ダンジョンにバゲ子がいるのは間違っているだろうか?   作:猪のような

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はい、途中まで書いてたやつが消えてモチベが消し飛んでた猪のようなです。皆さん、お待たせしました…いやーダメですよね、自分の書いた作品の中で一番人気あるのにこんなに待たせたら…まあ、オリジナル展開とか難しいんで…気長に待っていただければ…因みに今更ですけどバゲ子のバレンタイン最高でしたね、てか妖精國組皆最高では?それではどうぞ。


第十二話 運命の天蠍

 

 

 

 

 

━エルセスの遺跡、攻略当日。

 

「………」

 

日が昇る直前の時間、バーゲストは鎧を着込み、剣の状態を確かめていた。

 

「バーゲスト」

 

「アルテミス様、おはようございます」

 

「ああ、おはよう…と言っても、まだ日は見えないがな…いよいよか」

 

「はい…他の皆さんは?」

 

「眠そうだが、皆準備している」

 

「申し訳ありません、私のスキルが午前の日が出る時のみに有効な所為で…」

 

「構わない、君は今回の戦いの主力だ、その君が全力を出せる様にするのは当然の事だ」

 

二人が視線を拠点の方に向けると、そこには眠そうにしながら攻略の準備を進めるアルテミス・ファミリアの面々の姿があった。

 

「…さて、そろそろ行こう」

 

「はい」

 

攻略の準備が終わり、団員達が集まると、レトゥーサが前に立って喋り始める。

 

「これより、アンタレス討伐に向けての作戦を説明する」

 

眠そうだった団員達が気を引き締めてレトゥーサの言葉に耳を傾けると…

 

「バーゲストを前に出して突っ込む!以上!」

 

『ちょっと待てぇぇぇぇぇ!!』

 

余りにも簡潔に説明された作戦とも言えるかどうか怪しい内容に、団員達が直ぐさま突っ込む。バーゲストは苦笑し、アルテミスは少しぽかんとしていた。

 

「団長!どうしたんですか!?」

 

「まだ眠いんですが!?」

 

「何時もの団長は一体何処に…」

 

「お前たち、そんなに驚くか?」

 

レトゥーサは咳払いをすると、改めて説明する。

 

「太陽が上がればそこからはバーゲストの時間だ、我々は全員でバーゲストの露払いや援護を担当する。アンタレスに関しては魔法やマジック・アイテムで援護する。今回の戦闘はバーゲストをどれだけ消耗させずに短時間でアンタレスの元へ向かう事が重要だ、皆、頼むぞ」

 

『はい!』

 

「よし…ではアルテミス様、戦いの前に皆にお言葉を」

 

「ああ」

 

レトゥーサと入れ替わりでアルテミスが前に立ち、話始める。

 

「皆、ここまで良く頑張ってくれた。だが本番はこれからだ、アンタレスがどれほどの強敵かは分からない…だが、私達なら、皆が生き残って勝利する事が出来ると信じている…必ず生きて、オラリオに皆で帰ろう」

 

『はいっ!!』

 

これより先は未知の世界。その始まりを祝福するかのように、空が明るくなり、日が昇り始めるのだった…

 

 

 

 

 

「はぁ〜、やっぱ皆遠征でおらんと静かやな〜…暇やわ〜…ん?」

 

黄昏の館でのんびりしていたロキはふと窓の外に目を向ける。

 

「何や、今日は雲が多いな」

 

それは、バーゲスト達がエルセスの遺跡に突入して、1時間後の出来事だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁぁぁぁっ!!」

 

バーゲストは剣を振るい、蠍達を吹き飛ばしていく。

 

「バーゲスト!調子はどうだ!?」

 

「問題は無い!魔力も使っていないからな、かなり余裕がある!」

 

「そうか、アンタレスの所まではどうやら一本道だ、このまま道中の魔物を殲滅しつつ、奥に向かうぞ!」

 

バーゲスト達は順調にエルセスの遺跡を攻略していた。

 

(やはりアルテミス様が捕食されていないから、異常な繁殖速度や進化が行われていない…これならアンタレス以外は問題無さそうね…)

 

「よし、この辺りは全滅したな…アルテミス様、ご無事ですか?」

 

「ああ、問題無い」

 

「よし、では早く先に向かうぞ!」

 

その後も特に問題は無く、バーゲスト達は先に進む。やがて…

 

「…!これは」

 

「どうした、バーゲスト?」

 

「…この匂い…間違い無い、この先にアンタレスが居る」

 

「!本当か!?」

 

「ああ…恐らく周りに何匹か護衛がいる筈だ、それは任せても良いか?」

 

