遊戯王世界に転生したら、ラスボス達に懐かれました 作:今こそ一つに
《神炎皇ウリア》。アニメ『遊戯王GX』の一年目におけるラスボス、『三幻魔』のうちの一体であり、永続
前世では昔からファンデッキとして専用デッキが作られるくらいに人気なモンスターで、他の幻魔と一緒にストラクチャーデッキにもなっていた。タッグフォースにおける宇里亜の存在も、その裏付けになるかもしれない。
宇里亜はそのシリーズにおいて《神炎皇ウリア》を使っていたんだし、タッグフォースでは町中に色んなカードが落ちていて拾って自分の物に出来る。《シーホース》とか。
だからこそ、宇里亜がこのカードを拾ってきても何らおかしくはない──いや、おかしいけど。
なんて現実逃避をしていたボクだったが、現在の状況は変わらない。宇里亜が《神炎皇ウリア》を拾ってきて、その精霊らしき存在が目の前に居るのも、ボクの絶望に耐えきれずに後ろで
「見てみてー、キョウジお兄ちゃん! カード拾ったの! きゃは☆」
『あどーもどーも、お兄さん! この子と結婚する事になりました、ウリアッス。
・・・・・・ん? テメー俺のこと見えてるな?』
速攻で視線に気付いた《神炎皇ウリア》。けど、この場で彼と話す訳にはいかない。宇里亜には見えていないし、声も聞こえていないみたいだし。
「そっか。良いカードだね。宇里亜にとってのラッキーカードみたいだ」
「そうなの! アタシのデッキ、すっごい強くなっちゃう! きゃは☆」
この世界において、『拾ったカード』は基本的に拾った人の物だ。前世では考えられないが、事実そうなのだ。
カードは突然生まれる事があるし、そもそもデュエリストならカードを落とすなんて言語道断、そんなヤツに所有権はない。もし本当に大切なカードを落としたのなら、話し合いなりデュエルなりで取り返せば良い。実に遊戯王らしい、イカれた一般常識が浸透している。
だから、「交番に届けよう」とか言ってカードを遠ざける事は出来ない。なので、ここは話し合いをするしか無いのだ。
ボクは肩で息をしているe・ラーへと視線を向ける。契約によってお互いの繋がりが強まった今なら、これだけである程度の意思疎通が出来る、はずだ。
(e・ラー。あの精霊と話したいから、誘導してくれないか? 宇里亜のいるところじゃ話せない)
『んぶ、ぇほ・・・・・・む? すまぬキョウジ、よく聞き取れなかった』
お前ホントさぁ! ポンコツ過ぎないかなぁ!
仕方なくもう一度伝えれば、e・ラーは何かを察した顔で頷いた。
『確かに、話し合いは必要であろうな。キョウジの身内を相手に、『結婚する』などと
違うけど? そういう事じゃ無いけど?? とんでもない勘違いするの
『お、何だ? そっちのデカい
話し合うってんなら良いぜ、結納と式の日付を決めたいからな』
『な、誰が年増か! 我は絶望と破壊の神、e・ラーであるぞ! 全盛期ならば貴様程度、一瞬で滅ぼせるのだぞ!?』
『それ、今は滅ぼせねーって事じゃん』
『ぐ、ぬぅ・・・・・・!
キョウジ! デュエルだデュエル! この生意気な竜をわからせてやるのだ!』
頼むから負けフラグ全開な発言をしないでくれ、e・ラー。頼むから、本当に。
というか、確かe・ラーは千年以上存在してるハズだから、年齢的には年増ってレベルじゃ──
『キョウジ!? 貴様、言ってはならぬ事を!』
しまった。思考が漏れていたみたいだ。危ないな、e・ラーへの罵倒がダイレクトに伝わったりしたら、どれだけ機嫌を損ねることになるかわからない。それこそ、ボクの命が吹き飛ぶ可能性だってある。
「そうだ、宇里亜。せっかくだから、それを入れたデッキでボクとデュエルしないか?
新しいカード、試してみたいでしょ」
「! すっごい! キョウジお兄ちゃん、アタシの考えてることわかったの!?
アタシ、お兄ちゃんにデュエルをお願いしたくて、探してたんだ!」
そんなもの、雰囲気を見れば一目瞭然なんだけど。
宇里亜は文字通り跳び上がって喜んでくれた。ついでに、そのまま《神炎皇ウリア》と話すタイミングを作ることにする。
「じゃあ、デッキを調整してきたら?
