遊戯王世界に転生したら、ラスボス達に懐かれました   作:今こそ一つに

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何日かぶりです。本当は連日投稿しようと思ったんですが、思ったよりも長くなったので遅れました。


契約って? ああ! それって絶望?

「ボクはもう絶望しきったぞ。

 次はお前の番だ、究極神!」

 

 姿を変え、闇の瘴気をその身に纏い──漫画版ZEXALにおける『ナンバーズハンター総帥・八雲興司』の姿となったキョウジを目にし、究極神は笑みを浮かべる。

 

『ほう。姿を変えたか。そしてその闘志も先程までとは桁違いだ。

 カカ、良いぞ! 妾を楽しませてみろ! ターンエンドだ!』

 

 手札を二枚残し、究極神はターンを終える。

 《煉獄龍オーガ・ドラグーン》の効果が発動できないが、それよりも手札を取ったか、あるいは事故か──究極神(ラスボス)に限って、後者はあり得ないが。

 

「悪いけど、お前を楽しませるつもりは無い。

 ボクのターン、ドロー!」

 

 キョウジは引いたカードを見るまでも無く感じ取った。そして、ディスクへと鋭く置く。

 

「《分裂するマザー・スパイダー》は、自分フィールドにモンスターが存在しない場合に特殊召喚できる!

 そしてその効果により、自身をリリースすることでデッキから《ベビー・スパイダー》を三体特殊召喚! そのレベルは5になる」

 

 キョウジのフィールドに現れた母蜘蛛の腹が()け、それを食い破りながら三匹の子蜘蛛が飛び出す。

 

「レベル5となった《ベビー・スパイダー》二体でオーバーレイ!」

 

 二体の子蜘蛛が光となって銀河へと飛び込む。そして現れる、()()()1()4()

 

「エクシーズ召喚! 《No(ナンバーズ).14 強欲のサラメーヤ》!」

 

 爆発と共に這い出た三つ首の獄犬に、刻み込まれる『14』。それこそ、『ナンバーズ』の証だった。

 『No(ナンバーズ).』は本来、本人の欲望によって開眼する。しかしキョウジには、『この世界が終わらなければいい』という、風が吹けば飛ぶ蜘蛛の糸のような願いしか持っていなかった。

 だが今のキョウジは違う。明確に『勝ちたい』という欲望を持って立ち上がった。故に、『No.』は開眼した。今の彼は、正しくナンバーズを統べる存在だ。

 

 キョウジの背後より闇の瘴気と共にe()・ラーが出現する。

 

『ハハハハハ! 恐れるが良いぞ、究極神よ。

 我の契約者は、強いぞ?』

 

『なに?』

 

 その言葉には反応せず、キョウジはエクストラデッキより新たなカードを手にする。

 

「このモンスターは、自身のランク5のエクシーズモンスターの素材を取り除くことで、そのモンスターの上に重ねてエクシーズ召喚する事が出来る。

 ランクアップ・エクシーズチェンジ。《No(ナンバーズ).21 氷結のレディ・ジャスティス》!」

 

 三つの頭が咆哮し、地獄犬の周囲で円弧を描いていた光球の一つが消える。

 そして入れ替わるように氷が森の中へと溢れ、サラメーヤの居た位置には正義を司る氷の女王が現れた。

 

「レディ・ジャスティスの効果! 相手フィールドの守備表示モンスター全てを、破壊する!

 砕け散れ!」

 

 究極神のフィールドのモンスターは、キョウジが前のターンに使った《進入禁止!No Entry(ノーエントリー)!!》によって全て守備表示となっている。呼び出した決闘竜(デュエルドラゴン)たちが守備力の高いものばかりだった故に、メインフェイズ2で攻撃表示にしていなかったためだ。

 

 レディ・ジャスティスは裁きの氷結でもって究極神のフィールド全てを凍らせ、右手の槍でもってそれを打ち砕く。

 

 究極神は墓地に存在する《シンクロ・ランブル》を一瞥し──それを使うまでもないと判断した。何故ならば。

 

「《アルティマヤ・ツィオルキン》が破壊されたか・・・・・・だがこの瞬間、《地縛共振》の効果が発動する!