「ああ、任された…!皆聞いたな!この先にアンタレスが居る、気を引き締めろ!」

 

そしてその道の先に出ると、広い空間が広がっており、その中央には…

 

 

「…アンタレス…」

 

「あれが…!」

 

今まで見た蠍のモンスター達とは比べ物にならない怪物が、鎮座していた。大きな蠍から更に上半身が生えた様な姿。顔の部分にある一つ目がギョロリと動き、バーゲスト達を捉える。

 

「まるで、階層主…!」

 

「…やはり護衛がいるな、中々の大きさだ」

 

「バーゲストは予定通りアンタレスに当たれ、他の前衛が護衛を相手にする。行くぞ!」

 

バーゲストはアンタレスへと突撃し、レトゥーサ達は護衛の対処に向かう。

 

「ウオオオォォォォ!!」

 

 

アンタレスが咆哮を轟かせ、向かって来るバーゲストに対して下半身にある右腕の鋏をバーゲストの真横から振るう。

 

「ふんっ!!」

 

バーゲストはそれを切り上げると、鋏は上に弾かれる。アンタレスは反対の鋏をすかさず振るうが、バーゲストは跳んでそれを回避し、そのままアンタレスの顔に向かうが…

 

「っ…!くっ…!」

 

アンタレスは長い尾をバーゲストの上から差し向け、バーゲストは尾の鋏に捉えられ地面に拘束される。

バーゲストを挟もうとする尾の鋏と、剣と片手を使ってそれを阻止するバーゲストにアンタレスは上半身の腕の一本をバーゲストに突き出そうとする。

 

「【鎖は我が猟犬達、我が敵を捕らえる牙となれ】!【チェーン・ハーディング】!」

 

バーゲストは足から鎖を伸ばし、アンタレスの足に巻き付けると、鎖がバーゲストを引っ張ってアンタレスの拘束から逃れ、バーゲストの居た場所にアンタレスの腕が突き刺さる。

 

「はぁぁぁぁ!!」

 

バーゲストはそのままスライディングの様に鎖に引っ張ってもらい、鎖が巻き付いているアンタレスの足を切り裂く。

 

「ウオオオォォ!」

 

「先ずは足、一本!!」

 

足が一つ切り落とされたが、アンタレスは少しバランスが悪くなった程度でまだ余裕そうだ。

 

勢いで背後を取ったバーゲストはアンタレスの背後から斬りかかろうとする。

 

(後頭部から剣を刺して炎を流し込めば…!)

 

アンタレスは尻尾を背後にいるバーゲストに叩きつけるが、バーゲストをそれを避けて尻尾の上に乗り、アンタレスの背中に近付く。そしてアンタレスの後頭部に向かって跳ぶ。

 

(取った…!)

 

そう思った瞬間、アンタレスの上半身の腕6本の付け根がぐるりと回転し、腕が全てバーゲストに向けられる。

 

「っ!?」

 

咄嗟に突き出された腕を防御し、頬や脇腹を掠める程度に収めるが、空中で勢いが止まったバーゲストをアンタレスは尾で背後から捕まえる。

 

「しまった…!」

 

(まさか、上半身の腕が背後にまで向けられるなんて…!映画で見た以外の攻撃も想定すれば良かった…!)

 

「ぐあっ!」

 

バーゲストは尾によって後方に投げ飛ばされ、後ろにあった壁に激突する。

 

(くっ、土煙で何も見えん…!)

 

土煙でアンタレスの姿を確認出来ずにいると、煙の向こうから紫色の光が薄っすらと見える。

 

「まさか…!」

 

煙がアンタレスの姿を捉えた瞬間、アンタレスは口から光線を放とうとし…

 

ドゴンッ!!

 

瞬間、背中から爆破が発生し、顔が下を向く。光線は地面に放たれたが、アンタレスは顔を上げてバーゲストに当てようとする。バーゲストは立ち上がり、横に回避すると光線が下から上に振り抜かれ、地面から壁に向けて一本の焼け跡が出来上がる。

 

「バーゲスト、大丈夫!?」

 

「ああ、助かった!」

 

バーゲストに光線が放たれる直前、アルテミス・ファミリアの魔導士が魔法を放ち、アンタレスの射線を逸らしたのだ。

 

(しかし、どうしたものかしら…どうやら背後からの攻撃は対処されるみたいですし、かといって真正面から戦うのは分が悪い…)

 

するとアンタレスは、自身に魔法を放った団員の方を向く。

 

「!まさか…!」

 

「ウオオオォォォォ!!」

 

