ダンジョンにバゲ子がいるのは間違っているだろうか? 作:猪のような
前回、
「うわぁー、久々に来たー!」
「本当、何年振りかしら?」
「ダンジョンに入るようになってから、全然来てなかったねー!」
「いつ見ても、綺麗な景色ですね…オラリオのすぐ近くにあるのに、私、全然縁が無くて…」
「近いって言っても、あの大きな市外壁のせいでオラリオからは望めないし、縁が無いのは仕方のない事じゃない?」
「海と通じる巨大な汽水湖…ロログ湖の湖岸沿いに栄えるこの街は、オラリオにとって事実上の海の玄関です。連日数え切れない船が入港し…異邦の人々と外国の品々で溢れかえり、賑わっています」
アリシアの説明を聞きながら、一行は店が立ち並ぶ区間に足を運ぶ。
「わっ、この
「鱗もモンスターみたいに発達してますねー。モンスターから身を守るためにこうなった、って聞きましたけど」
「そういえば、レフィーヤも海からオラリオに来たんでしょう?」
「はい、そうです。まだ学生の時は、友達と一緒に港町をよく散策してました」
「じゃあ、料理が美味しいお店とか知ってる?後で連れてってよ〜!」
ティオナ達が
(此処が
「どうした、アイズ、バーゲスト?嬉しそうだが、お前たちも興奮している口か?」
少し楽しそうな二人を見てリヴェリアが声をかける。
「…リヴェリアは、この街に来たことがあるの?」
「そうだな。オラリオに入る前も含めて、数えるほどだが。森で暮らすエルフ達の中にはこの潮の香りが苦手だと言う者も多いようだが……私は好きだ」
リヴェリアはそう言って湖を眺める。
「あの窮屈な里には無い、この青い景色を目の当たりにした時、それは感動したものだ…バーゲストはどうだ?初めて見るのだろう、この景色は」
「…ええ、とても素晴らしいわ…誘ってくれたロキ様には感謝しなければいけないわね」
「そうか、それは良かった」
「ほら、きょろきょろせんと進むでー!海が、いや湖がうちらを呼んどるー!」
「何言ってんのよ…そっちが無理矢理連れてきたんでしょう。
女性団員しか連れて来なかったロキに対してティオネは不満があるそうだ。
「本当に私達だけで来ちゃったし…あ〜ん、団長〜…」
「あははは…」
フィンと来られずに残念がっているティオネ。そして一行はロキについて行くと港に到着する。
「さーて、港におるとは思うんやけどなー……お!皆、あっちやー!」
誰かを探していたロキは目的の人物を見つけると、一行を連れてその人物…もとい神の元へ向かう。
「おーい、ニョルズー!」
「ん?ありゃ、ロキ!何年振りか?前に会ったのはつい最近のように感じられるが」
「神々の尺度やと数年なんてあっという間やからなぁ。いや、たまには顔出そうと思ってたんやで?ほんまほんま」
「ウソつけ、このヤロウ。リヴェリアも元気そうだな。お前たちの評判は、市壁の内側から毎日聞こえてくるぞ」
「あまりおだてないでくれ、ニョルズ。名声なんてものは、えてして誇大になるものだ」
「……リヴェリア様、こちらの
ロキとリヴェリアと仲の良さそうなニョルズに関して、レフィーヤがリヴェリアに質問する。
「オラリオに入る前に、色々世話になってな。ロキは天界から交友があるそうだが。オラリオに海産物を恵む、ニョルズ・ファミリアの名前は、お前たちも聞いた事があるだろう」
「ああ、言われてみれば……」
「ニョルズ・ファミリアは大海に出て漁をする漁業系の派閥だ。このメレンで漁のほとんどを彼等が担っている」
「へー、そうなんだー!」
「で、どうしたんだ?いきなりこんな大所帯で押し寄せてきて。フィンやガレスはいないみたいだが……ん?」
ニョルズが一行の面々を見渡していると、ふとバーゲストに目が留まる。
「ロキ、そこの角が生えてる嬢ちゃんって、もしかして【
「ああ、この子な。バーゲストたんって言うねん、ウチのファミリアの子やないけど、今回ちょっとついて来てもろた。にしてもバーゲストたんってやっぱ目立つな…」
「そりゃ、デカくて角が生えた人物なんて目立たない訳ないだろ…話が逸れたな、用件は?」
「実は調べ物ついでに慰安旅行中でな〜。『息抜き』のために、ちょっと教えてほしい事があるんや。自分、当然ここら辺の地理には詳しいんやろ?そこでやなぁ…」
そこでロキはニョルズと何かヒソヒソと話し始める。
「なんか、凄いヒソヒソ話してますけど…」
「私はそれより、ロキが持参しているあの大荷物が気になります…」
少しすると話し終わったロキはニョルズが離れる。
「よし!楽園の場所は分かった!サンキューニョルズ!さあ皆、行くでー!」
そう言ってロキは何処かを目指して歩き始めた。
「なんだろう…」
「いい予感はしないな…」
「楽園とは…?」
女性団員達は嫌な予感がしながらもロキについて行くのだった…
ロキに連れられ歩き続けると、やがて白い砂浜にたどり着く。
「すごーい!白ーい!」
「港か岩場だけだと思ってたのに、こんな浜もあったのね…」
「綺麗…」
皆が白い砂浜に目をキラキラさせていると、ロキが大荷物を取り出す。
「準備は整った!さぁ、アイズたん達───これを着るんやー!」
『こ、これは…!』
大荷物の中に入っていたもの…それは───!
