ダンジョンにバゲ子がいるのは間違っているだろうか?   作:猪のような

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アタラナイ…ナニモ…アタラナイ…

「見ろ、ガチャで爆死してしまった者の末路だ」

小説書かないとやってられないよ…私は、ただクリームヒルトさんをお迎えして、バルムンク一家を拝みたいだけなんです…

「頑張れ」

あい…あ、いつも誤字報告ありがとうございます。それではどうぞ。



第十八話 演奏開演

 

 

 

「はぁ!?バーゲストたんの黒犬が消えたぁ!?」

 

「う、うん…カーリー・ファミリアの使っていた宿を調査している途中で…」

 

ロキは調査から帰ってきたアナキティの言葉に驚愕した。

 

「ちょ、ちょい待ち…嘘やろ…」

 

「どうする。もう黒犬に頼った捜索はできないぞ。いやそれより、黒犬が消えたという事は…」

 

「バーゲストたんの身に何かあったかもしれん…単独行動させたんは迂闊やったか…?」

 

ロキは想定外の事態に混乱しながらも、一旦情報をまとめる。

 

「取り敢えず、カーリー・ファミリアは見つけられ無かったんやろ?」

 

「う、うん…」

 

「…訪れたばっかの土地で上手く隠れんぼできるわけない。やっぱり、連中には協力者がおるな」

 

「そうなるな…全く、食人花の件も片付いていないというのに」

 

カーリー・ファミリアに襲撃されレフィーヤを誘拐され、そのせいでティオナとティオネが消えてしまい、続いてバーゲストの行方や安否も不明となり、ロキ達はかなりまずい状況に立たされていた。

 

「…まず、相手狙いをはっきりさせておきたいのですが」

 

「まぁ、十中八九ティオネとティオナ…闘国(テルスキュラ)の『儀式』とかいうのをやろうって腹やろ。あの童女神(クソチビ)も含めて生粋の戦闘中毒者(バトルジャンキー)みたいやしな。そんで、ティオネらもその誘いに乗った」

 

「エルフィ達が襲われた挙句、レフィーヤが攫われたのがティオネ達に火をつけたか」

 

「レフィーヤ…」

 

アイズが攫われてしまったレフィーヤを心配する。

 

「ティオネらとバーゲストたんの捜索は続けるとして…連中は見つけ次第ブッ潰す。アイズたん、斬りまくってええでー。リヴェリアも砲撃(まほう)ブッ放したりー」

 

「この街中でできるわけ無いだろう…」

 

「そもそも、攫われているレフィーヤはどうするのよ…」

 

自分達が何かすればレフィーヤに何かあってしまうのではないかと不安になるアナキティに、ロキは言う。

 

「こう言っちゃあれやけど、レフィーヤにはティオネらを釣る『餌』以上の価値は無い。あっちは真っ向勝負が狙いやからな。人質に取られるなんてまずありえん。まぁ、土壇場になったら何をやらかすか分からんけどな」

 

「その根拠は敵の求めているものが『闘争』そのものであるから、という解釈でいいんだな?」

 

「そーいうことや。全力で殺し合うには人質なんて、雑音にしかならへんやろ。代わりに、あっちはうちらが水を差すんを何としてでも足止めしようとしてくる筈や」

 

「だから思いっきり張り倒せって?コレ、もう殆ど『抗争』じゃない…」

 

「なぁ、アイズたん、連中と戦ったんは自分しかおらんのやけど、あのボインボイン姉妹抜いたら敵の強さってどんぐらいやと思う?」

 

「…他のアマゾネスは、Lv.3から、4」

 

その言葉を聞いたアナキティ達は困った表情を浮かべる。

 

「幹部はともかく、敵の中堅はこっちより厚そうね」

 

「ええ、悔しいですが…」

 

「私やアイズを含め、武器を整備に出しているのも痛いな。予備の武器で間に合わせるとはいえ…」

 

「せめてバーゲストたんがおればなんとかなったかもしれんなぁ…」

 

「……あ…ロキ、渡し忘れてたんだけど…」

 

