翔太郎「今年も小説別れの雨をたくさん書きますので!!!」
ダブレ「今年もよろしくたのむぜ?」
15年前…2017年に起きたスワンキーストリートの交通事故。高田という男が起こしたとされ、空条家が巻き込まれた事故。SPW財団から派遣された枕木蓮という男と、城戸瑞稀という少女がこの事故の真相を究明しようとしていた。
事故現場から、被害者である空条助音を保護した2人。その翌朝に、"捜査向けの能力"を持っている、比良明良という男を招き入れた。
その男の能力は、"五感の1つを使って過去を再現する"というものであり、蓮、瑞稀、比良はその能力で現場で起こったことを見たのだった…
――瑞稀「予想以上に…ッ」
……これは、スワンキーストリートで起こった事故を能力で見終わった時の、最初に出た一言である。
蓮「ほら、言った通りに悲惨だったろ?」
瑞稀「こ、これくらい大丈夫ですよ…ッ」
そういう彼女は少し震えている。
明良「それにしても、奴の能力が見えてきたっすね… "鎌を出現させてた"っすけど…」
瑞稀「"Where do I go?"って呟いてたね…スタンド名かな?」
過去の映像では、少女は"Where do I go?"と呟いた後に、鎌を出現させていた。
蓮「その可能性が高いな。恐らく鎌を出現させるだけではないと思う。他の特殊能力があるとすれば、今の情報だけじゃもちろんコピーすることも不可能だ。」
明良「それにしても、でっかい鎌だったのに首を吹っ飛ばさずに命だけを奪うなんて…」
少女は大きな鎌を持って、高スピードで走っている車に乗っている男を攻撃した。
にも関わらず、首を吹っ飛ばさずに命だけを奪うとなるとかなり高技術なことを少女はやってのけたことになる。
蓮「僕は現場を直に調べてきたが… 喉元の傷は浅かったよ… じっくり見ないとわからないほど…実際、あれだけの傷じゃあ人は殺せない。」
明良「それなら蓮さんの言う通り、特殊能力で高田さんを殺したって線が強いっすね」
瑞稀「斬りつける瞬間に発動する能力とか?」
蓮「それが可能性大だな。 とりあえず続きを見よう。比良くん頼んだ。」
明良「了解っす。この花はスワンキーストリートで"枕木明の部下と思われる奴が電話してた"過去っす。ま、聴覚の花だけっすけどね」
すると、彼は花の茎をぎゅっと握った。
……高田の乗る自動車が、空条家の自動車に衝突してから30分後。
安っぽい電話コール音が数回鳴った後に、少女の声が聞こえてくる。
明『私だ 軽々しく私に電話をかけるとは、何かあったんだろうな?』
そこからは、まだ幼さが残る少女の声が聞こえてきた。かすかに車のエンジン音が聞こえる。
部下「申し訳ございません明様… 例外が発生していまして… "高田の死体が処理できないのです"…」
――明『死体が処理できないだと?』
恐らく既に事故現場から車で移動しているであろう明。もちろん警察やSPW財団に勘付かれないためだろう。
部下「何故か、高田の死体に触れなくて…! それだけでなく、車にも…!」
明『触れない…だと?舐めたことを言うんじゃあない。あの現場には高田と空条家しかいなかったし、消えていた助音さえスタンドは使えないハズだッ』
部下「こちらにも、訳がわからず…!現場にいるスタンド使いでさえ手がつけられず… 今、魚塚というスタンド使いを呼び出しているのですが、1時間弱はかかると…!」
明『む…反SPWには確かにスタンド使いは少ない…が、本当に何もできないのか?まだその現象が何なのかさえわかっていないのに…』
部下「坂根様にも報告しました。明様とすぐに合流できるそうです!」
それを聞いたその少女は、一瞬硬直した後に…
明『なるほど…貴様、圭に報告したのか…そうか…わかった。貴様はもう何もしなくていい。だが、そこに残っていろ。私と圭ですぐそこに向かう。』
その少女の言動は、どことなくキレていた。
はたから聞くと、ただの冷徹な声なのだが…その声には、"殺気"がこもっていたのだ。
車が急発進する音が聞こえた後、その音は途切れた。
――蓮「部下と電話するって、かなり庶民的なボスなんだなあ…」
音が切れて3秒後、蓮がそう発した。
これには瑞稀も呆れ顔で、
瑞稀「え、そこなの?もっと気になるところあるでしょ…」
明良「でも枕木明って人はまだ13歳なんすよね?存在を秘匿するってことを知らないだけなんじゃ…」
そういう明良や瑞稀にチッチッと指を振る蓮。
蓮「こう考えてみたまえ…"ボスの能力が特殊すぎて部下さえも恐れていて反抗できない"とか、"もしかしたら存在を追うことすらできない"とかかもしれないだろ?」
