オリジナルジョジョの奇妙な冒険 〜別れの雨〜   作:ラタ

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一ヶ月くらいかけてなくて本当にすみませんでした
失踪するときはちゃんと言います


#39 復活

――明「“喰らわせろ”…お前の魂をッ!私が特別、痛いように掻っ捌いてやる…ッ!」

 

真司「消滅しろ」

 

探偵城戸瑞稀の兄…城戸真司は、空条助音の身体を借りて出た枕木明と対峙していた。

 

探偵である真司は枕木明が空条助音の身体に潜んでいたこと、15年前から今にかけて起こったことを全て解き明かした。

 

そして遂に、“2人の推理ショー”の末、激戦の火蓋は切って落とされた。

 

 

明「魂を喰われる覚悟の準備はできたか? そういう“運命”なんだ、受け入れろ」

 

金髪の女性が、銀色の目を光らせて真司の真正面に立つ。少し距離はあるが、二者の射程に入っているのかは、誰にもわからない。

 

真司「貴様みたいな運命論を信じる者はうざったくてしょうがないな」

 

煽るように、黄色い視線が明に向く。

瞬間に男の爪が、物語の竜を思わせる程肥大化した。

 

真司「俺の持論じゃ、“死”とは自ら追いかけるものだ」

 

竜の脚力と翼で跳んだ真司は、明に向かって爪の斬撃をお見舞いしようとするが、大きな鎌の柄で受け止められた。

 

明「つまり死に急ぎってのは的を得ているってことか?笑わせるな。」

 

目を光らせた女性は、爪を振り払うと同時に大きく振りかぶった。

そのまま勢いで、一歩前進して鎌で空を薙いだ。

 

後ろに跳んで避ける真司。

しかし謎の悪寒が彼を襲う。

 

彼が見るその銀色で大きな鎌には、彼自身が映っていて…

そしてその背後には、兎の姿が。

 

「死トハ常ニ背後ニアルモノダ」

 

真司「うぉあぶねッ!」

 

兎の死神の薙ぎ払い攻撃を避けるため上に跳んだ真司。そのまま翼をはためかせ空中に浮かんだ。

 

明「生きている時に限り、死の確率は100だ。人はいつ死ぬかわからない。だからこそ毎秒毎秒、死を覚悟しないといけない…“メメント・モリ”という言葉だ。」

 

明「私が思うに…死は常に背後にあり、追いつかれて仕舞えば終わりだ」

 

真司「そして、“死”に追いつかれるタイミングは運命に決まっている…と。そっちの持論の方がお笑いだがなあ」

 

背中に生えた翼をはためかせ、宙に浮かびながら真司は大きく息を吸い込み…

口を開けたかと思えば大きな火炎を吐いた。

 

明「まるで竜だな」

 

彼女は向かってくる火炎を大きな鎌の刃で受け止め、適当に薙ぎ払う。

 

真司「竜だよッ」

 

明「私のこの鎌…少しでも溶かせると思ったのか?」

 

何千度あるかわからない火炎に弄ばれた鎌は、溶けることなくキラキラと火炎の光を反射していた。

 

そしてまた悪寒がする。

……気づいた時には、隣には死神が佇んでいた。

 

兎の死神「…」

 

真司「うおおお邪魔だッ!!」

 

男は死神に向かって勢いよく火を吹いた。

…が。

 

兎の死神「…ムダダ」

 

真司「!!無敵かこの野郎ッ!」

 

紅く燃える炎の中でも。

死神は1ミリも動かなかった。

 

真司「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ」

 

その竜と人が混ざったような生物は、肥大化した爪の見た目に反して素早く斬撃のラッシュを死神に喰らわした。

しかしその攻撃が効いている気配はない。

攻撃は死神を通り抜けていた。

 

明「…探偵ってのは賢い者しかなれないと思ってたのだが 違ったみたいだな」

 

真司「オラァッッッ!」

 

真司は叫ぶと同時に、不敵に笑む。

 

死神「…!!」

 

明「…なんだ…?どうした“N o w h e r e”!」

 

死神が肩にかけていた鎌に、その竜の手がかかっていた。

 

真司「後悔するなよ」

 

男は手にかけた鎌を素早く奪い、そして思いっきり明の方へ投げつけた。

 

明「そんな攻撃で後悔をすることにはならない」

 

鎌が向かう先に、彼女はいなかった。

そこにあるのは残り火と、止んでしまった雨が作る水溜まりのみである。

 

真司「…!?」

 

真司「一体何をしやがった…何故消えた…?」

 

辺りを見渡す。

 

……!