 《煉獄龍オーガ・ドラグーン》の攻撃力の半分──1500ポイントのダメージで、貴様の敗北だ!」

 

 究極神は、この一手で勝利できるからだ。故に慢心し、キョウジの強さを侮った。

 

「ああ、使うと思ったさ。

 その効果にチェーンして、リバースカード──《エクシーズ・リボ-ン》を発動する。墓地よりエクシーズモンスター一体を特殊召喚できる。

 蘇れ、強欲のサラメーヤ!」

 

 氷河の如く冷気の張り詰めた地面の下から、地獄の番犬が炎を纏って這い(いで)る。

 

『それがどうした!』

 

 同じく氷河を砕き、大地の裂け目から両者に向けて溶岩が迸る。だが、キョウジへと迫る熱波は、三つ首の異形によって妨げられた。

 

「《No(ナンバーズ).14 強欲のサラメーヤ》が存在する限り、ボクへの効果ダメージを全て相手へと反射する。

 これで幕引きだ、究極神」

 

『くっ、バカな!? ──あと少し、完全復活まであと一歩だったと言うのに──!』

 

 結末を否定するように目を見開く。

 それを哄笑でもって嘲笑うのはe・ラーだ。

 

『ククク、残念だったなぁ究極神。貴様は完全復活すら出来ずに、ここで我に喰われるのだ!』

 

『おのれ、おのれおのれ! おのれ──!!』

 

究極神 LP2800→0

 

 かくして、デュエルは決着した。ソリッドビジョンが解除され、荒れ果てた岩肌が(あら)わになる。モンスターたちの激突と、《地縛共振》による地響き、地割れ。

 その変わり果てた景色を前に、キョウジはようやく命がけのデュエルが終わったことを悟る。

 

『フフフ、よく勝ってくれたなキョウジ。これで──』

 

 そして、ドサリと倒れ込んだ。格好も、(ほど)けるようにして元の衣服へと戻る。

 

『──キョウジ!?』

 

 気を失っただけなのは、契約をしたe・ラーにはわかる。命に別状はない。

 だが、タイミングが最悪だった。打ち倒したとは言え、目の前に居るのは究極神(ラスボス)。つまりは。

 

『オノレ・・・・・・! コウナレバ、貴様ノ身体ヲ奪ッテデモ!』

 

『クッ、やはりか! 往生際の悪い!』

 

 イシュの身体から離れ、キョウジの肉体へと闇の瘴気が襲いかかる。

 だが、変化は無い。

 

『ナニ・・・・・・!?』

 

『残念だったな。キョウジは我と契約した──ならば、此奴(こやつ)を奪われないようにするのは当然だろう。キョウジは我の弱点にもなり得る故にな。

 貴様の闇の瘴気は我のモノとは由来が異なるようだが──不思議とよく馴染む。(ぎょ)しやすくて助かったぞ』

 

『ヌオオオオオ! オノレ、オノレェ!

 我ハ、完全復活シ、世界ヲ──!』

 

『良いぞ、良い絶望だ、究極神とやら!

 キョウジの絶望(モノ)と比べると雑味が多いが──もうその声にも飽きた。終わりにしてしまうか』

 

『ヤ、ヤメロ! 待テ──!』

 

 究極神の断末魔が響くも、キョウジが目を覚ます事は無かった。

 

 

 

 究極神を取り込みんだe・ラーは、増大した力を使い、崩れ始めたセイバルからキョウジを連れて移動した。

 かの存在に取り付かれていた女──イシュを連れて行くのには不満を覚えたが、キョウジの努力を無駄にしないためにそちらも移動させる。

 

 セイバルで起きた異変のせいか、周囲の建物に人影は少なかった。

 e・ラーは適当な公園──当然、地面にヒビなどが入っている──に寄り道し、ベンチにイシュを横にした後、キョウジを草原の上へと眠らせる。

 そして、自身を実体化させ、彼の頭を自身の膝の上に乗せた。

 

「フフフ、キョウジ。あちらの八雲興司とは異なる、しかしよく似た存在──」

 

 e・ラーはキョウジの顔を覗き込むようにして見つめ、頭を撫でる。その際に彼女の一番主張の激しい部分がキョウジに押しつけられ、大変な事になっていたのだが──e・ラーはまるで気にしない。

 

「・・・・・・ぐっ、・・・・・・」

 

 悪夢でも見ているのだろう。(うな)され、苦しむ彼の髪を指で()くように撫でる。

 

「ああ、()いなぁ。()い。(いと)おしくて(たま)らない。

 絶望しているお前を見ていると、我は力が増す喜びと──もどかしい、苦しさを感じるのだ。お前に苦しんで欲しくない、と思う」

 

 今のキョウジは、完全に意識を喪っている。故に、この言葉が彼に届く事は無い。

 だからこそ、口にする。(こと)()ぐ。

 

