ダンジョンにバゲ子がいるのは間違っているだろうか?   作:猪のような

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はい、いつもニコニコ、最近友達から人類悪と呼ばれる事が多くなった猪のようなです。今回はダンまちとFGOのクロスオーバー作品なんで、クロスオーバー作品は初めてですからおかしい所もあるかもしれませんが、そこは温かい目で見守ってくださるとありがたいです…それではどうぞ。


第一話 白兎と黒犬の出会い

 

 

 

 

━━━ん…?あれれ、おかしいぞ?俺は友人達とFGOの話をしながら帰っていたんだがな…

 

「あれ?覚えてない?君死んじゃったんだよ?」

 

ああ、なるほど、死んだのか…

 

えっ、死んだの!?

 

「そうだよ、ホントに覚えていない?」

 

目の前には朧げな人型の光があった…

 

いや全く…

 

「君は不幸にもやべー指名手配中の犯罪者達に絡まれて、君はお友達を逃す為に一人で足止めして死んじゃったんだよ…」

 

なん…だと…!?

 

「お友達が逃げる時に君何て言ったと思う?」

 

さあ…

 

「○○!足止めするのは構わんが、別に、アレらを倒してしまっても構わんのだろう?って言ってたよ」

 

いや思いっきり死亡フラグ建ててるじゃん、自業自得だわ…はっ、さっきまで死んだ事に驚き過ぎて状況が全く飲み込めなかったが…つまり、此処は死後の世界…!?

 

「まあ、そんなところよね…」

 

つまり…あなたが神かっ!!

 

「術ジルみたいに言わないでくれたまえ…まあ、そうだけど」

 

神様Fate知ってるんですね…

 

「ああ、因みに推し鯖は魔神ちゃんだぞ」

 

なるほど…死後の世界でもFGOは流行ってるんですか?

 

「ああ、この前ゼウスが爆死してるの見て皆で爆笑してるレベルには流行っているぞ。皆でこう言ってやったよ、愉悦っ!!ってね!」

 

わぁー、FGO凄ーい…

 

「それより、本題に戻ろうか…さて、本当なら君を天国に送り届けなきゃいけないんだが…」

 

え、どうしたんですか?

 

「今日は年に一度の死者を転生させて異世界に送る日でね…神が皆天国から人を選んで転生させているんだが、私は君にする事にした」

 

ほへ〜、そんな日があるんですね…

 

「ああ、神々は娯楽に飢えているからね、自分が送り出した転生者がどんな人生を歩むのか楽しんでいるのさ…さて、私が君を選んだ理由だが、単純だ」

 

その理由とは…?

 

「君の魂を見て気に入ったんだ、一目惚れと言ってもいい」

 

え、それが理由ですか?

 

「神は皆気まぐれ、ちゃんとした理由は求めても無駄さ…それで君を今から異世界に送り出す訳だが…ほら、このクジを引きたまえ」

 

差し出されたクジを適当に引くと、クジには『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか』と書かれていた。

 

「ほう、ダンまちか…まあ、悪くないな、型月ワールドみたいな地獄よりはマシだろ」

 

ダンまちか〜…

 

「そうガッカリするな、ほら、次はこのクジを引け」

 

そう言われて再びクジを引くと、次は『妖精騎士ガウェイン(バーゲスト)』と書かれていた。

 

「お!ほら、FGO要素出たじゃないか!」

 

これ、俺が妖精騎士ガウェインになるって事でいいんですか?

 

「そうだよ、けど色々変更する所はある。妖精から人間にしたりね、後、寿命の長さと…第三スキルのファウル・ウェーザーとかだな」

 

あー…アレは捕食で得た能力だから…

 

「そうだ、アレばっかりはお前に取り付ける事は出来ん…よし、準備するから少し待っていろ」

 

神様はそう言ってその場から消えた。

暫くすると戻って来た。

 

「待たせたね」

 

そう言って指を鳴らすと扉が現れ、ゆっくりと開かれている。

扉の向こうは光で溢れており、何も見えない。

 

「あの扉を潜れば、君は転生する。どう生きるも君の自由さ、まあ、僕的にはオラリオに行き、原作に関わってくれるとありがたいが…」

 

行きますよ、オラリオ。

 

「…随分ハッキリ言うね、理由は?」

 

俺もオラリオに行ってみたいってのと、妖精騎士ガウェインならそうするからです。

 