それを聞いた2人は驚いたような表情をしたが一瞬でそれを引っ込めた。恐らく信頼してないのだろう。
瑞稀「それにしてもだよ、僕が1番気になるのは、"高田さんの遺体に触れなかった"ってところだけど…」
明良「一体何が起こってたんすかねえ…これだけじゃサッパリわからないっすよ…」
すると、蓮が一息…ため息を吐いた。
蓮「わからなくて当然だ。」
明良「でも、蓮さんは何か察してる顔っすね…」
彼が言う通り、蓮の顔は少し困っているようだった。
しかしそれは、"わからなくて困ってる顔"じゃあなくて、"呆れ困っている顔"だった。
蓮「瑞稀くん、"遺体が触れない"ってことは恐らく…あの人、高田さんの能力だ…」
瑞稀「高田さんの能力…?」
明良「あの人、スタンド能力持ってたんすか!?結構つきあいが長い僕でさえ知らないすよ!?」
比良明良と高田はかなり仲が良く、普段からの繋がりが多かった。
比良は基本探偵ではなく花屋として営業しており、兼業で探偵をしていることは大っぴらにしていない。
高田は比良の花屋の常連であり、また、探偵としても高田は比良を頼ることがあった。
それほど高田と仲が良かった比良でさえ知らなかったというスタンド能力。それを蓮が語り出す。
蓮「あの人の能力は…難しいから簡単に言うが…
"現実をバグらせる"能力だ…」
瑞稀と明良は反応が薄い…というのも、よくわかっていないという顔だ。
明良「てかなんで知ってるんすか」
そう言われた蓮はポケットから携帯を取り出す。
そして、1つの画像を2人に見せた。
その画像には、先程の男…高田が、"紫色のオーラをまとって"立っていた。
明良「これって…スタンド?スタンドって写真取れないんじゃないんでしたっけ…」
瑞稀「え」
もちろん瑞稀には見えていない。彼女はスタンド使いではないから。
蓮「これは、"デイドリームワンダー"の携帯で撮った写真だ。」
明良「!!!"デイドリームワンダー"って…!」
"デイドリームワンダー"…。
枕木蓮が使用している携帯電話の能力。その携帯電話に他人のスタンド能力の情報を詳しく入力することによって、その能力をコピーして使用することができる能力。使用中のコピーした能力を一度解除すると二度と使えなくなってしまう。
コピーした能力をメール等のSNSで送信することができ、受信者はその能力を使用できる。
蓮「この携帯は…スタンドの写真を"撮ることができる"。また、撮った能力の情報を得ることができる。
だから、僕は"高田さんの能力を知っている"。」
つまり、画像に映っているのは紛れもない高田のスタンド能力である。
蓮「彼の能力は、"スタンドを発現させると同時にその場から半径25m以内の情報をバグらせる"能力。能力は基本制御できずに、何が起こるかわからない。また、発現させる時に起こせるバグの数を調節できるらしい。」
瑞稀「…蓮さんはその能力を直に見たことがあるの?」
疑うような顔で彼女は言う。
蓮「…一度だ。起こったバグの数はわからない。遠くから見たからな… 場所は、スワンキーストリートにある大きな丘の、木の下だったよ…俺がハッキリとわかった"バグ"は2つだけだ。」
蓮はVサインをしながら、その事例を静かに呟く。
蓮「まず…"高田と敵対していた男が消滅した"。あと一つは、"高田に同伴していた女性の名前が変わった"。ただそれだけだ。」
"男が消滅"し、"女性の名前が変わった"。それは確実に無差別であることを示していた。
蓮「別に、その男のことをみんなが忘れた…つまり、"存在ごと消えた"というわけではなかった。」
蓮「でも…だ。"名前が変わってしまった女性や、周りの人が元の名前を思い出すことはなかった"。」
瑞稀「それって…どういう意味…?」
蓮「その女性も、周りの人でさえ"名前が変わった"ということは認識していたのに、"元の名前を思い出せなかった"んだ。その女性の"戸籍や、書いた報告書でさえ名前が変わっていた"。」
明良「その人の…変わってしまった後の名前は…?」
蓮「"をー"だ。姓名無関係に、ただ"をー"と名付けられてしまったんだ。バグにな。…しかも、それだけじゃあなかった。」
蓮「その人は…名前の情報が変わってしまったせいで、他人との関係性の情報さえ変わってしまった…"誰と家族なのか"さえもわからなくなってしまった…」
衝撃の事実に驚く2人。もちろん、他人との関係性がわからなくなってしまうことは、"他人から忘れられた"のと同然だからである。
