ダンジョンにバゲ子がいるのは間違っているだろうか? 作:猪のような
「神様、一体何処に行っちゃったんでしょうね…」
「気にしても仕方ないだろう。それより今から5階層まで行くのだ、しっかり気を引き締めておけよ」
「あ、はい!…それにしてもバーゲストさん、一度もステイタス更新出来てないのに、大丈夫なんでしょうか…」
「私はお前の方が心配なんだがな…」
ヘスティアが留守にしてから一日が経ち、今日も今日とてダンジョンに潜る二人。
「でも、普通はステイタス更新しないまま五階層とか行かないと思うんですけど…」
「だが三階層などでは手応えが無さすぎる。少しでも収入を得る為にも五階層に行くのに問題は無いだろう」
「確かに…」
先程まで三階層でモンスターを倒していた二人だが、あまりに余裕過ぎてしまった為、もう五階層まで降りるか、と先程話し合って決めたのである。
「そういえば、ずっと聞きそびれていましたけど。バーゲストさんのその角は一体何なんですか?」
「これか?これは…ある騎士によれば、私の内に秘めた本能を抑える為の理性の角らしい。私自身この角の事はよく知らないが…昔一度だけ、この角が取れた事があってな…」
「えっ、取れるんですかその角!?」
「ああ、狩りに出かけている時にな。気がつくと周囲は大変な事になっていた。薙ぎ倒された木々、亀裂の入った地面、粉々に砕かれた岩…村から離れていたから良かったものの、もし村の近くだったらどうなっていた事か…」
「す、凄いですね…」
「だから今のところこの角を取る時は本当に危険な時だけだ、そうならない為にも頼んだぞ、ベル」
「はい!」
この後五階層でも無事、無双しまくった二人は昨日より多い収入を得て帰路につくのであった…
ホームに帰ると途中、ベルとバーゲストは青い髪の神と遭遇する。
「ミアハ様!」
「ベルではないか、っとそちらは?」
「初めまして神ミアハ、私は最近ヘスティア・ファミリアに加入した、バーゲストと申します。以後お見知りおきを」
「おお、ヘスティアの新しい
「ええ!そんな、悪いですよ!」
「祝儀と言っただろう。今後もウチのファミリアをご贔屓にな」
「本当によろしいのですか?」
「ああ」
バーゲストはミアハからポーションを受け取ると、ベルがヘスティアが何処に居るか知らないか訊く。
「ヘスティアが?」
「少し前に
「ふむ…まずパーティーというのはガネーシャの開いた宴で間違い無いだろう。私も声をかけられてはいたが、弱小ファミリア故、調合に明け暮れてな…力になってやれずにすまない」
「い、いえ!そんな気にしないでください!」
「謝罪といってはなんだが、このポーションを」
「それはもう大丈夫ですから!」
「む、そうか…では私はこれで失礼する。二人とも気をつけてな」
「はい、ミアハ様。ありがとうございます」
二人はミアハと分かれ、ホームに帰還したのだった。
その翌日も、ヘスティアは戻って来なかった。
ベルはダンジョンに潜りながらヘスティアの事を考えていると…
「ベル、ヘスティア様の事を幾ら考えても、ヘスティア様が戻って来る訳では無いのだ、それより今はモンスターに集中しろ」
とバーゲストに注意され、ベルは気を引き締めて自分に出来る事をしようとダンジョン攻略に臨んだのだった。
一方ヘスティアは…
「……アンタ、いつまでそうやってるつもりよ?私、これでも忙しいんだけど、そこに居られると気が散るの、分かる?」
絶賛神友であるへファイストスに対して土下座を敢行中であった。
「自慢する訳じゃないけど、ウチの品のオーダーメイドがいくらかかるか分かってるの?」
「値が張るのは知ってる、けど!今じゃなきゃダメなんだ!頼むよへファイストス、この通り!」
「この通りって…さっきからずっと思ってだけど、なんなのそのポーズ?」