「…強者としての責務、だったかな?君も彼女も立派だ、案外似た物同士なのかもね?」

 

だとありがたいですが…

 

「まあいい、君の人生が面白く、そして幸福である事を願うよ。それと君が成長して妖精騎士ガウェインと同じ姿になる時期と原作開始時期は合わせておくよ」

 

はい、ありがとうございます。行ってきます。

 

「ああ、行ってらっしゃい」

 

俺は扉をくぐり、そこで意識が途絶えた…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おーい、バーゲストー!」

 

遠くから()を呼ぶ声が聞こえ、私は剣を振るのをやめ、声がした方を見る。

 

「どうかしたの、ジェニー?」

 

「村の近くで熊の足跡が見つかったんだってー」

 

「分かったわ、直ぐ行くわね」

 

私はその場を離れ、熊の足跡が見つかった方に行く。

 

私はとある村で捨て子として拾われた。

私には角が生えていたが、皆それを気にせずに大切に育ててくれた。

私は村の皆に恩を返したいと、大きくなってから畑仕事や、狩猟を手伝い、やがて村で一番頼れる存在として皆から尊敬された。

 

私は熊を倒し、背負って村に戻る。

 

「うおっ、マジか…流石バーゲスト、こんなデケェ熊をあっさりと…しかも一人でもってるし…」

 

「それに比べ村の男共は全く!ガタイも負けてるし、少しはバーゲストを見習いな!!」

 

『すいません…』

 

村の女性が男性達を叱っているのを見て私は苦笑する。

流石に普通の人は熊を一人では倒せないし持てないからな…

 

「あはは…そこまでにしてやってくれ、私は皆に比べて身体が強かっただけだ…」

 

「バーゲスト、アンタって奴は…村一番のしっかり者で働き者、性格良し、それに言葉遣いもまるでどこかの貴族様の様に丁寧!ホント、アンタ程出来た人間はいないとあたしゃ思っているよ」

 

「そんな事は無い…さて、この熊は任せる、私はもう帰らせてもらう。明日は早いからな」

 

「…バーゲスト、本当に行っちまうのか?オラリオに…」

 

「…ああ、私は、オラリオで強くなりたい。そして、弱い人の為に戦うんだ」

 

それが私、バーゲスト、妖精騎士ガウェインの生き方。

私は強者としての責務と、その生き方を貫く為に、オラリオに行く。

 

 

 

 

 

 

〜翌日〜

 

 

朝早くにご飯を食べ、持ち物を確認する。

 

「水に食料に…後これも…よし!これで準備は整ったわね!」

 

私は荷物を背負い、家を出て村の入り口に向かう。

すると村の入り口には村の住民が集まっていた。

 

「皆さん、どうして?」

 

「どうしても無いよー!バーゲストは大切な村の一員なんだから、見送るのは当然でしょー!」

 

「ジェニー…ありがとう、とても嬉しいわ…」

 

「バーゲスト、ほれ、わしからの贈り物じゃ」

 

「コレは…鎧、かしら?」

 

村唯一の鍛治師から渡されたのは、FGOで見たまんまの妖精騎士ガウェインの鎧だった。

 

「それとこれ、ワシの先祖が作った業物じゃ、ほれ」

 

次に渡されたのはこれもFGOで見た妖精騎士ガウェインの剣。

私は鎧を身につけてみた。

 

『おお〜!!』

 

「本物の騎士みたいでカッコいいよ、バーゲスト!」

 

「ええ、こんな素晴らしい贈り物をありがとう、エクター」

 

「何、ワシもお前の様な奴に鎧を作る事が出来て、光栄じゃわい」

 

「そう言ってもらえて本当にありがたいわ…私、本当に村の皆に感謝しているわ。拾ってくれた事、大事に育ててくれた事、仲良くしてくれた事…私、この村で暮らせて、本当に幸せだったわ!皆、本当にありがとう!」

 

そう言うと、村のおば様が泣きながら抱きついて来た。

 

「いいかい!絶対に死ぬんじゃないよ!もし死んだ日には私が追って説教してやるんだからね!」

 

「あら、それは大変…ありがとう、おば様」

 

「バーゲスト、お前がいない間は、俺たちが村を守る。だから、安心して行ってこい!」

 

「次会う時は強くなって、お前を驚かせてやるよ!」

 

