ダンジョンにバゲ子がいるのは間違っているだろうか? 作:猪のような
リリルカの扱いに少し困っており、どうしようかなっと思っています。
サポーターの話という事で、バーゲスト的にも結構重要な話になってくるので、しっかり書かないとですね…それではどうぞ。
「サポーター?」
「はい、エイナさんから雇ってみたらどうだって…」
「ふむ…確かに私達だけでは回収出来る魔石の量に限界がありますものね…」
「じゃあ、サポーター雇ってみます?」
「そうですね、今日ダンジョンから出たらエイナさんに…」
「そこのお兄さん、お姉さん。白い髪のお兄さん、角の生えたお姉さん!」
ダンジョンに向かいながらサポーターについて話していると、突然後ろから声を掛けられた二人は振り向く。
其処には緑色の大きなバックを背負い、フードを被った小さな女の子が居た。
「初めましてお兄さん、お姉さん!突然ですが、サポーターを探していませんか?」
「あれ、君は確か…」
「知り合いですか?」
「いや、知り合いじゃないんですけど…」
「混乱してるんですか?でも、今の状況は簡単ですよ。冒険者さんのおこぼれにあずかりたい貧乏なサポーターが、自分を売り込みにきているんです」
「そ、そうじゃなくて。君、昨日のパルゥムの女の子だよね?」
「パルゥム?リリは獣人…
そう言って女の子はフードを取ると、頭にはシアンスローフ特有の耳があった。
「ホントだ…パルゥムじゃ、ない?」
ベルはそう言って女の子の耳を触って確認する。
「あぁうぅ…!お兄さん…!」
「ああごめん!つい!」
ベルとバーゲストは一旦噴水に座り、女の子の話を聞く事にした。
「えっと、それでリリルカさんはどうして僕達に声を?」
「はい、見たところお二人のようでしたし、冒険者さん自らバックパックを装備していらっしゃったので、恐らくは、と…」
「あぁ…なるほど…」
「確かにどちらもサポーターという格好ではありませんものね…」
「それでお兄さん、お姉さん!どうですか、サポーターはいりませんか?」
「ええっとそれが…出来るなら欲しいかな…と丁度思っていたところで…」
「本当ですか!?なら、リリを連れてってくれませんか?リリは貧乏で、手持ちのお金も心もとなくて……それに、男性の方にリリの大切なモノをあんなにされてしまうなんて…責任を取ってもらわないといけませんね…?」
「うっ……わ、分かりました。それじゃあ取り敢えず今日一日、サポーターをお願いします。バーゲストさんも良いですよね?」
「ええ、サポーターに興味がありましたし」
「ありがとうございます!」
こうしてサポーターであるリリルカ・アーデを加えて、ベルとバーゲストはダンジョンに臨んだのだった。
「ハアァ!」
ベルがキラーアントを次々とヘスティア・ナイフで斬り裂く。
「ベル様、後ろ!」
「っ!」
「させるか!」
ベルに飛びかかろうとしたキラーアントをバーゲストが斬ると、それと同時にキラーアントがもう一体バーゲストに飛びつく。
バーゲストは盾を構えるとキラーアントは盾にしがみつく。
「離れろっ!」
バーゲストは盾を払ってキラーアントを振り払い、壁に激突させる。
「お二人とも、更に来ます!」
前方からキラーアントの群れが更に迫っており、ベルは構え、バーゲストは壁に激突し震えているキラーアントに左手を向ける。
「【鎖は我が猟犬達、我が敵を捕らえる牙となれ】!【チェーン・ハーディング】!」
バーゲストの左腕から伸びた鎖は壁に激突したキラーアントに巻き付き、バーゲストはそのキラーアントを新たなキラーアントに向けて勢いよく引っ張る。
キラーアント同士が衝突し、灰になる。
するとリリルカの近くの壁からキラーアントが壁を突き破って現れる。
「リリ!」
「ベル、行け!前は私がやる!」
「頼みます!」
ベルはリリルカの救援に向かい、バーゲストは剣に炎を宿らせ、キラーアント達に向かって放つ。
バーゲストが放った炎は前方のキラーアントを焼き尽くし、戦闘は終了した。
バーゲストはふぅ…とため息を吐くと、後ろに居るベルとリリルカに視線を向ける。