 

男のすぐ隣にいた死神…

いた“ハズ”だった死神が、金髪の女性へと代わっていた。

 

明「ふん」

 

既に振りかぶった姿勢だった彼女は、空中でも構わずに鎌を振り回した。

 

真司「うわッ!消えたと思ったら急に出てくるな!」

 

横薙ぎの鎌を男は足で思い切り上へ蹴り飛ばす。

代わって爪で引っ掻こうとする…が。

 

目の前にいたのは灰色と黒が混ざった死神だった。

探していた彼女は、Hとかかれた地面の上に…水溜まりを避けた所に立っていた。

 

真司「…成程ね。ようやく理解したぜ…貴様の能力…」

 

羽休めとばかりに地面に着陸した真司は話しかける。

 

真司「その兎の死神の能力…射程距離内なら好きなところに瞬時に出せるんだろ? …その上、自分と死神の位置を変えることができる!」

 

真司「だから貴様はいたはずの場所から消えたり、死神がいたはずの所にいたんだッ!」

 

それを聞く女性は、子供を褒めるようにパチパチと手を叩く。

 

明「よくできましたねー …この能力を私は簡易的な“瞬間移動能力”と思っている」

 

明「だから、こうやって貴様の背後を取るのも簡単なんだ」

 

真司「ッ!」

 

気づくと、鎌を首にかけられている。

 

明「私は魂を刈りとる者…“死”そのものだ」

 

真司「…そういう貴様は…死にゆく魂を見たことがあるのか?」

 

男は鎌を首にかけられながらも、静かに聞いた。

 

明「…死にゆく魂…か。」

 

明「忘れもしない…紗和ねぇの魂をとった時…」

 

 

――明「紗和ねぇ。これは私が進まないといけない道なんだ。」

 

紗和『駄目よ!“その道”を行っちゃ…!明ちゃん…』

 

白銀色に光を反射する髪の毛が、揺れる。

 

紗和『その“能力”は…!そんなことの為のものじゃないッ!』

 

悲しそうな銀色の目が輝いていた。

 

明「ごめんね…紗和ねぇ…私は最初からこういう奴だったんだよ。」

 

そして、遂にその質問をする。

 

――明「紗和ねぇ…“私はこれから、何処へ向かうと思う”…?」

 

その金髪の女性は、携帯を握りしめて言う。

 

紗和『貴方の選択次第よ。少なくとも…私は貴方を…』

 

 

彼女が、少し俯いて言う。

見えないが、今まで見たことのない顔なのだろう。

 

明「初めて…人の魂をとった時…紗和ねぇの魂は…綺麗な黄金の色をしてたんだ…」

 

絞り出すように言う声。

 

明「私は決心してたのに自分がやってしまったことに理解が追いつかなくて…ただ、その金色の魂が綺麗で、何もできず眺めてたんだ…」

 

首にかかった鎌が消えたと思えば、その女性は少し離れた所にいた。

 

明「昔話はもうやめだ。しんみりしてしまうからな。…お前の悲鳴が最後だ」

 

真司「感傷的な話をすれば油断するとでも思ったか?マヌケ 貴様が話している間、精神力と持久力が回復できたぜ」

 

キッ、と強く真司を睨む彼女。

 

真司「貴様がやってきた行為を貴様がどう顧みようとしても起こったことは変わりはない。問題はこれからの行動だろう」

 

男はそうも言いながら、真っ黒い…殺意のようなオーラを滾らせる。

そのオーラはどんどん強くなっていき…

 

明「…」

 

真司「“Degeneration(退化)”」

 

男は、人と竜が混ざった姿から変貌する。

それは、童話に出てくるような…“龍”だった。

 

明「…面白い 私だって、自問自答の答えは出ているさ…」

 

明「“Where do I go?”」

 

1人ごち、鎌を肩にかけ直すとともに…

 

明「“Now here(今、ここに。)”」

 

兎の死神が、鎌を構えて立ち並んだ。

 

 

 

……流石にアレは想定外だな…

反SPWに入った当初のあの男は、私に「竜人になる能力」とだけ言っていた。

 

しかしあれはなんだ。

大きすぎる…どんな精神力してるんだ…?