「土下座、これをすれば絶対頼み事が成功するって、タケから聞いた」
「アイツ。余計な事を…!」
へファイストスはヘスティアに余計な知恵を授けたタケミカヅチを今度会ったらどうしてやろうか考えると、ヘスティアに訊く。
「ヘスティア、教えて頂戴。どうしてそうまでするのか」
「ベル君の力になりたいんだ!あの子は変わろうとしている、一つの目標を見つけて、高く険しい道のりを走り出そうとしている!バーゲスト君がベル君を助けてくれるけど、それが絶対に安全とは限らない。だから欲しい、あの子を手助けしてやれる力が、あの子の道を切り開ける武器が!」
「………」
へファイストスは黙ってヘスティアの話に耳を傾ける。
「ボクはあの子に助けられているだけだ、ひたすら養ってもらってるだけだ!ボクはあの子の神なのに、神らしい事は何一つしてやれない!何もしてやれないのは…ベル君の事をバーゲスト君に押し付けているだけなのは、嫌なんだよ…」
「…変わろうとしている、か…分かったわ」
「!じゃ、じゃあ!」
「武器、作ってあげる。アンタの子にね」
「ありがとう、へファイストス!」
「言っとくけど、ちゃんと代価は払ってもらうわよ。何十年、何百年かかっても」
「うん、分かってる!」
「アンタも手伝いなさい、助手として、しっかり働いてもらうからね」
「ああ、任せてくれよ!」
こうして、ヘスティアとへファイストスによるベル専用の武器の製作が始まった。
「神様…まだ帰って来て無いですね」
「仕方ありません、今日も頑張って資金を稼ぎましょう」
「はい!」
ベルとバーゲストはホームを出て街に出ると、何時もと比べて街の様子が違うことに気付く。
「なんだろう、人が多いですね。何かのお祭りの準備かな…?」
「確かに、今日は何か祭りがあるようですね…」
「おーい!」
二人が歩きながら街の様子を観察していると、後ろから声が聞こえる
「待つニャ白髪頭!頼みがあるニャ〜!」
そう言ってベルに声をかけたのは豊穣の女主人のウェイターの一人であるアーニャだった。
「え?」
「ニャから、おミャーはこの財布をおっちょこちょいのシルに渡すのニャ!」
「え、えーと…ごめんなさい、まだよく話が見えないんですが…」
ベルがそう言うと、今度は同じウェイターであるエルフのリューが現れる。
「アーニャ、それでは説明不足です」
「リューはアホにゃ、店番サボって、
「という訳です」
「なるほど…」
「シルは無論サボった訳では無く、休暇を取っての祭り見物です。今頃財布が無くて困っているでしょう。お願いします、ベルさん」
「分かりました、バーゲストさんも良いですか?」
「ええ、折角ですから私も祭りを楽しんできます」
「じゃあ、今日はダンジョンに行くのやめましょうか…で、あの、
「
「闘技場を一日まるまる占有し、ダンジョンから連れて来たモンスターを観客の目の前で調教するのです」
「ま、要するに、えらくハードな見せ物って訳ニャ!」
「なるほど…」
財布を受け取り、ベルはシルを探す為、バーゲストは祭りを楽しむ為に、それぞれ分かれて行動する事にした。
「………」
フレイヤはある店で自身を呼び出したある神を待ちながら、ある人間の事を思い出していた。
(バーゲスト…)
フレイヤはベルの近くに居たバーゲストの事について考えていた。
(とても気高い魂の色をしていた、他者を思い尽くそうとし、正しくあろうとし、誰よりも自分に厳しい…けれど、何かしら、少しの悪も感じられ無いような魂をしているのに…あの魂の深い深い奥底にある…ほんの少し、一瞬だけ見たそれは…どんな物かは分からないけれど…とても悍ましいものだと感じた…)
フレイヤはバーゲストの中に眠る何かを