私と同世代の男達がそう言い、私は笑う。

 

「ええ、頼んだわよ。私だって、次に会う時は強くなって、あなた達を驚かせるんだから」

 

「バーゲスト、これお弁当、ちゃんと食べてね」

 

「ありがとうジェニー…私の、村一番の親友。貴女の料理、大好きだったわ」

 

私は弁当を受け取り、鎧を隠す様にマントを羽織り、角を隠す為にフードを被る。

 

「それでは皆さん、また会える日を楽しみにしてますわ!」

 

私はそう言って村から出た。

 

「達者でなー!」

 

「元気でねー!」

 

「次来る時は恋人も連れてきなー!」

 

「それは期待しないでくださいまし!!」

 

『はははははは!!』

 

皆さんの笑い声を聞きながら歩き、やがて声が聞こえなくなり、振り返ると、村はもう見えなくなっていた。

 

「…さて、地図によると…こっちですわね」

 

私は暫く村のある方を見つめた後、地図を広げてオラリオを目指し始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「此処がオラリオ…!ようやく辿り着きましたわ…!」

 

オラリオを目指して数週間、バーゲストはようやくオラリオに着く事が出来た。

 

バーゲストは長い行列に並び、自分の番が来るまでに考えている事があった。

 

(そういえば、今は原作のどの地点にいるのかしら?後、私が入るファミリアも決めないと…)

 

自分がどのタイミングでオラリオに訪れたのか、バーゲストはそれが知りたかった。

 

(私が成長し切ってから村を出たから多分原作開始に近い時期だと思うのだけれど…まあ、こればっかりは入ってみないと分からないわね…)

 

「よし、次の者は前に出ろ!」

 

そうこうしている内に、バーゲストの番が訪れ、バーゲストは門番の前に立つ。

 

「!…で、でけぇ…お、オホン!オラリオに来た理由は?」

 

「冒険者に成りに来ました」

 

そのガタイで女だったのかよ…!?あー…一応あっちで背中に神の恩恵(ファルナ)があるかどうか確認してくれ」

 

「分かりました」

 

バーゲストはガネーシャ・ファミリアの女性団員に神の恩恵(ファルナ)があるかどうか確認して貰った後に、ようやくオラリオに入る事が出来た。

 

「よし、先ずは冒険者になる為にも、どのファミリアに入るか決めましょうか」

 

バーゲストはオラリオを散策しながら、候補に上がっているファミリアについて考える。

 

(先ずはヘスティア・ファミリア。言わずと知れた主人公、ベルが所属しているファミリア。主人公と一緒にダンジョンへ行きたい気持ちはあるけれど、メリットが何も無いのよね…)

 

「後、主神が凄く眷属(子ども)思いなのもいいところね…次はロキ・ファミリア」

 

(オラリオでトップクラスのファミリア。『勇者』フィン・ディムナを始め、実力の高い冒険者が揃っている。多分私は入れる実力もあるし、ロキ様の女好きな面も考えると、寧ろ彼方から勧誘して来る場合もあるかも…)

 

「実力と経験のある冒険者に指導してもらうメリットは有るわね…けれど、ロキ・ファミリアって私と似た戦い方の人っていたかしら…?まあ、今のところ最有力候補ね…次にフレイヤ・ファミリアだけど…論外、何に利用されるか分かったものでは無いわ」

 

(私は鍛冶に興味は無いからへファイストス・ファミリアも無し…ミアハ、タケミカヅチ…ダメね、ロキ・ファミリアが一番いいかしら…)

 

「ロキ・ファミリアで決まりね…とりあえず今日はもう暗いから、何処かで食事を頂きましょうか、村に居た時にお金はたっぷり貯めましたからね…そういえば、今、物語はどの辺りなのか確認するのを忘れていましたわね…」

 

バーゲストは人混みの中を歩きながら、何処か食事を出来る場所を探している。

 

(背が高いと辺りを見渡せて楽ですわね…あら?)

