ダンジョンにバゲ子がいるのは間違っているだろうか?   作:猪のような

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最近ようやくダンまちⅣを見終わったんですけど…ダンジョンのジャガ丸君強すぎぃ!あんな強いなんて僕知らなかったんですけど!あれ相手に犠牲を自分だけにして時間稼ぎしきった弓兵がウチの小説に居るってマジぃ!?……あの弓兵、原作でバーサーカーの足止め出来るんだからワンチャンいけるか…?それでは、どうぞ。


第二十話 神の宴

 

 

 

 

 

「おかしいな…」

 

バーゲストを見守り続ける神は、馬車に乗ってオラリオに戻っていくバーゲストを見てそう言った。

 

「……やっぱりおかしい…僕がこの世界にバーゲストの身体を入れる際に、身体的な要素を幾つか改変した筈…なのに…」

 

神はバーゲストを観察する中で疑問に思った事を調査していた。

 

「…身体の構造、人間に寄せて作った筈なのに…これは間違いなく妖精(エルフ)…原作に近いバーゲストの身体になっている…手違いが起きた…?いや…」

 

神はバーゲストが映っている画面を横にスライドすると、アルトリアが映る画面に切り替わる。

 

「……もしかして、何かあるのか…?」

 

神は暫く画面をジッと見ながら考え込む。

 

(何も無ければ良いけど…彼の身体が原作に近い状態のままなら……()()も残っているかもしれない…どうしたものか…)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

神の宴(パーティー)?」

 

「そう!何かアポロンが何時もとは違った面白い感じでするってさ〜…バーゲスト君も行かないかい?」

 

無事(バーチェに引っ付かれるのを何とかして)オラリオに帰還してホームに戻り、送ってくれたロキがヘスティアと喧嘩を始め、両者を宥めながらリヴェリアがロキを連れて行った後、ヘスティアから言われたのはそれだった。

 

「なるほど…必ずファミリアのメンバーを最低でも一人、最大で二人までを連れてくるように…ですか…」

 

「そうそう!ちょっと断る訳にもいかないし、どうせなら皆で行こうよ!」

 

「そうですね…分かりました。ではドレスの準備もしなければいけませんね。ぺぺ殿の店に行かなくては…」

 

「いやいや!バーゲスト君は帰ってきたばかりなんだからゆっくりしててくれ!どうせぺぺならサイズ把握してるし、ボクが行ってくるよ!ぺぺが選ぶドレスなら間違い無いだろ?」

 

「そうですよ!バーゲスト様も向こうで大分無茶をしたようですし、ゆっくりしててください!」

 

「そ、そうですか…分かりました…今日は休む事に専念します」

 

ヘスティアとリリルカに言われてバーゲストはホームでゆっくり休む事にしたのだった…

ヘスティアとリリルカがぺぺの店に行ってしまい、ベルと二人きりでホームにいる事になってしまった。

 

「えっと…何があったんですか?凄いボロボロになったって聞きましたけど…」

 

「そうね…フィン団長殿の気持ちが少し分かった気がするわ…」

 

「?」

 

「ベル、貴方も気をつけなさい。アマゾネスというのはね、自分の恋に命を賭けてるのよ」

 

「ホントに何があったんですか!?」

 

「バーゲストさーん!!盾壊れたって聞きましたよー!!」

 

ベルが困惑した所でアルトリアが地下にやって来た。

 

「アルトリア?確かに盾が壊れたから、時間がある時に持って行こうと思ったのだけれど…誰から聞いたの?」

 

「ロキ・ファミリアの人が伝えに来ましたよ」

 

「気を使わせてしまったかしら…お礼を言っておかないと…」

 

「取り敢えず盾は持っていきますね。明日はパーティーに行くから探索は無しですよね?明後日、ダンジョンの前で渡しますから!」

 

「ええ、ありがとう。直ぐ壊してしまって申し訳ないわ」

 

