ダンジョンにバゲ子がいるのは間違っているだろうか?   作:猪のような

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み、皆さま、お久しぶりで『ザシュ』ギャァァァァァァァァ!?

「おい、お前何やってんだおい」

き、君は…オールドスノー君!何故此処に!?

「お前が投稿しねぇ…からよぉ…わざわざ別作品から出張して来たんだよオラァ!!テメェ!何でサボってやがったオラァ!!」

ひぃぃぃぃぃ!!すみませんすみません!!本当に申し訳ございません!オリジナル展開が難しくて全然進まなく、モチベも下がった結果、ズルズルと引き摺ってここまで遅れてしまいましたぁ!!

「ったくよ…しっかりしろよな全く…じゃあ俺帰るから…あ!お前、こっちの投稿もサボってんだろ!」

ぎくり…!

「さっさと続き書かなきゃ…分かるよな?」

はい!善処します!!

「じゃ、後頑張れ」

お疲れ様です!……ふぅ…改めてまして皆様、遅れて申し訳ございません。それと、新年、あけましておめでとうございます。今年もこんなダメ作者の事をどうぞよろしくお願いします。それではどうぞ!


第十一話 黒犬と狩人達の歩み

「では、君はヘルメスの依頼で増援として送られたヘスティアの眷属、という事か」

 

「はい、一人のみでの参戦となり増援としては不安でしょうが、私は神ヘルメスから依頼されて此処にいます」

 

「ふむ…」

 

バーゲストはアルテミス・ファミリアのキャンプ地点で、焚き火の側で食事をとりながらアルテミスに此処へ来た事情を説明していた。

 

「分かった、君の実力は昼のモンスター達を焼き払う姿で証明されている。短い間だが、よろしく頼む」

 

「お役に立てるよう、全力で努めます」

 

「ああ…それにしてもヘスティアの…あの子も自分のファミリアを持つようになったのだな。ヘスティアはファミリアではどう過ごしている?」

 

「ヘスティア様の普段のご様子…ですか…」

 

バーゲストはヘスティアの事やファミリアの事をアルテミスに話した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「まさか、ヘスティアが自分の眷属に好意を寄せているとはな…」

 

「ええ…ですが彼は今他の人に夢中でして、毎日振り向かせるのに必死なご様子です」

 

「そうかそうか…それにしても、君は凄いな。あのモンスター達を最も簡単に焼き払った。君のような冒険者を眷属に出来たヘスティアは幸運だな」

 

「それを言わせてもらえば、私こそヘスティア様の眷属になれた事はまさしく幸運でした。ヘスティア様やベルと居る日々はとても楽しいものでしたから」

 

「そうか…」

 

アルテミスは少し微笑んでヘスティアがオラリオで楽しそうに過ごしている事に安堵する。

 

「しかしヘスティアが恋か…」

 

「いかがされましたか?」

 

「最近、私も眷属に恋とは素晴らしいものだと力説されてな。バーゲスト、君はどうだ?」

 

「…恋、ですか…」

 

(恋愛経験は前世含めありませんし…恋…)

 

バーゲストは少し考え込んだ後に、アルテミスに言う。

 

「恋は確かに人を良い方向に変えるきっかけにはなります。ですが良い結果に繋がるとは限りません」

 

「ふむ」

 

「想い人の為に努力する事は素晴らしい事です。ですが、愛を向けたからといって愛を向けられるとは限らない」

 

好きな人が振り向いてくれなかった。他に好きな人が居た、結ばれなかった、まだ良い方かもしれない。失恋は確かに辛いが、悪い事に繋がる訳でも無い。

最悪なのは…

 

(その想いを利用される事…妖精騎士ランスロット…メリュジーヌの様に…)

 

「結局必要なのは時間です。その人が本当に愛するに値する人物であるかどうか…それを判断する充分な時間と…後は本人次第でしょう。自分の望んだ人であれば良し、ですがそうでなかった場合は二つの選択肢があります。潔くその恋を終わらせるか、それでも愛するのか」

 

「……やはり恋は難しいな、あまり分からない」

 