 

黒いオーラを纏っている…殺意か。

つくづく、嫌われたものだな

 

明「…さて、どう調理してやろうか」

 

簡単に近づいてみろ、あの大きな爪で薙ぎ払われて死だ。

鎌を投げてみるか…?それじゃあ魂を取ることもできないし、下手すれば傷すらも入らない。どうにもならずに防御できないほどの火炎放射が待ち構えてるハズだ。

 

…万事休すか?

 

真司「ぐるるるるるる」

 

まるで猛獣かのように、私を睨んでいる。

爬虫類を思わせる黄色い目が…私を…

 

クソッ、迷ってる時間はない。

 

すると、その龍は大きく息を吸い込んだ。

 

……これは火炎放射攻撃の兆候だッ

 

兎の死神を龍の背中(?)にあたる部分に出現させ、それと私の位置を入れ替え…ッ

 

瞬間移動移動した感覚が消え、代わりにゴムのような床の感触が足に伝わる。

これは爬虫類の皮膚…鱗だ。

 

明「このもやしみたいな細い首を刈るッ!」

 

――喰らえッ

 

明「…ッ!?」

 

……何が起こった…!?

聞こえたのは翼の音。

 

背中から全体に痛みが走る。

まさか…落とされた?

目がまだ機能せずに真っ暗だ。

 

あの感覚…一回転したのか…体を!

あんな巨体で素早い動き…燃費がいいんだか悪いんだか…

 

――燃費?

 

真司「ぐぉぉ」

 

蓄えてたとばかりに、紅く輝く火炎がこちらに向かってくる。

……なりふりかまってられないな

覚悟を決めるとしようか。

 

 

「オルオルオルオルオルオルオルオルオルッ!」

 

 

その女性は、炎に包まれたかと思えばそう叫んだ。

「オルァッ!」と最後に叫ぶと同時に、炎は鎌で薙ぎ払われた。

 

真司「…」

 

辺りに吹き散らかされた炎がまだ、赤赤しく燃える。

その龍は、女性の顔を見据え、姿を人に変え地に降りた。

 

真司「貴様…その“能力”は…」

 

明「お、人の言葉を喋ったな…『ぐるる』って言ってた方が最高にかっこよかったぞ」

 

挑発するように、彼女は言う。

 

明「…もしや、進化したスタンドが『兎型のスタンドになっただけ』とでも思ってたのか?『ただ瞬間移動できるだけ』と…」

 

……あの顔…あの目…

まだあったのか…ッ!

 

2人の周りを、火炎が囲む。

 

真司「俺はまだ死ねない 一つでも命を奪ったら…貴様はもう後戻りできなくなるッ!」

 

呼応するように。

 

明「私はそれを望んでいる」

 

炎の中の2人は、お互いを憎たらしそうに睨み合っていた。

 

 

 

……急がなきゃ…急がなきゃ!

 

若草色の病院着をはためかせ、その“少女”は走る。

廊下にいる人から変な目で見られるが気にしない。

看護師から止められようが気にしない。

胸の裂傷が傷もうと…

 

「お姉ちゃんの痛みに比べたら、全然マシだッ!」

 

走りながらも、考える。

あのバカ妹…城戸さんと戦っているのか!屋上で!

 

少女…名前を、「をー」改め、「枕木雨月」…

枕木三姉妹…紗和を姉に持ち、明を妹に持つ。

明に魂を少女の体に入れられ、洗脳されて数年…

存在を蝕む“バグ”が解消された今、記憶がくっきりとしている。

 

雨月「…あのバカを止めれるかしら…ジョースター側の力を借りるべき…?」

 

走りながらも、考える。

病室で聞いた会話…あれから推理すると、あのバカは持ち前の能力を駆使し、空条助音の身体に隠れていた…ッ

 

このことをジョースター側に伝えてもすぐに理解できるだろうか…?出来たとしても、間に合わないハズ…

 

……元々これは、私たち“枕木”が起こした問題!