「大丈夫ですよ!何個かの切り傷と凹みくらい、ちょちょいのちょいですから!」

 

アルトリアはバーゲストの盾を持って去ってしまった。暫くベルと話して時間を潰していると、ヘスティアとリリルカが帰ってくる。

 

「戻ったぞー!バーゲスト君のドレス、凄く良いのが手に入ったよ!」

 

「ええ、流石ぺぺ様ですね。試着しなくても絶対に似合うと分かるドレスでした」

 

「そこまで言うなんて…どんなドレスか見せてもらっても?」

 

「ふふふ…これだっ!」

 

「……え…」

 

バーゲストはヘスティアが出したドレスを見て絶句した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして迎えた神の宴当日…

 

ベルもきちんと正装にして来たが、初めて着る服に慣れないのかソワソワしており、その隣に立つバーゲストは逆に堂々と佇んでいた。

 

「似合ってるぜ、ベル君、バーゲスト君!」

 

「あ、神様…」

 

そこにヘスティアが合流し、二人の姿を見てうんうんと頷く。

 

「そんなに緊張しなくても大丈夫さ、ベル君」

 

「あ、そ、そうですか…」

 

「ヘスティア様も、良く似合っていますわ」

 

「ふふ、ありがとうバーゲスト君。君のドレス姿も最高だぜ」

 

(いやまぁ…それもその筈…このドレス…)

 

バーゲストはチラリと自分の着ているドレスに目を向ける。

 

(バーゲストの第二再臨のドレスですもの…やっぱりぺぺ殿は何か見えているのでは…)

 

まさかの第二再臨ドレスが用意され、びっくりしているバーゲストがそんな風に考えていると、ミアハとナァーザの二人が近寄ってくる。

 

「本当にすまんなヘスティア。服も馬車も、何もかも手配してもらって」

 

「何、ナァーザ君の為さ。偶には贅沢も必要だよ」

 

「ありがとうございます。ヘスティア様」

 

「タケミカヅチ達も、もう着いてる頃だろう。そろそろ行こうか!」

 

「あ、はい!」

 

「分かりました」

 

そうしてミアハ達と共に会場に入ると、真っ先に声をかけて来る神が現れる。

 

「お、ヘスティア、ミアハ!ベル君達もいるじゃないか!」

 

ヘルメスはヘスティア達を見かけて近付いてくると、タケミカヅチも一緒に居た。

 

「相変わらず騒々しいなヘルメス…まさかタケも一緒に居たとはね」

 

「別に好き好んで一緒に居た訳じゃ…」

 

「水臭いぜタケミカヅチ!俺たちベル君の救出作戦に一緒に当たった中じゃないか〜!」

 

「おいやめろ暑苦しい!」

 

肩を組んでくるヘルメスをタケミカヅチを引き離すと、ヘルメスはベル達の前に移動する。

 

「うん!命や千草ちゃんも素敵だが、三人とも決まってるじゃないか。だが見てくれ!ウチのアスフィも中々だろう?」

 

そう言ってヘルメスが手を向けた方向には白いドレスを着たアスフィが居た。

 

「や、やめてくださいヘルメス様。本気で殴りますよ…」

 

「照れてるアスフィも可愛いぜ…」

 

ヘルメスがアスフィの耳元でそう呟いた瞬間…

 

ドゴンッ!!