(この後はベルがナイフを奪われる筈だけど、私が居ると警戒して盗まないかもしれないわね…原作通りに進める為にも、此処は一手打ちましょう)
バーゲストは魔石を回収して二人の下へ戻る。
「二人ともご苦労。リリ、この魔石を頼む」
「はい!」
「バーゲストさん、このキラーアントから魔石を回収したら今日は上がりましょうか」
「む、そうか…なら私は今から奥に何かないか見てくるから、先に二人で戻っててくれ」
「え?けどバーゲストさんを一人には…」
「大丈夫だ、ベルから貰った盾もある。何も問題は無い」
「そうですよベル様!バーゲスト様はすっごくお強いんですから、きっと一人でも大丈夫です!」
「うーん…分かりました、先に戻ってます。あまり遅くならないでくださいね?」
「ああ、ではまた後でな、べル。ではな、リリ」
「はい、バーゲスト様もお気をつけて!」
バーゲストは奥に向かい、ベルは切れ味の悪いナイフでキラーアントから魔石を回収し始めた。
ダンジョンを出た後、ベルはエイナにリリルカの事を話した。
リリルカの所属しているソーマ・ファミリアは一見すると普通のファミリアだが、団員達皆必死で、どこか死に物狂いに見えるらしい。
そしてベルはギルドから出ようとする時に、エイナから腰にある筈のヘスティア・ナイフが無いことを指摘され、何処かに落としたと思って慌てて探し始めた。
「結局あの後モンスターの群れを何個か壊滅させてしまったわね…」
バーゲストは袋に入れた魔石をギルドに行って換金しようと道を歩いていると、横の道から誰かが飛び出してくる。
バーゲストは咄嗟に受け止め、飛び出して来た存在を見る。
「大丈夫かしらって、リリ?」
「ば、バーゲスト様?」
飛び出して来たのはリリルカだった事を確認すると、リリを追う様にリューとシルが現れ、リューがリリルカを見る。
「シアンスロープ?」
「リューさん、それにシルさんも、一体どうされたのですか?」
「先程まで人を追っていたのですが…見失ってしまいました。ああ、バーゲストさん。このナイフ、ベルさんのでは?」
そう言ってリューはバーゲストにヘスティア・ナイフを見せる。
「確かに、ベルのナイフです。どこかで無くしたのかしら…ありがとうございます、リューさん」
バーゲストはリューからヘスティア・ナイフを受け取る。
「何処でこれを?」
「一人のパルゥムが所持していました」
「そうですか…ありがとうございます」
「では、私達はこれで」
シルが最後にリリに何か囁くと、二人は去っていった。
バーゲストは周りを確認し、リリを見る。
(ベルは周りにはいない…やってしまいましたわね、これは…仕方ありません、私が言っておきますか)
バーゲストはリリルカの方を向き、話しかける。
「ですが丁度良かったわ、リリの事を探そうと思っていたの」
「へ…?」
「リリ、明日も私達と、ダンジョンに潜ってくださる?」
「バーゲストさん、ナイフを落としてしまいました!」
「リューさんが見つけてくれてたから、感謝しておきなさい」
「リューさんありがとうございますぅぅぅぅぅ!!」
そして翌日、豊穣の女主人でリューに泣きながら何度も感謝していたベルとバーゲストは再びリリルカを連れてダンジョンに潜っていた。
「ベル様、バーゲスト様。改めて、正式に雇っていただきありがとうございます」
「うん、こちらこそよろしくね」
「ああ、よろしく頼む」
「はい!どこかで、ベル様、あのナイフが見当たらないようですが…?」
「うん。今度は落とさないように、グリーンサポーターに収納したんだ」
そう言ってベルがグリーンサポーターを前に出すと、ヘスティア・ナイフが中に収納されていた。
「そうですか…」
「二人とも、そろそろ行くぞ」
「あ、はい!行こう、リリ」
今日も同じようにモンスターを倒し、魔石を回収して三人はダンジョンを出たのだった。
「「4万5000ヴァリス!!」」
「ゆ、夢じゃないよね!こんなにお金が入るなんて!」
「お二人とも凄いです!たった三人でこれほど稼いでしまうなんて!」