「私も、恋などした事はありませんので。一つの意見として覚えて頂ければ」

 

「そうか……そろそろ休もう。長旅に加えて戦闘もあったというのに、話に付き合わせてすまなかった。ゆっくり休むと良い」

 

「はい、アルテミス様も、どうかごゆっくり」

 

バーゲストとアルテミスは別れ、バーゲストは充てがわれたテントに入ると…

 

「む」

 

「あっ」

 

テントには翡翠色の髪を持つ猫人の女性が居た。

 

「…失礼します」

 

「ど、どうぞお構いなく…」

 

バーゲストは取り敢えず鎧を脱ぎながら考えた。

 

(女性とテントで二人きりとか落ち着きませんわ!助けてベル!ヘスティア様!元男の私にこれは荷が重いです!)

 

初めて会った上に元男なバーゲスト、猫人の女性は寝巻き姿で無防備な事もあって緊張してしまう。

緊張したバーゲストが若干不機嫌そうに見える女性も同じ様に緊張していた。

 

「えっと…取り敢えず自己紹介だけでもしませんか…?」

 

「そ、そうね…私はバーゲストよ、姓は無いからバーゲストと呼んでくれれば…」

 

「バーゲストさん…ですね、私はランテって言います!よろしくお願いします」

 

「ランテ…」

 

その名前を聞いてバーゲストはある考えが浮かんでいた。

 

(やっぱりFGOのアタランテと少し似ているわね…性格は全く違うけど、彼女がこの世界のアタランテ…の様な存在なのかしら?)

 

「あの、バーゲストさん?」

 

「!…すみません、何でもありませんわ。取り敢えず今日はもう寝ましょう」

 

「あ、はい!」

 

テントの明かりを消し、二人は眠りについた…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜翌日〜

 

「では、これより進軍を再開する。全員、遅れるなよ!」

 

『はい!』

 

バーゲストを加えたアルテミス・ファミリアはエルセスの遺跡へ向けて進行を開始した。

バーゲストは先頭にいる団長のレトゥーサの近くに居た。

 

「今日で遺跡の近くまで進む、との事だったな」

 

「ああ、そして明日に遺跡を攻略する。ここまでかなりハードなスケジュールだったな…」

 

「ふむ…では、遅れてきた私はより一層力を尽くさねばな…しかし、こうも森が多いと得意の炎が使い難いな…」

 

「そこはどうしようも無いだろう…」

 

そうした会話をしながら歩みを進めていると…

 

「!……来たぞ、戦闘態勢!」

 

レトゥーサの号令と共にアルテミス・ファミリアの面々が武器を構える。

バーゲストも剣を構えると、蠍型のモンスター達が前方から大量に現れる。

 

「はああっ!!」

 

バーゲストは近付いて来たモンスターを片っ端から切り捨てていく。

 

「凄まじいな、その膂力…アマゾネスかと思うぞ」

 

「生憎、自分の種族に関しては私自身よく分からん!」

 

レトゥーサとバーゲストがモンスター達を次々と倒し、他の団員もそれに続く。

 

(……モンスターを倒す度に力が溢れてくる…ワイルドルールの効果ね…それに今は太陽も出ている。この状態なら苦戦はしなさそうね)

 

バーゲストがそう思いながらモンスター達を圧倒していると…

 

「キシャァァァァァァァァァ!!」

 

「!あのモンスター…!」

 

「大きい…今まで見た事の無いモンスターだ…バーゲスト!」

 

現れた新たなモンスターはこれまでのモンスター達より大きく、凶悪な鋏と鋭い尻尾を持っていた。

バーゲストはレトゥーサの前に立ち、モンスターに剣を向ける。

 

「レトゥーサ殿はファミリアの指揮に専念を、あれ程では無いが、大き目の蠍どもが出てきている。頼む」

 

「…分かった、頼んだぞ!」

 

「ああ…さぁ、来いっ!!」

 

大型蠍はバーゲストに勢いよく突進を繰り出し、バーゲストはそれに合わせて剣を振り下ろす。

 

ガギンッ!

