キッド「え、急にどうしたの?」
助音「別に〜?(嬉しくて照れてる…キッドも可愛いところあるね〜)」
――助音「ダブレの過去を軽く見て、わかったことが多々ある。」
いきなり、"金髪両赤目の女性"は夢の中に叫んだ。
すると、少女時代の助音や瑞稀が映っていた夢の世界が、虚空に変わって真っ暗になる。
そこには金髪両赤目の女性が1人で、銀色の霧がかかっている場所に立っていた。
キッド「…へぇ。」
その声は、脳内に響くような声ではなかった。
"直接"聞こえる声。いつのまにかキッド…もとい、城戸瑞稀が目の前にいた。その赫い目で助音を見据えながら。
助音「例えば…その、捜索向け能力を持っている"比良明良という男が行方不明になっていること"とか…!」
それは、先程少女の助音と瑞稀が話していた内容…比良明良が、1週間程前に行方不明になっていることだ。
キッド「その通りだよジョジョ…彼、比良さんは僕でさえ未だに発見できていない。一度蓮さんに発見できたのか聞いたことがあるけど…あの人は苦い顔しかしなかった…そんな顔、似合わないのにね…」
助音「蓮さんがそんな反応するってことは、まだ見つかっていないのか、それとも…」
想像を絶する考えに、助音は思わず目を伏せる。
キッド「でも僕は、"見つかっていない"わけがないと思っている。」
彼女が顔を勢いよく上げる。
キッド「蓮さんは特に、"デイドリームワンダー"を持っている。その能力があればいくらでも捜索系能力をコピーして使うことができるから、逆に"見つかっていない方がおかしい"と思っている。」
助音「"デイドリームワンダー"… 蓮さんの能力…」
キッド「あぁ…僕はスタンドという概念は蓮さんに教えられたから知っているけど、その時はまだ能力を持っていなかった…スタンドを手に入れたのはついこの前のことだ。ジョジョ、君も覚えてるだろ?」
それは、城戸瑞稀と枕木翔太郎が初対面したとき…いや、既に彼女らは出会っているため、"再会した"ときと言えばいいのだろうか。
助音「"デイドリームワンダー"って、よく説明されてなかったからよくわからなかったけど、"スタンドをコピーする能力"で間違いないよね?」
キッド「ま、能力の本質はそうだね…実物の携帯に能力が宿ったらしいから、スタンド使い以外にも触れるし、見えるらしいよ」
一度、助音は考え込む。よくよく考えてみたら、時系列がしっかりしていなかったり、何がどうなったのか、などを詳しくわかってないからこんがらがったのだ。
――結局枕木蓮さん、紗和さん、明は今どこにいて、どうなっているのか?
キッド「まあまあ、一応まだ続きあるし、ジョジョもそこまで深く考える必要ないよ。続き見るかい?」
そういう彼女は、俯いている助音の顔を下から覗き込んだ。
助音「…いや。もう2つだけ確認したい。」
キッド「…?何を確認したいのかわかんないけど、僕だって答えられないかもしれないからね?」
瑞稀は了承を取るように相槌を打つと、助音は頷いてゆっくりと話し出した。
助音「まず…"をー"という名前の少女のこと…」
キッド「…」
一瞬、彼女の表情が動いた。
キッド「ま、そりゃそこに気づくよね。ジョジョとあろう人ならば。」
助音「一度、私とショータくんとで交戦した少女…"風船を作り出す"能力の。キッドもそこにいたから、知っているでしょう?」
……それは、一日間も満たない間に起きていた。
"ダブレの過去の夢"を見ている今から数時間前に、助音と翔太郎は、"をーという名の少女"と交戦していた。
その少女は、翔太郎よりも幼く見えた。
――キッド「さっきの蓮さんたちの会話の中で…"ノンフィクション"って能力の話になってたね。」
助音「高田っていう男性のスタンド能力… 能力は、"無差別バグ攻撃"…ッ」
それも、夢で先程話されていたこと。高田と仲が良かった比良でさえ知らなかった、高田の能力。
