――TG大学病院調査部の部長天久鷹優と、その助手小鳥遊ことりは、「何故空条助音はそれぞれの人格に個別の能力があるのか」といった話になり、ことりは鷹優から助音の過去について聞くことになった。
そして、ことりは衝撃の事実を知る。
――鷹優「つまり、"空条助音の元々の主人格は、今で言うダブレだった"ということだ。」
「能力、"グッド・ドリームス"を使える人格をG、"バッド・ドリームス"を使える人格をBとおく」という条件の上、鷹優が言っていることは、"空条助音という人物の、最初の人格がBである"ということである。
ことり「えええっ!?」
鷹優「お前が驚くのもわかる。なにしろ、"今の主人格、Gの人格さえそのことを知らない"からな。」
ことりは、いかにも驚きを隠せないような表情になる。
鷹優「多重人格。正式には"解離性同一性障害"というが、ことりも知っているように多重人格の原因は幼少期の精神的外傷が基になることが多い。」
ことり「多重人格になった原因が、その空条助音という女性の"悲惨な過去"ってことですね…?」
多重人格、もとい解離性同一性障害は、幼少期の親からのネグレクトや学校でのいじめ等の、心的外傷を原因として起こりやすいと学説では言われている。
人間の防衛反応として、まだココロの成長しきってないときに起こってしまった本人に耐えられない状況を境に、「自分の人格や感情、性格さえもを切り離してしまう」それが、多重人格の本質ということである。
鷹優「…杜王町では、15年前にとある交通事故が起きている。」
――ここは、ダブレの夢の中。
敵の"夢を見せる能力"によって先程まで刀やナイフといった武器での拷問を受けていたダブレ。
ダブレ「ッ…? ここは…」
一瞬の出来事だった。拷問が止まり、数分したと思ったら"いきなり何処かに飛ばされた"のだった。
ダブレ「へッ、拷問でもココロが折れなかったから遂に諦めやがったか…」
そんな余裕そうな発言をしていながらも、彼女は正直安堵していた。その理由は言わずもがなである。
ダブレ「それにしても…ここは杜王町か?何か見覚えがあるような…」
そこは、どこにでもあるような道路が続く道。
観光名所が近いわけでもない。
周りは暗い。夜だからなのか、車の数は少ない。
ダブレ「ッ!?」
すると、いきなりダブレは"視界が支配された"ように、一つの車に視線が勝手に集中していた。
身体は動かない。いや、動かないというより…
ダブレ「アタシの身体が…ないッ…?」
そう。今のダブレは言うなれば、"幽体離脱したかのように、魂だけの状態"であった。
そして、彼女の視線は嫌でも"その光景"に。
そこには…
ダブレ「お父さんと…お母さん…ッ!?」
運転席にいるピンク色の長髪の男性、名前は"ナルシソ・アナスイ"と、助手席に座っているお団子頭の黒髪の女性、"空条徐倫"。
その2人が乗っている車の光景を、ダブレは強制的に見せられている。そして、ダブレはその真意に気づくのだった。
ダブレ「これは…まさか、そんな…バカな…ッ」
そして、その少女の姿も目に入ってくる。
金髪で、両青目の…"空条助音"と名付けられた少女。
ダブレ「まさか、まさかァァァァッ!!!!」
――それは、彼女のココロに封印された過去だった。
その車の中で、談笑が聞こえてくる。
仲のいい夫婦の笑い声。その笑い声を聞きながら後ろの席で寝ている少女、空条助音。
そして、彼女は信じたくない真実を実感する。
――"悪夢は終わっていない"ッ!!!