明良「無差別バグ攻撃… …そのスタンド名は?」
蓮「"ノンフィクション"だ。バグで変わってしまっても、それが現実だとさ。皮肉だな…」
瑞稀「ていうことは、高田さんは事故る前に"ノンフィクション"を発動させたってこと?」
蓮「そうなるな…恐らく、"数時間程度、当たり判定が消える"とかのバグだろう…」
彼が言っていることはきっと正しい。そうでもないと、"遺体や車に触ることができない"ということに説明がつかないからだ。
明良「蓮さんは…"デイドリームワンダー"でコピーしたんですか…?」
蓮「していない…恐らく、アレは存在してはいけない能力なんだと思う… 高田さんはかなり高齢だし、今までの経験があの能力を作り出したんだろう…」
蓮「それでも、僕達が現場を調査できたのは高田さんの"ノンフィクション"のおかげだ。何が起こるかさえわからない能力だが、今回は運が良かったみたいだね…」
明良「今回わかったことは、"枕木明がスタンドで高田さんを始末した"ことと、"高田さんがノンフィクションを発現させていた"ことっすね…」
瑞稀「明のスタンドをはやく捜査したほうが良いと思うけど…蓮さんできそうなの?」
蓮「わからない。…だが、若い芽を摘まないといけないのに変わりはない…ッ」
その3人の目は、いつになく真剣だった…
……いつのまにか、見ている夢の画面が変わっていた。
これは、自由に夢を見せるスタンド、"アナザーモーニング"の能力で見ている夢である。
「ダブレの過去を知りたい」という助音の願いによって見ている、15年前の夢。
すると、助音の目にはまた研究所が見えてきた。
そこには、"赤子を抱いている"蓮と、その周りにいる瑞稀、助音、紗和が映っている…
先程まで蓮や瑞稀といった人の顔を見ていたので、助音にはすぐにわかった。
"先程の過去から数年時が経っている"ことを。
すると、頭に響くような声が聞こえてきた。
キッド「これは、さっきの過去の映像から3年後の映像だよ〜 2020年だから〜、ショータくんが生まれてるわけだね〜ッ」
キッド…もとい、城戸瑞稀はそう言う。
助音(なるほどそれなら合点がいく。蓮さんが抱いている赤ちゃんはショータくんってことか… …てことは、キッドはショータくんともう会ってたってこと…?)
そう考えているうちに、過去の映像が動き出す。
――助音「ねーさー!その子の名前決めたのかよーッ?」
天真爛漫に、"両碧目の少女"は尋ねる。
2020年…つまり、空条助音は当時8歳ということになる。城戸瑞稀は18歳だ。
先程見ていた過去の映像は、助音が5歳だった時のもの。彼女はしゃべっていなかったが、8歳にもなるとやはり流暢に喋っている。その上、口調が少し荒い。
瑞稀「まあまあジョジョ、そう焦らないで…」
紗和「そうよ、弟分ができるのが嬉しいのはわかるけど、そう急がないでね…」
2人の女性が、助音を宥める。
蓮「そうだぞ、ちゃんと今から紹介するから待ってろ…」
蓮は、ゴソゴソとなにやら後ろの方から紙を取り出す。
蓮「僕と紗和で決めた、赤ちゃんの名前は…ッ!"翔太郎"くんだッッ」
手に持った紙を、ばっと開き見せびらかした蓮。
その紙には、どうどうと『翔太郎』と書かれている。
助音「うおおおおおッ!いい名前じゃあねーかァッ」
そう叫びながら助音は『翔太郎』と名付けられた赤子に走り近寄っていく。
その周りでは、瑞稀と紗和が満面の笑顔で拍手している。
瑞稀「それにしても…名前に困って決めきれずに、退院して期限ギリギリに決めるとはねぇ…」
紗和「あら瑞稀ちゃん、これでも結構本当に悩んでたのよ?瑞稀ちゃんもいつかこう思う日がくるハズよ!」
赤子の命名は、出産してから2週間という期限がある。また、出産者は出産時から大体5日程で退院できる。
なので、赤子の命名に迷いに迷った枕木夫妻は、紗和が退院して命名の期限2週間の最終日にようやく『翔太郎』という名前を思いついたのである。
蓮「なにしろ君らは希望の若手だからなぁ…ジョジョの祖父にあたる、"空条承太郎"をモチーフにさせてもらった!!」
瑞稀「えぇ〜…蓮さん自体はその承太郎さんとやらに…」
蓮「あってないよ」
瑞稀「オイ」
そんな談笑が続くが、ふと紗和が声を上げる。
紗和「あ、いろんな届け出を出しに行かないと…」
蓮「げ、そうだった…面倒だな… しょうがない、瑞稀くんはジョジョと一緒にお留守番しててくれなかい?」
瑞稀+助音「は〜い」
紗和と蓮が出かけて数分後。
助音「瑞稀ーッ、またフランス語教えろ〜ッ」