ボクはここで待ってるよ」
「うん、やってくる! 待っててー!」
『お、じゃあ俺も手伝って──あん? なんだよ』
そう言いながら、宇里亜は部屋へと駆けていく。それに付いていこうとしたウリアを、目の前を腕で塞ぐ事で引き留めた。
「《神炎皇ウリア》。なんで封印されているはずの貴方がこんなところに居るのか知らないけど。
話し合いがしたい。あの子──宇里亜のことも」
『ふーん? 思ったよりも落ち着いてるな。俺のことが見えるって時点で、ビビるヤツが大半なのに。
その年増で慣れてるからか?』
『貴様、また年増などと・・・・・・!』
怒りが抑えられない様子のe・ラーを、手で制した。話がまるで進まないから、ちょっと我慢しててくれ。
「まず訊きたい。どうして封印されてるハズの貴方がここに? 他の幻魔も復活しているのか?」
『ふむ。答えてやるか。
ちょっと前にデカめの地震があっただろ? そん時に、俺たちの封印が緩んだんだよ。で、俺だけ抜け出せたったワケ。
ラビ公とハモっちは身体が俺より存在がデカいからな、ちょっとの緩みじゃ出てこれなかったってのさ』
え、あの封印そんな簡単に緩んで良いの!?
原作では、七つの鍵で封印を解くためにデュエルしていたはずだ。まさか、地震くらいで綻びが出るなんて、ガバガバすぎる。経年劣化していたんだろうか。
でも、他の幻魔がまだ出てきていないというのは朗報だ。今、ハモンやラビエルの存在は考えなくて良い・・・・・・ゆくゆくは相対する事になりそうだけど。
「それで、その・・・・・・・宇里亜と結婚? したいのか」
『おうよ。
一目見て、あの子が俺の運命だって分かったね。しかも名前まで一緒とか! これで結婚しないは嘘でしょ』
『・・・・・・キョウジよ。
ケラケラと笑う《神炎皇ウリア》と、眉を顰めるe・ラー。言ってる内容が滅茶苦茶なのは激しく同意する。
「結婚って、具体的にはどういう? もいかして、精霊界に連れ去ろうとしてる?」
『んなモン、俺と一緒に楽しく《失楽園》で過ごすに決まってんだろ。
結婚してあの子を俺のモノにするのさ。そして永遠の若さを与えて、ずっと俺好みの若い姿で居てもらうぜ!』
ろ、ロリコンだー!? モンスターとの結婚とかどうするんだろうとか、宇里亜の意思はどうなるんだろうとか、そういう考えが一気に吹き飛んだ。なんとしても止めないといけない。
「結婚は待ってくれないか? そもそも宇里亜はまだ子供だし、貴方のことが見えていない」
『バカヤロウ、子供だから良いんじゃねぇか!
あと、俺の力を与えれば、直ぐにでも俺に気付いてくれるだろうな』
駄目だ、生粋のロリコン過ぎる・・・・・・あと、話が通じる気がしない。幻魔の力を与えるとか、絶対無事じゃ済まないだろう。コイツ、宇里亜の事を愛玩の対象としてしか見ていない。
この手段はなるべく避けたかったけど──ここはデュエルモンスターズの世界だ。そうするしか、無いのだろう。
「なら、デュエルだ。《神炎皇ウリア》。
この後の宇里亜とのデュエルにボクが勝ったら、言うことを聞いて貰う。
ボクが負けたら、結婚でもなんでも好きにすれば良いし、そのためにボクらを好きに使って良い。どうだ?」
『ほーん? 確かに、お前とその年増の持ってる力を取り込めば、俺もこんな姿じゃなく本来の姿に戻れるだろうし──悪くないな。
ついでに、コッチが勝ったらお前らも俺好みの姿にして
『コイツ、
どうやら《神炎皇ウリア》は、外見が幼ければなんでもいいらしい。本当に邪神みたいな性格をしているな、最悪だ。野放しにしてたら、この孤児院の子供たち全員に手を出しかねない。
というか、e・ラーに関しては自らロリの姿になった事もあるのがボクの頭を混乱させる。
「おまたせー! デュエルしよ、キョウジお兄ちゃん!」
「うん。じゃあ外に出ようか、宇里亜」
宇里亜には申し訳ないが、コレも彼女を守るためだ。ボクは全力で、彼女に勝つ必要がある。
デュエルで解決、というのがどうにも肌に合わないけど──再び、ボクにとって負けられない
『くっ、こうなれば・・・・・・・我もキョウジの士気を上げるために、あの幼い姿になるしか!』
「これからデュエルなんだから、余計なことに力を使わないでくれないか」
負けられないって言ってるだろう!? なんでこうお前は色々と残念なんだ、e・ラー!
キョウジ
宇里亜どころか自分の身の安全のためにもデュエルに勝たなければいけなくなった。
負けたらショタ化されてe・ローリ共々《失楽園》行き。
e・ラー
究極神を取り込んでもポンコツは直らないらしい。
神炎皇ウリア
外見がロリショタならばなんでも良いタイプの変態。ロリババアもイケる。
普段はラビエルとハモンに逆らえないため、本来より浮かれまくっている。
次回、『神炎皇ロリアvs絶望の神e・ローリ』でお会いしましょう()