オリジナルジョジョの奇妙な冒険 〜別れの雨〜   作:ラタ

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遅れてごめんなさい(テンプレ)
今回は久しぶりに短めです。
これから2週間くらい忙しいので、仮面ライダーリタリンは大体1ヶ月後くらい、別れの雨は… それくらい、期間が空くと思います


#40 絶望を

第40話 絶望を

その病院の屋上では、激戦が繰り広げられていた。

 

1人、尊敬する存在を殺され、挙げ句の果てには蔑ろにされた者。

1人、己が望む結末を求め、残る家族の死を望む者。

 

2人の想いは交錯し、お互いがそれを受け止めることはなくそのまますれ違ってしまった。

その結末は希望か、絶望か。

 

それとも…

 

大きく紅い鎌が、少女の手によって軽々と振るわれる。

対抗してこれまた紅い鎌がそれを柄で受け止めた。

 

金色に靡く髪が、刃に触れたのか少し舞った。

その女性は、銀色の瞳で相対する少女を睨め上げる。

 

「バカ姉貴…なんだよその能力…!」

 

「何回も何回も“バカ姉貴”って言うな!」

 

柄に力を込め押し返した女性は少女から距離を取る。

 

――髪が邪魔だな

 

長い黄金の髪をいかにも怪訝な目で見る女性に少女が叫んだ。

 

「あんたまさかその髪、切るつもり!?助音さんの身体なんでしょ!やめなさいッ」

 

「やかましいな…まあいい」

 

緩慢な動きでポケットに手を入れるとともにヘアゴムを取り出し、長い髪をまとめた。

 

「ヘアゴムがあるなら最初からまとめなさい!」

 

「ギャーギャーうるさいんだよ!」

 

その女性は自然な動きで時間を稼いでいた。

彼女にはまだ、実の姉…枕木雨月の能力が解明できていなかったのである。

こう見えて、かなり焦っている。

 

「“N o w h e r e”」

 

兎の死神が、前からいたかのような雰囲気で少女の背後に現れた。

 

少女が振り返った時には、その死神は妹に変わっていた。

そして、そのまた背後に死神が佇んでいた。

 

――前後で挟み撃ち…ッ!

 

「死ね」

 

冷酷な呟きが空に溶ける。

 

「ふんっ!」

 

――?

 

彼女が死神と同時に鎌を横に薙ぐよりもはやく、その少女は手に持つ斧を地面に思い切り突き刺した。

そして…跳んだ。

 

それが少女の跳躍力なのだろうか。いや、違うだろう。

彼女の足…太ももの辺りに、黄色い鱗が滲み出ていた。

 

もちろん横薙ぎの鎌は当たることもなく、強く地面に突き刺された鎌の刃に制止させられる。

鈍く嫌な金属音が鳴り響いても、少女は躊躇せず。

 

 

地に突き刺さった鎌の刃の部分を蹴り、勢いをつけて女性の方へと跳んだ。

 

「“Revival”」

 

白い天使のようなスタンド…

姉が何をやってのけたのか、気づいた時には全ての色で構成されたヘイローが目の前に近づいてきていた。

 

「オラオラオラオラオラオラオラオラオラ」

 

「オラァッ!」

 

最後の最後には、本体そのものが蹴りを入れてきた。

手も足も出ない…!

 

「…痛… 全くもってその能力わからないな」

 

「わからなくて結構」

 

――油断もしない…か。

 

「“Degeneration”」

 

すると、彼女の体は竜へと変貌していく。

目は金色に。爪は肥大化し、角が生える。

 

「あんた…その能力をもう使うなってさっき言ったはずだったけど?」

 

静かに彼女が問う。…この聞き方はあれだ。私がやらかした時に尋問する時の声だ。

しかし昔に聞いた声とは違って今は少女の声だ。怖くない…気にしたら負けだ。

 

「なんで姉貴の言うことを聞く義理がある?」

 

「…」

 

完全な竜とはならず、竜と人が混ざった姿で空を飛ぶ。

はためく翼からは、普段聞かない空を飛ぶ音が聞こえる。

 

「城戸さん…」

 

そう、呟いた。

少女は、1秒後には黄色の鱗が体に出現し、妹と同じように爪、そして角や牙が肥大化した。

 

「本当は姉妹で殴り合いなんてしたくない…でも。」

 

「あんたがやってきた行為は許されることではない」

 

「許されたいなんて思ってない」

 

