最近なんだかスランプ気味なんです…
第二十一章 城戸瑞稀の調査
――をー「始末される前に…ッ この女だけでも始末する…ッ! 上からの命令なんて知るもんかァーッ!
"ビヨンド・ザ・ムーン"ッ!!!」
敵組織の追手、をーという少女は空条助音を気絶させることに成功し、翔太郎を着々と追い詰めていったが、翔太郎の奇策によって、逆にをーは追い詰められてしまう。
そこでをーが取った手段は、組織の命令に背き無防備な空条助音を始末することだった。
――翔太郎「やめろォーーッ!!」
能力、"ビヨンド・ザ・ムーン"の応用で土埃を起こし、翔太郎に手を出させなくしたをー。
溜息の空気の弾丸で土埃を晴らした翔太郎。
そこにいたのは…
目を瞑っている助音の目の前。黒装束を身につけた、兎を彷彿とさせる死神が、持つ大きな鎌で少女の胸を切り裂いていた。
翔太郎「…!!!」
翔太郎は、安堵したような、困惑したような表情を浮かべる。
をー「あが…っ お…お前…は!!!」
鎌で切り裂かれてなお、少女は生きている。
だが流石に話している間に吐血した。
――一体、仲間なのだろうか?敵なのだろうか?
敵なのなら、何故少女を攻撃したのか…
翔太郎はそんな考えが頭の中を巡り巡って、立ち尽くしてしまう。
すると…
兎の死神「…」
死神は翔太郎に気付くと、瞬時に消えてしまった。
翔太郎「ッ!!スタンドだったのか…ッ?」
まるで、金縛りが解けたかのように翔太郎は血だらけの少女の元へと走り出す。
翔太郎「大丈夫か!? 今のはなんだ!?」
をー「奴は… ! 奴は…ッ!」
息絶え絶えに喋るをーだが、先の言葉が出てこない。
しかし、少女は傷を厭いもせずに続ける。
をー「どうしても…! "思い出せない"のッ…」
――公園なのに、遊具も木もない。あるのは国洞洞の闇と、沈黙である。
そして、そこには倒れてる少女、少年、そして金髪の女性がいる。
そんな風景を、近くの家の屋根の上からから覗き込む目があった。
――それはそれは赫い目だった。
キッド「遂に坂根圭が動き出したか… そろそろ見張るだけじゃなくて行動に出るべきか…」
その女性は、"掛けていた眼鏡を上げる"。
キッド「そしてさっきの兎の死神…」
先程の場面を見ていたのだろうか、その女性が取り出した携帯電話の画像フォルダには先程の兎のような死神の写真があらわれる。
キッド「まずは情報の整理だ… "このままじゃ黒幕を叩けない"…」
その女性は何やら電話した後に、その"能力"で消えてしまった。
助音「!! 救急車がきたみたいだよ!」
をーという少女の胸の裂傷は致命的なるものだった。
先程の死神が持っていた鎌は見た目以上に攻撃力と殺傷力が高かったのだろう。
翔太郎「応急処置も済ませました!!」
"敵組織の情報を手に入れる"ということより、"致命傷を負った少女を治療する"、ということを優先した翔太郎と助音。
救急隊員「大丈夫ですか?」
救急隊員との一通りの会話を終えたあとに助音は気付く。
助音(この人たち…"SPW財団"だ… 普通の救急医とかじゃあなくて、SPW財団専用の医師…?)
翔太郎「お姉さん、そろそろ戻りましょうか。もう深夜ですよ。」
彼が言う通り、時間を確認するともう深夜だった。
助音「え?あ、そうだね…」
翔太郎に諭され、2人は帰路に立つ。
助音「それにしても、さっきの子はショータくんくらいの学年の子に見えたよ… 敵はあんな少女にも闘わせるなんて…!」
憤りを含む声が、2人だけしかいない家に響く。しかし彼女の向こう、テーブルを挟んだ対面に座っている翔太郎は、神妙な顔付きで返答する。
翔太郎「それだけじゃあなくて、"死神"の件もありますしね…」
……空条助音曰く、「その時土埃のせいで、当分目を開けられなかったためその死神を見ていない」と。
つまりその状況を完全に把握することは翔太郎には不可能であり、彼はそのことを不自然に思っているのであった。
助音「えと… ショータくん?どうしたの?」
一通りの話を終えた後にも、翔太郎は何か言いたげだった。
翔太郎「あの…お姉さんは何か隠してませんか…?なんだか、全てがから元気に見えるというか…」
助音「!!」
助音は言葉に詰まる。まさに図星だったのだ。
翔太郎「言いたくないなら聞きません。僕は、お姉さんが元気になれることなら頑張りますから…」
なんて健気なのだろう、と思う助音だが内心迷っていた。
"ショータくんが死んだ夢を見た"なんてこと、言えっこない、と。
助音「いや…あの、いやーな夢を見てね…」
翔太郎「夢…? …!夢ってまさか!」
助音(忘れるハズもない。誰1人、ダブレさえいない1人ぼっちの中で、ショータくんの死体を発見する夢…
…ダブレ? ダブレ!?)