 

っと音が聞こえ、ヘルメスは吹き飛ばされて壁に激突してしまった。すると…

 

「諸君!今日はよく足を運んでくれた!」

 

「お、主催のご登場だ」

 

(神ヘルメスは何故無傷なのでしょう…)

 

壁に激突したのも何も無かったかの様にしてに声がする方に視線を向けたヘルメスにバーゲストはちょっと引きつつ、バーゲストも声がする方に視線を向けると、会場の上の方から一柱の神と三人の眷属が姿を見せた。

 

「あの方が…アポロン様…」

 

「はい、そのようです」

 

(アレがアルテミス様の兄であるアポロン様か…それであの男が団長のヒュアキントス…ベルを散々痛めつけた男ね…)

 

「今日は私の一存で普段と趣向を変えてみたが、気に入ってもらえただろうか?日々可愛がっている子供達を着飾り、こうして宴に連れ出すというのも、また一興だろう」

 

「いいぞーアポロン!」

 

「名調子!」

 

参加した神々が今回のパーティーの趣向について讃えると、アポロンは小さく頷く。

 

「多くの同族、そして子供達の顔を見られて、喜ばしい限りだ。今宵は、新しき出会いに恵まれる。そんな気さえする…」

 

アポロンは会場を一望すると、ベルとバーゲストに視線を向ける。

 

「!」

 

ベルも何か勘づいたのか無意識にアポロンから視線を外す。バーゲストもアポロンをジッと見つめ、何かを考えていた。

 

「さぁ夜は長い、皆存分に楽しんでいってくれ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

皆がそれぞれパーティーを楽しんでいる中、ベルとバーゲストは他の神と話しているアポロンに視線を向けていた。

 

「アポロンと話したいのかい?」

 

するとそこにヘルメスが現れ、二人に話しかける。

 

「あ、いえ、神様とちょっと挨拶をって思って…」

 

「ですがヘスティア様は料理に夢中ですからね…」

 

「アポロンとは、天界の頃から付き合いがあるんだが、面白い奴だよ。特に色恋沙汰の話題が尽きなくてねぇ…なぁ、ヘスティア!」

 

「モグモグ…知らないよ!!」

 

(何かあったのでしょうね…それにしても、先程ベルだけでは無く私にまで視線を向けた気がしましたが、まさか…)

 

「後はそうだなぁ…執念深い」

 

「え、それって、どういう意味…」

 

ベルがヘルメスに聞き返そうとした所で、会場が騒がしくなる。何があったのかと視線を移動させると、女神フレイヤとオッタルが会場に現れていた。

 

「おー、これまた大物が来たなー!」

 

「あの方は…」

 

「聞いた事はあるだろう?フレイヤ・ファミリアの主神、フレイヤ様だ」

 

「フレイヤ様…」

 

「では横の男性が、オラリオ最強の冒険者…オッタル」

 

(いや、多分私一度会っているのだけれど)

 

二人に視線を向けていると、ヘスティアがベルの背中に飛びついてくる。

 

「わわっ!?」

 

「見るんじゃないベル君、バーゲスト君も!子供達が美の神を見ると、たちまち魅了されてしまうんだ!」

 

「ヘスティア様、分かりましたのでベルから降りてください…」

 

ベルとヘスティアがそんな風に騒いでいると、フレイヤが気付いて近寄ってくる。

 

「久しぶりねヘスティア。ミアハ、タケミカヅチもお元気かしら?」

 

「あ、あぁ、まぁね…」

 

「よ、よぉ…」

 

「そなたは今宵も美しいな」

 

タケミカヅチが照れ、ミアハがそう言うとそれぞれ自分の眷属から尻を抓られている。するとフレイヤはベルに近付いて頬に手を添える。

 

「今夜、私に夢を見せてくれないかし「見せるかー!!」」

 

フレイヤの手をヘスティアがベルから離れさせ、ベルに迫る。

 

「君も何赤くなってるんだベル君!この女神は男と知れば手当たり次第食べてしまう奴なんだ!君みたいな奴なんか一瞬で取って食われ…」

 

「貴女でも良いのよ?」

 

「ご冗談を、女神フレイヤ、私なんぞに貴女の相手は務まりません。ですので…あの、ヘスティア様…」

 

「何バーゲスト君にも手を出そうとしてるんだお前はー!!」

 

ベルに話している間に今度はバーゲストの頬を撫でていたフレイヤからバーゲストを救出するヘスティア。フレイヤに対して歯を見せて唸っている。

 

