たず、自身の髪で形成した針でその頭部を貫く。

 

「何だ!?」

 

「路地裏で爆発が起きたぞ!」

 

貫かれた改造人間が爆散し、歩道を歩く者たちが驚く。

 

「"バダンに帰れ"?態々処分される為にですか……今更バダンなど……」

 

「私が欲しいのは……」

 

『なんだって……やってやるさ。俺に記憶をくれるならばな』

 

ニードルはZX(村雨)の言葉を思い出す。

 

「記憶……か。ムラサメ……やはり貴方は軟弱です。人であった記憶など……王には無用だ……」

 

そう呟き、ニードルは姿を消した。

 

 

◾️◾️◾️◾️

 

 

「此処ですか?」

 

「ああ……」

 

【ライズホッパー】に乗って湘南海岸までやって来た俺と村雨さんは崖に建つ一軒の屋敷に到着する。

 

屋敷の表札には【村雨】と刻まれており、此処が村雨さんの家である事が分かる。

 

【ライズホッパー】から降りて、屋敷のドアを開けようとするも鍵が掛けられていた。

 

「開きませんね…‥どうしましょうか」

 

俺の質問と同時に村雨さんはドアノブを掴み、無理矢理こじ開ける。

 

「ちょっと……もう少し穏便に出来なかったんですか?」

 

「こうした方が早い」

 

そう言って村雨さんは屋敷の中へ入り、俺も後ろを着いて行く。

 

リビングに辿り着くと、広い空間にステレオ付きの壁張りテレビに大きなソファーが置かれていた。

 

そこに村雨さんが倒れるそうになった所を辛うじて支える。

 

「大丈夫ですか、村雨さん。何か手当て出来る物を探してみます」

 

「ああ……」

 

倒れた村雨さんをソファーに寝かせ、俺は救急箱等の手当てが出来る物を探し始める。

 

すると、呼び鈴が鳴ったのでドアを開けると、新宿で出会った海堂博士とルミちゃんが居た。

 

「博士……ルミちゃん」

 

「来太くんか!まさか君がこの屋敷に来てたなんて……良くんも居るかな?」

 

「あ、はい。怪我してるのでリビングで横になってます。俺は手当て出来る物を探してて」

 

「そうか。それなら、私たちも手伝おう」

 

そう言って博士が中へ入ると、ルミちゃんが少し遅れて中へと入る。

 

「何故だ……俺は此処を知っている……」

 

リビングに戻ると、村雨さんがぼんやりと周辺を眺めていた。

 

「此処が君が住んでいた家だからさ」

 

そんな村雨さんに、海堂博士が話し掛ける。

 

「その調子だ、良くん。少しずつでも思い出していけば良い」

 

優しく話し掛ける海堂博士の隣にはでは、ルミちゃんが少し怯える様に村雨さんを見る。

 

「ひょっとしてと思ったんだがね。来てみて正解だった。酷い怪我じゃないか。ほら、服を脱いで。ルミ、水を汲んで来てないか」

 

海堂博士は村雨さんに近づき、早速手に持っていた自前の救急箱で手当てを始め、ルミちゃんに指示を出す。

 

しかし、ルミちゃんは動かなかった。

 

「ルミ……水」

 

「あ……はい」

 

海堂博士はもう一度ルミちゃんに声を掛け、漸くルミちゃんは水を汲む為にリビングを出る。

 

「……博士、少し外します」

 

「……分かった」

 

俺は一言そう言って、リビングを後にする。

 

 

◾️◾️◾️◾️

 

 

「だいぶほったらかしになってたが、間違いなく此処は君の家だよ。早くに死んだ君の両親が君ら2人に残してくれたものだ。君はブラジルに留学するまで姉のしずかくんと此処で暮らしてたんだ」

 

海堂博士は治療をしながら村雨に話す。

 

「……ルミは」

 

「え?」

 

「様子がおかしかったが、どうかしたのか?」

 

「え?いや……それは……」

 

村雨の問い掛けに海堂博士はぎこちなく誤魔化そうとする。

 

しかし、じっと見据える村雨に観念したのか、フゥっと息を吐く。

 

「良くん……君は……一条(とおる)と言う科学者を知っているか?」

 