そう言いながらも明は、昔からしていた姉妹喧嘩の時のように姉へと掴み掛かった。

 

爪に爪、蹴りに蹴り、炎のブレスに炎のブレス。

泥試合としか言えないような殴り合い。

 

どこからみても、それはただの“姉妹喧嘩”だった。

 

「あんたが…ッ!私をッ!紗和姉さんをッ!城戸さんをッ!」

 

「ああそうさ!全部私が直に手を下したッ!私の野望に邪魔になる存在だったからなッ!!」

 

そのほかにも、お互いが胸に秘めてたことを言い合いながら、それと同時進行で殴り合う。

 

しかし、お互いの想いは一方通行ですれ違う。

もう…恐らく、和解なんてありえないのだろう。

 

少女が、涙を溜めた目で。

最愛の妹の胸ぐらを掴んで顔を引き寄せ叫ぶ。

 

「私はただ、3人で幸せに生きていきたいだけだった!!!!!」

 

銀色の目から涙が溢れていた。

 

その最愛の姉へと叫び返す。

 

「そんな運命なんてなかったッ!!私は最初から歪んでいたんだ!紗和ねぇを殺す前からッ!!」

 

そして…

小さく、最愛の姉へ別れを告げ、突き放した。

 

よろよろと地面へ着地した少女は、遂に嗚咽を漏らす。

 

「…だから。私を愛してるのなら」

 

着地した彼女は。足を引きずりながら少女に近づく。

 

「私を殺してくれ」

 

スタンドを静かに繰り出した。

その意味は、“殺せるものなら”ということなのだろう。

 

私は決意をした。

愛をもって、彼女を。

 

「“Revival”」

 

少女は、泣きながら呟いた。

 

目の前に幾つかの風船が出現した。

少女は薙ぎ払うように鎌でその風船を割る。

すると、鎌は刀の形状へ変化した。

 

「“名付けられた剣”」

 

少女は立ち向かう。

訪れる絶望へと。

 

 

僕は聞いたのだ。全ての真相を。

未だに頭が整理できていないが、理解はできてるつもりだ。

 

スワンキーストリートからTG大学病院の入り口に送ってもらってからは、ずっと走り続けている。

 

「お姉さん…ッ」

 

気づかなかった。枕木明という、諸悪の根源が助音お姉さんの中に潜んでいたなんて。

知らなかった。“抜け殻”は思っていたよりも壮大な事件の一部なんだって。

 

階段を駆け上がって、調査部病室へと飛び込んだ。

 

「鷹優先生!ことり先生!」

 

そこには、室田悠斗くんがいた。

かつて反SPWに洗脳され、僕たちを襲撃した青年。

今や洗脳は解かれ、反SPWの追手に始末されないようにTG大学病院に匿われていた人。

 

「あ、翔太郎君。そんなに急いでどうかしたの?天久先生と小鳥遊先生は今忙しいみたいだけど…」

 

そういう悠斗くんは何をしていたのだろうか。

そんな疑問を察したかのように、彼は答える。

 

「僕は天久先生たちを手伝おうと思ってたんだけど、どうやら反SPWの追手を迎撃してたみたいで。僕が合流できたのは天久先生たちが勝った後でってわけで。」

 

「僕は今ジャストでここに戻ってきたって感じ。天久先生たちは追手の対処を考えるって。」

 

「助音お姉さんは?屋上にいるらしいんですけど」

 

「屋上?僕が知ってる限り助音さんは鑑定人さんに魂の鑑定してもらってたはずだけど…てか屋上には天久先生たちがいたはずじゃ…?」

 

……じゃあもしかして…!

枕木明がもし魂の鑑定人に存在がバレたら…?

 

「悠斗さん!鑑定人さんの安否を確認しに行ってください!僕は屋上に助音さんを探しにいきます!」

 

「えっ、えっ?」

 

有無を言われる前に走り出す。

大変なことになっている気がする…!

 

屋上に向かう階段に辿り着く。

ヘリポートと屋上公園とあるが…どっちだ!?