私たちがケジメをつけないといけないッ!

 

城戸さん…ッ!

 

思い出したのだ。城戸真司という男のことを。

 

 

 

――「…成程、その件もこちら側の仕業だったか…いや悪い、俺は違う方に行かされてたからよ」

 

「しょうがないでしょう。貴方はもう少しで幹部に昇格できそうなんでしょう?くれぐれもバレないよう…」

 

目の前にいる男が、竜の翼と耳を出現させたまま、私の隣にいる高齢の男と喋る。

 

「高田さんよ、SPW財団内では反SPWの処罰は決まったのかい?」

 

質問に、高田と呼ばれた男が髭をいじりながら答えた。

 

高田「いえ…まだ決まってません。未だ反乱分子とさえ認識されていない…」

 

苛立たしげに、男は言う。

 

「何かが起きる前に、どうにかしておきたいんですがね…」

 

私が言うと、対面している男…城戸真司が言う。

 

真司「雨月ちゃんや…蓮さんだって、SPW財団内では権力高い方だろ?それでもどうにかならないのか?」

 

雨月「未だ目立った反抗をしてないから…まだ、反SPWの存在が認められてないらしいの。」

 

真司「俺自体、ボス…枕木明の居場所はわかってない。何か企んでる噂は聞こえてくるが、真に信じられないわな」

 

彼…城戸真司は、探偵でありながら反SPWにスパイとして潜入している。

その高いポテンシャルと能力を買われ、かなりのし上がっているらしいが…組織内ではまだボスのことはよくわかってないらしい。

 

雨月「その噂ってのは…」

 

私が質問した瞬間。

城戸の顔がこわばった。

 

高田「城戸さん?一体…」

 

真司「しー」

 

ジェスチャーを見ると、誰かが近づいてきていることがわかった。近くにいるハズの姉とは遭遇してないのだろうか…?

竜の耳は聞こえがいいらしい。本当なのかは知らないけど。

ここは、スワンキーストリートの丘の上。

大きな木の下にいるわけだが…木の向こうから来ているのか、姿は見えない。

 

…ようやく、人間にも聞こえる程度の足音が聞こえてきた。

 

雨月(退散しますか…?)

 

高田(相手によって行動を変えましょう)

 

見えてきたのは…銀色の髪ッ!?

 

――「誰がいるかと思えば…小林真司か…こんな所で何を…?」

 

目があった。

その人は…私の7歳年下の妹…枕木明。

 

真司「…ッ」

 

明「…なるほど」

 

銀色の目が、私たちを見る。

 

高田「枕木明…ッ、何故こんな所に!?」

 

雨月「明…あんた…」

 

彼女が、心底嫌そうに私を見る。

 

明「雨月ねぇ…何故ここにいるかは知らない。もしかしたら私がここに来るのを知って止めに来たのかもしれないし、出会ったのは偶然かもしれない。」

 

明「しかし。何度止められようと私はもう止まらない。邪魔してくる奴らは…始末するのみだ」

 

雨月「あんたがなんと言おうと、行き過ぎる前にどうしてでも止める」

 

姉妹2人が対峙しているさなか…

 

高田「貴方が…反SPWのボス…ッ」

 

明は、ゆっくりと発言者の方へ向いた。

 

明「爺さん…SPW財団上層部の高田順平だろ?今日は本当についている」

 

話し合いなんてできないのだ。

明は紗和姉さんがスタンドを手に入れたと同時に能力を得ている…それは私も同じだ。

私が能力を持っていることは、明も知っているハズだ。

私は紗和姉さんから明の能力の概要を既に聞いていた。

 

明「“Where do I go?”…おい、小林。貴様も能力を出せ。」

 

真司「…わかりました」

 

鎌を背負う彼女の後ろに控えていた真司は、私たち…いや、高田に向けて『3』の数字を指で、見せていた。

…それは…まさか。いや、しょうがない。

 