 

するとバーゲストの目に、ある店の看板が目に留まる。

 

「豊穣の女主人……此処があの…よし、今日は此処にしましょう」

 

バーゲストはそう言って店に足を踏み入れた。

 

「いらっしゃっいませにゃ!何名様ですかにゃ?」

 

「一人です」

 

「カウンター席になりますが、大丈夫ですかにゃ?」

 

「構いません」

 

「ありがとうございますにゃ!それでは、こちらですにゃ」

 

バーゲストはカウンター席に案内され、座るとこの店の店主であるミア・グランデが現れる。

 

「アンタ、見るからに旅人って感じの服装だけど、オラリオは今日が初めてかい?」

 

「はい、冒険者になろうと思って村から出て来ました」

 

「ふーん…アンタ、なかなか出来そうだね…」

 

「それなりに鍛えていると自負はしていますが…」

 

「まあいいさ!アンタはガタイもいいし、じゃんじゃん食べな!」

 

「それは勿論、全力で堪能させて頂きますわ」

 

バーゲストはメニューを開き、適当に注文して料理が来るのを待つ。暫くすると美味しそうな料理が運ばれてくる。

バーゲストは出された料理を食べ始めた。

 

「お、いい食いっぷりだねぇ。どうだい、うちの料理は?」

 

「とても美味しいです、まあ、私の親友の料理には及びませんが」

 

「言ってくれるねぇ…まだたんまりあるからじゃんじゃん食いな!」

 

そうして食事を楽しんでいると、バーゲスト隣に誰か座る。バーゲストは余り気にしないが、一応一瞬だけ目を向けると…

 

「アンタがシルの知り合いかい?冒険者って割に、可愛い顔してんね!」

 

「ゴフッ!?」

 

バーゲスト思いっきり咳き込み、水を飲んで一旦落ち着き、もう一度横目で確認してみる。

 

(いやどう見てもベル・クラネルですわね)

 

「店主、私に彼に出した物と同じ物を」

 

「お、まだ食うのかい、ほら、アンタも横の奴を見習ってじゃんじゃん食いな!」

 

お金の心配をしながら料理を食べるベルを横目に、バーゲストは確信した。

 

(トマト野郎イベントですわね、これ)

 

今思えば明らかに席が空いている時点で気付くべきだったと、バーゲストは思った。

 

「それにしてもアンタ、食べる時くらいフードは脱ぎな!」

 

「いえ、コレはその、少し訳ありでして…」

 

「オラリオで冒険者としてやっていくのに、一々そんなの気にしちゃやっていけないよ」

 

「む、それは確かに…では…」

 

バーゲストはフードを外し、マントの内側に仕舞っていた髪を外に出す。

ベルはバーゲストの頭にある角を見て驚いた顔をする。

 

「ふーん…かなり変わった奴だけど、それにしたって美人だね!うちで働いてもらいたいくらいだよ」

 

「ありがとうございます…気になりますか」

 

先程からベルがずっとバーゲストの角を見ているため、バーゲストがそう訊くとベルは慌てて「すいません!」と言いながら顔を逸らして料理を食べ始める。

 

「そんなに慌てずとも、別に気にしてませんわ。それよりあなた、冒険者なのでしょう?」

 

「は、はい、そういう貴女は…?」

 

「私は今日オラリオに来ました、冒険者になろうと思っていますが、ファミリアをまだ決めていなくて…」

 

「そ、そうなんですね…」

 

(主人公なんだし、ここである程度交友を深めておいた方がいいわね…)

 

「にゃぁ!ご予約のお客様、ご来店にゃ!」

 

猫人(キャットピープル)のウェイターがそう言うと、店内にあるファミリアが入ってくる。

店内にいる客がざわつき始め、そのファミリアに注目している。

 

(アレがロキ・ファミリア…)

 

バーゲストはロキ・ファミリアをジッと見つめていたが、今日関わるのはやめておこうと、ロキに目をつけられない為にも再びフードを被り、料理に目を戻した。

 

「皆、ダンジョン遠征ご苦労さん!今夜は宴や!思う存分、飲めえぇぇぇぇぇぇぇ!」

 

ロキ・ファミリアの宴が始まったが、バーゲストはベルと会話しようとするも…

 

(完全に剣姫に夢中ですわね…)

 

コレは話しかけても無駄だなと思ったバーゲストは食事を終え、会計を頼もうとすると…

 

「そういえばアイズ!お前あの話聞かせてやれよ!」

 

「…あの話?」

 

「あれだって、ほら、昨日俺達が鉢合わせた時のあれ、5階層まで逃げやがったミノタウロス! お前が最後に始末したヤツ! そんでほら、あの時のトマト野郎のことだよ!」

 