するとアイズはロキに何か渡すものがあった事を思い出し、ロキに渡した。

 

「ん?なんやコレ、アイズたん?」

 

街長(マードック)さんの家に忍び込んで、見つけた」

 

「……でかした、アイズ」

 

アイズから渡されたものを見て、ロキはニヤリとしながらそう言った。ロキは少し席を外し、戻って来ると指示をだす。

 

「よし…アキ、ちょっとお使い頼まれてくれへん?」

 

「別にいいけど…今から?」

 

「ああ、至急や。やる事は全部そこに書いた」

 

そう言ってロキはアキに手紙を渡す。

 

「分かった…任せて」

 

アキは手紙を持って走って出て行った。

 

「他のもんは引き続き、情報収集も頼む……さて、あとはティオネらとバーゲストたんの方やな…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方その頃、目が覚めたレフィーヤは拘束された状態でカーリーと対面していた。

 

「じゃからぁ、暇潰しにちょこっと話を聞かせてもらうだけでいいのじゃ」

 

「………」

 

「他意は無い。そんなに警戒せんでもいいではないか」

 

面倒くさそうにレフィーヤを説得するカーリーから一旦目を逸らし、レフィーヤは周囲を眺める。

 

(攫われて、目が覚めたらここに…空気が湿ってる。それに僅かに塩気も。つまり汽水湖……ううん、海の近く?手を縛り上げているのは、ただの鎖みたいですし…千切ろうと思えば千切れそうですけど…)

 

「…止めておけ、お主もわかっているじゃろう?不用意に動けばここにいる者が一斉に取り押さえる」

 

「!!」

 

「小声で詠唱を口ずさもう、などという腹積もりもお勧めせん。こやつらも闘国(テルスキュラ)では一端の戦士じゃ」

 

レフィーヤの考えを読んだカーリーは余計な事をしないように忠告する。

 

「鼠の足音にも気付くし、()()()()()()()()()()。喉を潰され、血に溺れながら碌に呼吸できないのも嫌じゃろう?」

 

「…っ!?」

 

「なに、大人しくしていれば危害は加えん。ことが済んだら、解放してやろう」

 

「私は、アイズさん達…ティオナさんとティオネさんを釣るための『餌』ってことですか?」

 

「さて、どうじゃろうなぁ。お主がティオネやティオナの話を聞かせてくれるなら、教えてやらんでもないぞ?」

 

「だから、それは…」

 

「別に弱点を探ろうだとか、そういうつもりではないと言っているだろうに。妾が知らない二人の話を聞きたいだけじゃ。巣立った娘の事を知りたい、親の心境というやつじゃのぅ」

 

そうカーリーは言った。姉妹の事を気に入っていたカーリーは純粋に二人が外の世界でどのように育ったのかを知りたいらしい。

 

「…大した話なんて、出来ませんけど…」

 

「よいよい。大したことのない話を聞きたいのじゃ」

 

「…私が知っているティオネさんとティオナさんは、強くて、明るくて、ダンジョンの『遠征』の時はいつも…」

 

レフィーヤは悩んだ末にやがて二人のオラリオでの様子をカーリーに話し始めた…そして…

 

「あっはははははははは!あのティオネが恋する乙女!?嘘じゃろう。傑作じゃー!だっははははははははっ!!」

 

二人の話を聞いたカーリーは爆笑していた。主にティオネの恋バナを聞いて。

 

「そうか、そうか、あのやさぐれた娘が恋か…なるほど、変わってしまうものじゃのう…あやつは一生鋭いままだと思っていたが、やはり不変の神々とは違うという事か」

 

カーリーはなんだか嬉しそうに笑いながらそう言った。まるで子供の成長を喜ぶ親のように。

 

(子供を見る(おや)の目…ロキが私達を見るような…残忍で、恐ろしい女神様だと思っていたけど…この(ひと)の、眷属への愛はきっと本物…この(ひと)の情に訴えれば、不毛な戦いも止められる?)

