演習は武村艦隊の勝利に終え、両艦隊はトラック白地に帰還。
武村は大和と共に艦を降りると、その先に今回の演習相手である米倉姿があった。
「相変わらずとんでもないことを思いつく。まさか、航空機を全て迎撃に回すとは思っていなかったよ」
米倉はそう言いながら、手を差し向ける。武村はそれに応え、米倉と握手する。
「相手の航空戦力が事前に多いことが分かっていたこそ出来たことだ。艦隊を二つ別れたことも含みてな。実戦だとここまでうまく行かなかったさ」
今回の演習で航空機を伊達覗く、全ての機を迎撃に回したり、艦隊に二手に別れたも事前に情報わかっていたから出来た判断である。
もし、事前に情報が無ければここまで大胆な行動は出来なかっただろう。
「仮に事前情報無くても砲撃戦に持ち込むだろ?」
「当たり前だ」
「即答か。まったく。お前って奴は」
米倉問いに即答に答えた武村に米倉は飽きれながらも武村らしいと思った。
「それじゃ、そろそろ戻るよ。…そうだ。後日、お前所の伊達隊を貸してくれないか?家の連中を鍛え直したいだ」
「別にいいぞ。あいつも最近鍛えがいがあるパイロットを探している所だ」
武村艦隊のエースである伊達。彼は飛鷹所属のエースである一方で新しく配属された新人パイロットを鍛える教官役もやっている。
そのため、飛鷹所属のパイロットは全員が彼によって一流のパイロットに育て上げられた者たちである。中には一航戦に転属するパイロットもいる。
過去には伊達にも一航戦転属命令が来たが、伊達は態々本土まで出向き、ご丁寧に断っている。
そんな伊達だが、ここ最近新人パイロットたちが来ないため、パイロットを鍛えることが出来ないと愚痴を言っていたことをもい出した武村は米倉の要件を素直に受け入れた。
「それならちょうどいいな。それじゃ、後日頼むよ。では」
米倉はそう言いながら自身の提督室がある建物に向かって、その場を後にした。
そして、それを見送った武村は一息し、大和の方を見る。
「大和。今日の演習お疲れ様。いい活躍だったよ」
武村は今日演習評価を素直に大和に言った。
実際この演習での大和は、伊勢、日向をほぼ無傷で無力化。その後の夕立、叢雲の突撃を援護するなどの大活躍であった。
大和が居なければこの演習は別の結果になっていただろう。
「いえ。提督が居なければこんなにも活躍できなかったです」
だが、大和は自分が活躍できたのは武村の指示があった子祖だと思っていた。
だが、それを聞いた武村は首を振った。
「いや、大和の実力があったこそ、これだけスムーズに行ったんだ。それに、3射目に命中弾を出しているんだ。もう少し自分の力を信じろ」
武村はそう言って、大和の頭にポンッと手を乗せ、優しく撫でる。
大和は一瞬何をされているのか理解できなかった、直ぐに理解し、恥ずかしくなり。顔が赤くなる。
そんな大和を見た武村も自分が何をしているのかを気付き、急いで手を放す。
「す、すまない。夕立たちを撫でると喜ぶから、つい癖で…」
「い、いえ大丈夫です…もう少しだけ撫でて欲しかった」
大和は、言葉の最後の方で小さな声で本音を言うが、武村にはそれは聞こえなかった、
そして、お互いに変な気持になり、声が掛け辛くなる。
「(どうにかしないと…あっ!そうだわ!提督にあの事を聞かないと)」
如何にかして会話を再開したかった大和であったが、このタイミングで武村が見せた能力の事を思い出し、そのことを聞こうとする
「提督。一つお聞き「武村大佐!」…えっ?」
しかし、最後まで言い切る前に武村を呼ぶ声が聞こえ、中断されてしまう。
武村は直ぐに自分を読んだ声の主の方を向くと1人の兵士がいた。
来たばかりの大和には誰かわからなかったが、武村は直ぐに坂田元帥の部下の者だと気付く。
「坂田元帥の者か。何か用か?」
「ハッ!坂田元帥がお呼びです。直ぐに向かってください」
「坂田元帥が?わかった。直ぐに向かう。大和。また後で…それとさっきは本当にすまなかった」
武村は再度、大和に先程の謝罪し、その場を後にした。
「ハァー…」
「あれ?武村提督と一緒じゃないですか?大和」
結局聞けなく、ため息を吐いた大和の下に武村艦隊全員がこちらに向かって歩いて来ていた。
大和の近くに武村がいないことに気付いたか彼女らは辺りをキョロキョロして武村を探していた。
「あっ。皆さん。お疲れ様です」
「お疲れ様です。所で提督は何処に行かれましたか?」
「提督は坂田元帥に呼び出されて、坂田元帥の下に行きましたよ」
高雄に武村の居場所を聞かれ、大和は直ぐに坂田元帥の所に向かったと伝える。
「あら~。坂田元帥の所に?」
「何か変なことでもしたのでしょうか」
「浜風。アンタ、あいつがそんなことをすると思う?」
「思いませんね」
叢雲たちがそう会話している時、大和は自分に武村の能力を教えてくれた者が、叢雲乗組員だったことを思い出し、叢雲たちなら武村の能力のことを知っていると思い、た聞くことにした。
「あの、皆さん。一つお聞きしたいことが…」
「うっ?何かしら、大和ちゃん?