「来たァァァァ!うちの可愛い子供らの『水着姿』キタァァァァァ!!」
なんとアイズ達に用意した水着だった!
「メレンに来た理由、こっちが本命でしょ…?」
「18階層で、何回も水浴びしましたけど…」
「この水着を着た分、なんだか、逆に恥ずかしいです…」
「人数分の水着を、ここまでずっと一人で運んでいたのですか…!」
なんと恐ろしい、この神、まさかこの為だけに女性団員を連れてきたという。水着を着て顔を赤らめている女性団員達を見てロキは興奮しっぱなしだ。
「うぉーっ!うほぉーっ!最高やー!太陽の下で輝く眩しい肢体、ここが真の楽園やー!!」
そう言って団員一人一人の水着を堪能するロキ。しかしふとある事に気付く。
「あれ、リヴェリアとバーゲストたんはー!?うちの可愛いリヴェリアと可愛いバーゲストたんはどこやー!?」
リヴェリアとバーゲストがいなくなっているのである。勿論ロキは二人にも水着を渡しており、非常に楽しみにしていたのだが…
「リヴェリア様は、あっちの岩陰で、水着を持ったまま固まっています…」
レフィーヤが指差す方向には岩陰で水着を持って目の光を失ったまま固まっているリヴェリアの姿があった。
「え〜!リヴェリアの水着姿見たい〜!こうなったら、うちが直接着替えさしたるー!」
そう言ってリヴェリアの元へ走り出そうとするロキをレフィーヤとアリシアのエルフ組が取り押さえる。
「待ちなさい!」
「リヴェリア様にそんな事させません!」
「うわっ、やめるんやー!痛いー!……でゅふふ、しかしほんまオッパイ大きくなったなぁ、アリシアもレフィーヤも」
ロキがそう言うと二人はバッ!とロキから距離を取る。
「き、気持ち悪い…」
「なんておぞましい生物…!」
「割と本気でドン引きしてる、潔癖症のエルフの皆さん…」
「気持ちは少し…いえかなり、分かりますけど…」
するとそこへアイズもやって来る。
「…私も、恥ずかしい」
「!?あ、アイズさんの、水着姿…!」
「わぁー、やっぱりきれー!アイズ、似合ってるよ!」
「そういう問題じゃないんだけど…ティオナ達は…恥ずかしがる筈ないわよね…」
普段から肌の露出が多いアマゾネスの二人は他の団員と違って平常運転だった。
「別に、ねぇ?減るもんじゃないし」
「何時も着てるのとあんまり変わらないし〜…ていうか、バーゲストは?」
リヴェリアの姿は確認出来たが、バーゲストは居ない、皆がバーゲストを探そうとすると…
「お、お待たせしました…」
「あ、バーゲストさん!遅かったですけど、何かあり…」
レフィーヤはバーゲストの姿を見た瞬間、言葉を止めてしまった…
「えっと、この様な装いは初めてですから…少し手間取ってしまい…何か変なところは無いかしら?」
バーゲストの水着は上下共に黒。アナキティが着ている物と同じ様な水着に、少し透けている黒いパレオを腰に巻いている。
「あの、皆さん…?」
「うわー…なんていうか、バーゲスト…うん…やっぱり大きいからかな…?」
「確かに…水着で改めて見ると、あのサイズは反則よね…」
「……大きい…」
「エロいわね」
「ティオネさぁぁぁぁぁん!?」
「うんうん、ちょっとエッチだよね」
「ティオナさぁぁぁぁぁん!?」
全員が感じていた事をあっさりと言ってしまったアマゾネス二人に対してレフィーヤが悲鳴を上げる。
「取り敢えず!良く似合ってるよ、バーゲスト!」
「なんでしょう、嬉しいような嬉しくないような…ロキ様?」
ふとバーゲストがロキの名を呼び、そう言えばこんなバーゲストを目の前にしてあの変態静かだなと、ロキ・ファミリアの面々もロキを見ると…
「………」
ロキは腕を組みながらバーゲストの水着姿を真剣な表情で見ていた。すると…
「…ブハッ」
鼻血を噴いて倒れた。
「ロキ様ぁぁぁぁぁ!?」
バーゲストが倒れたロキに慌てて駆け寄る。
「ロキ様!しっかりしてください!」
「バーゲストたん…うち、死ぬならバーゲストたんのオッパイに埋もれて死にたい…」
「何の話!?」
「うち、初めて筋肉に興奮したわ…」
「だから何の話ですか!?」
「高身長…爆乳…美人…お淑やか…嫁力高い…筋肉…属性てんこ盛りやな…」
「ちょ、ロキ様!?ロキ様ーー!!」
鼻血を流しながら気絶するロキ、そんなロキに必死に呼びかけるバーゲストと、ロキに呆れるロキ・ファミリアの面々だった…
