遊戯王世界に転生したら、ラスボス達に懐かれました   作:今こそ一つに

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暫く小説を書いていなかったのでリハビリがてら書きました。一応構想は考えてありますが、続くかどうかはわかりません。


転生してしまったらしい。まるで意味がわからんぞ!?

 『遊戯王』というコンテンツがある。元々はジャンプで連載していた漫画のタイトルで、そこから生まれたカードゲームの名前でもあり、アニメや映画だって作られるほどの有名作品だ。恐らく日本で一番、世界でも二番目に有名なカードゲームだと思う。世界一は多分MTG。

 遊戯王のアニメはいくつかシリーズがあり、初代DM(デュエルモンスターズ)GX(ジーエックス)5D's(ファイブディーズ)ZEXAL(ゼアル)ARC‐Ⅴ(アークファイブ)VRAINS(ヴレインズ)SEVENS(セブンス)と、かなり多い。初代は東映版とテレ東版とがあるけど、今重要なのはそこじゃない。

 中でも遊戯王ARC‐Ⅴは、色んな意味で有名なアニメだ。詳しくは思い出したくないし、記憶も所々抜け落ちているが、まぁ酷い作品だったと思う。カードゲームの方をやっていない人でも知っていることがあるくらいだ。もちろん悪い意味で。

 

 なんでこんな風に『遊戯王』について思いを馳せているかと言えば、ボクが恐らく転生したからだ。それも、『遊戯王ARC‐Ⅴ』の世界に。

 

 今頭の中では前世とおぼしき記憶と、今世での記憶が錯綜している。正直、何が何だかわからない。わかるのは、固いクッションに触れている後頭部の痛みだけだ。どうやらボクは頭を打ったらしく、それが原因で前世での記憶が蘇ったらしい。正直、最悪だ。こんなことなら、思い出したくなかった。というのも──

 

「キョウジ、大丈夫か!? 階段から落ちたって聞いたぞ!?」

 

 バタン、と扉を開けて慌ただしく駆け込んできたのは、逆立だった灰髪に緑色のメッシュの入った青年。白を基調としたジャケットも少し乱れている。

 ボクは彼の様子に苦笑しつつ、上半身を起こした。

 

「そんなに叫ばないでくれ、()()()()。頭に響くから」

 

 そう、ボクに心配そうな視線を向ける彼こそ、ボクの親友であるズァーク──遊戯王ARC‐Ⅴのラスボスにして主人公(さかき)遊矢(ゆうや)の本来の姿、最終的に「きっとズァークも笑っていること()()()」で済まされた、あのズァークである。

 

 ・・・・・・どうしてこうなったのだろうか。

 

 

 その日、ズァークはプロデュエリストとしての認定試験を受けていた。昔からなんとなくデッキのドラゴン達の声を聞くことが出来た彼は、デュエルでもその力を発揮し、様々なドラゴン達を巧みに操り戦った。そして、試験が終わり、後日結果が届くと伝えられ、これでようやく自分を育ててくれた孤児院に恩返しができると意気込んでいた──そんな時だった。ズァークのデュエルディスクの電話機能に着信が入ったのは。

 

「──キョウジが怪我をした!?」

 

 自分とほぼ同じ時期に孤児院に引き取られた、正に兄弟のような存在。ドラゴンの声が聞こえる、という自分の発言を信じ、プロデュエリストにもなれると期待を寄せてくれた、そんな青年がキョウジだ。故に、彼に何かあったとなれば、それはズァークにとっても一大事である。

 

「ッ、直ぐに帰る!」

 

 通話を切り、試験会場を飛び出す。そしてデュエルディスクを起動させると、デッキからカードを一枚ドローし、迷い無くモンスターカードゾーンに叩きつけた。

 

「来い、オッドアイズ!」

 

 グオオオ、という唸り声と共に現れたのは、二色(ふたいろ)(まなこ)持つ赤竜、《オッドアイズ・ドラゴン》。そのままズァークはオッドアイズの背中に飛び乗り、背中から生えた二つの突起の、ちょうど中間に収まる。それを見ずとも把握したオッドアイの竜は、再びグオッと吠え、駆け出した。

 

 リアルソリッドビジョンシステム──文字通り、質量を持った立体映像(ソリッド・ビジョン)である。デュエルは勿論、人命救助や復旧工事にも転用されている、最先端技術である。

 しかし、個人でこれを使用することは推奨されていない。事故やトラブルの原因になりかねないからである。しかし、ズァークはそれでも己の為にこのシステムを使った。他のことに頭が回らないくらい、キョウジを心配していたのである。

 そんな主の焦りを察してか、《オッドアイズ・ドラゴン》もまたズァークの家である孤児院までの最短ルートを駆け抜ける。お巡りさんに見つかったら注意は確定、最悪罰金モノだが。

 

 そうして十分ほどで孤児院に辿り着いたズァークは、赤竜へと礼を述べた後ディスクからカードを外すことで実体化を解除し、慌ただしくキョウジの眠っているであろう部屋へと駆け込んだのだ。

 

「キョウジ、大丈夫か!? 階段から落ちたって聞いたぞ!?」

 

 ズァークの叫びに、ベッドで寝ていた青年が身体を起こした。青みがかった白髪(はくはつ)に、緑のメッシュが入った前髪──ズァークは密かに己と似ていると思っている──に少し寝癖の付いた彼こそ、ズァークの無二の親友、キョウジである。

 

「そんなに叫ばないでくれ、ズァーク。頭に響くから」

 

 そう苦笑する彼には、どこか疲弊の色合いが見て取れる。頭を打ったからか、少し混乱しているようにも見えた。

 

「わ、悪い。まだ痛むのか? 寝ていた方が良いんじゃないか?」

 

「あー、うん。そうさせてもらおうかな。少し頭の中を整理したいし」

 

 心配するズァークに苦笑を濃くしながら、キョウジはもう一度かけ布団を被った。自分が居ても眠りを妨げてしまうだろう、と考えたズァークが部屋を出ようとすると、ベッドから「あ」と声が上がる。

 

「プロ試験、お疲れ様。合格出来てると良いな」

 

「・・・・・・ああ。ありがとう」

 

 怪我をした身でありながら、こうして己を労ってくれる親友のことが、ズァークはとても誇らしかった。




キョウジ
元OCGプレイヤーで、今世ではズァークと同じ孤児院で暮らしている。外見や口調などは漫画版ZEXALの八雲興司から引っ張ってきた。ARC‐Ⅴにはスターシステムもあったし、似たようなもの。

ズァーク
アニメ遊戯王ARC‐Ⅴのラスボス。遊矢シリーズが合体した姿であり、四人の本来の姿。まだプロデュエリストになってないので、ダベリオンを始めとした各召喚法のドラゴンは所有していない。切り札は《オッドアイズ・ドラゴン》。
アニメだと出自は特に言及されていないが、「周囲からの期待に応えたい」「負けたくない」という思いが強いように思えたので、孤児院という貧困層の中で突出した才能を持っていたために多くの期待を寄せられ、また応えようとしたのでは、というこじつけ考察。アニメスタッフはそこまで考えてないと思うけど。
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