 

(頭から尻尾の先まで大体10M(メドル)…くらいかしら…かなり硬いわね、その割に素早いけれど…)

 

大型蠍は両腕をクロスさせてそれを防ぐと、尻尾をバーゲストに突き出す。

 

「甘いっ!」

 

バーゲストは右手を剣から離し。尻尾の先端を代わりに掴んで止める。

 

(この蠍…!聖者の数字が発動している私と力勝負が出来るなんて…どうやらかなり強いようね…けれど!)

 

剣を押し付けるバーゲストと、尻尾の先端をバーゲストに突き付ける大型蠍の拮抗状態が続き、バーゲストは次に…

 

 

「はああっ!!」

 

「!?」

 

バーゲストは右手で掴んでいた尻尾を力任せに振り回し始め、蠍が宙に浮くと剣を手放し、両手で尻尾を掴み、振り回す。

木々や地面に大型蠍を叩きつけ、振り回しながら最後は勢いよく空へ放り投げる。

 

「【鎖は我が猟犬達、我が敵を捕らえる牙となれ】【チェーン・ハーディング】!」

 

空を飛ぶ大型蠍に鎖を飛ばし、巻き付けると、今度は思いっきり地面に振り落とす。

大きな土煙が上がり、バーゲストは鎖を消して剣を拾う。

 

「キシャァァ!」

 

大型蠍は咆哮を上げながら土煙の中から出て来る。大型蠍を包む甲殻には少しだけヒビが入っていた。 

 

「やはりあれ程の大きさになると硬いな…しかし、剣が刺されば勝てる…!」

 

再び突進してくる大型蠍に剣を向けるバーゲスト。大型蠍は両腕の鋏と尻尾でバーゲストを攻めたてる。

バーゲストはそれを冷静に対応していく。

 

大型蠍が尻尾を突き出し、バーゲストはそれを避けると尻尾が地面に突き刺さる。

そしてバーゲストはその瞬間にすかさず…

 

ザシュ!!

 

「ギシャァァァァァ!?」

 

「やはり尻尾は斬りやすいな」

 

大型蠍の尻尾が切断し、断面から紫色の血が噴き出す。大型蠍はやけくそ気味に右の鋏をバーゲストに突き出すが。

 

ガシッ

 

「ッッ!!?」

 

「狙うなら…此処かっ!!」

 

バーゲストは突き出された鋏を左手で掴み、引っ張って大型蠍の右腕を伸ばすと、関節部分に剣を振り下ろして切断した。

 

「ギシャァァ!!?!??」

 

右腕も切断され、大型蠍は後ずさる。

バーゲストは切断した右腕を放り投げ、大型蠍に迫ると…

 

「ギ…ギギ…ギシャァ…!」

 

「ぬ…?」

 

大型蠍は素早く転換してバーゲストから逃げ始めた。

バランスを崩しながらも、必死に逃げていたのだが…

 

「ギシャァ…!?」

 

「逃がさん」

 

しかし、気付けば大型蠍はバーゲストの左腕から伸びる鎖に捕らわれていた。残った左腕の鋏を鎖に振り下ろすが、まるで切れる気配は無い。そして…

 

「ふんっ!」

 

バーゲストが鎖を強く引っ張り、大型蠍が勢いよく飛んでくる。そして飛んでくる大型蠍に剣を引き…

 

ザシュゥ!

 

タイミングを合わせて突き出し、甲殻を貫いて剣が大型蠍に突き刺さる。更に…

 

「燃えろ」

 

剣から炎が放出され、内側から燃やされる大型蠍は、甲殻の隙間や斬られた断面から炎を噴き出すと、灰になって消滅した。

 

「ふぅ…少々手間取ったな…アルテミス・ファミリアは…」

 

「バーゲスト!」

 

「レトゥーサ殿、そちらも片付いたか」

 

「ああ、バーゲストも無事だったか?あの蠍、かなり強そうだったが…」

 

「ああ、こちらも問題無く片付いた」

 

「よし、なら早く戻るぞ。今回の襲撃はかなりの規模だったからな。暫くは安全に進めるだろう」

 