 

レフィーヤはカーリーの持つ眷属への愛情を使って戦いをやめてもらうよう説得を始める。

 

「あの、戦いを止められませんか?ティオナさんもティオネさんも、きっと戦いたくないと思っています。カーリー様が、慈悲を恵んでくだされば…

 

「できぬ」

 

「っ!?」

 

そんなレフィーヤの希望を、カーリーはあっさりと簡単に否定し、踏み躙った。

 

「妾は闘争と殺戮を求めてこの下界に降りてきた。確かに子は愛おしい、じゃが唯一無二の娯楽を手放すなど嫌じゃ。御免蒙る」

 

「っ!主神(かみ)様がそんなだから、闘国(テルスキュラ)は殺し合いが絶えないんじゃないですか!?沢山の人が死んでしまうんじゃないですか!?」

 

カーリーの発言にレフィーヤは憤慨し、カーリーに向かってそう吠えた。しかしカーリーは態度を変えずにレフィーヤを相手する。

 

「これこれ、勘違いするでない。闘国(テルスキュラ)は妾が訪れる前からああいった国じゃった。こちらの我儘で国の歴史と文化をねじ曲げようなど、それこそ神の暴挙、下界への冒涜じゃ。子供達からすれば業腹ものではないか?」

 

「それ、は…」

 

カーリーからの反論にレフィーヤは出す言葉を失う。カーリーの言っている事に間違いは無く、何が悪いという話になれば、一番悪いのは古くから続く闘国(テルスキュラ)の文化そのものである。

 

「妾は子等に恩恵を恵んでいるに過ぎん」

 

「………」

 

「……ロキの子よ。何故、妾がティオナ達を国から出したか、わかるか?」

 

まだ納得出来ていない様子のレフィーヤにカーリーは続ける。

 

「え…?」

 

「あやつ等が初めてじゃったからじゃ。闘国(テルスキュラ)から出たいと具申してきたのは」

 

「!」

 

「来る者は拒まず、去る者は追わず…出たいというのなら妾は解放してやるとも。無論、恩恵を授けて育てやった恩…手放す見返りは頂くがのう。だが、どうじゃ。後にも先にも国を出たいと言ったのはティオナ達だけ。他のアマゾネスは国に残り闘争の日々を続けている」

 

カーリーは申し出れば国から解放すると言った。だがそれでも絶えず闘国(テルスキュラ)では生死を賭けた闘争が行われているという事は…

 

「全ては子供達の意志次第。止めても無意味というわけじゃ……妾が慈悲深い女神と勘違いしたのか、ロキの子よ?」

 

「っ…」

 

「子を救う久遠の灯火など、炉の女神にでも任せておけばいい。妾は他の神々と何も変わらん。下界に未知と興奮を求める、快楽主義者よ」

 

そう言ってカーリーはその場から去ろうとする。

 

「待ってください!……貴方の目的は、何なんですか?」

 

「目的か。多々あるが、そうじゃのう。今は……」

 

カーリーは目を見開きながら笑い、レフィーヤに言った。

 

「闘争の行く末。殺戮の果てに生まれる『最強の戦士』とはいかほどのものか…それを見てみたい」

 

そう言ってカーリーは今度こそその場を去ろうとしたが…

 

「あ、そうじゃそうじゃ」

 

再びレフィーヤの前に戻って来た。

 

「…何ですか」

 

「お主にはもう一つ聞かせてほしい事があったのじゃ…お主等と一緒におるあのバーゲストとかいう騎士。あやつは何者じゃ?」

 

「バーゲストさん?なんで貴方がバーゲストさんを…」

 

「あやつの強さは今はどうでも良い。先ほど語ったように、どのような人間なのか言ってくれれば良いのじゃ」

 

「……嫌です、今の貴方には何も喋りたくありません」

 

「頼む」

 

「!」

 

レフィーヤを見つめるカーリーの顔は、真剣そのものであり、よほどバーゲストの事を重要視しているとレフィーヤは理解した。

 

「な、何でそこまで…」

 