私は、その数字が何を意味しているかを知っていた。

彼はまだ、『明を討ち取る時期ではない。まだ裏切る時ではない』と判断したのだ。

 

流石に今じゃ間が悪いらしい。

私は高田さんと顔を合わせ、頷く。

……どうか、紗和姉さんに被害がありませんように。

 

明「…?どうしたんだ もう待たないぞ」

 

重い口を開け、その老齢の男はゆっくり発した。

 

高田「“ノンフィクション”」

 

瞬間、紫色のオーラが男を纏い、どんどんとオーラが大きくなり…

 

明「なっ…爺さんッあんたもスタンド使いだったのか!!」

 

私は高田さんが“ノンフィクション”という能力を使うのを見たことがない。

聞いた所、無差別にバグを発生させる能力らしいが…あまりにも危険なため、非常事態でも使用を渋るらしい。

 

世界に…モザイクがかかっていく。

冷静に立ち回ろうとしていたらしい明でも、流石にビビっているらしい。私もビビっている。

 

明「なんだこの能力…一体なに」

 

瞬間。明は消えた。

存在が抹消されたのか…どこかに移動させられたのか…透明になったのか…

少なくとも、妹の記憶はあるため存在が抹消されたわけではない…

本当に何が起こるかわからない。

 

これが『一つ目』だ。

“ノンフィクション”を発動する時、バグが起こる数を指定できるらしい。

城戸真司が指で伝えてきた数字…『3』は『3つバグを起こせ』という意味なのだ。

 

一つ目が明の消失…まだ二つ残っている。

 

…?何かがおかしい。一体何が…

すると、高田が私を心配そうに見、言う。

 

高田「あぁ…貴方…!もしかして!バグで…」

 

「高田さん…?どうしたんですか?まさか私にバグが…?」

 

おかしい。普段高田さんは私のことを名前で呼んで…そう、『をー』って…

 

…?“をー”?

 

真司「もしや…」

 

「私の名前…」

 

高田「まさか…貴方の名前が…変化しているッ…」

 

「私の名前…まさか…ずっと…“をー”…」

 

名前が…“変わった”…!?

違う。私の名前は“をー”…違う!違うッ!

 

このバグが…『二つ目』…

頭から混乱が抜けない。落ち着け…死んだわけじゃあない。まだ『一つ』残っている。

 

誰に…何に、バグが起こるのか…ッ

 

高田、城戸と順に見る…と。

城戸さんが足元から消えていく。

 

雨月「城戸さんッ!!」

 

城戸が自分の足元を見て、言う。

 

真司「なに…大丈夫さ。未だ“ノンフィクション”で人が死んだり存在が抹消されたことはない。何かあったとしても…」

 

残り顔までとなった時。

聞こえないくらいの声で。

 

真司「妹を頼む」

 

そう言って、男は消えた。

 

 

 

走りながらも、考える。

まさか、消えたハズの城戸さんが元に戻っているとは思わなかった。

 

彼は恐らく魂を少女の体に入れられた私を、『枕木雨月』と認識していた…

しかしこれだけじゃまだわからないことだらけだ。

 

もう少しだ。見ると左に階段…目の前に標識が。

『↑ヘリポート』という標識を見て、緊張なのか疲れただけなのか、心臓がバクバクと鳴っている。

 

少し休憩し、階段を駆け上がってドアの前に立つ。

深呼吸をする…

 

意を決して、ドアを開けた。

 

その先にいたのは…

 

 

「あ、をーちゃん…目が覚めたんだね?」

 

黄金色に輝く髪の女性…

そしてその目は、煌めく赤と碧のオッドアイ。

 

その女性の側に、城戸真司が倒れていた。

 

 

 

「空条…助音?」

 

無意識に声が漏れ出る。

それに呼応するように、彼女は笑顔で言う。

 

助音「どうしたの?」

 

それを聞きたいのはこっちだ。

城戸真司が倒れている…まさか、死んでいるのか!?

 

「そ、その男は…?」

 

ダブレ「この男…小林真司と言うらしいが…どうにか始末することができた。反SPWの幹部らしい…」

 

口調が荒っぽくなった…この口調は“ダブレ”だ。

ジョースターが…倒したのか?