「残念だけど、ヘスティアのご機嫌を損ねてしまったようだし、もう行くわね」

 

そう言ってフレイヤをオッタルを引き連れて離れていった。すると…

 

「此処におったんかドチビ」

 

その声と一声で更に不機嫌になりながらヘスティアは振り返ると、そこにはロキとアイズ、そしてアナキティが居た。

 

「アイズさん…」

 

「いつの間に来たんだよ君は!音もなく現れて地味な事この上ないな!」

 

「うっさいボケ!文句ならフレイヤの色ボケ女神に言えや!ウチらの登場シーン全部持っていきおってからに!!」

 

そこからロキとヘスティアはまた喧嘩を始めてしまった。

 

「ちょ、ちょっとロキ…!」

 

「放っておいて構いませんわよ、アキ。何時もの事なのですから」

 

「え、あ…うん…」

 

「それよりも、ドレス。似合っていますわよ。流石ロキ様、自分の子の事はよく分かっているのでしょうね」

 

「あはは…ありがとう。バーゲストも凄く似合ってるわよ」

 

「ありがとうございます…ん?」

 

「ボクのベル君の方が可愛いんだ!!」

 

「何やと!?ウチのアイズたんの方が可愛いわ!!」

 

何故か倒れそうになっているベルはヘスティアが抱きしめながら今度はベルとアイズどちらの方が魅力的かで口論している二神。

 

「はぁ…お二人とも、その辺りで。いつもの様に喧嘩するのは構いませんが、ベルとアイズを巻き込まないでください」

 

「お、バーゲストたん…うおっ、デッ……エッ……」

 

(今この()変なこと言おうとしましたわね)

 

「あかん、鼻血出そう…めっちゃ似合っとるで、バーゲストたん!」

 

「ありがとうございます。ロキ様も大変お似合いですよ」

 

「むふふーバーゲストたんに褒められた…」

 

「勿論、アイズもとても似合っているわよ」

 

「あ、ありがとう…その、バーゲストも、似合ってる…」

 

「ありがとう」

 

「よし!バーゲストたんと話したら気分も良くなったわ!ドチビに何か言われん内に行こか、二人とも!バーゲストたんも来る?」

 

「ふざけるな!君なんかにバーゲスト君を「お誘いいただき光栄ですが、それはまた別の機会に致します」モゴモゴ…!」

 

「そっか、じゃまた後でなー…あ、そうそう」

 

歩き去ろうとしたロキは振り返って再びバーゲストとヘスティアを見る。

 

「近いうちにフィンとか連れてそっちのホームに行こうと思っとるけん、そのつもりでおってや」

 

「フィン団長を…?分かりました」

 

「ん、ほんじゃさいなら〜」

 

ロキ達は今度こそ去っていき、バーゲストはヘスティアの口から手を離す。

 

「ぷはぁ!全く、ロキの奴め…それにしても、近いうちにまた来るなんて…まさかまた何か頼む気じゃ…」

 

「かもしれませんね…一先ず、今はパーティーを楽しむとしましょう。ベルはいつまでアイズの後姿を眺めているのかしら」

 

「え、あ、すみません」

 

「むむむ…おのれヴァレン何某…!」

 

取り敢えずバーゲスト達も、今はこのパーティーを楽しむ事に専念するのだった…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「フレイヤ様、一つ訊いてもよろしいでしょうか」

 

「何かしら、オッタル」

 

時間経ち、話しかけてくる人物も居なくなったとこらでオッタルは、フレイヤに質問をした。

 

「何故、あの騎士を誘ったのですか?あの者については警戒していた筈…」

 

「そうね…今思えば、少し危険だったかもしれないわ」

 

「危険…?」

 

「魅了が効きづらかったから、少し気になったのよ…彼女、おかしいわね…確かに心は私に魅了されていたけれど…身体の方が反応しないのよね…それに…」

 