バーゲストはレトゥーサと共に団員達が居る場所に戻って行った。

 

それからは特に大きな戦闘は無く、当初の目的地に無事たどり着く事が出来た。

 

「着いた〜!今日も大変でしたねぇ…」

 

「着いたからってあまり気を抜くなよ、ランテ」

 

「分かってますよ団長〜!けど、バーゲストさん凄かったですね〜…って…凄い…モンスターの返り血が…」

 

ランテがバーゲストを見ると、バーゲストは蠍のモンスター達の返り血を大量に浴びた状態になっていた。

 

「あの大きな蠍がやはりな…早く洗い流したいものだ…」

 

「ふむ…では、陣地の設営が終わったら、皆で水浴びに向かうとしよう」

 

「………え?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

陣地の設営した後、バーゲストはアルテミス・ファミリアの面々と近くの川に水浴びに来ていたのだが…

 

(無理無理無理無理!私は元男!女性の方々の水浴びに混じるなど断じて許される事ではありません!)

 

と、そんな感じで顔を真っ赤にしながら目を瞑って川に身を沈めていた…自分が一番凄い身体をしている癖に…

 

(何故…何故こんな事に…!)

 

 

 

 

「え〜!バーゲストさんも一緒に水浴びしましょうよ〜!」

 

「い、いえ、私は皆さんが浴びた後で行きますから…」

 

「いやいや!バーゲストさん凄い汚れてますから!早く綺麗にしましょう!」

 

「そうですよ!」

 

「一緒に行こうよ!」

 

ランテを筆頭としたアルテミス・ファミリアのメンバーに迫られ、タジタジなバーゲスト。助けを求めるようにレトゥーサやアルテミスに目を向けるが。

 

「いや、私も早くその返り血を洗い流した方が良いと思うぞ」

 

「そうだな。遠慮する必要は無いぞ、行こう」

 

残念ながらバーゲストが望んだ救いは得られず、結局一緒に行く事になってしまったのだった。

 

 

 

 

「それにしてもやっぱり…バーゲストさんの体、凄いですね…」

 

「ああ、色んな意味で大きいな」

 

「髪も凄い綺麗〜!」

 

「ア、アリガトウゴザイマス」

 

自身の容姿を褒めているアルテミス・ファミリアの裸体を極力見ないように努力しながら平常心を保つ。

 

(最悪直視してしまったとしてもランテなら大丈夫ですわ!)

 

「何でしょう、今凄く馬鹿にされた気がします」

 

「気のせいだろう。それよりお前たち、あまりバーゲストに詰め寄るな、落ち着けないだろう」

 

『はーい』

 

離れた場所で見ていたアルテミスの一言でバーゲストから離れる団員達。バーゲストはホッとした表情を見せたその時、事件は起こった。

 

「あっ」

 

「うわっ…!?」

 

「っ…!?」

 

ランテの足とレトゥーサの足が引っかかってしまい、レトゥーサがバーゲストの方に倒れていく。

バーゲストは座っており回避出来ず、ハッとした表情で顔を上げた瞬間…

 

フニュン…

 

「「………」」

 

「ふ、二人とも大丈夫ですか…?」

 

バーゲストは倒れてきたレトゥーサの胸部を顔面で受け止めるような状態になっていた。

レトゥーサはバーゲストの肩を支えに直ぐに立ち上がる。

 

「すまない、バーゲスト!大丈夫か!?………バーゲスト?」

 

レトゥーサがバーゲストを呼ぶが、バーゲストは顔面が宇宙猫の状態でレトゥーサの顔を見上げていた。

因みにレトゥーサは大きくは無いが小さくも無いサイズである。

 

バーゲストは肩を揺らされると顔を段々赤らめ…

 

「ちょっと滝に当たってきます!!」

 

と言って滝がある方に急いで向かって行った。

 

「え、滝!?」

 

「何故に滝…」

 

「バーゲストさーん!?」

 

バーゲストは滝に当たりながら何かを叫んでいるが、滝の音でそれは掻き消されていた。

因みにランテはレトゥーサに締め上げられていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ…とんでもない目に遭いましたわ…」

 