明じゃなくて?

 

助音「貴方が無事でよかった。お姉さん、貴方を護るために頑張っちゃった。」

 

優しい口調で私に手を伸ばし、私の頭を撫でた。

私は子供じゃないッ!

 

ダブレ「をーって言ったっけか…よく屋上ってわかったな…」

 

助音「確かに…しかも、まだ傷が痛むんでしょ?戻らないと…」

 

違う…違う…!

 

「私の名前は雨月だッ!!!」

 

助音「…え」

 

手を振り払って、倒れている男の元へ走る。

 

ダブレ「おいッ 名前が雨月だかなんだか知らんが、その男は既に死んでんだッ!教育に悪いからさっさと戻っておねんねしてろ!」

 

助音「ダブレ!言い過ぎだよ!雨月ちゃん…だっけ?とりあえず戻ろ?お姉さんが一緒についていくからさ?」

 

死んでいるだと…?嘘を…

自然に触る体で、男の脈をとる。

 

呼吸もしているし…体も冷えていない…

まだ生きている…何故起きない…?

 

……これは…まさかッ!

 

雨月「おいッ城戸!しっかりしろッ!城戸!」

 

もはや、誰が周りにいようと関係ない。

大声で叫ぶ。

…が、予想通り返事は返ってこない。

 

ぐるりと体を曲げ、そこにいる女性を睨む。

 

助音「…」

 

屋上に吹く冷たい風が、彼女の金色の髪を揺らして形を変えた。

 

その隠れた額の部分…そこには…

 

雨月「枕木明…ッ "魂を奪った"んだな!?城戸真司のッ!!!」

 

静かに、笑うオッドアイの女性。

戻ろうとする髪を自らの手でかき分け、“それ”を露出させた。

 

助音「…バレないと思ってたのだがな」

 

その女性は、観念したような顔で、空中に出現した鎌をキャッチして肩に乗っけた。

 

雨月「まさか…あんたにそんな…最低最悪な能力があるなんて…ッ」

 

 

……その隠れていた額には、もう一つの…三つ目の“目”があった。

 

 

 

黒髪の少女が、横たわる真司の側で叫ぶ。

 

雨月「それがあんたの新しい“能力”なんだな…ッ」

 

三つ目の目とでも呼ぼうか。赤と碧のオッドアイの目…そして、額の部分にもう一つ…銀色の目が。

 

ダブレ「新しい能力…ね。まあ、そんな感じなんだと私も思う。」

 

声の低さやテンションは、空条助音の片方の人格…ダブレのものである。

…が、口調が枕木明のそれであった。

 

ダブレ「なんでバレたのかわからないな」

 

雨月「“鎌”よ…」

 

ダブレ「…鎌?私の能力のことか?」

 

三つの目が、肩にかかっている鎌を覗き見る。

 

雨月「貴方が本人かどうか、わざと『枕木明』って叫んだの」

 

その女性は驚いたような顔をした。

 

雨月「文字通り、“鎌にかかってくれて”ありがとう」

 

助音「…ッ いつも癪に障る話し方だな…バカ姉貴!」

 

雨月「その口調で喋るなッ!!助音さんの声で貴様が喋るなッッッ!!!」

 

助音「ん…実の妹に酷い言い草だ」

 

その女性は、肩にかけた大きな鎌の刃をわざと大きな音を立てて地面に突き刺した。

 

地面に胡座をかいたと思えば、その女性は目を瞑る。

少女は横たわる男の隣に静かにしゃがんだ。

 

雨月「…!」

 

すると、女性の額には既に三つ目の目はなく、両目は既に銀色へと変貌していた。

 

雨月「“枕木明”の人格…」

 

明「どうせだから説明してやる。先程の能力について、そのマヌケな男がいかにして負けたのか。」

 

少女は怒りを堪え、言う。

 

雨月「やはりあんたがやったのね…昔から碌なことをしない…」

 

無視を決めこんだ明が、説明しだす。

 

明「先程の三つ目の目の能力…これは、助音が翔太郎にスタンドの矢を刺されたことによって、内部の私にも発現した新しい能力…“N o w h e r e”の一つだ。」

 