……それは、"半径25m以内の情報をバグらせる"という非現実的な能力であった。
キッド「蓮さんは、バグる瞬間を遠くから見ていた… "高田さんの同伴の女性の名前が変わる瞬間"を。」
キッド「『"をー"だ。姓名無関係に、ただ"をー"と名付けられてしまったんだ。バグにな。』って、言ってたね」
……蓮が言ったことが本当ならば、誰もが"その矛盾"に気がつくだろう。
助音「蓮さんは…その、"をー"って名前に変わっちゃった人のこと、"女性"って言ってたよね?」
キッド「…うん、そうだね。」
その金髪の女性は、目を静かに閉じてからその記憶を反芻させる…
……そう。その"少女"の記憶を。
助音「キッド… “そのをーって人、若返った”の?」
……"をー"。私が知る限りは、反SPWに洗脳され、ショータくんや私を追い詰めた"少女"…
スタンド能力"ビヨンド・ザ・ムーン"は、触った物質から風船を作り出し、任意で爆発させて対象を攻撃するといったもの。
……私は、あんなちっちゃい子が敵だとは思わなくて…不意打ちを喰らってしまった。
――キッド「…"若返る"、か… それじゃあジョジョは、少なくともその"をー"が若返ったっておもってるんだね?」
キッドがそう聞き返した。
質問を質問で返されたうえに、勿体ぶられてる感じがして少し嫌になったけど、私は喋る。
助音「必ずしも若返ったとは言えない… 少なくとも、スタンド能力が原因なのなら、"若返った"とかじゃあなくて"復活した"とかも考えられるけど…」
つまりそういうことだ。
蓮さんは、““バグのスタンドによって、高田と同伴していた女性の名前がをーという名前に変わってしまった””…と言っていた。
そして、先日私とショータくんが対立したのは、"をー"という名の少女。
詰まるところ、私は…今あげたこの2人が"同一人物"じゃあないかと疑っているということだ。
キッド「"若返った"や、"復活した"か…」
助音「キッドはなにか知ってるの?」
キッド「僕?僕は…知らないかな」
あ、知らないんだ…
"知っているかもしれない"と思って思い切って聞いてみたが、知らないならしょうがない。
せめて、意見だけでも聞いてみようかな?
助音「じゃあやっぱり、私が会った少女と高田さんの同伴の女性は別人なのかな?」
キッド「まぁ…少なくとも10年以上前の話になるからね… もしかしたら蓮さんが間違ってたりしてて、ジョジョの言う通りに同一人物じゃなかったりするかもね…」
私は考えるのを放棄しそうになった。
何故なら、わかっていないことが全て"バグのせい"という一言で解決してしまうから。
もしかしたら、蓮さんが言っていたのは本当で、"名前が変わった女性が私が最近出会った少女と同一人物である"かもしれない。
……そうなってしまえば、"若返った"や、"復活した"なんて、ぜーんぶバグのせいにできてしまう。
助音「…キッドはさ、あの少女とその女性は同一人物だと思う?」
答えは数秒経ったあとにかえってくる。
キッド「僕が言えることは…確信はないけど、やっぱり同一人物なんじゃあないかと思うよ。」
助音「確信は…ないんだ…
もうこうなったら、今日にでもあの子がいる病院にいかないとね…」
これだけでも、かなりの進捗なんだろう。
欲張ってはいけない。飢えすぎたら、自分が堕ちに堕ちてゆくだけだ。
キッド「それで、2つ目の確認事項は?」
助音「これは…ってか、気づかないとおかしいことなんだけど…」
……全ての始まり、スワンキーストリートでの事故の時から気づいていた。
それは、自分の存在に疑問さえ抱いてしまうこと。
助音「私って…もともとはダブレだったんだね」
交通事故の時の、空条助音の目の色。
8歳の助音の性格。
論より証拠というのはこのことなんだ。
"今のダブレの人格は、主人格だったッ!"