その幸せそうな家族が乗った車の向こう。
"何かがおかしい"人を乗せた車が、虚な視線をそこらに飛ばしながらやってくる。いや、どこも見えてないのかもしれない。
その車は左右にグラグラ、スピードもはやかったりおそかったり。運転席に乗っている人は、脱力してしまっている。
その車の向かう先は――
ダブレ「やめろおおおおおおおおおおお」
鷹優「杜王町のとある道路で、交通事故が起こった。空条徐倫やアナスイ、そして空条助音が乗った車に、暴走した車が突っ込んだんだ。」
鷹優「暴走していた車に乗っていたのは、高田というSPW財団の上の位にいた男。その男は事故の際に死亡してしまっていて、何故そのような事故が起こったのかさえわかっていない。」
鷹優「そして、その時に…空条助音の両親である、空条徐倫とナルシソ・アナスイは死亡した。」
空条助音の隠された過去。
それは残酷な真実。
ことり「ど、ドライブレコーダーとかは…?事件の真相は、本当にわかっていないんですか…ッ?」
鷹優「ない。その高田という男も含めて、当事者である空条徐倫とナルシソ・アナスイも、死亡しているからな。事件当時のことを知る者はほぼいない。」
鷹優「その事件をきっかけに、空条助音は解離性同一性障害を起こしてしまい、二重人格になった。」
飴が入っている口をあんぐりとあけたことり。
ことり「そんなことがあったなんて…」
驚愕の真実に驚きを隠せないことりだったが、
"1つ、気になる点を見つけた"。
ことり「でもその説明全く"知りたかったことを説明できてない"じゃないですか。"なんで空条助音が人格別にスタンド能力を持っているのか"とか、"なんで今はGの人格なのか"とか…」
鷹優「たしかにそうだ。それもこれから、説明していこうと思うんだが…」
鷹優はなにか、ひっかかるように言葉が止まる。
ことり「どうしたんですか?」
鷹優「いや、じつはこれから話すのは…"城戸瑞稀から聞いた話だから本当かどうかがわからない"。」
ことり「城戸瑞稀って…あの、自分で"キッド"って名乗ってる?やはりあの人も助音ちゃんの過去を知ってるってことなんですか…?」
鷹優「そういうことになるな… まぁ、次にいくぞ。"事故当時に、空条助音は行方不明になっていた"。」
薄暗く、月の光が"窓の穴"から差し込んでくる部屋。
そこには、パソコンに向かいあったまま動かない男と、そのすぐ後ろに眼鏡をかけた赫い目の女性がいる。
――キッド「やぁ。スタンドの夢中継をパソコンに繋ぐなんてなかなか器用なことするんだね。」
その女性は、どこまでも冷ややかに、どこまでも底のない深い深淵を含んだような声で話しかける。
圭「お、お前はッ」
キッド「動くな」
パソコンを凝視していたその男の頭に突きつけられているのは、真っ黒い拳銃。
その女性は右手にその拳銃、左手にスマートフォンを持ったまま、その赫い目をその男、坂根圭にむけている。
圭「お前は…城戸瑞稀か…探偵の…ッ」
キッド「!声でわかったのか…?いや、パソコンの画面の反射か… そうだよ。僕は城戸瑞稀だ。」
圭「何故この場所がわかった…?」
坂根圭は、本当にわからない、といった顔をしている。
キッド「ヒントはお前の能力だった…"アナザーモーニング"の能力が教えてくれたんだよ。」
圭「俺の能力が…だと?」
キッド「お前の能力は、"射程距離内の、位置がわかっている相手に夢を見せる"というものだった。」
キッド「そして僕は、をーという少女と空条助音、枕木翔太郎が戦闘しているのを見ていた。」
城戸瑞稀が、説明を一旦区切る。
が、坂根圭はまだ理解できていないようだ。
キッドははぁ、と溜息をして続ける。
キッド「空条助音はその戦闘で、少女の能力で気絶させられた。そしてその時に夢を見せられている。
…"位置がわからないと夢を見せれないのに、何故公園に倒れた助音に、正確に夢を見せれたのか"。」
そこでやっと、圭が焦った表情を見せる。
坂根圭「ま、まさか…バレたのかッ!!!」
その男が振り向いた先には、"風船一個分の穴が空いた窓"があった。