フレイヤはバーゲストの頬に触れた右手を見つめる。

 

(触れた瞬間、あの子の魂の奥にある何かが動いていた…まるで…彼女が私に魅了されていく程に、表に出てこようとする…もし…ヘスティアが止めなかったら…)

 

「いけないわね、好奇心だけで動くと…これからは好き勝手に動くのは少し控えようかしら」

 

「是非、そうしてください」

 

「ふふふ…ん?」

 

するとフレイヤの視界にベルとアイズがペアで踊っている景色が入り込んでくる。その瞬間、フレイヤの心に何か黒い感情が湧き上がってきた。

 

「オッタル。ここにミノタウロスの群れを連れてこれないかしら?」

 

「不可能です、フレイヤ様」

 

 

 

 

 

 

 

 

「ぬおぉぉぉぉ!アイズたん!バーゲスト以外のドチビの子と何やっとるんや!」

 

「私なら良いのですか…?」

 

「やめるんだベル君!おのれヴァレン何某〜!!」

 

ベルとアイズが踊る姿を見てヘスティアとロキはアスフィの両脇に抱えられながら叫んでいた。

 

「後でどうなっても知りませんよ、ヘルメス様…」

 

「何、覚悟はしてるさ……っと、バーゲストちゃんは踊らないのかい?」

 

「誘ってくださる方がいないものでして」

 

「お、なら俺が「いえ、ヘルメス様は結構です」あ、そうですか…」

 

(折角だし、踊ってみたいのだけれど…私、ダンスの経験は無いですし、リードしてくれる方…身長差がありすぎるとダンスしにくいと聞きますし、ここは…)

 

バーゲストはこの場でちゃんと自分をリードしてくれる身長差があまり無い人物の元へ向かう。

 

「あら、さっき振りね。ヘスティアの騎士さん?」

 

「はい、先程はきちんとした挨拶も出来ずに失礼致しました。私、ヘスティア・ファミリアの一員であるバーゲストと申します。以後、お見知りおきを、女神フレイヤ」

 

バーゲストが向かったのはフレイヤとオッタルが居る場所だった。

 

「ご丁寧にどうも。知っていると思うけれど、自己紹介しておくわ。私は美の女神フレイヤ、彼は私のファミリアの団長、オッタル。よろしくね」

 

互いに自己紹介を済ませたところで、フレイヤが「さて」と言う。

 

「会いに来たという事は何か用件があるのかしら?もしかしてさっきの誘いを受けてくれるのかしら?」

 

「フレイヤ様…」

 

この人さっき自分で接触は慎重にとか危険って言ってたのに何でまた突っ込もうとするんだ…そうオッタルが思っていると、二人にとって意外な言葉がバーゲストから返ってきた。

 

「いえ、貴女様の寵愛は私には勿体無きもの…それに今回は、オッタル殿に頼みがあってきたのです」

 

「俺に…?」

 

「はい。私、この様な場は初めてであり、折角なので踊りたいのですが、私にダンスの経験は無いので、しっかりリードしてくれそうなオッタル殿にリードを頼みたいのです」

 

「ふーん…なるほど、確かに貴女の体格じゃオッタル以外の人だと手に余るわね…良いわ、オッタル、しっかりリードしてあげなさい」

 

「しかし、フレイヤ様…私には貴女を守る役目が…」

 

「あら、折角の誘いを無碍にするの?彼女、こんな場所に来るのは初めてだそうよ?思い出作りの手伝いくらいしてあげなさい」

 

オッタルは若干納得して無い感じだったが、少し考えると…

 

「…分かりました」

 

「それで良いわ。私の顔に泥を塗る様な事が無いようにね」

 

「はい…それでは」

 

オッタルはバーゲストの正面に立ち、手を差し出す。

 

「私と一曲、踊っていただけるだろうか」

 

「ええ、喜んで」

 