(恐らくアレは…世界三大クエスト並みの脅威になり得る。正直に言ってアレを野放しにはしたくはないのだけれど…あの子が彼に良い影響を与えているのもまた事実…暫くは様子見かしら…)
「よぉー!遅なってすまんなー!」
するとフレイヤを呼び出した神であるロキと、その護衛役であるアイズが現れる。
「いえ、私も少し前に来たばかりよ」
ロキはフレイヤにアイズの事を紹介した後に本題に入る。
「で?今度は何企んどる?また何処ぞのファミリアの子を気に入って、ちょっかい出そうとしとんのか?…ったく、諍いの種ばっかり蒔きよって、この色ボケ女神が」
「あら、分別はあるつもりよ」
「抜かせ………責任は取れるんやろな?」
「当然よ、もしかしたら少し付き合ってもらう事になるかもしれないけれど」
「けっ!相変わらずやな……で?どんな奴や、お前の狙とるその子供ちゅうのは?」
「とても頼りなくて、少しの事で泣いてしまう。そんな子……でも、綺麗だった、透き通っていた、私が今まで見たことの無い色をしていた。見つけたのは本当に偶然、偶々視界に入っただけ……っ!」
するとフレイヤとアイズは店の外にベルが居た事に気付く。しかしベルは道を進んで人混みに紛れ、直ぐに見えなくなった。
するとフレイヤは突然立ち上がる。
「どないした?」
「ごめんなさい、急用が出来たわ」
「はぁ?お前いきなり…」
「また会いましょう」
フレイヤはそう言って店から出ようとする。
しかしふと立ち止まると、振り返ってロキの方を見る。
「そうだロキ、あなたに教えておく事があるわ」
「何や?」
「あなたが気に入っていた角の生えた子…あの子は気をつけなさい。私もあの子が危険になるとは思えないのだけれど…とにかく、あの子への接触は慎重にね」
「?」
フレイヤはそう言うと今度こそ店から出て行った。
「何やアイツ…角の生えた子って、バーゲストたんの事やろ、アイツがあんな事言うなんてな…って、勘定もこっちかいな!?」
「さて…」
バーゲストは祭りを楽しみながら、闘技場の方を警戒していた。
「そろそろ何かあってもおかしくないのだけれど…ん?」
バーゲストはモンスターが現れる時を待っていると、ギルド職員が何やら慌ただしく動いているのを発見する。
バーゲストは職員の一人に近付き声を掛ける。
「何かあったのですか?」
「!も、もしや冒険者の方ですか?」
「はい、何やら慌てているようでしたので」
「実は、闘技場の地下からモンスターが逃げ出してしまい…今、周囲の冒険者の皆様に協力を呼びかけています」
「分かりました、モンスターが何処に向かったか分かりますか?」
「はい、あちらの方向にモンスターが何匹か…」
「直ぐに向かいます」
「ありがとうございます!」
バーゲストは剣を取り、教えてもらった方角に向かって進行する。やがて入り組んだ街の中に入ると、住民を襲っているモンスターを何匹か発見する。
「見つけたぞ、モンスター共!」
バーゲストはそう言ってモンスター達に突撃する。
オークが振り返り、バーゲストを視界に入れた瞬間に首を撥ねられ、灰と化す。
他のモンスター達は一斉にバーゲストの方を向く。
「今の内に逃げろ!」
「あ、ありがとうございます!」
バーゲストは住民が逃げるのを確認した瞬間、視界が炎で埋め尽くされ。バーゲストは咄嗟に左腕を盾の様に構える。
バーゲストが炎に飲み込まれ、炎を放ったモンスター、ヘルハウンドは殺したと確信し、他のモンスター達も住民達を追いかけようとしたが…
「おい」
炎の方から声が聞こえ、モンスター達が振り返るとヘルハウンドが放った炎の中から炎が放たれ、ヘルハウンドを焼き払った。
「どうだ?貴様如きが放つ炎など、私の炎に比べれば余りに温いだろう?」
バーゲストはそう言いながらヘルハウンドの炎を左腕で払い、炎の中から現れる。