「はぁ、眼福や〜。海やないけど水着に可愛い女の子…ぐふふっ、最高の組み合わせや〜。それに、今ならバーゲストたんの膝枕もついて来る!」
「分かりましたから大人しくしてくださいまし…」
鼻血を噴いたため一旦大人しく休む事にしたロキは、現在布の下敷きの上で日の光をビーチパラソルで防ぎながらバーゲストに膝枕されていた。
「いや〜、ここから眺めるバーゲストたんの下乳も圧巻の迫力やで〜」
「縛り上げてもよろしくてよ?……そういえば、何故私の服のサイズを知っていたのですか?」
「ん?ああ、ぺぺに頼んだら一発やったで」
(ぺぺ殿…!)
バーゲストの脳裏に「テヘペロ☆」と言っているペペローンナの姿が浮かんだ。
「……けど、ホンマにええんか?うちは大丈夫やからバーゲストたんも行って来たらどうや?最近、アルテミスの増援に行って忙しかったやろ?」
「いえ、私は…」
「…何や?バーゲストたんももしかしてアイズたんと同じでカナヅチなんか?」
「そういう訳では無いのですが…私は、こうしてロキ様と一緒に楽しんでいる皆を見ていても充分楽しめています」
「………」
「……ロキ様?」
アイズが泳げる様に特訓している姿を眺めてバーゲストが微笑みながらそう言うとロキは黙り込む。バーゲストは自身の胸でロキの表情が見えないため呼びかけると…
「──ウチって、バーゲストたんと結婚してたんか…」
「は?」
「いや、何でも無いわ、忘れてくれや…ふぅ…さぁて!バーゲストたんの膝枕も堪能したことやし!皆も水遊びを楽しんでる事やし!そろそろ本題に移るかー!」
「湖底の穴の調査ですか?」
「せやでー!バーゲストたん、そっちにある
湖底の調査は『ウィンディーネ・クロス』を使った水着を着ており、発展アビリティ『潜水』を持つティオナとティオネが行うことになった。
「…あの、今更なんですけど、ティオナさん達だけなら、私達が水着になる必要無かったんじゃ…」
「……うおー、行けー、ティオナティオネー!頑張れー!」
「き、聞こえてないふり…」
「我が主神ながら酷いわね、本当に……バーゲストもごめんね、巻き込んじゃって…」
「いえ、お気になさらずに…」
皆でティオナとティオネが戻って来るのを待っていると…
「あ、あれは…!」
湖の中から食人花の触手が大量に現れ、近くにあったガレオン船を襲い始める。
「船が襲われています!無数の触手が船体に巻き付いて…まさか、食人花!?」
「あんな触手プレイ、あのデカいガレオン船でもひっくり返されるで!急いで
「ここからじゃ間に合わない…!ティオナ、ティオネ…!」
水中ではティオナとティオネがガレオン船に向かう食人花を倒し続けていた。
「やばっ、一体仕留め損ねた…!」
「まずい、船に…!」
仕留め損ねた食人花が水面から飛び出し、ガレオン船に向かうが…
「!鎖!?」
飛び出した瞬間に何処からか伸びてきた鎖が食人花に巻き付き、動きを止める。すると…
「ガッッッ…!?」
「なっ…!?」
ティオナ達が攻撃する前に、食人花は灰になった。
「なにっ、なになに!?何が起きたの!?」
「ガレオン船が誰かが飛んで、誰かを仕留めた…!?」
二人は水面から顔を出し、ガレオン船を見上げると、ガレオン船から二人を見下ろす二人のアマゾネスの姿があった。
「…リャガ・ル・ジータ……ディ・ヒリュテ」
「!!…うそ、バーチェ…?」
「──久しい顔がおる」
「!?」
二人が驚いていると、ガレオン船の上から更に二人を見下ろす神の姿があった。
「異邦の国で、まさかいきなりお前たちと巡り合うとは思わなんだ。まさに下界とは神より気紛れよ。それともこれこそが、神と眷族の運命か?」
その神はティオナとティオネを見て笑いながらそう言った。
「カーリー…!」
そんな神…カーリーを見て、ティオネは忌々しげにそう呟いた。
「はぁ…」
神ヘスティアは悩んでいた。自分って、バーゲストに迷惑かけてばっかでお礼も何も出来て無くね?主神としてヤバいんじゃね?と言った悩みである。
「今日のバイトも失敗ばっかりだったな〜…その所為でへファイストスから『今日はもう帰りなさい』って言われちゃったし…明日からもこんな気持ちで、一体僕はどうすれば良いんだ…」
ため息を吐きながらトボトボと歩き、辺りをぶらついていると…
「あら、ヘスティア様じゃない!」