バーゲストは少し微笑みながらその手を取った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ヘスティアとロキは激怒した。必ず、かの邪智暴虐(そんな事は無い)の猛者(オッタル)からバーゲストを取り戻すと決意した。

 

「うぉぉぉ!!何でや、バーゲストたん!どうして色ボケ女神のとこの奴とぉぉぉ!!」

 

「ベル君に続いて君までぇぇぇ!!ボクも二人と踊りたいよぉぉぉ!!」

 

「へ、ヘルメス様…」

 

「はは…この後大丈夫かな、俺…」

 

しかし二人はアスフィに抱えられ動けない。するとフレイヤがそこに現れる。

 

「ごめんなさいね二人とも、あの子を横取りしちゃって」

 

「こんの色ボケ女神ぃ!!バーゲストたんが何でアイツと踊っとるんやぁ!」

 

「まさか、まだ狙っているのかい!?やめるんだ!二人は僕の大切な眷属なんだぞ!!」

 

「仕方ないじゃない。あの子からオッタルにリードして欲しいって頼み込んできたんだから…それとも、二人の身長で彼女をきちんとリード出来るのかしら?」

 

「「ぐ、ぐぬぬ…」」

 

「ははっ、確かに、彼女をリードするなら適任なのは彼だろうね」

 

ヘスティアとロキは悔しげな表情を見せ、ヘルメスはフレイヤの言葉に賛同する。二人とも背が高く、特にバーゲストの方は角があるため非常に目立っているが、周囲からは「意外だが違和感が無い」「お似合いのペア」等の言葉が聞こえていた。

 

「ふふ、お似合いのペアだそうですよ、私達」

 

「…不本意だが、どうやらそうらしい。しかし、初めてにしては筋が良い。緊張もしていないようだ。これならば次からは誰と組んでも問題無いだろう」

 

「ありがとうございます。これもオッタル殿がしっかりリードしてくださるお陰ですわ」

 

「…そうか」

 

(相手が女性の方でしたら絶対緊張していたでしょうね…オッタル殿が居てくださって助かりましたわ…それにしても…こうして近くで見ると…)

 

「凄い身体ですわね…」

 

「何か言ったか?」

 

「いえ、お気になさらずに」

 

(危なかったわ、つい言葉に出てしまった…しかし本当に凄い身体ね…服越しでもはっきり分かるわ…私も筋肉には自信がありますが、これほどのものでは無いわ…本当に…凄い…いけない、集中しないと…やはり少し緊張しているのかしら、私…)

 

 

 

 

「…ん?」

 

フレイヤは踊っている二人を微笑みながら見続けていると、何か変化を察知する。

 

(彼女の魂が動いている…また奥にあるものが表に顔を見せようとしているわ…けど…さっきとは逆…さっきは心が反応していたけれど、今度は身体が反応している…反面、心に反応は無い…これは…)

 

フレイヤの魅了に反応したバーゲストの心。そしてオッタルと踊っている時に反応したバーゲストの身体。フレイヤがこの差について考えようとするが…

 

(…先に踊るのを止めた方が良いかもしれないわね…)

 

フレイヤがそう思い、二人に声を掛けようとした瞬間…

 

「諸君、宴は楽しんでいるかね!」

 

唐突にその声が聞こえ、それと同時に曲が止み、ダンスが止まる。声を出した人物…アポロンは、階段を降りて真っ直ぐベルの方へ歩いて来る。すると会場の明かりが消え、ベルとバーゲストにスポットライトが当たる。

 

「!オッタル殿はフレイヤ様の元へ…って、もういないですわ…」

 

バーゲストがフレイヤの方へ目を向けると、暗い中、フレイヤの横にオッタルは居た。バーゲストはベルの方に向かい、隣に立つと、アポロンも二人の正面に立つ。

 

「…ムッフフ…」

 

「ヒィ…!?」

 

「ベル、落ち着いて、アイズ。貴女は離れていなさい」

 

「う、うん…」

 