「闘争の神であるゆえな。子の強さやその本質を見抜く事は下界に降りてからも使える妾の特技じゃ。バーゲスト…最初見た時は驚いたぞ、お主、あやつの事はどれほど知っておる?」

 

「い、いえ…所属ファミリアくらいしか…」

 

「あやつの種族も知らんと?」

 

「は、はい…」

 

「ふむ…」

 

カーリーはレフィーヤから目を逸らし、顎に手を当てて少し考え込むと、再度レフィーヤを見て言う。

 

「恐らくあやつはエルフか、それに近しいものじゃろう」

 

「なっ…」

 

レフィーヤはカーリーの言葉を聞いて直ぐに反論する。

 

「あ、あり得ません!角が生えたエルフなんて…それに、バーゲストさんは耳が長くありませんし…!」

 

「じゃがのぅ…バーゲストを見た時、妾が感じたのは三つじゃ」

 

カーリーはそう言って指を一本ずつ立てながら説明する。

 

「一つ、太陽の力。どこの太陽神かは知らんが、あやつは間違いなく太陽の加護を得ている。恐らくは生まれた時からな」

 

「太陽の…加護…」

 

「一応訊いておくが、あやつの所属ファミリアは?」

 

「…ヘスティア・ファミリア、です…」

 

「ヘスティア?……ふっ…あっはははははは!」

 

カーリーはそれを聞くと何故か笑い始める。

 

「ど、どうしたんですか…?」

 

「ふふっ…いやなに、先ほど子を救う久遠の灯火など、炉の女神にでも任せればいいと言ったが…まさかその炉の女神の眷属だったとはな…」

 

「は、はぁ…」

 

「さて、話を戻すかの。二つ目に感じたのは妖精、エルフの気配じゃな」

 

「バーゲストさんが…エルフ…」

 

「そして最後、これは少し難しかったが…あの黒い犬を見て確信したぞ。あやつは───」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時刻は夜、それぞれが、それぞれの目的の為に動き出していた。

 

「行くわよティオナ…ティオナ?」

 

「………」

 

「何よ、じっと見つめて」

 

「んーん。勝とうね、ティオネ」

 

「当たり前よ。過去なんてものが追いかけて来るなら、今日で絶対に終わらせる」

 

ヒュリテ姉妹は過去に決着をつける為。

 

「アイズさん、一報です!ナルヴィ達が───」

 

 

 

 

 

 

 

「──分かった。港周辺で、見張ろう。何か見つけたら、閃光弾か、魔法を空に撃って。相手を見つけても、私かリヴェリアが行くまで、仕掛けちゃだめ」

 

「分かりました!」

 

「レフィーヤ…ティオナ、ティオネ…」

 

アイズ達は、仲間を救い出す為に。

 

「ロキ、アイズ達が情報を掴んだそうだ。港で動きがあるらしい」

 

「ん、決まりやな。わかった、うちもこれから漁港の方へ行く」

 

「本来の目的である食人花の件も片付いていない。やることが山積みだな」

 

「あぁ、そっちはアイズ達のおかげで大体の絡繰はわかった」

 

「何っ?」

 

「あとで話すわー…ま、今回の事件に絡まっとる、『糸』の方はわからんけどなぁ」

 

ロキは真相を暴く為に。

 

「来い、来い…ティオネ…早くお前の血を飲ませろ!」

 

アルガナは造船所でティオネを。

 

「瞑想か、バーチェ?珍しいのう。早くティオナと()りたいか?」

 

「………」

 

バーチェは海蝕洞でティオナを。

カリフ姉妹は、己の宿命の相手を今か今かと待ち侘びていた。

 

「ふふっ、聞くまでもなかったか。妾も楽しみじゃ…宴が始まるぞ……さぁ、長い夜の始まりじゃ。───闘争の行く末、どうかこの目に拝ませてくれ、愛しき子供達!」

 

カーリーは、己の欲望を満たす為。そして……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………ふぅ…」

 

バーゲストは暗い路地裏の壁に寄りかかる様に座っていた。

 

「…ロキ様やアイズ達には悪い事をしてしまいましたわね…きっと心配してくれているでしょう……さて…」

 

