遊戯王世界に転生したら、ラスボス達に懐かれました   作:今こそ一つに

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お久しぶりです(n回目)。
この作品も、連載四年目らしいですね(恐怖)。
なのに何故まだ13話目なのか・・・・・・。

あ、例によって開幕R15です。あしからず。


おい、(いい加減)デュエルしろよ。

 目を覚ましたボクの目の前に広がっていたのは、地獄絵図だった。

 

 白目を剥いて気絶したe・ラーは床に転がってピクピクと痙攣しており、全身は黒く粘着質な液体で汚れまくっている。派手に吐いた影響か、口元と胸元、あと太股とか腰回りの汚れが酷い。

 更に言えば、吐く時に苦しんで暴れたのか、衣服も酷いことになっている。元から際どいスリットはめくれて中身が見えそうだし、胸元の装飾品も外れかかってる。普段付けているマントも何故かその辺に転がっており、大胆に開いた背中が露わになっていた。過去最大の露出率だ。

 そして、吐き出された絶望(黒くてドロッとした液体)の多いこと多いこと。もし実体があったなら、床がビチャビチャになっていただろう。タールみたいな感じだし、掃除が大変そうだ。でも、どうやったら背中にまで絶望(吐瀉物)が跳ねるんだろうか。

 

「おい、e・ラー。生きてるか?」

 

 あまりにもあんまりな姿に、思わず心配してしまう。相手は世界の破壊者にして絶望の神、心配なんてすべきでは無いんだろうけど・・・・・・。

 思わず肩を(さす)ってしまう。ユサユサと揺らすと、e・ローの豊満な胸元も同様に──は?

 

「ぇ、えほっえほっ! はぁ、はぁ・・・・・・」

 

「e・ラー、お前・・・・・・」

 

 確かに、ボクは今e・ラーに()()()。即ち、実体化しているということ。カードを作るだけじゃなく、肉体を得るほどに、力を取り戻してしまったということに、他ならない。

 

(どうしよう、どうしよう・・・・・・!)

 

 ボクのせいだ。究極神に対抗するためだからって、安易な手段を選びすぎた。そのせいで、世界が──

 

「キョウジ、いつまで寝ているの? もうお昼よ?

 ・・・・・・・・・・・・え?」

 

「・・・・・・・・・・・・うぇ?」

 

 扉を開いて現れたのは、イシュ。その目は、立ち尽くすボクと床で酷い状態になってるe・ラーとを行き来している。

 

「お、お邪魔だったみたい、ね・・・・・・?」

 

「待って違うんだコレは! えっとその、どう説明すれば良いのかわかんないんだけど、」

 

「くっ、キョウジ・・・・・・やめ、もう入らぬ・・・・・・」

 

「絶対ワザとやってるだろe・ラー!! ボクを社会的に殺す気か!?」

 

「キョウジの成長は嬉しい、けど・・・・・・お姉ちゃん、そういうの早いと思うの! ふしだらよ!?」

 

「だから違うんだって! コレには事情があって・・・・・・!」

 

 

 イシュの誤解を解き(絶対解けてない)、「はしゃぐのはわかるけど、ほどほどにするのよ? あと、後でちゃんと紹介してね?」という、どう解釈すべきかわかりたくない言葉をウィンクと共に受け取った後。

 

 ボクは、e・ラーによって生み出されたカードを手にしていた。

 

 今回手に入ったのは、《強欲のサラメーヤ》、《氷結のレディ・ジャスティス》、《冥界の霊騎士ランスロット》といった、原作で八雲興司が使っていたナンバーズのカードたち。更に、ランスロットの素材として使われた《冥界騎士トリスタン》と《冥界の麗人イゾルデ》の二種類。そして──

 

「《分裂するマザー・スパイダー》に、《ベビー・スパイダー》・・・・・・」

 

 記憶に覚えのない、というか、OCG化されてないはずのカードたち。漫画で八雲が使っていたカードだが、前世では存在しなかったはず。

 

「どうしよう、オリカ作っちゃった・・・・・・」

 

 テーブルにそれらのカードを投げ出して、頭を抱える。遊戯王のアニメではOCGとは異なる効果や、存在しないカードが使われることはよくある。でも、この世界でボクの見たことのあるカードは、全てOCG通りだったのだ。そんな中で、オリカを作ってしまった罪悪感は凄まじい。いや、カードをデュエル中に創造する(シャイニング・ドロー)よりは良いのかもしれないけどさ・・・・・・。

 

「フフ、新たな戦力を得ても絶望に余念が無いとはな。いいぞ、その調子だ」

 

 そして、もう一つの問題がコレだ。

 ベッドに寝転がり、枕に頬杖を突いてこちらに視線を送ってくるのは、実体化した、してしまったe・ラーだ。

 

「・・・・・・どうして肉体を得られたんだ」

 