アンタレスはアルテミス・ファミリアの後方支援班に目をつけ、そちらに突進する。

 

「させるか!【鎖は我が猟犬達、我が敵を捕らえる牙となれ】【チェーン・ハーディング】!」

 

バーゲストは剣を地面に突き刺し、両手から鎖を放つと、アンタレスの背後から大量の鎖が巻き付き、アンタレスの動きを引っ張って止める。

 

「ぐぅ…!」

 

「ウオオオ!」

 

「くっ…大人しく…しろ…!!」

 

バーゲストは炎を放出し、鎖を伝ってアンタレスを燃やす。

 

「今だ!」

 

「これでも喰らえっ!!」

 

アルテミス・ファミリアの団員がそこでポーションの様な物をアンタレスに投擲し、それがアンタレスを包む炎に触れた瞬間…

 

ボゴォォォン!!

 

大爆発を起こした。

 

「うわぁ!ここまで強力なやつだったの!?」

 

「今のうちに離れるぞ!こっちだ!」

 

アルテミスが支援班を引き連れてアンタレスから距離を取る。バーゲストはアンタレスを包む爆煙をジッと睨んでいると…

 

「ウオオオォォォォォォォォ!!!」

 

アンタレスの咆哮が響き、爆煙が一気に晴れる。

 

(…今のは結構効いたのかしら…上半身の腕が2本無くなっている。けれど…火力が足りないわね)

 

爆煙から出て来たアンタレスは全身に焼き痕がつき、上半身の腕が2本無くなっていた。

 

(私の剣も炎も急所を突かなきゃダメージを与えられない。どうにかして懐に潜り込む必然があるわ…)

 

バーゲストが外側が硬いモンスターに対してやって来た柔らかい所を突き刺し、そこから炎を流し込んで内側から焼くという戦い方。アンタレスに対しても同じような戦いを仕掛けようとしていた。

 

(落ち着いて、焦らないで…時間はまだある、マジック・アイテムもまだある。慎重に戦えば勝てる…!)

 

「ウオオォォ!」

 

アンタレスはバーゲストに向き合い突進しながら下半身の鋏を振るう。

 

「そんな単調な攻撃で!」

 

最初と同じように剣で弾こうとし、剣を構えたその瞬間…

 

「っ…!?」

 

バーゲストは、自身から力が抜ける感覚を感じた、そして…

 

ドゴンッ!

 

バーゲストは簡単に吹き飛ばされ、再度壁に激突した。

 

「バーゲストさん!?」

 

「ぐっ…ゴホッ…ゲホッ…」

 

ランテが叫んで呼びかける。バーゲストは口から血を吐き出していた。

 

「ウオオオォォォォ…!!」

 

アンタレスの口から光が溢れ出す。標的は、バーゲスト。

 

「か…らだが…」

 

(一体…何が…まずい、身体が重い、攻撃を喰らう)

 

あの光線を喰らえば確実に死ぬ。バーゲストは必死に身体を動かそうとするが、頭がくらくらして上手く動かない。

やがてアンタレスは光線を放ち…

 

「バーゲストさんっ!!」

 

バーゲストは横から衝撃を感じる。衝撃を感じた方に視線を向けると…

 

(ランテ…!?)

 

ランテがバーゲストに横からタックルしながらアンタレスの射線から逃げようとしていた。

光線が壁を焼きその熱が二人を襲う。

 

これより、バーゲストは試練に激突することになる。

 

 

 

 

 

 

 

 

「バーゲスト!ランテ!!」

 

丁度アンタレスの護衛を掃討したレトゥーサが二人の名前を呼ぶ。土煙で二人の姿は視認出来ず、アンタレスの様子を見ながら助けに行こうとすると、土煙から鎖がレトゥーサの方に向かって放たれる。

 

「!おい、手伝ってくれ!」

 

「は、はい!」

 

レトゥーサが鎖をキャッチし、他の団員と一緒に引っ張ると、土煙からバーゲストとランテが引き摺られる様に出て来る。バーゲストはランテを地面に触れない様に片腕で抱えながら引っ張られ、レトゥーサ達の元まで来る。

 

「バーゲスト!大丈夫か!?」

 

「私より…ランテを…」

 

「ランテ…!おい大丈夫か!?」

 

ランテは気を失っており、背中に酷い火傷を負っていて、どう見ても重傷だった。

 

「私を助けたせいで…すまない…!」

 

「謝るのは後にしろ!お前もポーションを飲め!誰か、ランテを連れて退がれ!」

 

バーゲストはポーションを受け取り、回復していると、アルテミスや支援班も合流する。

 