「一条?」

 

「そう、あの子……一条ルミの……父親だ」

 

海堂博士の質問に、村雨は少し間を空けて口を開く。

 

「殺されたのか、バダンに……?」

 

村雨の言葉に、海堂博士は顔を顰める。

 

「!?……そ……そうだ。バダンの協力を拒んだばっかりに……」

 

「俺が殺したのかもしれんな」

 

村雨の突然な言葉に、海堂博士は俯いていた顔を上げる。

 

「な……なにもそんな事を……」

 

「俺はバダンの兵士(コマンド)になった殺しの記憶しか残っていない。殺した……この空っぽの記憶からも溢れ出てしまう程の数の人間を……」

 

「……」

 

そんな村雨を見て、海堂博士はゴクリっと息を呑み込む。

 

「一条と言う男はよく知らない。だが……俺は誰を殺していてもおかしくは無いんだ……」

 

『貴様が刻んでいるのは"最悪の記憶"だ』

 

かつて闘った仮面ライダー1号から言われた言葉を、村雨は思い出していた。

 

「今更……償いようもない……」

 

村雨がそう言いながら拳を握り締めると、ふと何かを思い出したかの様に振り向き、リビングに置かれた1つのピアノを見る。

 

そこには、1人の女性がピアノを弾く幻影の様なものが、村雨には見えていた。

 

「戦えばいい……」

 

ピアノを見る村雨に、海堂博士はそう言った。

 

「確かにその身体はバダンが造ったものかもしれない……。だが……君は君だ。その力は君の力だ

 

「償えないのなら戦えばいい」

 

海堂博士が言った言葉を、村雨はただじっと聞いた。

 

 

◾️◾️◾️◾️

 

 

俺はリビングを離れてキッチンへ向かうと、ルミちゃんがコップに水を汲んでいた。

 

「……ルミちゃん」

 

「あ……来太さん」

 

俺が話し掛けると、ルミちゃんは此方に気づき振り向く。

 

「大丈夫?」

 

「え?は……はい」

 

ルミちゃんは俯きながら答える。

 

「……村雨さんの事、少し怖いって思ってる?」

 

「!?」

 

俺の言葉にルミちゃんは驚きながら顔を見上げる。

 

「新宿に現れた赤い怪人……アレが村雨さんだって知ってるみたいだね」

 

「ど、どうして来太さんがそれを!」

 

驚くルミちゃんを見て、俺は少し間を空けて言う。

 

「……ルミちゃんは見たかもしれないけど、あの夜……赤い怪人になった村雨さんと一緒に人を助けてた怪人がもう1人居たんだ……。黄色の怪人」

 

「あ……はい。見ました……」

 

「アレはね、俺なんだ」

 

「え!?」

 

ゼロワンの正体が自分である事を告白すると、ルミちゃんは再び驚く。

 

「来太さんが……」

 

ルミちゃんは信じられない様な表情で俺を見る。

 

「……俺が怖い?」

 

そんなルミちゃんに、俺は苦笑しながら言う。

 

「え……あの」

 

「良いよ。受け入れづらいのは覚悟してたから」

 

どう答えれば良いのか悩むルミちゃんを見ながら、俺は言葉を続ける。

 

「俺の事は……怖いと思ってくれても良いよ。だけど村雨さんの事は……あまり怖がらないでくれないかな」

 

「え?」

 

「過去に村雨さんがどんな事をしてきたのかは、俺も知らない……。だけど、今の村雨さんの事も見て欲しいんだ」

 

「今の……良さんを」

 

「うん。確かに村雨さんはバダンと関係しているかもしれないけど……あの夜、自分の危険を顧みずに人を助けた村雨さんが本当の村雨さんじゃないかって思うんだ」

 

俺はルミちゃんに視線を合わせ、少し笑う。

 

「村雨さんがどんな人なのかは……これからの村雨さんを見て判断して欲しい。そうじゃないと……本当は優しいのにそれを否定するのは……村雨さんが可哀想だと思うから」

 

「……はい」

 

そう答えるルミちゃんの頭を、俺は優しく撫でる。




次回、村雨の下にバダンの刺客が出現!
そして、伝説のダブルライダーの相棒 滝和也が参戦!
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