遊戯王世界に転生したら、ラスボス達に懐かれました   作:今こそ一つに

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やるべきことから解放されると筆が乗らないのが物書きってものなんです。

という訳で、モチベーションのために感想をください(直球)。アンチ・ヘイト小説を書くにはフラストレーションとモチベーションが必要なのだ・・・・・・。

あ、今回も閲覧は自己責任でお願いします。


バイクでデュエル? このぐらいの年頃の男とはそういうものだろう

 今日、ボクはズァークと共にサーキット場に来ていた。なんでもズァークがライディングデュエルに挑戦するらしく、その練習に付き添うことになったのだ。彼の転生体であるユーゴがライディングデュエリストのため、ズァークもそうだった、ということだろうか。色んなデュエルをしてみたいから、と言っていたが、どう考えても《クリアウィング・シンクロ・ドラゴン》入手へのフラグとしか思えない。

 

「ズァーク、気をつけてね」

 

「あぁ、ありがとうキョウジ。それじゃ行ってくる」

 

 ややくぐもった返事の後に、ズァークはヘルメットのバイザーを下げてエンジンをふかす。ボクはコースから離れて、彼を見守る姿勢になった。

 

『バイクでデュエルとはな・・・・・・奇っ怪なことをするものだ』

 

D(ディー)‐ホイールって言うらしいよ、アレ」

 

 バイクに乗ったままデュエルだって!? なんて言ってはいけない。一応ズァークのために図書館などで資料を漁ってみたが、なんでも疾走(ライディング)決闘者(デュエリスト)達は風を切る疾走感や危険な状態にあるというリスクを楽しんでいるらしい。操縦方法はある程度理解できたが、彼らの心境はサッパリ理解できなかった。この世界の住人は皆ドMなんだろうか。

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

 サーキットをズァークの駆る白と緑を基調にしたD‐ホイールが走って行く。元から運動神経がいいためか、かなり安定している。が、やっぱりカーブする際や加速した瞬間などに、どこか挙動が危なっかしく見える。・・・・・・なるべく思い出さないようにしているが、ボクは前世でバイクに乗っていたのだろうか。ならボクの死因は──止めよう。

 視界の端でe・ラーが蹲っているので目線を逸らすと、ちょうどズァークがコースを一周してブレーキをかけたところだった。

 

「お疲れ様、どうだった?」

 

「すごいぞキョウジ! 全身で風を感じられて、まるでオレ自身が風になったみたいだ!」

 

 ヘルメットを外すなり興奮した様子で話し出すズァーク。やはり天性のデュエリストにはこれが楽しく思えるらしい。それを聞きつつ、本や5D's(ファイブディーズ)TF(タッグフォース)後半の記憶を基にしたアドバイスをかけていく。

 

「カーブの時は速度を落とすといいらしいよ。ただそうすると当然安定感も下がるから、横転にも気をつける必要があって・・・・・・」

 

「なるほど、やっぱりライディングデュエルは色んなところに気を配らないといけないのか」

 

「あぁ、だからこそ長時間集中力を持続させる精神力も必要になってくるんだ。まぁ、受け売りなんだけどね」

 

「いや、助かる。オレは資料とか見ても、よくわかんないしな。キョウジに教えて貰った方がわかりやすい」

 

 ニコッと笑ってそう言うズァーク。ボクはそれに苦笑して返すしかない。いずれ世界を壊す決闘者(デュエリスト)に懐かれても、あまり嬉しくは思えない。

 いや、ボクが前世の記憶を得る前からこんな距離感だったはずなんだけど、脳裏にこびりついた記憶が、以前の通りに居させてはくれなかった。

 

 疲れなど感じさせない軽い足取りで再びD‐ホイールのエンジンを起動させるズァークとは裏腹に、ボクの心持ちは重くなっていった。

 

 

 孤児院に帰ると、汗をかいたらしいズァークはシャワーへと向かっていった。手持ち無沙汰になったボクがなんとなく談話室へ行くと、そこには女子達が何人かで遊んでいた。

 

「あ、キョウジお兄ちゃんおかえり! きゃは☆」

 

「ただいま、宇里亜、みんな・・・・・・っ!?」

 

