奈落の赤鬼   作:黒三葉サンダー

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どうも皆さま。
少しの間、セドリックとエンリは休暇です。

今回は奈落2編に入る前の物語、エリナが参戦です。

奈落リメイク初めて見ました。クオリティすっごい。こんなにギミック変わってるんだ、すげえ。
エンリ可愛すぎじゃんね。好き。

殺人鬼……お前もってたの包丁じゃなくて斧だったんだ。なんか武器しょぼくしてごめん。


不安定な日常編
パート16


某時刻

 

おにぃが出掛けてから少し。あたしはあたしで出掛けたい場所があったので、いそいそと準備をする。

財布よーし、鞄よーし、ツインテールよーし。うんうん今日もバッチリ決まってるね!

 

「ママ〜!あたしも出掛けてくるね!」

「あら、そういえば出掛けるって言ってたわね。確かクロイス商店だったかしら?あそこの化粧品、質がいいのよねぇ。良いものが置いてたら教えてね〜」

「はーい!行ってきます!」

「夕方までに帰ってくるのよ〜」

 

ママの間延びした声を背に家を出る。クロイス商店までは少し道程があるから、早めに出ないと商品が探しきれないんだよね。

 

クロイス商店。唐突に有名になり始めたお店で、経営元は名前の通りクロイス家っていうお貴族様。

直近までは名前が通ってなかったのに、クロイス商品が売れてからどんどん人気になってる今流行りのお店だ。他の雑貨店よりもたくさんの商品が置かれてて、しかも種類も豊富で安い。庶民であるあたしたちでも気軽に買い物出来るのが良い。

 

しかもしかも!クロイス商店があるのはあたしたち庶民が住んでる居住区!

わざわざここから離れてる商店街に行かなくてもいいのがとっても良い!商店街までって絶妙に遠いから行って帰るだけで結構時間が掛かっちゃうんだよねー。

だから気軽に行けるクロイス商店は立地的にも庶民に大人気だ。あたしもすき!まだおにぃと行ってないから、おにぃとも行きたい!エンリさんとも!

 

「ふんふんふふーん♪今日は良いものあっるかなぁ〜♪」

 

鼻歌混じりですいすいと道を歩いていく。道の真ん中でお喋りしてる人たちの後ろをすり抜けたり、小道にいた猫ちゃんと少しじゃれて遊んだり、朝市で売れ残った商品に頭を抱えているお姉さんに声を掛けられたり、怖いお兄さんに睨まれて逃げたり、ちょっとした冒険気分だ。

 

そんな道程を超えてあたしはクロイス商店までやってきた。

相変わらず人がたくさん出入りしてて、みんな満足そうに買い物してる。あ!あの子持ってるやつ、あれ最近出たシャンプーじゃん!また入荷したんだ!買わなきゃ!

 

ワクワク気分で店内に入れば、見渡す限りの商品がたくさん!

ちょっと高そうな食器とか小物とか、人形とか羊皮紙とかはてには武器なんかも!

……庶民で武器を買う人っているのかな?でもおにぃとか好きそう。特にあの金属の兜とか喜んで被って遊びそう。

 

いろんな品物を見て回るのはとっても楽しくて、しかも普段なら手が出しずらい高いものもクロイス商店なら市場より安く買えるのが凄いよね!

うわっ!この人形すご!50600有円!?クロイスでこれなら市場のものはどれだけ高いんだろ。

 

「おっと、失礼…」

「きゃっ」ドンッ

「あいたっ」

 

2階に登ってあちこち見回っていたら、後ろから他のお客さんにぶつかられて前に押されてしまう。前につんのめるように倒れそうになったら目の前の女の子にぶつかってしまった。

慌ててその子に謝ろうと顔を向けたら、ハッと息を呑む。

艶やかな長い黒髪に小柄な体型、大人しそうというかちょっと弱気そうな雰囲気に庇護欲をそそられる可愛い子だった。

思わずほわぁっと眺めていたら、「あの…」と遠慮がちに声をかけられて正気に戻る。

 

「わっ、あの、ぶつかっちゃってごめんなさい!すぐ謝ろうと思ったら可愛くてつい見入っちゃって…!」

「えっ?あっ、いえ…君こそ大丈夫?」

「はい!もう全然ピンピンしてます!それにしても髪、とっても綺麗ですね!どこのシャンプー使ってるんですか!?」

「えと…うちはクロイス製品で…」

「そうなんですか!?あたしの家もクロイス製品のシャンプーです!でもなんでこんな違いが出るかなぁ?」

「えっと…そこまで悲観するほどでもないと思うよ…?」

「そうですか?えへへ…」

 

あっ!つい勢いで話を続けちゃったけど、見ず知らずの人に失礼だよね!?しかも気を遣わせちゃったじゃん!!