アポロンが気色の悪い笑みをベルとバーゲストに向け、ベルの背筋に悪寒が走る。バーゲストはそんなベルを落ち着け、近くに居たアイズを遠ざけた。

 

「二人とも!」

 

ヘスティアが慌ててベル、バーゲストとアポロンの間に割って入る。

 

「やぁヘスティア。先日は私の子供達が世話になったようだねぇ?」

 

「あ、あぁ…ボクの方こそ…」

 

「私の子は君の子に重傷を負わされた。それなりの代償を要求したい」

 

「はぁ?どういう事だい?ベル君だって怪我をして帰って来たんだ!そんな一方的な話が…」

 

「これを見ても言えるのかな!?」

 

アポロンがそう言って自信の背後に手を向けると、その場がスポットライトで照らされ、包帯を全身に巻き、松葉杖を突いている小人が現れる。

 

「痛え!ちょー痛えよぉー!!」

 

「なっ!?」

 

「べ、ベル君?本当にこんな…」

 

「してませんしてません!」

 

「やるとしても私ですわね」

 

「バーゲストさんはするんですか!?」

 

「先に仕掛けたのはそちらだと聞いている。証人も居る。言い逃れは出来ない!」

 

そう言うとパルゥムの背後にアポロン・ファミリアのメンバーが得意げに現れる。

 

「嵌められたな…」

 

外野に居たタケがそう呟き、ヘスティアは焦った表情を見せている。

 

「冗談じゃない!こんな茶番に付き合っていられるか!行くぞ、二人とも!」

 

「ほーう?どうやっても罪を認めないつもりか、ヘスティア?」

 

「くっ…」

 

「ふっ…ならば仕方ない!アポロン・ファミリアは、君に戦争遊戯(ウォーゲーム)を申し込む!」

 

「っ!!」

 

『うぉぉぉぉぉ!!』

 

アポロンが宣言した瞬間、会場に居た神々が一気に湧き上がる。

 

「待ってました、戦争遊戯(ウォーゲーム)!」

 

「容赦ねぇなぁ、アポロン!」

 

「逆に見てみたい!」

 

周囲から次々とウォーゲームを求める声が響き、ヘスティアは顔を更に顰める。そしてアポロンは更に続ける。

 

「我々が勝ったら…君の眷属、ベル・クラネル及びバーゲストを貰い受ける!!」

 

「「はあっ!?」」

 

アポロンからの要求にヘスティアは絶句。外野のロキもベルならともかくバーゲストの事になるとキレそうになっている。

 

「ダメじゃないかヘスティア〜!こんな可愛い子達を独り占めしちゃあ〜」

 

「最初からそれが狙いか、変態め!」

 

「ふざけんなやアポロン!バーゲストたんをお前にやるくらいならうちのファミリアにモゴモゴ…!」

 

「ロキは黙ってて…!」

 

乱入しそうになったロキをアナキティが慌てて止める。アポロンはそんなロキも気にせずに話す。

 

「酷い言い草だ。天界では、愛を囁き合った仲だろう?」

 

「嘘を言うな嘘を!ボクは速攻でお断りしただろうが!…とにかく、こんな茶番に乗るわけないだろ!ウォーゲームなんか受ける義理は無いね!」

 

「ほう……後悔するぞ?」

 

「するものか!行くぞ、二人とも!」

 

「あ…はい!」

 

「……」

 

ヘスティアが真っ先に振り返って去っていき、ベルもそれに慌てて続く。バーゲストはアポロンの方に軽くお辞儀をしてから二人を追うのだった…

 

 

 

 

 

 

 

 

 




いかがだったでしょうか。やっと始まるよウォーゲーム編…それに第二再臨ドレスも出せました!ぺぺさんに感謝ですね。次回からはヘスティア・ファミリアとアポロン・ファミリアの抗争でバーゲストがどのように動くのか、ご注目ください!それではまた次回!
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