「ん?おー、ペペローンナ君、それに…
ヘスティアは声をした方を向くと、ペペローンナとアストレアがお茶をしていた。
「ええ、久しぶりね。ヘスティア」
「ヘスティア様も良ければどうかしら?なんだか余り元気が無さそうだし」
「あー…やっぱりそう見えるかい?」
「何か悩みがあるのかしら?私達で良ければ、話を聞かせてちょうだい」
「…そうさせてもらうよ…」
ペペローンナの奢りで、ヘスティアも参加する事になったのだった。
「さて、早速本題に入りたいところだけれど…ヘスティア様を元気にするのが先かしらね?」
「そうね、先ずは最近の事を話し合いましょうか?」
「あら、それなら!ヘスティア様って最近【リトル・ルーキー】を助ける為にダンジョンに潜ったんですって?さっきアストレア様から聞きましたよ」
「うぐっ!…その、アストレアのとこの子には世話になったね…」
「ふふっ、良いのよ。リューが自分で行くと決めたのだし、それで、その話とても興味があるわ。リューからはまだ聞けてないし、良ければヘスティアから聞かせてくれないかしら?」
「あー…僕もベル君から聞いた部分もあるし、それでも良ければだけど…」
ヘスティアは、ベル達の中層初攻略に関して語り始めるのだった…
最初は順調だったそうだよ、四人パーティーで火力も案外足りてたらしいし。
「上出来じゃないか?」
「うん、全然歯が立たない相手じゃ無い。ヘルハウンドの火炎攻撃も、アルトリアさんが対処してくれるし」
「今回は遠距離に専念するので、バッチリ援護します!」
けど、アルミラージが大量に出て来たところから雲行きが怪しくなってきて、その後にタケのところの子から
「リリ、大丈夫!?」
「はい…」
「ヴェルフも平気!?」
「ああ、なんとかな…」
「馬鹿言わないでください!思いっきり怪我してるじゃないですか!」
「その様子だとアル坊も平気だな…」
その後も挟み撃ちでモンスターは次々と押し寄せて来て…
「なんでこう中層ってのはモンスターがやって来るのが早いんだ…!」
「中層…だからでしょう」
んで最終的に、上からのモンスターの奇襲でダンジョンが崩落して、ベル君達は二階層も下に落ちてしまったんだ。
「ぐっ…!皆!!」
「私は…大丈夫です…」
ベル君とアルトリア君とサポーター君はなんとか無事だったけど、ヴェルフ君がその時に足を怪我しちゃってね…
「大丈夫?」
「ああ、すまん…」
直ぐにヘルハウンドが炎で攻撃してきたけど、アドバイザー君のお陰でベル君達は『サラマンダー・ウール』を装備してたから、なんとかその場を凌いだんだ。
「アルトリアさんも、さっきから一人で戦ってますけど、大丈夫ですか…?」
「大丈夫です。まだ魔力の篭ったナイフも何本かありますし…それよりベルさんはヴェルフの事をしっかり引き連れてあげてください」
ベル君がヴェルフ君を支えながら移動してたから、消去法でアルトリア君がメインで戦う事になったんだ。
「敢えて下の階層…18階層まで進む手があります」
「18階層…セーフティ・ポイントですか」
「はい、あくまで選択肢の一つですが…」
その後はベル君の判断で18階層を目指す事になって、縦穴を使ったり、サポーター君のアイテムを使ったりで、なんとか凌いでいたんだけど…
「リリ!ヴェルフが…!」
「!リリさん!」
ヴェルフ君とサポーター君が倒れてしまってね…
「…ベルさんはヴェルフを運んでください。リリさんは私が運びます」
「え、けどリリの背負っているバックが…」
「仕方ありません、荷物は捨てます。命には変えられません…ヴェルフの大剣も捨てて行きましょう」
「わ、分かりました」
そんな感じでベル君はヴェルフ君を、アルトリア君はサポーター君を抱えて17階層に突入した。
18階層に向かう途中で丁度ゴライアスが出て来てね…けどそのままなら間に合いそうだったんだけど…
「ぐあっ!?」
「っ、アルトリアさんっ!」
アルトリア君も大分無茶していたからね…18階層への道を直前に転んでしまったんだって。咄嗟にサポーター君を投げて、サポーター君はそのまま18階層に転がっていったらしいけど…
「待っててください、今助けに…」
「私に構わないで!行ってください!!」
「っ!?」
そう叫んだアルトリア君の顔は、とても辛そうだったって。ベル君の頭には色んな事が過ぎったらしいよ?