するとソードスタッグが持ち前の角を武器にバーゲストに突進する。バーゲストはソードスタッグの突進を避ける動きを微塵も見せず、ソードスタッグの突進を真正面から受ける。
ソードスタッグにズルズルと押されたバーゲストだが、徐々に速度を失っていき、やがて止まる。
ソードスタッグはこれ以上進もうとしても進めない為、バーゲストから離れようとしても何故か頭が動かせず、離れる事が出来なかった。
その理由はバーゲストは左腕でソードスタッグの角を掴んでおり、凄まじい力で頭を固定させていたからだ。
「その程度か?【
バーゲストは剣をソードスタッグの首に下から突き刺し、更に剣を通してソードスタッグの体内を炎で燃やし、ソードスタッグは灰になった。
「さあ、次は誰だ!?」
バーゲストはそう言ってモンスター達に近付く、しかしモンスター達は気付いた。「目の前に居るのは自分が勝てる相手では無い」という事に。
それに気付いたモンスター達はバーゲストから一斉に逃げ出す。
「ほう、逃げるか…ならばここからは戦いでは無い、狩りの時間だ…!」
バーゲストはそう言ってモンスター達を追い始めた。
レフィーヤ、ティオナ、ティオネの三人は、地中から現れた未発見のモンスター
負傷し、倒れ伏すレフィーヤに食人花がその頭を近付ける。
「何これっ、邪魔!」
「レフィーヤ、起きて、起きなさい!」
ティオナとティオネはレフィーヤを助けようとするも、食人花から伸びる触手に邪魔され、レフィーヤの元へ行けない。
レフィーヤは朧げな視界で食人花を見つめる。
(…嫌だ……また、私は…きっとまた…)
レフィーヤの頭に浮かんだのは、金色の髪を持ったロキ・ファミリアの剣士。風を纏い戦場でモンスターを斬り裂くレフィーヤが尊敬する存在。
(
今回もきっとそうだと、レフィーヤは思った。
だが次の瞬間、彼女の視界に映ったのは風では無く、炎だった。
食人花は突然上を向くと、炎を纏った剣が口の部分に突き刺さり、炎は食人花の中身を焼き尽くしていく。
「やはり植物は、よく燃えるっ!!」
彼女はそう言って炎の勢いを強める。
そして剣を引き抜き、地面に着地すると食人花は灰になった。
「あな…た、は…」
レフィーヤの前に現れたのは、アイズ・ヴァレンシュタインでは無く、鎧を幾分かモンスターの返り血に染めた、角を持つ騎士、バーゲストだった。
「レフィーヤ!」
次にアイズが到着し、レフィーヤに近寄る。
しかしバーゲストはアイズに向かってこう言う。
「まだ来るぞ!」
バーゲストがそう言った瞬間、地面から更に食人花が現れる。
「また!?」
「6匹!?」
バーゲストとアイズは並んで食人花と対峙する。
「右の3匹を頼む、私は左をやる」
「分かった」
アイズは風を纏い、食人花に斬り込んでいく。
バーゲストは剣を横に払いながら炎を放つと、食人花が一斉に突っ込んで来る。
「二人とも!そいつは魔力に反応するわ!」
「結構!向こうから近付いて来るなら手間が省ける!!」
バーゲストはそう言って食人花の触手を一斉に焼き払うと、食人花の一匹がバーゲストに頭を突っ込ませると、バーゲストはそれを受け止めて左腕と右足で食人花の口を開かせ、その奥にあるもう一つの口に剣を入れると、剣先から炎を放つ。
先程と同じように食人花を体内から焼き尽くし、これでようやく一体倒した。
バーゲストはアイズの方を見るとアイズは食人花に吹き飛ばされており、建物の壁に激突していた。
「ヴァレンシュタイン!ぐっ…!」
1匹がアイズを口で拘束し、残りの4匹がバーゲストに殺到する。ティオナとティオネではダメージを与えられず、バーゲストが仕留めるしかないと思われるが…
(冗談じゃないわ!こっちはレベル1、それにファミリアに加入してからステイタス更新していないのよ!?さっきまで別のモンスターを狩っていたから、コイツらを倒し切る魔力が残っていない!)