バーゲストはベルを見ると、ベルの手は震えていた。

そこからベートはその話をしてベルを笑いものにしていた、リヴェリアが抑えようにも酔ったベートは止められず、終いには。

 

「雑魚じゃアイズ・ヴァレンシュタインには釣り合ねえ!!」

 

と言った辺りでベルは勢いよく立ち上がり、店を出て行ってしまった。

慌ててシルとアイズが追いかける様に店を出て行った。

 

「何、食い逃げ?」

 

「ミア母ちゃんの店で、大それたやっちゃなー」

 

「店主、彼の払いは私が」

 

「ん?」

 

ロキは食い逃げしたベルの金を払うと言った存在を目にする。

フードは被っており、顔は見えないが、ガタイがよく、声からして女性と思われる人物がベルの分合わせて代金を支払っていた。

 

「アンタ、ホントに良かったのかい?私としちゃ別に構わないんだがね」

 

「はい、ああそれと…今から少し騒がしくします」

 

「…ああ、そういうのはせめて店の外でやりな」

 

「勿論」

 

フードを被った女性は立ち上がり、ベートに近付く。

身長が190にも及ぶ彼女の存在感は凄まじく、ベート以外のロキ・ファミリアの面々はその女性の接近に気付いていた。

そして女性はベートの側に立つ。

 

「おい」

 

「ああ…?何だおまっ…!?」

 

女性がベートに声をかけ、ベートが女性に気付いた瞬間にベートは首を掴まれ、店の外へ投げ出された。

ロキ・ファミリアの面々はその事に驚いていたが、女性は気にせずベートを追う様に店を出た。

 

店の外ではいきなり店から飛んで来たベートに驚いているアイズやシルがいた。

女性は店の入り口の前に立ち、起き上がろうとしているベートを見下す。

 

「テメェ…!一体何のつもりだ、ああっ!?」

 

「吠えるな駄犬、さっきから聞いていればみっともない…それでもオラリオの誇る有力ファミリアの一員か?」

 

「何だと…!」

 

「自分達の不始末で起こった出来事を笑い話にし、被害者の名誉を傷つける事は断じて許されない。騎士として、お前の行動を許す訳にはいかない」

 

「…おい、それは喧嘩を売ってるって事だよな…?」

 

「そう聞こえなかったか?駄犬」

 

「上等だ、後悔すんじゃねぇぞ!」

 

ベートは立ち上がり、バーゲストに近付いて拳を振るう。

バーゲストはそれに反応出来ずに、顔に一発喰らい、後ずさる。

 

(ぐっ…コレがレベル5…酔っているのに全く捉えられなかった…けど、威力は大した事は無い!)

 

「その程度か!!」

 

「ぐおっ!?」

 

バーゲストも負けじと殴り返すと、ベートは勢いよく吹き飛ぶ。

ぺっ!と口の中の血を吐き出し、バーゲストはベートに近付く。

 

「舐めんじゃねえ!!」

 

ベートは次に蹴りを繰り出し、バーゲストの腹に命中するが、バーゲストは少し後ずさるだけで、ベートの足を掴む。

 

「てめ、ぐおっ!?」

 

「話にならんな!」

 

バーゲストはベートを棒の様に振り回し、何回か地面に叩きつけて投げ飛ばす。

 

「その程度か駄犬、レベル5と聞いて苦戦するかと思ったがな」

 

(こっちが硬すぎてあまり攻撃が効きませんわね…)

 

「ふざけんな!」

 

ベートは負けじとバーゲストに再び接近し、攻撃を繰り出すが、ベートの攻撃をバーゲストが受けては直後に反撃するという繰り返しだった。

 

「ちっ!テメェ硬すぎんだろ!」

 

まるで同じロキ・ファミリアのガレスの様な硬さに埒が明かないと感じたベートは、バーゲストに反撃されない様に連撃を繰り出すバーゲストは腕を交差させ、ベートの攻撃をただただ受ける。

 

「どうした!話にならないんじゃ無かったのかぁ!?」

 

「…いい加減…」

 

「ああ!?って、なっ…!」

 

ベートが立て続けに攻撃していたが、バーゲストは次の瞬間、ベートの右腕を掴む。

 

「テメェ、離せっ!」

 

ベートは左腕でバーゲストを殴り、顔に直撃したが、バーゲストは怯まずに受けた瞬間にベートの左腕も掴む。

 

(何だ、この力っ…!)