 

「勢いで話しちゃってごめんなさい!あたし、エリナ・アンバーっていいます!14歳です!」

「あっ、ご丁寧に…俺はウィル・アルフィーです。年下か…」

「俺…って男の子!?しかも年上!?うそ!?」

「紛れもなく男だよ…はぁ…」

「ご、ごめんなさい!良くなかったですよね!いつも思い込みが激しくて…」

「いや、いいよ。年下の子にそこまで怒ることもないし…」

「ありがとうございます!えへへ、優しい人で良かったです!」

「…あぁ、うん」

 

もっと怒られるかと思ったけど、サラッと許してくれる優しい人で良かった!ママやパパにも思い込みが激しいから気を付けろって言われてるのに、つい暴走しちゃった。

でもウィルさんって男の人って言われても、女の子って言われた方が納得出来るくらいに可愛いんだよなぁ…

 

「…ところで、何か買いに来たんじゃ?」

「そうでした!お気に入りのシャンプーが減ってきたから買おうと思ってたんです!あと面白そうなものもあれば見てみたいなぁって!」

「そうなんだ。まぁ確かに色々あるもんね」

「凄いですよね!こう、冒険してる気分になります!」

「冒険かぁ。そういう発想はなかったなぁ」

「ふふん、世は常に冒険に溢れているのです!ウィルさんもそういうの感じませんか!?」

「そうかな…?そうかも…」

「えへへ〜!ですよね!って長く話しすぎちゃいましたね。あたしはそろそろ行きますね!またねウィルさん!あとそのペンケース可愛いと思います!」

「あぁうん。また…」

 

ウィルさんと長話しちゃったし、買うもの買ってそろそろ帰らなきゃ!ふんふふーん♪あっ!携帯型警棒だって!こういうのおにぃが好きそう。そろそろおにぃの誕生日も近いしサプライズでこれにしよっかな。おにぃってば単純だからな〜。

 

 

 

 

 

 

「……世は常に冒険、か。なんだか面白い子だったなぁ」

「……うん。たまには、ちょっと冒険してみてもいいかも」

 

 

 

 

 

 

 

 

─────

───

 

 

 

 

 

 

 

 

買い物を終えて気分よくスキップしながら帰る。なんだか今日は面白い1日だったなぁって思う。

特にウィルさんと知り合えたのが大きい!いやーあれで男の人だなんて、意外と同性からモテモテだったりして?いや、流石にそれはないかぁ。もしかしたら近くに住んでるかもしれないし、また会うこともあるかも。その時はおにぃやエンリさんも紹介したいなぁ。

 

「ただいま〜!クロイスのシャンプーあったから買ってきたよ!」

「おかえりエリナ。まぁ、嬉しいわ〜。ちょうど少なくなってたものね」

「うん。他のお客さんが買ってるの見たから買わなきゃって思って!…あれ?まだおにぃ、帰ってきてないの?」

「えぇ、そうなのよぉ。もう夕方になるのに…おかしいわね」

「うーん……案外エンリさんとデートでもしてるんじゃないかな?もーおにぃったら!今日の晩ご飯はエンリさんも誘ってねって言ったのに!」

「あらあら。まぁもうすぐ帰ってくるでしょうし、夕飯の準備しちゃいましょう」

「うん!あ、あたしも手伝う!」

「えぇ。ありがとうエリナ」

 

いくらエンリさんが好きだからって遅くまでデートとは…おにぃも大人になってしまったってことかぁ。それでもあたしもエンリさんと晩ご飯食べたいのに!もう!おにぃのバカ!

 

ママと一緒に晩ご飯の準備をすればパパが帰ってきて、もうすぐおにぃも帰ってくると思って皆で少し待ってたけど…

 

 

 

おにぃはその日、帰ってくることはなかった。

 

 

 




エリナ・アンバー

セドリックの1つ下の妹。お転婆娘でいつもニコニコしているアンバー家の癒し枠。昔からお兄ちゃんっ子で、いつもセドリックの後ろをついて歩いていた。頭は良い方だが思い込みが激しく、空回りしてることも多い。しかしそんな姿も愛嬌として好まれており、男女ともに友達が多い。最近は兄の他に姉も出来そうでテンションがより高い。セドリック程ではないにしろ、身体能力は高めだがその時の気分で変わるので評価は中々難しいところ。
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