バーゲストはそう思い、食人花の攻撃を躱し続けると…
「【森の先人よ、誇り高き同胞よ】」
不意にそんな声が聞こえ、バーゲストは声がした方を見ると、レフィーヤが詠唱を始めていた。
だがしかし、レフィーヤの魔力に反応して食人花がレフィーヤの方を向く。
「させんっ!!」
バーゲストは食人花達に向かって炎を放つと、食人花は再びバーゲストの方を向く。
(こうなったら、
「【我が声に応じ草原へと来れ。繋ぐ絆、楽宴の契り。円環を廻し舞い踊れ。至れ、妖精の輪━━━どうか、力を貸し与えてほしい】」
「ハアァァァァァァ!!」
バーゲストは食人花達に炎を放ち続ける。
食人花達はバーゲストに近付こうにも立て続けに放たれる炎に怯んでおり、近付けずにいた。
一匹だけ、アイズを捕まえている食人花がレフィーヤの元に行こうとするが、ティオナとティオネがそれを阻んでいる。
「【エルフ・リング】!」
レフィーヤが一つ目の魔法の詠唱を終え、二つ目の詠唱に入る。
「【終末の前触れよ、白き雪よ。黄昏を前に
(不味いですね、身体が重くなってきました…)
バーゲストは重く感じる身体に力を込め、食人花達に炎を放ち続ける。
「【閉ざされる光】、【凍てつく大地】!」
「ハアッ、ハアッ、ハアッ…!」
(剣が重い、腕が上がらない、頭が痛い)
「そんなの、知った事か!!」
バーゲストは最後の気力を振り絞り、炎を放つ。
「【吹雪け、三度の厳冬。━━我が名はアールヴ】!」
レフィーヤは食人花に向かって手を翳し、叫んだ。
「【ウィン・フィンブルヴェトル】!!」
その瞬間、強烈な冷気が食人花を襲い、食人花達は一瞬で氷漬けにされ、バラバラに砕け散った。
(で、出来た……守ってくれたアイズさん達を、私の魔法で助ける事が!)
「ありがとレフィーヤ、助かったぁ!」
「て、ティオナさん!?」
「凄い魔法だったわよ」
「うん、リヴェリアみたいだった…ありがとう、レフィーヤ」
「そ、そんな…」
三人から褒められ、レフィーヤは照れながら呟くと、逃げ遅れた迷子の女の子を連れたロキが現れる。
「皆ご苦労さーん」
ロキはそう言って剣を折ってしまったアイズに新しい剣を投げ渡す。
「ロキ…」
「まだ仕事が残っとるでー。アイズは逃げた残りのモンスターを片付けてや。ティオネとティオナは、悪いけど地下水路を調べてきてな、他にも居ると厄介や」
「分かった!」
「レフィーヤは無理せんでええ、ギルドに治療してもらいや」
「は、はい…」
「…ごめん、レフィーヤ」
「はい?」
「服、こんなになっちゃって…」
アイズの服はすっかりぼろぼろになっていた。
この服はアイズがレフィーヤ達と出かけて買った大切な服だったのだ。
「……また買いに行きましょう!」
「うん」
アイズはポーションを取り出し、少し飲むとレフィーヤに渡す。
「残りは飲んで」
「えっ、いいんですか!?」
「うん」
(こ、これってもしかして、間接ほにゃらら〜!?)
レフィーヤが変なことを考えていると、遠くから人の歓声が聞こえてくる。
「人の歓声、何かあったんでしょうかって、あ、アイズさん!が、頑張ってくださーい!」
アイズは歓声のした方に行ってしまい、レフィーヤはそれを見送った。
「ふぅ…あれ?何か忘れている様な…」
レフィーヤは何を忘れているのか思い出そうと、記憶を辿る。
するとレフィーヤの記憶に食人花へと放たれる炎の記憶が蘇る。
「あ、あーっ!!あの騎士の人!」
「あっ!バーゲストたん、すっかり忘れとったわ!」
ロキもレフィーヤの発言でバーゲストを思い出し、一人と一柱が周りを見渡すと…
━━━━倒れ伏している騎士の姿があった。
「っ!バーゲストたん!」
「大丈夫ですか!?」
レフィーヤとロキは慌てて駆け寄り、うつ伏せになっているバーゲストの身体を二人掛かりでひっくり返し、仰向けにする。
「……特に傷は無いな、こりゃ
「よ、良かった…」
「たった一人で4匹も受け持ったんや、レフィーヤを信じてな。この子にも感謝しとき。じゃ、ウチはアイズの方に行くから、バーゲストたんの事よろしく!」
「は、はい!」
ロキはそう言ってアイズが向かった方向に走っていった。
レフィーヤはバーゲストの顔を見ながら思い返す。
(この人とアイズさんが並んで立つ姿、とてもカッコ良かったな…いつか私も、この人と同じ様に…!)