 ボクはロリコンではないけど、やっぱり幼い女の子って和むな・・・・・・と思っていると、宇里亜の持っている物が目に入り身体が固まる。

 急に動きを止めたボクに疑問を抱いたのか、首を傾げる宇里亜。その手にあるのは、金髪碧眼の可愛らしい人形──漫画版『ZEXAL(ゼアル)』に登場したナンバーズハンター、コロン。11期になって急に強化を貰っていた、エクシーズモンスターでもある。

 

「宇里亜、その人形は・・・・・・?」

 

「えっとね、きふ? されたんだって! みんなのものだよ、って」

 

「そ、そっか・・・・・・」

 

 ナンバーズハンター・コロン──《プリンセス・コロン》が生まれたのは、元の持ち主に捨てられてしまい、恨みを抱いていたところをDr.(ドクター)フェイカーの技術によって生命を与えられたからだ。その持ち主がZEXALのヒロインの一人でもあるキャッシーだったりするのだが・・・・・・この世界ではこの孤児院に寄付されることになったらしい。捨てられたかどうかはともかく、Dr.フェイカーは(今のところ)居ないし、No.(ナンバーズ)も存在しないため、多分意思を持って動き出すことはない、はずだ。

 

「? キョウジお兄ちゃんもお人形あそびしたいの?」

 

「あ、いや・・・・・・」

 

 ずっと黙っていたためか、人形をこちらに差し出す宇里亜に苦笑で返す。

 

「その人形、大事にしてあげてね。きっと、寂しがり屋だから」

 

「? うん、わかった! 大事にするね。きゃは☆」

 

 そうニッコリと笑う宇里亜。同じく寂しがりな彼女ならば大丈夫だろう。これ以上ボクの身の回りに妙な存在を増やさないで欲しいものだ、切実に。

 

 彼女たちから少し離れた場所にあるローテーブルに腰掛けて休んでいると、暫く黙って顎に手を添えていたe・ラーが思い出したかのように口を開く。

 

『見覚えがあると思えば、八雲の手下だった人形か。

 ふむ・・・・・・人形が趣味ならば、我が魂を与えて動けるようにしてやろうか? 力を取り戻しつつある今ならば容易いが』

 

「やめてくれ。いや本当に」

 

 なんでこう、ボクのストレスを増やそうとしてくるんだ。絶望の神様だからか。それにしては変な方向にばかり突き抜けて行っているけども。

 

 その後、シャワーで汗を流してきたズァークが合流し、一時間ほど雑談していると、消灯の時間だとイシュが伝えに来たので、この日は解散となった。

 

 

 

 

 

 ──夢を見ていた。ここ最近前世の記憶を掘り返してばかりいたからだろうか、アニメでも見ているような感覚だ。

 悪夢ではない。悪夢ではない、はずだ。

 

 ズァークが笑っていた。その隣にはレイも居て、ボク(キョウジ)もその近くで笑っている。宇里亜を始めとした孤児院の子供達やイシュも、他の大人達も、赤羽零王も、皆笑っている。

 その光景の奥で、四人のズァークに似た顔の少年達と、同じくレイに似た少女達も、その他見たことのある彼ら彼女らも、皆が笑顔だった。

 

 デュエルで、笑顔を──そんな言葉が浮かんでくる。それぞれ楽しそうだったり、苦笑だったり、やや歪んでいたりしたけど、間違いなく笑顔だった。

 

 けれど、それを見ている誰か(ボク)が居た。その輪の中には入っていないボク(誰か)が。それを自覚してしまったら、もう駄目だった。あやふやになった思考は、ドンドン進んでいく。

 もしかしたら、これが本来の光景だったんじゃないだろうか。ボクが記憶を取り戻したせいで、ボクの知っている世界とこの世界が結びついてしまった。本当なら、こうして皆笑顔で居られたはずなのに。誰か(ボク)の記憶が蘇ったせいで──

 

 ボク? ボクってなんだ? 僕は? ぼくは? ボクは、ぼくはオレは私は自分はぼくはぼクはボくハ僕はBKH募苦歯■■■BOKUHA朴波|Cuゎ母句派ボクハ────

 

 

 

 ・・・・・・・・・・・・ボクは、誰だ?





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