明「私の“N o w h e r e”にはおおよそ二つの能力がある。もう片方は後で教えてやるよ。」

 

こわばった表情で聞く少女を眺める明。

鎌には目を瞑って動けない真司が映っていた。

 

明「片方の能力…それを私は、“第3の目(ザ・サードアイ)”と呼んでいる…」

 

雨月「大方予想はついている…憑依している人間を自由自在に操り、その人のスタンド能力を使えるんでしょ?」

 

明「半分正解半分不正解だ。この能力の最も素晴らしい点は…」

 

胡座をかいたまま、人差し指で少女を指し言う。

 

明「行われた行動は本体の意思で行われたことになり、それだけでなく都合のいいように本体の記憶を改変することができる。」

 

雨月「…ッ!そんな能力…あっていいハズが…」

 

明「バカ姉貴にはわからないだろうが…既に実用はされている。ジョースター側に刺客を送らせる際、私はいつも体を乗っ取って電話をしているが、流石に怪しまれるだろう?」

 

先をうながすようにチラチラと少女を見る。

 

雨月「…つまり、電話したというブランクの時間を不自然に思わせないことができるってこと?」

 

明「流石バカ姉貴」

 

流石にピキッときたのか、その“バカ姉貴”は立ち上がって言った。

 

雨月「そのことは二の次。城戸さんの魂を何処にやったの?」

 

ジリジリと近寄りながら、睨み合う。

 

……答えによっては…

 

明「喰った」

 

雨月「“Beyond the moon”」

 

誰にも反応できなさそうな速度で殴る。

が、手応えはない。

そこにいたハズの女性は、宙に浮いていた。

 

明「私の能力が二の次に大事なことでいいのか?今からその能力でやられるってのに?」

 

その銀色の目の女性…背中には灰色の翼が生えていた。よくみると体の至る所に鱗が浮き出て、牙も八重歯のように尖っていた。

 

雨月「その牙…その翼…」

 

明「“Degeneration”…城戸真司の能力だ」

 

雨月「うぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」

 

狂ったような声をあげながら、成人大の人型スタンドが明を狙ってラッシュをかける。…が、虚しく全てさばかれている。

 

明「これが私の“N o w h e r e”のもう片方の能力だ。他人の魂を喰らい、自分の魂を強化する…もちろん、喰った魂に付属するスタンド能力も一時的に使える…」

 

そんなのも聞かずに、彼女のスタンドは思いっきり足元のコンクリートを殴りつけた。

そこからともなく“コンクリートの風船”が現れ、明の元へと浮かんでいく。

 

…が、大きく翼をはためかせた明。

その風圧で、割れる瞬間の風船を真司の近くに飛ばした。

 

そして、尖ったコンクリートの破片が真司に襲いかかる。

 

雨月「ッ!!WRROOOOOOOOOOONNG!!!!」

 

素早いラッシュで、コンクリートの破片を全て吹っ飛ばし、真司の身体を守った雨月。

その顔は怒りで震えている。

 

明「諦めろバカ姉貴。その体はかろうじて生きてるが、そろそろ死に至るハズだ。“城戸真司という魂”は既にこの世に存在しない。」

 

高く宙に浮く明を睨む雨月。

 

雨月「空気の風船ッ!!」

 

空中に空気の風船を複数作り出し、それを踏んでって跳んだ。

踏み込み飛ぶ際に、風船は破裂する。その瞬間発生する風圧で飛ぶのだ。

 

明「おいおい…そりゃ無茶があるだろ」

 

殴りかかってきたスタンドの腕を、竜の腕で掴む。

勢いを失ったスタンドと雨月は、少し高いところにぷらんと吊り下げられる状況になってしまった。

明の気分次第で、いつでも落とされるし落下する速度も変わるだろう。

 

明「私は“ザ・サードアイ”で空条助音の“G・Bドリームス”の能力を使って奴を追い詰めたんだが…死に間際であいつ、なんて言ったと思う…?」

 

腕を掴んだまま、演技をするように言うわけでもなく淡々と。

 