バーゲストの姿を見て、レフィーヤは決意を新たにするのだった。
「………ん、んん……?」
バーゲストは目を覚ますと、視界に入ったのは知らない天井だった。
「此処は…」
「おっ、目が覚めたんか?」
バーゲストが横を見ると、そこには椅子に座ったロキが居た。
「…神ロキ…此処はまさか、ロキ・ファミリアのホーム…?」
「そうや、気分はどうや?立てるか?」
「ええ……大丈夫です、身体に異常はありません」
「そっか、ならええんや」
「えっとそれで…あの後、どうなったのですか?」
「騒動は無事鎮圧出来たで、犯人は分からんかったけど、取り敢えず一件落着や。バーゲストたんもありがとな、ウチの子を助けてくれて」
「いえ、騎士として当然の事をしたまで。感謝されるような事では…」
「真面目かっ!良いからお礼の一つや二つくらい受け取っときぃ!それで、もう動けるんならどうする?」
「直ぐにホームに帰ります、私の鎧と剣は…?」
「今ウチの子に洗わせとる、それよりバーゲストたん!」
「は、はい?」
「もう外も暗いし、晩飯はウチで食ってき!」
「……え?」
気付けばバーゲストは食堂に連れられ、目の前に食事を出されていた。
「ほ、本当によろしいのですか?」
「ええってええって!これもウチの子を助けてくれた返礼や!」
バーゲストは戸惑いながらも食事を口にする。
「お、美味しいです」
「せやろせやろ?」
「あっ!テメェあん時の角女!」
「ん?」
角女聞こえた方を見ると、そこには最近バーゲストが叩きのめしたベート・ローガが居た。
「何でテメェが此処に居んだ!アァ!?」
「ちょいベート、バーゲストたんに手ぇ出すなよ、ウチはベートがバーゲストたんと喧嘩した所為でバーゲストたんがウチに来る気無くした事まだ許してへんからな?」
「まだ言ってんのかよ!大体アレは角女から仕掛けて来たんだろうが!」
「お前がバーゲストたんに喧嘩売られるような事をするから悪いんや!」
「あぁん!?っておい!角女、俺ともう一回勝負ゴフッ!?」
「すまんな、ウチのもんが」
「い、いえ…」
ベートはガレスに引き摺られて連れて行かれた。
「あっ!あの時の!ほら、皆行こ!」
「ちょっと、待ちなさいティオナ!」
「あわわわわ…!あ、アイズさんはあの人の事どう思ってます…?」
「?…強いなって思った」
「お、皆来たなー!ほら、バーゲストたん。花のモンスターの時に一緒に戦った子や、左からティオナ、ティオネ、アイズ、レフィーヤや。仲良くしてやってな」
「バーゲストです、皆さんよろしくお願い致します」
「た、戦ってる時と全然雰囲気違う…!」
「ねぇねぇ!剣から炎を出してたよね!凄かったよ、4体もあのモンスターを引きつけて…」
バーゲストは四人と楽しく会話しながら食事を堪能したのだった…
「食事まで頂いてしまい、申し訳ありません」
「ええってさっきから言うとるやろ…じゃあ、また会ったらそん時はよろしくな」
「ええ、それではまた。さようなら四人共、楽しかったわ」
バーゲストはロキ・ファミリアのホームである『黄昏の館』の入り口でロキ、アイズ、レフィーヤ、ティオナ、ティオネに見送られながら去って行った。
「さて、んじゃウチらも戻ろか」
「ロキ」
「んあ?何やアイズたん?」
「良かったの、こんな事して。フレイヤ様の言ってた事…」
『あなたが気に入っていた角の生えた子…あの子は気をつけなさい。私もあの子が危険になるとは思えないのだけれど…とにかく、あの子への接触は慎重にね』
「……ええんや、バーゲストたんが絶対にええ子や、それは絶対自信を持って言える。アイズたんもバーゲストたんが悪い奴とは思えんやろ?」
「それは、うん…」
「ならええんや」
ロキはそう言ってホームに入っていった…
如何だったでしょうか、良ければ感想などくれると有り難いです。
追加キャラに関してですが、作者がどうして追加したいキャラが居た場合は追加する事もあるかもしれません。ただ一つ言える事があるとすれば、追加するとしても作者はアヴァロン・ル・フェに出たキャラしか出しませんのでそこら辺を了承してくれると助かります。では次回をお楽しみ。