立ち上がり、路地裏から出ると、バーゲストを月明かりが照らす。

 

「綺麗な満月……ティオナ達が造船所に向かっていますわね…私も向かいましょうか」

 

「グルルルル…」

 

すると暗い路地裏に紛れ込んでいたのか、黒犬がぞろぞろと現れ始める。黒犬は他の路地裏からも現れ始め、バーゲストが居る場所があっという間に黒犬で埋め尽くされた。

 

「かなり大変でしたけれど、なんとか準備出来ましたわね…貴方達、行きますわよ」

 

バーゲストが歩き始め、黒犬達もそれに続き始める。

 

(関わるな、と言いましたわね、ティオネ。それは無理な話ですわ……騎士とは国を守り、人に尽くし、誠を誇るもの…あの盾の騎士はそう言っていた…この場で逃げれば、私は…きっと、私ではなくなってしまう。ですから……あくまでも、自分勝手にやらせてもらいますわ)

 

───騎士は、騎士である為に。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

オラリオの西側、造船所にある魔石灯の光は全て消えており、不気味な静けさが辺り一帯を包み込んでいた。

 

「静かだね…」

 

「ええ、不自然なくらいに。きっと造船所(ここ)に来るように言いつけられたのと、無関係じゃない」

 

ティオナとティオネは暗い造船所を警戒しながら進む。

 

「待っていたぞ、ティオネ、ティオナ」

 

そんな二人の前に、共通語(コイネー)ではなく、アマゾネスの言語で呼びかけた戦士…アルガナがいた。

 

「……ここ、夜遅くでも船大工が働いている筈なんだけど、どうしたの?」

 

「眠ってもらった」

 

「レフィーヤは?」

 

「カーリーとバーチェのところだ。ここにはいない…お前はこの先へ行け、ティオナ。道はすぐわかる。バーチェが、お前を待っている」

 

アルガナはある方向を指差し、ティオナは頷くとそちらに向かって歩き始めた。

 

「……ティオナ、負けるんじゃないわよ」

 

「…うん、ティオネも!」

 

「ティオネ、お前はこっちだ」

 

アルガナはそう言って船がある方に歩き始める。ティオネはそれに続き、やがて連れられてきたのは、ガレオン船の上だった。

 

「こんな船の上で()ろうっていうの?すぐにバレるわよ?」

 

「見つかろうが問題ない。誰も来ることなどできないからな」

 

アルガナがそう言った瞬間、船が動き始める。

 

「船が動きだして…まさか!」

 

「ああ、海上の、そして即席の闘技場だ。私達の国のものより狭いが、な」

 

(沖まで出れば邪魔はまず入らない…どっちかがくたばるまで、勝負を続けられるってわけか…)

 

「カーリーの入れ知恵ね…アンタが望む『儀式』の舞台にはぴったりだわ」

 

船が港から離れ、沖の方に向かっていく。そしてそれを見ていた存在がいた。

 

「見つけた。ティオネ…それに、アルガナ。カルミリア、みんなを呼んで!私は先に行く!」

 

「はい!」

 

アイズはティオネの方にいち早く駆けつけようとする。

 

「ティオネ…!」

 

「オオオオオオオオオォ!!」

 

「!?」

 

しかし、そんなアイズを邪魔する存在が現れた。

 

「あれって…食人花!?」

 

「そんな、こんな時に!」

 

(何で、どうして…本当に、偶然?)

 

まるでロキ・ファミリアに『儀式』の邪魔をさせない為に現れたような食人花は、近くにいた漁師を襲い始める。

 

「う、うわぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

(こうしている間にも船が…沖に出られたら、ティオネが…!)