あの後皆で焚き火を囲いながら食事を済ませ、後は明日に備えて休むだけとなったバーゲスト。

しかし水浴びイベントのレトゥーサへのラッキースケベ事件の所為で眠れずにいた。

 

「グルゥ?」

 

「あなたも、よくここまで頑張りましたね」

 

自身を運んでくれたガネーシャ・ファミリアのドラゴンの頭を撫で、その後は少なくなっていた餌を補充する。すると…

 

「お前も眠れないのか?」

 

「!…レトゥーサ殿、ええ。今は少し…」

 

「私もだ、明日の事を考えると、目が醒める」

 

「そうですね…」

 

(ちょっと別の理由だったなんて言えません…)

 

レトゥーサは座っているドラゴンの側に座ると、トントンと手で自分の隣を叩く。バーゲストは少し考えるとレトゥーサの横に座り、二人は月を見上げる。

 

「…実はな、ずっと前から不安だったのだ。本当に私達だけで、話に聞く恐ろしい怪物…アンタレスを倒せるかどうか」

 

「…レトゥーサ殿はドラゴンを倒す程の実力者でしょう。そんな貴女が…」

 

「だがアンタレスはもっと恐ろしい。私が討伐したドラゴンなどでは比べものにならないだろう。私は…お前が戦ったあの大型の蠍に勝てるかすら怪しい」

 

「……」

 

「不安なのはアンタレスの事だけでは無い。アルテミス様の事もある。もし私達が敗れれば、アルテミスを守る者が居なくなる。それが怖くてな…」

 

「……アルテミス様はただでさえ私達と一緒に戦場に赴きますからね。そういう不安も勿論あるでしょう」

 

「ああ…だが、そんな不安も幾分か無くなった。初めてお前を見たあの日からな」

 

「私が?」

 

バーゲストは意外そうな顔をしてレトゥーサを見ると、レトゥーサは笑みを浮かべたまま続ける。

 

「どんな敵も、どれほど向かって来ても、お前は真正面から全て打ち破っていった。増援が一人だけだと分かった時は少し絶望したが、そんな気持ちもお前は吹き飛ばしてくれた」

 

レトゥーサはバーゲストの方に体を向ける。

 

「バーゲスト、お前に頼みがある」

 

「頼み?」

 

レトゥーサは頭を下げるとこう言った。

 

「もし私達が負けたら、アルテミス様を連れて逃げてくれ」

 

「!!」

 

「そして出来る事なら、私達の代わりにアルテミス様を守って欲しい。たった1日と半日の間柄だが、お前にしか頼めそうに無い」

 

「レトゥーサ…」

 

「無理な頼みだとは分かっている。たが…!」

 

「戦う前から弱気になるな馬鹿者!!」

 

「なっ…!?」

 

頼み込んでいるレトゥーサをバーゲストは大声で叱りつける。

 

「何が私達が負けたら、だ!そんな事を考えている暇があるなら明日の作戦でも考えろ!」

 

「し、しかし、アンタレスとの戦闘で生きて帰れるかの保証は…」

 

「全く…ではこう言おう」

 

バーゲストは立ち上がり、レトゥーサにこう言った。

 

「アルテミス様も、アルテミス・ファミリアの団員達も全員、アンタレスから守り抜く。ヘスティア様の名にかけて、な」

 

「バーゲスト…!」

 

「私は誰も死なせない為に此処にいる…心配するな、オラリオに全員生きて帰れる様に最善を尽くすとも。だから貴公は、団長らしく堂々としていれば良い」

 

レトゥーサは唖然とした表情でバーゲストを見つめると、バーゲストは歩き出す。

 

「ほら、この話はここで終わりです。先に行って休んでますわよ」

 

そう言って離れていくバーゲストをレトゥーサはジッと眺めていると…

 

「グルァ」

 

「うわぁっ!?いきなり舐めるな!!」

 

ドラゴンにいきなり顔を舐められ、顔がベトベトになってしまう。

 

「全く……自分が情け無い…よし、私も休むか」

 

レトゥーサも立ち上がり、自分のテントへと戻って行った…

 

 

 

 

 

 

 

その頃バーゲストは…

 

「恥ずかしい…」

 

(レトゥーサ殿になんて口を叩いてしまったの、私は…!気付けば水浴びの時に来た川に来てしまっていますし…!)