助音「"ダブレが私の中にいる"!!!」
翔太郎「わわわっ!!!」
助音がいきなり立ち上がったことに驚いた翔太郎は変な声が出てしまう。
助音「"夢の中でいなかったダブレが今、私のココロの中にいる"ッ! …でも変われないし話せない…?」
翔太郎「ちょ、ちょっと待ってください!一体どういうことなんですか!?」
キッド「それは僕が説明しよーかなッ」
翔太郎「キッドさん、!?…むぐっ」
掌に水色の魔法陣を宿した胸の大きい女性が、珍しくも赫い目で彼らを見据えながら現れた。
……そして、翔太郎に抱きついている。
翔太郎「ちょ… 息が…」
キッド(よし、"まだある"な…)
その光景を(引き気味に)眺めてる助音が、ふと思う。
助音「あれ?キッドって眼鏡かけてたっけ?」
ようやく離してもらえた翔太郎も気付く。
キッド「いや〜イメチェンだよ〜ッ こういうのかけたら、見えてくる世界が変わってくるかも、なんて思ってね〜ッ」
翔太郎「それで…"僕が説明する"っていうのは?」
翔太郎がそういうと、キッドの赫い目が細まる。
キッド「僕が集めてきた情報なんだけどね、"ジョジョがさっき言ってたこと、つまりダブレが出てこない理由"とかかな〜」
翔太郎「ダブレさんが出てこないんですか!?」
キッド「まぁまぁ、ちゃんと説明するから… ジョジョ、ちょっとコーヒー用意してくれないかい?」
キッドが翔太郎をなだめると同時に、助音にそう話しかける。
助音「もう深夜だよ?コーヒー飲んだら眠れなくなるし… 今すぐにでもしないといけない話なの?」
助音は少し不満げに答える。
そういえばもう2時程度だ。
キッド「ごめん、重要な話なんだ。だから、お願い。」
いつになく真剣な、彼女の赫い目。
助音はその真剣さにおされ、コーヒーを作りにキッチンへ向かう。
翔太郎「一体、どうしたんですか?"お姉さんを遠ざけて"… あの人にできない話でも…?」
キッド「その通りだ。君には僕から、"使命"を授けないといけない。」
翔太郎「"使命"…?」
助音「できたよ〜 それじゃ、キッドは説明よろしくね?」
助音がキッチンにコーヒーをつくりにいって、5分程経っていた。
キッド「まずは…だ。僕は、"ジョジョやショータくんがをーという少女と戦闘していたことを見ていて、わざと加勢しなかった"。」
翔太郎+助音「!!!」
キッド「それならなんで… とか言わないでね。僕も、"監視"していたもんでね…」
彼女は一息つくと、コーヒーを一口飲む。
キッド「あと、これから説明することは… 説明し終わるまでに質問は受け付けない。」
彼女は眼鏡を上げながらそう言った。そして、それを聞く2人が頷くのを見て、また話しだす。
キッド「今回に大きく関するのは、ボスの腹心、"坂根圭"という男についてだ。」
キッド「スタンド名は"アナザーモーニング"で、能力は射程内の1人に夢を見せることができる。」
――過去に、魂の鑑定人が言っていた。
――鑑定人「奴の名前は坂根圭。詳しくは知らないが、私が占ったら"反SPWのボスの腹心"という結果がかえってきた。私の占いは外れたことはない。信用してほしい。」
行動も、目的も、存在さえも謎の"反SPW財団'という敵組織。助音たちが求めるその組織の幹部やボスに近い情報を…キッド、もとい城戸瑞稀が持っている。
キッド「ジョジョ…君は、をーという少女に気絶させられた時に"夢"を見たハズだ。」
名指しされた助音がギクリと驚く。
翔太郎は真剣に聞き入っている。
キッド「僕が言いたいことはもうわかるハズだ。"ボスの腹心、坂根圭が能力で遂に助音を洗脳させようとしてきた"ということだ。」
翔太郎「遂に、味方を増やす役割だった人間が標的の人間を洗脳しようとしていた…」
キッド「問題点はここだ。ジョジョなら気付いているハズだ。"人格をダブレに変えられず、彼女に話しかけることもできない。そして、夢の中ではダブレの存在を感じなかった"。ということだ。」
キッド「それは、坂根圭の能力が、"人1人に見せる能力だから、夢を見せる対象が全ての人格に当てはまる"からだ。」
助音「!!!それってつまり…ッ!」
キッド「ダブレは、まだ悪夢を見せられ続けている。…奴の能力の夢は、物理的衝撃で起きるらしいが、ダブレにまだ変われないということは、"ダブレが主人格の時に起こさないといけない"ということだ。」
助音「私は今ダブレと変われない…それじゃあ、悪夢を見せられてるダブレを助けに行く方法が…!」
キッド「あるんだよ。」
助音「え?」
翔太郎はそういうことか、と理解する。
キッド「坂根圭を始末するんだ。」
その女性は、淡々と告げたのだった。
頑張って3日後にまた投稿します…
小説の投稿、一週間に一回でいいですか…?
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いいですよ 頑張れ
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うるせー しね