 

「た、たすけてくれぇぇぇぇぇ!!」

 

「っ──みんな、先に食人花を!」

 

アイズはティオネの方に向かうのを断念し、先に食人花の方を対処する。すると…

 

「ワオォォォォォォォン!!」

 

「っ!?」

 

「今度は何!?」

 

次に犬の遠吠えが聞こえ、アイズは遠吠えの方に目を向けると、建物の屋根の上に、人を一人乗せれそうな大きさの黒犬がいた。

 

「あれは…バーゲストさんの黒犬!?」

 

「ワオォォォォォォォン!」

 

黒犬がもう一度吠えると、メレンの各所から別の遠吠えが聞こえ始める。そして…

 

「あ、アイズさん!黒犬達が、こっちに向かってきてます!」

 

「こんな数の黒犬が…」

 

黒犬達が港に集い、食人花へと向かっていく。

 

「!皆、食人花の相手は黒犬に任せて、住民の避難を優先して!私は黒犬と一緒に食人花を倒す!」

 

アイズは指示を出し、他の団員は住民を避難させに行く。するとアイズの隣に、先ほど吠えていた黒犬が来ると、アイズ見てしゃがむ。

 

「…乗れってこと?」

 

「ワンッ!」

 

「…分かった」

 

アイズは黒犬に跨り、食人花を見据える。

 

「よし、行こう…!」

 

「ワオォォォォォォォン!」

 

食人花に向かって、アイズと黒犬は駆け出した。

 

 

 

 

「お、あれバーゲストたんの黒犬やん…てか数多ない?はー、バーゲストたんホンマ凄いなぁ…」

 

「とりあえず、バーゲストは無事なようだな。姿を見せない理由は分からないが…」

 

「うーん…っと、動いたか。リヴェリア、ここを離れるで!」

 

何かが動いたのを察知したロキは、そう言って動き始める。

 

「なんだとっ!?」

 

「食人花を湖に放っとる黒幕…犯人を追いつめたる。探偵ごっこや」

 

「この状況で、私達もか?あの食人花はどうする?」

 

「黒犬達もおるし、あの数ならアイズたんらだけでも大丈夫やろ。ちゅうか、あそこにみんな集まったら敵の思う壷やと思うで」

 

遠くで黒犬に乗りながら食人花を斬るアイズを見ながらロキはそう言う。

 

「ちょっと、相手にとっても予想外のことが起きとるみたいや…多分、尻尾を出す」

 

「今が、好機だと?」

 

「ああ、言い逃れできん証拠を、現場を押さえたる」

 

「……食人花の方はお前の言う通り、アイズ達だけでどうにかなるだろう。だが、ティオネ達はどうする?」

 

「うちは、うちの眷属達(こどもたち)を信じとる。なーんも問題ない」

 

「………」

 

「それに魔法をブッ放して街を火の海にするわけにもいかんやろ?できへ〜んて自分も言うとったやん。戦闘はアイズらに一任や」

 

「…致し方ないか。わかった。アリシア、来い!手を貸せ!」

 

「は、はい!……私、ですか?」

 

リヴェリアはアリシアを引き連れてその場を離れていった。

 

()()()はリヴェリアらに任せてと……怪我が治ったばっかで悪いけど、エルフィ達は付いてきてやー。うちの護衛(おもり)、頼むで」

 

「わ、わかりました!」

 

「さぁて…ここらが詰めやな」

 

エルフィ達を連れて歩き始めたロキはそう呟いた…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そしてティオナは、アルガナの指示した通りに進んでいた。

 

「道はすぐわかるって言ってたけど、どういうことだろう?………?この匂い…」

 

(知ってる匂いだ。血、ううん、闘技場の中で嗅ぎ慣れた──闘国(テルスキュラ)の臭い)

 

ティオナは匂いがする方向に進んでいくと、やがてある場所にたどり着く。

 

「ここは…海蝕洞?なんかダンジョンみたい」

 

ティオナは海蝕洞の中に入っていく。

 

(自然にできたものに…手を加えて掘ったのかな。もしかして、レフィーヤもここにいる?)