キッド「…そうだね。
かなり重要なことだけど、思ったよりも動揺はしてないんだ?」
"動揺なんてしなかった"といえば、それは嘘になる。
少なくとも、自分が「空条助音」ではなかったという現実に魘されそうになったりもした。
でもそれよりも、"納得"があった。
助音「よくよく考えてみたら、ダブレが主人格だったっていう節はいくつかあったんだね。」
今考えてみればおかしくない発言。まるで、小説に挟まれた伏線のような。
ダブレの、「いや、私は空条助音さ」という発言もそうだし、"自分のココロと無関係に体が動く"といった出来事も、主人格であるダブレの仕業に違いない。
キッド「…僕は少なくとも君が別人格ってことを、さっきの映像からのように昔から知っていた。そして、ダブレが君の人格に"記憶の蓋"をしたことも。」
助音「"記憶の蓋"…」
それも、説明されなくてもわかるかもしれない。
"魂の鑑定人"との戦闘で初めてダブレと共闘したときに、思ったあの感情が証拠だ。
自分が多重人格であることを、
"気がづかなかった"のではなく、"忘れていた"。
キッド「君が言うダブレは、君に主人格の座を渡す時には彼女は君に、"記憶を思い出せる制限"をつけたんだ。それが"記憶の蓋"。 ジョジョ。君は、高校生以前は何をしていたんだい?」
助音「…思い出せない…!」
明確な記憶は、高校生の時からだ。
でも何故か、"両親はいない"と断定できていたし、キッドとも仲良くできていた。
助音「…ちょっと意地悪に聞くけど、なんでキッドは私が"記憶の蓋"をされてるって教えてくれなかったの?」
私は、意地悪い笑顔でキッドを覗き込む。
キッド「僕は嘘吐きだからね。」
いつもの笑顔。何の変哲もない、まさに清純無垢な、浄化されてしまうような。
質問の答えになっていないが、
キッドが言っていることは、たぶん真実。
恐らく、"記憶の蓋"をつけられていることを教えないことがなにか意味があることなのだろう。
助音「キッド…いや、瑞稀はさ。何を…どこまで知っているの?」
気になっていたことを耐えきれずに言ってしまった。
さて、どんな反応をするのだろうか…
キッド「しー」
予想外の反応。
彼女は艶っぽくウィンクをしながら、その細い指を助音の口元に持っていってそう言った。
キッド「もうそろそろ朝8時だよ。流石に話してたら時間がはやく流れちゃったね」
え、もうそんな時間なのか…
この銀色の靄しかない場所じゃあ時間はわからなくて当然だけど。
キッド「ジョジョとなら何時間でも話してたいけど、そうはいかないみたいだね。もう起きる時間だ。」
すると、眩しい光が私たちを包んで…
――助音「ん…」
目を覚ますと、いつも通りのベッドが目に入る。
何かよくわからないが、ココロがポカポカしている。
そしてよくみたら、足元のほうに翔太郎が、まるで病人を看病するようなつきっきりの体制で眠っていた。
キッド「Bonjour(おはよ)!いい夢は見れたかい?ジョジョ!」
枕の横には、さっきまで話していた女性がいた。
助音「うん、昨日今日はありがとね…」
キッド「大丈夫だよ〜 悪夢は僕とダブレ担当だからね〜ッ」
元気そうな、そして朗らかな声が部屋にこだまする。
ダブレ「なんでアタシも担当…まぁあながち間違ってないからいいか…」
助音「!!!」
金髪の彼女は、いつの間にかオッドアイになっている。
助音「ダブレ!!!!」
ダブレ「おう、"ジョジョ"。昨日はアタシがいなくて寂しかったか?」
もう1つの…いや、もう1人の人格がいる…それだけで、幸せを感じる。
助音「あ!やっと"片方"じゃない呼び方してくれた!!」
その会話で、翔太郎が起きかけてきた。
ダブレ「まぁ…坂根とかそこらへんの借りがあるからな… 瑞稀も、随分と手間かけちまったみたいだな」
翔太郎「えと…これ、どうなってるんですかね?うまくいったってことですか?」
眠たげな目を擦りながら、翔太郎はつぶやく。
助音 「うん!作戦成功だよ!!!」
ダブレ「おう!作戦成功だな!!!」
2人の声が重なる。
それを聞いた翔太郎が、嬉しそうに飛び跳ねた。
キッド(ふふ…微笑ましい光景だけど、助音とダブレはやっぱり1人で会話してるの面白いな…)
そんなことを考えながらも、彼女も笑う。
作戦成功。
スタンド紹介
スタンド名「Einsatz(アインザッツ)」
スタンド使い名「不明(ドイツ人)」
真っ黒い岩の塊のような、近距離パワー型の人型能力。自分の身体や射程距離内の物体を最大限まで"硬質化"できる能力。
破壊力 :A
スピード:D
射程距離:B(半径3m)
持続力 :B
精密動作:D
スタンド名「Энергия(エネルギヤ)」
スタンド使い名「不明(ロシア人)」
黄色いオーラを纏うオーラ型の能力。
自分や、触ったものを成長させたり、退化させたりすることができる能力。
自分の筋力を活性化させたり、年齢のサバを読んだり、わざと過剰に成長させることで物体の細胞レベルまで壊死させることができる。
射程距離が何故か存在せず、能力を任意で解除するまで能力の影響は続く。
破壊力 :ナシ
スピード:B
射程距離:ナシ
持続力 :A(解除するまで続く)
精密動作:B
キッド「作者さんや、"デイドリームワンダー"のせいで物語が複雑化してやしませんかい?」
作者「そんなこと言わんといてくれや キー能力なんだからしゃーないやろ」
小説の投稿、一週間に一回でいいですか…?
-
いいですよ 頑張れ
-
うるせー しね