 

ベートを必死に抵抗するが、バーゲストの力は強く、逃げられそうに無い。

そしてバーゲストは少し身体を反る。

 

「お前はいい加減…!」

 

「お前、何をっ…!」

 

「少しは頭を冷やせっ!!」

 

バーゲストはベートに頭突きをかまし、ゴォォン!と鈍い音が鳴り響く。

バーゲストは頭を上げ、ベートの両腕を離すと、ベートは崩れ落ちた。

 

「…強かった、お前が酔っていなければ、本当に苦戦しただろう」

 

バーゲストはそう言ってベートを肩に担ぎ、ロキ・ファミリアに近付く。

ベートを預けた後、ファミリアの団長であるフィン・ディムナの方を向く。

 

「迷惑をかけた、すまなかった」

 

「ああ、いいよ、いい薬になったと思えば…こちらもすまなかった。リヴェリア、彼女を治療してやってくれ」

 

「分かった」

 

「感謝する」

 

「それにしても強いなぁ!なぁなぁ、名前なんて言うん?アンタみたいな子ウチ初めて見たで」

 

「私はバーゲストと言います、覚えて頂ければ幸いです」

 

「バーゲスト…聞いた事ある?」

 

「無いわよ、けれどおかしいわね、ベートを倒すくらいの実力者、有名な筈が無いんだけど…」

 

「バーゲスト、君の所属しているファミリアを聞いてもいいかな?」

 

「私はファミリアに入ってなどいない、今日オラリオに来た」

 

『……は?』

 

「…ロキ」

 

「信じられへんけど、嘘はついてない…自分、神の恩恵は?」

 

「ありません」

 

「マジか…まあ、見るからに普通じゃないってのは分かるんやけどな…」

 

ロキはそう言いながらバーゲストの頭にある角を見ている。

 

「けど、無所属なんか…よし、バーゲストたん!良かったらウチのファミリアに入らん?」

 

「ロキ!?何を言って」

 

「僕も是非お願いしたいね」

 

「フィンまで…!」

 

リヴェリアはガレスに目線を向けるが。

 

「ベートの攻撃に動じないタフさ!気に入ったわい、はっはっはっはっ!」

 

(ダメだコイツも使えない…!)

 

「…光栄だが、やめておく」

 

バーゲストは少し考えたが、キッパリと断った。

 

「…それは何でかな」

 

「私は何であれロキ・ファミリアの者と争った、それでその後にロキ・ファミリアに加わる事は私もソイツも納得出来ないだろう」

 

バーゲストはベートを指差しながらそう言った。

 

「…なるほど、分かった。君の事は諦めるよ」

 

「感謝する…では私は失礼するぞ、まだやる事がある」

 

そう言ってバーゲストはバベルの塔へ向かって歩き始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ベル・クラネルはダンジョンからボロボロになりながら出て来た。

フラフラとおぼつかない足でホームを目指していると、不意に倒れそうになる。

 

しかし、ベルは倒れる事は無かった。

 

「大丈夫?意識はあるかしら?」

 

「あ…なた…は…」

 

倒れそうになったベルは顔を上げると、そこにはバーゲストが居た。

バーゲストはベルを背負い、歩き始める。

 

「あなたのホームはあっちね」

 

「はい…すみません…こんな事に付き合わせてしまって…」

 

「構いません、目の前にボロボロな人がいるのに放っておく訳にはいきません」

 

「ありがとう、ございます…」

 

「…自己紹介がまだでしたね、私はバーゲスト、あなたは?」

 

「…ベルです…ベル・クラネル…」

 

「そう…クラネル、何故あなたはこんな無茶をしたの?」

 

「…強く、なりたかったから…」

 

「強くなって、どうしたいのかしら」

 

「強くなって、僕は、あの人に…アイズさんに追いつきたい…!」

 

「…そう、良い目標ね、頑張りなさい…あなたなら、きっと出来るわ」

 

コレが、白兎と黒犬の出会いだった。

二人はこれからダンジョンで共に戦い、どんな成長を遂げるのか、それはまだ、誰にも分からない…




如何だったでしょうか、お、おかしいな、何で最初の話からもう9000文字近くまで書いてるんだ俺…?良ければ感想やお気に入り登録してくださるとありがたいです。それでは次回もお楽しみに。
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