 

「わかんないけど、この先に進めば──」

 

ティオナは更に進む、すると…

 

「来たのぅ、ティオナ」

 

ティオナの耳にその言葉が届き、同時に視界に一人と一神が視界に現れる。

 

「…!カーリー、バーチェ!」

 

「……」

 

(壁の上に他の戦士達も…やだな、本当に『闘技場』みたい)

 

「カーリー、レフィーヤは?」

 

「こことはまた別の空洞に捕らえておる。なに、心配せずとも解放してやろう……『儀式』の決着がついた後でな…こんな日が来るとは思わなんだ……師弟同士、ここまで成長した姿で闘争を迎える時など、な」

 

そう言うとカーリーはティオナの胸を見る。

 

「まぁ、片方の胸はあまり成長しておらんが…」

 

「だから体の話はするなぁー!」

 

カーリーがティオナを茶化し、ティオナが憤慨しているとバーチェは静かに構えた。

 

「…構えろ、ティオナ。死合え」

 

「…戦わなきゃ、駄目?」

 

「何を今更抜かしておる、ティオナ」

 

「私、バーチェと殺し合い、したくないよ…」

 

ティオナにとってバーチェは自分に本を読み聞かせてくれた存在だ。バーチェがそれをしてくれたから、ティオナは今のティオナになったとも言える。

 

「……お前に本を読み聞かせたのは、間違いだったな……」

 

「……バーチェ、また強くなったんだね…Lv.5の戦士を…エルネアを殺したの?」

 

「ああ。アルガナはベルナスを…そして私達はLv.6になった。問答は終わりだ…戦わざるをえなくしてやる」

 

そう言ってバーチェは左腕を上げる。

 

「【ディ・アスラ(食い殺せ)】…【ヴェルグス】」

 

詠唱を唱えると、バーチェの左腕を紫色の液体が覆う。

 

「左腕を覆う、バーチェの付与魔法(エンチャント)…!属性は──『猛毒』!」

 

「アルガナが『蛇』だとすれば、バーチェは『毒蟲(ムシ)』。彼奴の魔法こそ、『蟲毒(こどく)の王』を名乗るに相応しい武器よ」

 

『こーろーせっ!こーろーせっ!こーろーせっ!』

 

周囲のアマゾネス達が、ティオナとバーチェに向かってそう囃し立てる。

 

「っ…!」

 

「逃げられぬぞ、ティオナ。逃すものか。熱狂と興奮、雄叫びは血を呼び、この石棺を唯一の闘技場に変える。ふはははっ!さぁ、始まりじゃ!」

 

カーリーがそう言い、バーチェがティオナに襲い掛かろうとした瞬間。

 

ピキッ…!

 

「!」

 

バコンッ!と音が響き、海蝕洞の壁から鎖が飛び出してくる。

 

「えっ、えっ!?何、なんなの!?」

 

突然の事態にティオナが驚いていると、鎖はティオナに巻き付き、ティオナを引っ張って海蝕洞の壁に縫い付ける。

 

「何であたしがこんな目にー!?」

 

「あの鎖…まさかっ!」

 

「ほう…?」

 

「───その勝負、私が預かった」

 

突然、ティオナが入ってきた方から声が響く。その場にいる全員がそちらを見ると…

 

「ば、バーゲスト!?」

 

「突然何だと思っているだろう。だから簡潔に、分かりやすく言ってやる」

 

バーゲストはティオナ、バーチェ、カーリーを見てこう言った。

 

「彼女を倒したければ、先ずは私を倒していけ!とな」

 

──どうぞ皆様ご観覧。今宵は太陽と月のデュオ。

 

──しかしどうかご注意を。

 

──今宵は黒犬が吠える時。

 

──皆様の望む演奏は、遠吠えで掻き消されるでしょう。

 

──もしそれがお望みなら、どうぞ今宵は楽しんで。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




やっと…終盤に差し掛かってきたな…

「寄り道長すぎ定期」

それな、誰かぁ!時系列をもっと簡単に教えてください!

「アポロンの後にクノッソスあるとか草」

草生やすなあ!私滅茶苦茶悩んでるんだぞ!スケジュールがキツすぎて、あっこれヤバくね?とかいつも思っているんだぞぉ!

「頑張れ」

クソがぁ!!……それでは皆さん、次回もお楽しみに。
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