「愛宕。大和が聞きたいことはわかっているわ。アイツの能力ことでしょ?大和」
叢雲がそう言うと、大和は頷いた。
その反応を見た、愛宕たちは、あぁ~と思った
「もう大和ちゃん、あの能力を見たのね~」
「通りで命中率が高かったポイ」
「大和さんと提督の能力が発動していたのね。通りで砲撃戦が早く終わる訳だわ」
「あのー。武村提督の能力一体何ですか?」
愛宕たちは武村の能力を知っているため、話を進めているが、大和はまだ知らないので、話の内容についてこられずに行った。
だが、叢雲がその能力について語り始めた。
「アイツの能力はレーダーになれることよ」
「レーダーですか?」
「えぇ。言葉通り、自分がレーダーになったように、敵の位置、予測進路がわかるようになる。この時代のイージス艦ようにね」
「本当。提督の能力のお蔭で南海助けられたこかしら」
提督の能力。それは自分がレーダーになったように、敵の位置、予測進路が簡単にわかる状態になることである。
この状態になった、武村は文字通りレーダーになり、数多くの奇襲攻撃を防ぎ、自分の艦隊を救って来ていた。
「あんたも、能力見たなその凄さ、わかるでしょう?あの能力は私たちが使っている電探より遥かに超えるわ。それそこ、この時代のイージス艦のような性能よ」
叢雲の言う通り、武村提督の能力は、もはや、艦娘たちが使っている電探を遥かに超える物である。
その能力の精度はもはや、現代のレーダーに匹敵する程である。
「えぇ。見ました。日向の操舵技術が高くて、中々命中弾を出すことが出来ませんでした。それなのに、提督の指示通りで撃ったら命中弾がでましたから…」
大和の砲撃を紙一重で回避する日向に対し、必死になって誤差修正していた、大和と砲術長であったが、それを一瞬にして、正確な修正をし、予測進路ピッタリと言い当てた。
それを見た大和は武村の能力の凄さを良くわかっていた。
その一方で、再程の大和の発言を受けて、愛宕たちは別の意味で大和の凄さに驚いた。
「あの、大和さん。提督の能力は最初から発動していたじゃありませんの?」
「いえ。提督の能力は日向の時だけですよ」
「「「えぇぇぇぇ―――!!」」」
大和のその発言を受け、最初から発動していると思っていた愛宕たちの驚きの声がトラック泊地に響くのであった。
一方、その頃。
武村は坂田元帥の部下に案内されながら、元帥の部屋に向かい、長い廊下を歩いていた。
偶に、別の提督とすれ違が、多くの者たちが武村を睨んでいた。
武村はその理由はわかっていた。
自分が大和を手に入れたから。
武村の階級は大佐。さらに、このトラック泊地の中では戦果は低い分類に入る。そんな奴に大和を手に入れたら他の者たちにとっては腹が立つだろう。
しかし、それらの者たちを気にせず、廊下を歩き、坂田元帥のいる部屋に辿り着く。
そして、坂田元帥の部下が扉をノックする。
「誰だ?」
「私です。武村大佐を連れて来ました」
「ご苦労。入りたまえ」
部下は扉を開け、武村は部屋に入る。そして、部下は一度、坂田元帥に敬礼をし、扉を閉めた。
「すまないな。演習直後に呼び出してしまって」
「いえ、問題ありません」
「そうか。では、本題を言う。実は今から4時間前に本土から入電があった」
「本土からですか?」
「うむ」
本土。それは、全艦隊に指令を出す大本営を意味するころである。
その大本営からの入電で呼び出し。武村は只事ではないと思いゴクリと唾を飲む・
それに合わせるように、坂田元帥が机の引き出しからある物を取り出し、それを机の上に置いた。
武村は一瞬、何かわからなかったが、直ぐに理解した。あれは少将の階級章だと。そして、呼び出した理由も理解した。
「さ、坂田元帥。ま、まさか本土からの入電と言うのは…」
「さすが、武村『少将』だ。理解が早くて助かるよ。4時間前に本土から君を一階級昇進することが決定すると言う入電があった」
一階級昇進。それを聞いた武村は驚く。
まさか、そんなにも戦果を挙げていない自分が少将になるとは思っていなかったためである。
「自分が…少将ですか?」
「あぁ。そうだよ。今回の大和の件で君の経歴を一から調べられたらしい。それで、君が艦隊に被害を出さずに、敵艦隊に一定のダメージを与えていることと、如何に艦娘を家族のように接していることも評価。後は大和運用に当たって相応しい階級を用意しなければいかないと判断したらしい」
今回、大和が武村艦隊に入ったことを受けた大本営は武村幸祐と言う人物を一から調べる指示を出した。
いくら、大和自身に艦隊を選ぶ権利を与えたとは言え、日本の切り札である大和を大本営が余り知らない提督に元に入れることはいかない。
そのため、不正、今まで挙げて来た戦果、艦娘に対すセクハラなどが無いか徹底的に調査された。
その結果は大本営も驚くほどの真白であった。
不正どころか、セクハラも一切なし。
むしろ憲兵も認めるほどの艦娘たちを家族として接しており、戦果はトラック白地の中では低いものの、全体的には多い方に入る上に、被害が少ないため、大本営は武村大佐を一階級昇進することに決めたのである。
「まぁ、ともかくおめでとう。今後の活躍に期待する武村少将」
そう言いながら、椅子から立ち上がり、机の上に置いていた少将章も手に取り、武村に渡す・
「ハッ!」
武村は少将章を受け取り、一度、坂田に敬礼をし、部屋から出て行くのであった。