両碧目の少女が、ノートやら教科書やらを手に瑞稀に近づいていった。
瑞稀「いいけど…随分と蓮さんに似てきちゃったなぁ…」
瑞稀(蓮さんの旅行好きが似らなければいいけど…)
蓮や紗和は、SPW財団の仕事の都合で、様々な国に向かうことが多い。
しかし、SPW上層部の気遣いあってか夫婦揃って同じ場所に向かうことが多いので、実質"2人きりの旅行"になることが多々あるのだ。
訪れた国はかなりの規模にわたり、イタリア、アメリカ、ドイツ、ロシア…などと様々である。
その度に各国からスタンドを"デイドリームワンダー"でコピーしてきたり("Einsatz"や、"Энергия"など。)、蓮に至っては言語を多数覚えて日常で使うようになるのだ。
蓮は特にフランス語を気に入っており、日常で多用するために瑞稀や助音に浸透してしまっている。
瑞稀「前回は何教えたっけ?」
助音「Au revoir!!!」
瑞稀「そっかそっか、そうだったね…ジョジョはその単語気に入ってたもんね… さて、今回やるのは… …ん?」
言いかけた途端に、彼女は気づく。
助音の目が…"両方赤色に変わっている"。
瑞稀「…ジョジョ?」
助音「なーに?」
その少女は、先程の荒々しい口調とは打って変わっておとなしい口調でしゃべる。
瑞稀(…"ダブレの人格に変わっている"…ッ)
…それは、荒々しい性格の正反対である、みなから"ダブレ"と呼称されているおとなしい人格。
助音「お、いつの間にか"ダブレ"が出てるな」
瑞稀「え」
気づくと、その金髪の少女は碧色と赤色のオッドアイに変わっていた。
それは、"両方の人格が表出ている時"の目。
助音「瑞稀ねえね、どうしたの?」
助音「あ、ちょ…そんな"ねえね"とか言うなって…」
助音が1人漫才を始めた。
こころなしか碧目の顔の頬が赤く染まっている。
瑞稀「あー…ずっとダブレの人格だったら可愛い妹分なのになーッ」
助音「そんなこと言うなよな〜ッ」
2人は顔を見合わせて苦笑する。
助音の目も両碧目になっている。
瑞稀「気抜いてたんでしょ?ダブレの人格になるなんて… 自ら変えたわけじゃあるまいし…」
助音「ん、そうだな… なーんかいつのまにか変わっちゃってたんだよな〜ッ」
助音「もしかしたら、もう主人格をダブレにする時が来るかもしんねえな〜」
瑞稀「そんな時来なくていいのにね…」
瑞稀が、聞こえないくらいの声で呟いた。
助音「なんか言ったか?」
瑞稀「なんでもないよ」
助音「比良おじさんは〜ッ?」
瑞稀「え」
……まただ…ッ!
また。
いつのまにか目が赤色に。
助音「おわ、またダブレが…!お前は黙っとけって… 」
彼女は1人で自分の頬をつねったりしている。
助音「よし、おさまった… てか、そいや比良さんは見つかったのかよ?」
瑞稀「…まだ。いなくなったのは最近だけど、まだ見つかってないって…僕も蓮さんも探してるんだけど…」
助音「そうか…何かあったのかな…比良さん…」
――過去の捜索能力"メッセージ"を持つ、花屋兼探偵の比良明良が行方不明になってから、1週間経っていた…
スタンド紹介
スタンド名「ノンフィクション」
スタンド使い名「高田順平(75)」
オーラ型のスタンド。オーラの色は発現させる度に変化している。
「能力を発現させる瞬間に、その場半径25mで情報がバグる」という能力。
簡単に言い表せば、現実世界にバグを起こすというトンデモ能力。"バグ"は未知数で、可能性は無限大。
例えば、「個人情報がバグって名前が変わった」や、「相手の寿命が30年伸びた」「相手が幅跳びの連続使用によってワープできるようになった」など。
ただでさえ物理法則そっちのけのスタンド能力が、文字通りバグってしまったような能力。
破壊力 :ナシ
スピード:ナシ
射程距離:B(半径25m)
持続力 :?(未知数)
精密動作:?
ことり「なんで私達はあけおめとか言えないんですか」
鷹優「ごちゃごちゃ言うんじゃねー この私らのセリフでさえPixivには書かれないんだぜ」
瑞稀「あぁ〜メタいね〜」
蓮「僕のことも忘れちゃあいけない」
紗和「蓮さんはひっこんでてね〜♡」
明良「これはひどい」
小説の投稿、一週間に一回でいいですか…?
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いいですよ 頑張れ
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うるせー しね