「それで、さっきは一体何があったんだ?」

 

「分からない…突然、力が抜けて…スキルが発動していない」

 

「そんな、まだ午前の筈だぞ、一体…」

 

するとアルテミスが上を向いて喋る。

 

「雨だ」

 

「雨…?」

 

「見ろ、此処は地下だ、そして水滴が落ちて来ている。恐らく、地上では今雨が降っているんだろう」

 

バーゲストやレトゥーサが地面を見ると、確かに水滴がポツポツと落ちて来ている様だった。

 

「…まずい、太陽が出ていないなら私のスキルは使えない…」

 

「ではどうする?一旦撤退するか?」

 

「いや、それはダメだ」

 

アルテミスは撤退を却下し、アンタレスを睨む。

 

「マジック・アイテムも幾つか使った。これで撤退すれば次に討伐出来る可能性が低くなる。時間も無い、今仕留めるしかないだろう」

 

「…アルテミス様…分かりました…護衛は片付いている。ここからは戦える者全員でアンタレスを叩く。それで良いな?」

 

「ああ…ランテが自分の身を鑑みずに私を助けてくれたのだ…騎士として不甲斐ない…必ず、アンタレスをここで討伐する」

 

「よし、その意気だ…!全員、準備は良いな、行くぞ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、オラリオでは…

 

「では、最後の打ち合わせをします」

 

ベル達が屈んで初めての中層突入前の打ち合わせをしていた。

 

「あそこを抜ければ13階層…中層です。中層以降のモンスターは、炎などによる遠距離攻撃も仕掛けてきます。離れていても、油断しないでください」

 

「うん」

「おうよ」

「分かりました」

 

「では、ここから定石通り隊列を組みます。前衛はヴェルフ様、ベル様は最も負担の大きい中衛を。そしてアルトリア様とリリが後衛です」

 

四人はそれぞれの役割を確認して立ち上げる。

 

「ふふっ」

 

「お?何笑ってんだベル?」

 

「ベル様、緊張感が足りていないのではないですか!?」

 

「ごめんごめん…!でも、こういうのワクワクしてこない?皆で力を合わせて冒険しようって」

 

「…ふっ…ハハハハハハ!そうだよな分かるぜぇ!ワクワクしなきゃ男じゃないもんな!」

 

「リリは賛同しかねますが…でも、お気持ちは分かります」

 

「そうですね、私もなんだかワクワクしてきました!」

 

ベル達は初めての中層攻略に向けて意気揚々といった感じだ。

 

「バーゲストさんも、依頼を頑張っているんだし、僕達も負けてられないね!」

 

「はい、帰って来た時にバーゲスト様が驚かれるくらい、リリ達も張り切っていきましょう!」

 

「そして私は専属鍛治師に…!」

 

「そこかよ」

 

「死活問題なんです!!」

 

(…大丈夫、一人じゃない。バーゲストさんはいないし、同じファミリアじゃないけど、仲間が居る。バーゲストさんも、アルテミス・ファミリアの人達と頑張っているだろうから)

 

「それでは、行きましょう!」

 

「おう!」

 

「よーし、頑張るぞー!!」

 

(バーゲストさん、あなたに頼りきりにならない為に、僕も頑張ります…!)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ポタッ…ポタッ…

 

「あ…あ…」

 

アルテミスの頬に血が落ちる。

 

「ぐっ…うぅ…!」

 

レトゥーサは地面に倒れ伏し、アンタレスを…いやアンタレスが貫いた者を見つめる。

 

「バー…ゲスト…!!」

 

レトゥーサの目には、尻餅をついているアルテミスを庇う様にアンタレスの腕を背中から受け止めているバーゲストの姿があった。

 

「ゴボッ…あ、アルテミス…様…」

 

アンタレスの腕はバーゲストを貫通しており、貫かれた場所と口や目から血が溢れ出る。

 

「良かっ…た…ご…無事、で…うぐっ!!」

 

アンタレスはバーゲストを貫いた状態で持ち上げ、そして遠くに放り投げる。

 

「ウオオオォォォォォォォォ!!」

 

エルセスの遺跡に、アンタレスの咆哮が轟く。

 

自身の血が広がり、その中で倒れ伏すバーゲストはその姿を薄っすらと眺めていた。

 

 

 

 

 

 




んー!元のアンタレスのスペックが分からないんで難しい!やっぱオリジナル展開って大変ですね…さて、このままではバゲ子死んじゃいそうだしアルテミス結局食べられそうだし、どうなるのか…それでは皆さん、また次回をお楽しみにー!
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