そして流れが変わる時。ついて来れそうな人だけついてきてね。
毎日投稿は…間に合わなかったよ…
あの後なにか使えるかもしれないとロープを回収してからエンリさんに肩を借り、俺たちが捕まった場所まで戻ってきた。
見れば通路を塞いでいた死体の山が乱雑に崩されて道が開かれている。奴はこの先に進んでいるみたいだ。
また張られていることも考えて警戒を強めに周囲を観察すれば、端の方でキラリと光るものを見つけた。
近づけば俺が持っていた鉈だった。話に聞けばあの時、エンリさんの手元から弾き飛ばされて無くしてしまったと言ってたから見つかるとは思ってなかった。
「エンリさんが持つ?」
「……(こくり)」
エンリさんは鉈を拾うとじーっと刃の部分を見てから、1度頷いて持ち直した。このまま彼女が持っていくでいいみたいだ。
まぁ今の俺が持つよりエンリさんが持っていてくれた方が使い道は多いだろう。
再びエンリさんの肩を借りて歩きだそうとすれば、少しだけ目の前がチカチカして体がふらりと揺れたがすかさずエンリさんが支えてくれた。
「…っと、ありがとう。まだふらつくみたいだ」
「……」
「いや、もう平気だよ。早く先に進もう」
「……」
ふらついていた体に力を入れ直し、ダクトから飛び降りた通路まで戻ってきた。いつも通り機械に鍵を差し込みシャッターを開く。そのまま先に進もうと1歩を踏み出した瞬間、頭の中にノイズが走った。
なんだこれ……頭に直接……流れて……!
「ぐっ……ううっ……!」
「……!?」
「だ…誰だ……?」
なにか……訴えかけられてる……?俺を呼んでいるようにも聞こえるが……ノイズ音が激しくて分からない……!
……右?そっちに行けばいいのか……!?
しばらくするとガンガンと響いていたノイズが徐々に治まってきた。まだ反動でズキズキと頭が痛む。
一体なんなんだ?まるで元気すぎる子供を相手にしてるような、そんな感覚だ。
「……エンリさん。脱出する前に行きたいところがある。危険を承知で頼む……連れてってくれないか?」
「……?」
「……分からない。でも、そこになにかある…そんな気がする」
「……」
「ありがとう…無理を言ってごめん」
「……(ふるふる)」
俺のあやふやなワガママにエンリさんは少し疑問を抱いていたものの、連れて行ってくれるらしい。
助けてもらったうえにワガママを聞いてもらってる現状に頭が上がらない。
そのままノイズが聞こえた方向へ感覚を頼りに進んでいくと、少し入り組んだ通路へと出た。
ここにさっきのノイズの原因があるのか?とにかく慎重に調べていくしかない。
慣れたように探索を進めれば新たにパスワードの"ロ"が書かれた紙を見つけた。他にもあるかと探ってみるも先程のノイズの原因と呼べそうなものは何も無かった。
もう探せるものはないと思ったが、よくよく考えてみると殺人鬼の追跡を振り切る時に入ったダクトの先に部屋があったように、もしかしたらこの辺りにまた入れそうなダクトがあるかもしれない。
そのことをエンリさんに伝えて二人で探すと、死体が吊るされた区画の隣、血溜まりができた区画のダクトが外せそうなことに気付いた。
ダクトの蓋を開けて入ってみれば、人1人通れるくらいの細い道が続いている。エンリさんを先頭に進んでみると行き止まり……というより下に続く穴があった。普通に考えれば排水用…とは思うけどここまで血の跡はないし、ロープを固定していたのか固く固定されたビスにロープが括り付けてあった。見えにくいが、ほんのりと床は見えているのでロープさえどうにかなれば降りられないことは無さそうだ。
「ロープは括り付けられてるけど…途中で切れてて降りれないな。持ってきたロープで補強すればいけるか?」
「……」
「そうだな。試してみよう」
どれだけ深いか分からないし、ロープが足りれば良いけど……
せっせとロープを結びつけて下ろしてみれば、なんとか長さは足りてそうだ。ここもまたエンリさんが先に降りていき、エンリさんの合図を受けて俺も続いて降りていく。
降りた先はそこそこ広い通路であり、右側に上り階段が見えるが目の前を赤い線が巡っている。
左側はどこかに通じているようで、先にそちらへ進む。
「……またシャッター…だけど、今までのとなんか違うな」
「……(すっ)」
「ん?おぉ…次はなんの機械だ?前みたいに鍵を差す穴もないし……うぉっ!」
「……」
恐る恐る機械に触れてみると、ブォン!という起動音がして目の前に文字が表示された。
えー…パスワード?パスワードってもしかして今まで拾ってきたやつのこと?
「4桁のパスワード……ってことか。でも俺たちが拾ったのって数字じゃなくて1文字だよな?ここ見ても数字しかないぞ…」
「……」
「エンリさん?なにか分かったのか?」
「……(ぽちぽち)」カシュッ
「……え?マジで?」
俺が頭を悩ませていると、エンリさんはなにか閃いたみたいでぽちぽちとボタンを押した。すると鍵が外れる音がして重厚なシャッターがゆっくりと開き始めた。
「どゆこと……」
「……」
「5…6……あぁ、なるほど!語呂合わせか!確かにそういうことなら納得だ」
「……」
「いやぁ……お恥ずかしながらそこまで頭が回らなかった」
普段ならパッと思いつきそうなものだが、自分で思ってるよりもかなり消耗してるみたいだ。
エンリさんの労るような視線につい誤魔化すように頭を搔くと、またノイズ音が頭に響く。
……どうやら、この先に原因があるみたいだ。
シャッターの先へ行くと、そこはひとつのこじんまりとした部屋だった。部屋にあったのは血塗られた台座と……2つの武器。
「……ここはなんだ?行き止まり……それに、これは……」
「……」
立て掛けられていたのは途中までエンリさんが持っていたものと似たような斧。そして…異彩を放つ大鉈。
無駄な装飾はされていない無骨なそれを俺は目が離せないでいた。
こいつだ……これがノイズ音の原因。それが直感で分かった。
気付けば俺は1人で無意識に大鉈の前に行き、それを手に取った。
その瞬間一際大きくノイズ音が頭の中に走ると、それっきり音はならなくなった。
重いには重い……でも持てないわけじゃない。使うのも多分できる。でも問題は足の怪我だ。この状態で十全に扱えるかと問われれば無理としか言えない。何度か振るので限界だろう。
……いや、そもそもこの状態でこれ持ってくの?まぁデカイから杖代わりにはなりそうだけどさ。これ逆に足枷にならない?
終われた時とか無理じゃね?あぁいやそもそもこんな足じゃそれ以前に逃げられないか。
うん。まぁもうあんまり考えたくないし、フラフラするし頭も足も痛いし……戦えそうな武器が手に入ったってことで納得しておこう。うん。それにこれならあの殺人鬼にダメージを与えられるかもしれない。
俺の隣で無表情で斧の使い心地を確かめてるエンリさんを見て、そう無理やり納得することにした。
■■■■■『♡♡♡♡♡』ジジジッ