「何度も貴様の絶望を味わったお陰でな、我自身の器が大きくなったのだ。それにより、以前の力を少し取り戻すことも出来た。

 感謝するぞ? キョウジ」

 

「・・・・・・・・・・・・その割には、ゲロ吐きまくってたみたいだけど」

 

「何度も言わせるな、アレは吐瀉物ではなく貴様の絶望が可視化されたものだ。決して、決してゲロなどでは無い!」

 

 身体を起こし、拳を突き上げて抗議してくるe・ラー。余程恥ずかしいのか、顔が真っ赤になっている。

 

「コホン。ともあれ、これから我と同格の存在と戦わせばならないからな。暫くは以前と同じように霊体化して、力を溜め込むとしよう。

 して、キョウジよ」

 

「・・・・・・なんだよ」

 

 ベッドの端まで移動し、腰掛ける形になった絶望神は、未だに赤い顔のまま、ボクから目線を逸らしつつ言う。

 

「その、だな。実体化するほどまでに力を注いでくれた貴様に、我も褒美を与えようかと思ってな・・・・・・」

 

「・・・・・・?」

 

 何を言いたいのかわからず、ボクが疑問符と共に見つめていると、e・ラーは耳まで朱に染めながら、ボクに向けて両腕を開く。

 

「あ、甘えても・・・・・・良いのだぞ?」

 

「・・・・・・・・・・・・???」

 

 何を言ってるんだろう、この絶望神。アレか、とうとうボクの頭がおかしくなったのか。幻覚、あるいは妄想? あまりに絶望しすぎて、脳みそが壊れてしまったのか?

 

「待て、何故そこで絶望する!? この我が(ねぎら)ってやっているのだぞ!?」

 

「はぁ・・・・・・」

 

「溜め息まで!? どういうことだ、答えよ! 答えてみよキョウジ!?」

 

 涙目のe・ラーに肩を掴まれ揺らされながら。ボクは遠くを見つめた。部屋の窓の外では、暢気に木々が風に吹かれている。

 これから、あの究極神に戦いを挑まなきゃいけないのに、大丈夫なんだろうか、こんな調子で。

 

 

 そして後日、ボクはイシュと一緒に天空城セイバルらしき遺跡へと向かうことになった。本来は部外者の立ち入りは禁止だが、イシュの身内であること、ボクが「デュエル考古学に興味がある」と言ったことで、なんとか都合を効かせてもらったのだ。

 今後もラスボスが絡んでくることを考えると、考古学を知っておいて損はない。むしろ、対処するために知っておくべきだろう。『デュエル考古学って何だよ』という疑問は、無視することにした。

 

 けど、もっと良く考えるべきだったのだ、ボクは。

 

「エネルギー上昇、異常な数値です! 遺跡の中で眠っていた何かしらが、目覚めているものと思われます!」

 

 セイバルで眠る究極神、《アルティマヤ・ツィオルキン》。漫画5D's(ファイブディーズ)において、彼の神がいったいどんな活躍をしたのかを。()()依り代にしたのかを。

 

『復活ノ儀式コソ行ワレテイナイガ・・・・・・力ハ十分ニ集マッタ! 僥倖ニモ、決闘神官(ディアク・ウム)ノ血ヲ引ク者モコノ場ニ居ル・・・・・・!』

 

 そうだ。イシュ──イシュ・キック・ゴドウィンは究極神に取り込まれ、暴走させられるのだ。どうして、そのことを知っていながら、ボクは彼女と共にこの場所に来てしまったんだ。

 

『手始メニ・・・・・・貴様ノ力ヲ我ガ物、完全復活ヘノ(イシズエ)トシテクレヨウ!!』

 

 復活した究極神──《アルティマヤ・ツィオルキン》は、イシュを依り代とし、ボクの前に立ちはだかる。

 

「さて、勝負所だぞ、キョウジ──奴を倒さねば、世界は滅ぼされる。お前の家族も取り返せない。

 まさか、あの女が神官の血を引いているとは思いも寄らなかったが」

 

 相変わらず抜けている絶望神(e・ラー)の言葉に、ボクは躊躇しながらも、頷いた。そうだ。イシュが依り代にされたのは、ボクの責任だ。ボクの不注意で、彼女を危険に晒してしまった。

 元より、勝たなければいけないデュエルではあるけど・・・・・・負けられない理由が、増えた。

 

『「決闘(デュエル)ッ!!」』




キョウジ
このデュエル、作中二回目らしいですよ。

e・ラー
とうとうお触り可能になった。
キョウジの絶望ばかり取り込んでるせいで精神性が人間に近くなっているが、本人は気付いていない。

イシュ
あの後お赤飯を炊こうとするも、料理ができないため失敗。キョウジに呆れられた。
現在は究極神の依り代。

究極神
復活できそうなところに鴨が葱を背負ってやってきた。
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