明「『みんなに…申し訳が立たない…』だとよ」

 

雨月「…ッ!」

 

明「『あとは雨月に託す』とかも言ってたっけなあ。

今こんな状態だがな。」

 

 

明「バカ姉貴もわかってくれたか?奴が既に死んだということを。」

 

しかし、返事はない。

顔は俯き、どんな顔をしているかもわからない。

 

明「…?」

 

雨月「………ふぅ…………ふぅ……」

 

その声は、涙を堪える声にも聞こえたし、怒りを堪える声にも聞こえた。

 

次の瞬間。

 

明「…あれ?」

 

宙に浮く、明の体…胸の辺りから、一つの風船が現れた。

 

何を風船の材料にしたのだろうか。

服が欠けたわけではない。体が抉られたわけではない。

 

その風船は、屋上に吹き荒れる風も、はためく翼から出る風も、ものともせずに少女に近づき…

 

破裂した。

 

明「今のは…一体…?」

 

瞬間。

 

明「ぁが」

 

蹴られた。

誰に?身動きが取れないスタンドに?違う。

 

うっかり、手を離してしまった…が。

 

明「…ッ!?」

 

“空を飛んでいる…!?”

 

その少女の背中には、翼が生えていた。

その少女の口には、牙が生えていた。

その少女の銀色の目には、自分の姿が映っていた。

 

目の前にいる少女…紛れもない、姉。枕木雨月。

頭が…追いつか…な…

 

雨月「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ」

 

少女は空を羽ばたいたまま、目の前の妹に拳のラッシュを喰らわした。

 

雨月「オラァッ!!」

 

明「…ぁっ…!」

 

その痛みで空を飛ぶこともままならず、地面に落下する。

その女性は、金色の目で少女を睨め上げる。

 

明「姉貴…ッ!今…何を…」

 

宙を浮いていた少女はゆっくりと着地し、ため息を吐く。

 

雨月「私にもわからない…でも、何か…ココロの中の何かが変化した。」

 

……なんてことだ。

 

雨月「さっきまでの嫌な気分はどっかに行っちゃったよ。吹っ切れたのかな。」

 

その少女の背後にいるスタンドは、見た目が少し変わっていた。

白い、何もないような体の上…頭上に、様々な色の…天使の輪っか、ヘイローがある。

 

明「まさか…能力の進化…ッ!?」

 

雨月「もはや、そういうのもどうでもいいや。

…城戸さん。託されたよ。私は、私なりの使命を全うするよ…」

 

またもや、明の胸から風船が出てくる。

慌てて彼女はその風船を掴もうとするが、手はすり抜けてしまった。

 

そして、少女はその風船を大きな爪で握りしめて破裂させた。

 

雨月「新能力…?とかそういうの、よくわかんないけど…」

 

――名前をつけるなら…

 

雨月「“Revival”かな」

 

現れた鎌を肩にかけ、その少女はつぶやいた。

 

 

 

スタンド紹介

スタンド名「“N o w h e r e”」

スタンド使い名「枕木明」

明が助音の体に潜んでいる最中、助音がスタンドの矢で刺されることによって発現した。

兎型のスタンドで、目、口がみえないようバイザーやマフラー、黒いマントを身につけている。

第一の能力“Where do I go?”を引き継ぎ、鎌の攻撃力は格段に上がった。

射程距離内の任意の場所に出現させることができ、死神と本体の位置を一瞬で変えることができる。

物理攻撃を受け付けない。

この能力には、もう2つの能力を持つ。

 

①奪った魂を喰らい、自分の魂を強化する

食べた魂によって、身体能力などが変化する。食べた魂がスタンド使いだと、そのスタンドを一時的に使用することができる。

 

②憑依している人間を完璧に操り、憑依者が取った行動が憑依されている者の意思の行動となる

簡単に言えば、憑依されている者の記憶や意思を都合よく改変できる。

 

破壊力 :A

スピード:A

射程距離:B(数十m)

精密動作:C

持続力 :A

 




講義中に考えてた構想とは少し違うけどいいか…

小説の投稿、一週間に一回でいいですか…?

  • いいですよ 頑張れ
  • うるせー  しね
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