YOU CAN(NOT) GIVE ONE LAST KISS.   作:tubuyaki

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偽典:正典や外典に含まれない書物の総称。必ずしもその内容が偽物というわけではなかったが、偽物でないという保証もまたなく、やがては異端と謗られるようになった。もしかすると、そのような偽典の中に葬られた真実も、またあるのかもしれない。
そんなニュアンスで、本編とは言えない程度のおまけ的なもの


偽典:人々は気付かない

 彼は気が付くと、駅のホームに座っていた。やや呆然としながらも、彼が向かいのホームに目をやると、そこには大切な仲間たちの姿があった。談笑する二人の姿に、彼は創世(ネオンジェネシス)の成功を実感する。彼は、ついにやり遂げたのだ。

 けれど、そんな瞬間であっても、彼と仲間たちの視線が交わることはない。なぜなら、仲間たちにとって今この瞬間は、なんら特別なものではないからだ。彼らにとっての今この時は、()()()()()()()()()()()平和な一時に他ならない。人々は、この世界がほんの僅か少し前に作り替えられたということに、気付かない。

 新世紀……そこはもはや、エヴァのない世界。

現在・過去・未来、すべての時空からエヴァという存在と概念が消え去った世界。

 エヴァによってもたらされる地獄のような災禍や、仲間たちに振り撒かれた不幸の種が、根源から無くなった世界。綾波レイはLCLでの調整が必要な虚弱な体で生まれてきたりなどしないし、式波・アスカ・ラングレーは戦闘特化のためにクローン体同士で殺し合いをすることも無い。渚カヲルだって、ここではただの人だ。生命の書に名前を書き記し、数多の世界を俯瞰する運命(さだめ)を負った存在は、もうここにはいない。

 そして彼、碇シンジも、エヴァパイロットになんてなっていない。エヴァが無く、エヴァへの適性も何もないことから、父親に招かれてNERVに向かうこともないし、そもそもその父親からして、NERVに在籍していない。

 碇ゲンドウは、心の底では理解していた。エヴァのごとき存在が無い以上、ユイとの再会など空想に過ぎぬことを…… その現実を突き付けられることを恐れて、彼はNERVで直接指揮を執ることをしなかった。NERVもまた、使途撃滅や人類補完とは別の使命を与えられ、設立されていた。碇シンジがNERVに招かれない以上、アスカが来日しているのだとしても、彼女との接点が生まれることはなかった。

 何もかもが変わった。ただ彼の頭の中にのみ、かつて『それ』があったという記憶を残して、エヴァはすべて消え去った。いや、彼を除いて、もう一人だけいた。彼女は、そっとシンジの背後へと忍び寄る。

 

 

マリ:ミイラ取りがミイラになった、胸の大きい良い女。かつての想い人をマイナス宇宙から見送ったことで、過去には踏ん切りを付けている。創世(ネオンジェネシス)直後に、今まで通りワンコ君に接してみたところ、逆に自分がからかい返されて感心(いっぱしの口をきくようになっちって!)。いきなりのこの新しい世界でも、私が一緒にいて手を引っ張ってあげるよ! なーんて思っていたら、逆にシンジに手を引っ張られることになって、二重にビックリ! シンジの成長に、もはや自らの導きが必要無くなったことを悟った。愛した人の子の成長に、感無量のマリ……

「けれど面白いことのためなら、今まで通り暗躍させて貰うにゃん!」それがこのザマだよ!

結局、どこからどこまでが計算だったのか、誰にも分からない。

 

リツコ:彼女は言う。世の中には知らない方が良いこともある、と。

もっとも、知ろうともしていないことを知らされて胃が痛くなることはあるのだけれども……

「だから他人のプライベートなんて、知るもんじゃないわね」

彼女の飼い猫は、タバコ以外の煙の匂いに敏感。

 

SEELE:キリスト教系秘密結社で、断片的にのみ発見される死海文書を神聖視していた。その文書の主要部が、世界から消滅しているとも知らずに…… 構成員は皆、政財界への影響力甚大な錚々たる面々で、軍産学複合体への関わりから、軍事研究の最先端を担うゲヒルンそしてネルフの設立に影響力を行使。その後はネルフへの仲介人を通じて、宗教的好奇心を満たすための研究依頼や協力、巨額の資金提供等を繰り返すも、某メディアによる一連のスクープで関係が露呈。だが、その頃には既に構成メンバーの老齢化が進み、活動自体が停滞。各メンバーは特に責任を追及されるでもなく、寿命という名の逃げ切りを手にした。最終メンバーらの延命治療拒否による同日死は、暗殺の憶測を生んで止まない。実際に彼らは、その最後の日にとある訪問者と異例の面会を行っていたというが、真相は如何に

ゲンドウ:失意と共にゲヒルンを退所。以降、矛盾を抱えたまま、古巣の冬月研究室を拠点に活動を行う。研究室解散後は、冬月名誉教授と共に各地を転々とする。ゲヒルンの後身であるネルフとは表立った関係は無かったが、何者かに頭部を銃撃され死亡。

銃撃直後は、奇跡的にもしばらく生き延びていたが、シンジとの面会直後に死亡が確認された。

「……ユ……イ………」 「もう良いんだ、父さん。母さんのところへ行って、良いんだ」

ケンスケ:幅広いサバイバル知識, ミリタリー知識, メカ愛, カメラ愛などが高じ、大学時代は自分で書いた記事を関連雑誌へと積極的に投稿。卒業に合わせ戦略自衛隊の幹部候補生試験を受けるも、身体検査で不合格となったため大学院へ進学。修了後はメディアに就職し、当該メディアとしては異例の大スクープを報じた記者となる。しかし、有力な情報源の一人であった加持主席監察官の死亡に際し、身の危険を感じて離職。自らのサバイバル知識を活かして、しばらくの間、世間から姿を隠した。記者はそれきり卒業し、今では情報の分析に長けた軍事評論家として活躍中。

裏コード: cB+ulLTb

裏コード2: rroKuz5A0

/* かつてエヴァと呼ばれたケンスケ氏 情報と国家 敬意を込めて */

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