「貴様が我と契約した時──我は、苦しかった。貴様のこれから先の人生全てが、絶望に染まってしまう事が定まったからだ。

 希望が無い訳じゃない、だがそれを手にするには途方もない時間と労力が必要で──そうして希望を手にしても、簡単に手から転げ落ちる。そういう定めだ」

 

 e・ラーは空を見上げる。先程まで自分たちが戦っていたからだろう、空には暗雲が立ち込めており、(かす)かに見える太陽の光は、どこまでも頼りない。

 

「だが。だがな──同時に、嬉しかったのだ。

 貴様が気付いているかは知らないが──この先の人生、我はずっと貴様の側に居る事になったのだ。貴様がどれだけ拒絶しようと、好きな相手が出来ようと──我と離れる事は出来ない。それもまた、絶望の一部だからだ。

 ククク、貴様がよく聞かないからだぞ? 我はちゃんと説明しようとしていたのに」

 

 拗ねているように、けれど笑顔でe・ラーはキョウジの頭を撫でる。身体的事情(胸がデカすぎる)から手元が見えないのが残念だが、感触だけでもe・ラーは満足だった。

 

「ん・・・・・・・・・・・・」

 

 しかし、e・ラーにとっての蜜月は長くは続かなかった。究極神の影響が薄かったのか、イシュが意識を取り戻したらしい。決闘巫女(ディアクム・ウル)の血筋である事も関係しているのだろうか。

 

「・・・・・・なんだ、もう目覚めるのか。究極神の器だけはあるな」

 

 キョウジとの仲を見せつけるのも悪くは無いが、それでキョウジに怒りを向けられるのは嫌だ。

 それに、どうせ彼の自室でなら一目を気にせず一緒に居られる。そうだ、せっかくなら実体化してドキドキさせてやろうか。

 いま焦ることはないと考えたe・ラーは、肉体を霊体化させ、イシュがキョウジに気付くのを待つのだった。

 

 尚、意識を取り戻したイシュはここ一週間の記憶を失っていたが、それでも究極神の事はわずかに覚えているのか「き、キョウジ・・・・・・その、一緒に寝ても良いかしら?」と夜に部屋を訪ねてくるようになり。

 二人の時間を邪魔されるわキョウジが絶望しないわでe・ラーは憤慨する事になった。




キョウジ
とうとう持っているカードが『No(ナンバーズ).』に変化。容姿も本気モードの時だけ原作の厨二衣装になった。
引き運がアニメ登場人物並みになった。「ここぞ」というところなら狙ったカードを引ける。「ここぞ」になる前に負けたりするとどうにもならない。

e・ラー
愛とか恋とか母性とか執着とか色んな感情をキョウジに向けている。
さっそく実体化してキョウジをドギマギさせようとか考えていたらイシュに妨害された。
膝枕するとした相手の顔は見えないし相手は頭にとっても重たくて柔らかいモノを乗せられる。

イシュ
ここ一週間の記憶が無くなったため、e・ラーの件は忘れている。
ズァークとキョウジと三人で寝れば怖くない! と思っていたがズァークは遠征だったりトレーニングだったりで孤児院にいなかったため、キョウジの部屋に突撃することに。

ズァーク
画面外で《クリアウィング・シンクロ・ドラゴン》を獲得した。
自己研鑽し続け、覇王まっしぐらである。


~キョウジのデッキ~
『スパイダー』『蜘蛛』など、蜘蛛関連縛りを設けていたが、ぶっちゃけまるで勝負にならなかったためエクシーズ関連の汎用カードを投入。
八雲興司のピーキーなエクシーズモンスターをフィニッシャーに据えた、扱いづらすぎるデッキになった。
また、どう足掻いても出せないので《絶望神アンチホープ》は入っていない。

~究極神のデッキ~
《アルティマヤ・ツィオルキン》を主軸に置くのは良いが、それだけだとケレン味が足りないよな──と《地縛共振》を採用した結果、デュエル展開が冗談抜きに難しくなった。投稿が遅れた理由の二割。
最終的にキョウジのカードが刺さる事になったので結果オーライ。
また、完全復活すると《玄翼竜ブラック・フェザー》で落ちるカードに《ブレイクスルー・スキル》《大いなる魂》《シンクロ・トランスミッション》《シンクロ・ランブル》《青い涙の乙女》《青い涙の天使》なんかが追加され、本当に手に負えなくなる。
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