キッド「僕は、少女が能力を説明していたのは、"彼女がすっかり慢心していたから"なんて思っていたよ…」
をーという少女の能力、"ビヨンド・ザ・ムーン"は、その場にある素材まるまるを風船一個分に変える能力である。
その少女は、翔太郎に能力を説明するために公園に隣接していた家の窓のガラスを風船にしていた。
キッド「うん。思いもしなかったよ… 反SPWのボスの腹心のお前が、公園のすぐ隣に住んでたなんてな…」
圭「ッ!!!!!」
そう。坂根圭という男は、"翔太郎たちとをーが戦っていた公園"、すなわち、"空条助音と枕木翔太郎が出会った公園"のすぐ隣の家に住んでいたのだ。
キッド「あの少女が窓を風船に変えたのは…こうやって穴をあけて、"お前に助音の位置を正確に知らせるため"だったんだな…」
その風船一個分が空いている窓の先には、間違いなく助音と翔太郎が出会った、遊具がなくなってしまっている公園が見えてくるのだった。
キッド「まさかお前に、"ジョースターの血を継ぐ者、空条助音とSPW財団の幹部の息子、枕木翔太郎が出会っていること"が筒抜けになっていたとはな…」
キッド「でも、情報が筒抜けになるのは今日で最後だ。何故なら… お前は今日死ぬからな…。」
圭「やはり…この俺を殺しに来たか…ッ」
キッド「その前に…だ。なにか、僕らにとっておいしーい情報を教えてくれたら…殺さなくはないかな…」
キッドは、まるで無邪気な声でそう言う。
圭「…言うワケがねー…」
その瞬間。
"坂根圭と城戸瑞稀は何百、いや何千メートルもの高さの上空に出現する"。
それは、城戸瑞稀の"瞬間移動の能力"だった。
圭「な、なァァァァ!?」
キッド「スカイダイビングだ。楽しんでいけよ。」
9.8メートル毎秒毎秒の速さで落ちていく2人。
2人の落下速度はどんどん加速していく。
圭「ば、バカめッ!こうすればお前は…ッ!」
坂根圭は、城戸瑞稀の服の裾を掴む。
すると、キッドは呆れたような目をして…
キッド「瞬間移動する際に、転移者に掴まっていればそのワープに便乗できる…なんて思ってるのか?」
すると、その女性はいつのまにか、既に落下した先にゆうとした表情で立っていた。
圭「な、なにィィィィィ!?まさか便乗できねーなんて…ッ!!!」
城戸瑞稀のワープに"便乗できず"に、1人だけで落下していく坂根圭。地面は近づいてきている。
キッド「この能力、"死体の後始末が楽なんだよ"…?」
圭「う、うううううッ わかったッ喋るッ!」
そして、男が折れた。
キッド「思ったより簡単だったな…ッ」
すると落下してきたその男、坂根圭が地面と高速のキスをする寸前にキッドはその男とともにワープする。
そして、2人は坂根圭の部屋に戻っていた。
圭「はぁ、はぁ…ッ」
キッド「おい、ボケっとしてないで喋りなよ… おたくらのボスの名前とか、能力とかを…」
まるで屈辱的、といった表情をする坂根だったが、城戸瑞稀がこちらに向けてくる拳銃を見てから少し大人しくなる。
圭「うちのボス… あの人の名前は…ッ "高田"という男だ…ッ!!」
キッド「…」
すると城戸瑞稀は、持っている拳銃で発砲した。
圭「うぐァァァァァァッ」
キッド「おい、嘘をついてんじゃあない。こっちは"嘘をついてるかどうか"、わかってるんだぜ…?それとも、この"ガラスの弾丸"を今度は脳天に喰らいたいのかい…?」
坂根圭は、肩を撃ち抜かれている。
圭「わ…わかったッ!!」
そして、ゆっくりとその人名を呼ぶ。
圭「あの人の名前は…!"枕木明"だ…ッ!!!!」
その男は、黒幕であろう人物の名前を、まるで食べたものを吐き出すかのように言うのだった。
最後らへんの坂根圭の居場所の推理についてわからなければ、19話を見ていただけるとわかると思います…
小説の投稿、一週間に一回でいいですか…?
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いいですよ 頑張れ
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うるせー しね