 

「明日、レトゥーサ殿に詫びを入れなくては…!」

 

「そうか?私はとても良かったと思うぞ、君がレトゥーサに掛けてくれた言葉は」

 

「いえ、余りにも失礼な態度を……って、アルテミス様!?」

 

バーゲストの隣にはアルテミスがいつの間にか居た。

 

「ま、まさか、聞いておられたのですか!?」

 

「ああ、偶然な…しかし、君は凄いな。アンタレスから私や眷属達を守り抜くと、ああも断言するとはな」

 

「ええ、私の様な未熟者が何を言っているのか…」

 

「だが、君の言葉に嘘はなかった…大した人間だ。ヘスティアは本当に良い眷属に恵まれたな」

 

「光栄です」

 

アルテミスは月に手を翳し、バーゲストに言う。

 

「君は何故、そこまで強くあれる?何が君をそうさせる?」

 

「私が?」

 

「ああ、見知らぬ私達の為に恐ろしい怪物と戦い、私達を守ると断言した。何故だ?私がヘスティアの友神だからか?」

 

「私は……私がそうするべきだと思ったからです」

 

「それだけなのか?」

 

「はい…私がするべきだと感じたから…それだけなのです」

 

「…そうか、ありがとう。さぁ、もう戻ろう」

 

アルテミスはバーゲストの手を引き、陣地へと戻っていく。

 

「必ず生きて帰ろう、バーゲスト」

 

「はい、必ず」

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ、バーゲストさんやっと戻って来た」

 

「ランテ?まだ起きていたの?」

 

「えへへ、なんだか眠れなくて…」

 

「全く…まぁ、私も人の事は言えませんが…」

 

バーゲストは鎧を脱ぎ、寝る準備が終わると明かりを消して横になる。

 

「…バーゲストさん、起きてます?」

 

「…どうしたのかしら?」

 

「いや、寝れるまで少し話しませんか?バーゲストに訊きたい事があって……」

 

「訊きたい事?」

 

「はい…バーゲストさんって…」

 

ランテは真剣な声色でバーゲストに問う。

 

「恋した事って、ありますか…!?」

 

「真剣な声だから重要な事かと思ったのに…」

 

「重要ですよ…!で、どうなんですか…?」

 

「私はありませんが…私のファミリアの主神なら」

 

「ええっ!?聞きたいです!」

 

「ダメよ、長くなるから。この話はまた明日しましょう」

 

「うぅ…そんなぁ…」

 

「ほら、いい加減もう寝るのよ」

 

「はぁい…」

 

ランテは残念そうにしながら目を瞑り、少し時間が経つ。すると…

 

「…バーゲストさん…もう寝ちゃいましたか?……明日、絶対皆で生きて、バーゲストさんのファミリアの主神様の話、聞かせてくださいね…」

 

背を向けているバーゲストにそう言ってランテは今度こそ眠りについた…

 

(…ええ…必ず…全員生きて終わりにします…絶対に…私の全てをかけて…)

 

眠っていた振りをしてランテの言葉を聞いていたバーゲストは胸の内にそう固く誓う。

 

バーゲストはアルテミス達を守り通せるのか。

運命は変えられるのか。

アンタレスを倒す事が出来るのか。

 

これより始まるは、女神を殺す物語では無く、ある白兎の英雄が、泣いている女の子を救う物語でも無い。

 

 

 

これは、黒犬であり、太陽の騎士の名を借りる存在が、運命に抗う物語だ。

 

 

 

 

 




如何だったでしょうか、マジでここからはオリジナル展開なので不安一杯で書いてます。大まかな流れは決まっていますが、細かい描写は本当に難しい…戦闘描写も難しいし…私アンタレス戦ちゃんと書けるのか…?
後2〜3話くらいはアンタレス編になると思います。
良ければ感想など是非お願いします!それでは次回もお楽しみに!
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