悠斗さんが言うには、片方に天久先生たちがいるらしい。お姉さんがいるのはもう片方だろう。

 

「…しょうがない、どちらもあたるしかないッ」

 

屋上公園の入り口のドアを勢いよく開けると、そこには調査部の天久鷹優と、小鳥遊ことりがいた。

 

「あ、ショータくん!てかめっちゃ久しぶりにこの名前呼んだ気がするんだけど」

 

「翔太郎か…そんなに焦ってどうしたんだ」

 

小鳥遊ことりは、倒れた2人の少女の手当てをしていた。

天久もそれの手伝いをしているようだ。

 

「その人たちは…」

 

「反SPWの追手…それも幹部だ」

 

「どうにか撃退できたんだけど、始末をどうするか…洗脳されてないとは言え、JKだし…」

 

手当てもまだ終わっておらず、その上先生たちさえ怪我をしていた。

ついてきてください、なんて言えない。

……その上、彼女らはまだ真相を知らないのだ。

 

「翔太郎…そういえば君はスワンキーストリートに行ってたんじゃ?城戸とはどうしたんだ?」

 

「視察が終わったんで、送り返してもらったんです。」

 

本当は視察という目的ではなかった。

真相を、現実を、知らされただけなんだ。

天久先生達ではなく、僕だけに伝えたことにも、何か意味があるんだろう。

 

「ほう… 何か、めぼしいものは発見できたか?」

 

「ちょっと忙しいんで、後で話しますね!」

 

「おい、翔太郎どこに行く」

 

「久しぶりの登場なのに私たちの出番少なくないですか」

 

強引に会話を終わらせて扉を開き駆けた。

背後から何か聞こえてくるが、本当に忙しいのだ。

 

 

……遂に、残りの屋上…ヘリポートの扉の前に着く。

焦りすぎたかもしれない。呼吸が乱れている…

 

「お姉さん…無事でいてください…」

 

少し祈ったあと、呼吸を整えて扉を勢いよく開けた。

 

 

 

「助音…お姉さん…?」

 

屋上。吹き荒れる風の中。

 

尊敬している存在。頼れる存在。好きだった存在。

そんな、空条助音が倒れていた。

 

「枕木…翔太郎…」

 

そして、その先には。

目を疑う程紅く、身体の丈に合わない大きさの鎌を持った少女がいた。

 

「をー…いや、“枕木雨月”」

 

銃を構えながら、倒れている助音お姉さんの元へと歩いた。

 

「助音お姉さんに一体何をした?」

 

自分でも驚く。こんな重く、ドスの効いた声が出るとは。

全て、この状況が僕の声にそうさせているんだろう。

 

まだ理解が追いついていない。

をーという少女…枕木雨月。枕木明の実の姉にして、その敵対者。

聞いた限りだと、僕らの味方である。

…だがこの状況だとそういうわけにはいかない。

 

あの少女は、枕木明の能力の“鎌”を持っている…

明が彼女の体に潜んでいる可能性は高い。

しかし、もともと彼女は銀目である。今の状況ではそれがどうかわからない… どうすべきか…?

 

…待て。もし枕木明がまだお姉さんの中にいたとして。雨月さんが寝返っていたとしたら?それじゃああの少女が持つ鎌は?

 

頭がこんがらがってきた。

何が正しくて、何が違くて。誰が味方で、誰が敵で。

 

すると、ようやく少女が口を開いた。

しかしその口調は、まるで演技のように。

 

「この体は私、枕木明が乗っ取った。」

 

「枕木翔太郎…ここに来たのも運の尽きだな。」

 

作ったような顔だった。

 

 

スタンド紹介

スタンド名「Revival」

スタンド使い名「枕木雨月」

“Beyond the moon”が進化した能力。

進化前とは打って変わって、見た目に特徴が何もない人型で、頭の上には様々な色で彩られたヘイローが存在する。

物に“性質”、“本質”を付け加える能力。

付け加えたい性質を含む風船を出現させ、割ることによって、割ったものにその性質を付け加える。

作中では、鎌で「剣のような形、鋭い、長い」という風船を一気に割ることによって、鎌を剣へと変化させた。

他人の能力の性質を自分に加えることによって、個々の特殊能力に干渉できる“同じ性質(タイプ)のスタンド”へと変貌する。(早い話同じスタンド能力を使えるようになる)

作中でやっていたように「竜の姿になれる能力」の性質を自分に加え竜に変化できるし、もちろん「魂を自由に扱える能力」の性質を奪い、使いこなすことも可能だろう。

能力の本質は“情報”である。

“誰かの能力を利用できる能力”とも言うこともできるし、それは実の家族である枕木明のソレと同じである。

破壊力 :A

スピード:A

持続力 :A

精密動作:C

射程距離:C(本体から半径5m)




てかもう40話なんですね
ちょっと感慨深い

小説の投稿、一週間に一回でいいですか…?

  • いいですよ 頑張れ
  • うるせー  しね

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