(バーゲストさんがいれば…!いや、僕がもっと強ければ…!アルトリアさん…!)
その少女は言っていた、バーゲストに見合う盾を作ると。その少女は言っていた、バーゲストと会うのが楽しみだと。
(──そうだ、二人はまだ出会っていない…!アルトリアさんの為にも、バーゲストさんの為にも、絶対、見捨てたり…しないっ!!)
少年は咄嗟に、抱えていた鍛治師を18階層に続く穴に放り投げる。そして少女が転んだ際に手放してしまった魔力の篭ったナイフを拾い、少年の右手に無意識に光が宿る。
ベル君はその時、ある騎士の姿を思い出していたらしい。夢で会った、湖の騎士の姿を。
鐘の音が響き、少年の持ったナイフに光が宿る。少年は刃を、少女に迫る巨人の手に振るった。
指が軽く切れた程度、巨人は気にせず腕を伸ばし続け…
瞬間、切られた手が爆発した。
「ウォォォ…!?」
巨人の右手は吹き飛び、指が周囲に飛んでいく。それは、魔力を放つのではなく、切った箇所に魔力を込め、それを爆発させた攻撃。
「今だっ!!」
何故そんな事が出来たのか少年には分からない。考える暇も無い。巨人が見せた一瞬の隙を狙い、少年は少女を抱えて走る。そして…穴に飛び込んだところで、少年の意識は途絶えた。
「ってな感じで、ベル君達はその後ロキ・ファミリアの面々に保護されたんだ。ベル君は眠ってる間にまた湖の騎士と夢の中で戦った。なんて良く分からない事言ってたけどね」
「あら、私は気になるわ、その湖の騎士…今度【リトル・ルーキー】に会いに行こうかしら?」
「そうね…とにかく、皆無事で良かったわね」
「うんうん!それが何よりだよ!あの後は、リヴィラの街に行ったり、ベル君がヘルメスに唆されたり、他の冒険者がベル君を襲ったり、黒いゴライアスが出てきたり大変だったけど!!」
「ふふ、大変そうだったけど、なんだか楽しそうね…私も機会があれば一度18階層まで行ってみようかしら」
「あらあら、正義の女神様がそんな事言っても大丈夫なのかしら?また18階層で異変が起きたらどうするのよ」
「そうね…けれど私も、偶には自分の手で花を贈りたいのよ…彼に…」
「…彼?」
「ええ、18階層にはね、私の子のお墓があるの…アリーゼ達を守ってくれた、大切な子の墓が…」
「…【無限の剣製】ね…懐かしいわ。彼には色んな人が助けられたもの…」
「「「………」」」
「なんだかしんみりしちゃったわね。それより!結構ヘスティア様の元気も出て来た事だし!そろそろ本題いっちゃいましょうかっ!」
「そうね、ヘスティア。話してくれないかしら」
「うん…僕、実は自分の子の事で悩んでるんだけど…」
はい…という訳で…えー…アストレア・ファミリアの皆さんが生きているという事でね…いや〜…何処の弓兵が介入したんでしょうね。あ!やめて!別にあの弓兵もう出番無いんで!追加したのは許してください!物投げないで!ふぅ…キャラを一人追加する度に…世界観を壊さぬ様にせねばと肝に銘じる私です…それでは、また次回をお楽しみ。