「いやほらぁ!兎もおだてりゃ木に登るって言うじゃない?それだよそれ!」
「全く訳が分かりませんが、今日は便乗しときます!凄ーい!まだまだ上を目指せますよ!」
大量のお金が手に入り、喜んでいる二人を見てバーゲスト「コホン」と咳き込む。
「二人とも落ち着きなさい。お金が沢山入って嬉しいのは分かりますが…」
「っと、そうですね。ベル様、バーゲスト様、そろそろ分け前を…」
「一人1万5000ヴァリスで良いですよね?」
「ええ、それで良いわ」
「じゃあリリ、はい」
「え?」
ベルはリリルカに1万5000ヴァリスを差し出し、リリルカはそれを見て困惑する。
「1万、5000ヴァリス…!?」
「これなら神様に美味しいもの食べさせてあげられるかもしれませんね!」
「あら、私の料理は美味しくないという事かしら?」
「ああぁ!!違います、すいません!そんなつもりじゃないんです!」
「ふふっ、分かっています。ベルもヘスティア様も毎日美味しそうに食べてくれますから」
「べ、ベル様!バーゲスト様!」
リリルカはサッと報酬を渡したベルとバーゲストに問いかける。
「な、なんで山分けなんか…!リリは契約金も貰ってますし…独り占めしようとか、お二人は思わないんですか!?」
「え、どうして?」
「契約金の時も話しましたが、リリ。私達は貴女に頼んでサポーターをしてもらっているのです。貴女が契約金を受け取るのは勿論の事、そして働きに応じた報酬を得る事も何もおかしな事では無いわ」
「そうだよ、僕とバーゲストさんだけじゃこんなに稼げなかったよ。リリのお陰だよ、ありがとう」
ベルはそう言ってリリルカに手を差し出し、リリルカは戸惑いながらもベルの手を握る。
「…変なの…」
「…さて、お金もこんなに入ったのだし、今から一緒に食事にでも行きましょうか」
「あっ!良いですね、ほらリリ、行こう!良い場所知ってるんだよ!」
「あ、ちょ、ベル様!?」
ベルとリリルカは手を繋いだまま歩き出してしまい、バーゲストはその様子を見て少し微笑んだ後に追い始めたのだった。
因みにその姿をヘスティアが見て大変ショックを受けてミアハとやけ酒を飲み、途中から現れたペペローンナに話を聞いてもらったのはまた別の話…
そして翌日。
「う、ううぅ…!」
ヘスティアは思いっきり二日酔いで苦しんでいた。
「大丈夫ですか、神様?」
「コレは今日は看病していた方が良さそうね…ベル。今日は私とリリだけでダンジョンに行くから、あなたはヘスティア様をお願い」
「え、けど残るならバーゲストさんの方が…身体に良さそうなものも作れそうですし…」
「私とベルなら私の方が生存率が高いでしょう?心配しなくても、今日も沢山稼いできますから」
「そ、そういう事なら…」
(ば、バーゲスト君、まさか僕の為に…!)
ヘスティアとベルを二人きりにする為にそれらしい理由を言っているバーゲストにヘスティアは感動を覚える。
(君には本当に世話になってばっかりだ、絶対にお礼はするからね!)
「取り敢えず朝のご飯にお粥は作っておきましたから、今日一日ヘスティア様をお願いします。ベル、ヘスティア様のお願い事は
「はい!」
「絶対によ」
「え?」
「それがどんなお願いであろうと、
「は、はい!!」
「では、行って参ります」
バーゲストは上に上がり、ホームから出てダンジョンに向かった。
「な、何だったんだろう…」
ベルはヘスティアにお粥を食べさせた後にベッドに横にさせる。
しかしヘスティアはどこか不機嫌そうであった。
「か、神様、どうかしたんですか?」
「どうもしないよっ……ふんっ、ベル君の浮気者…!」
何故か勝手にベルを浮気者認定しているヘスティアに、ベルはある話を切り出す。
「あの、神様、こんな時になんですけど…次のバイトのお休みっていつですか?」
「休み?何でだい?」
「実は最近、ダンジョンで沢山稼げるようになって、神様に恩返ししたいなって…だからその、行きませんか?三人でちょっと豪華な食事でも食べに…」
「いいね、確か休みは…」
瞬間ヘスティアに電流走る。
『ベル、ヘスティア様のお願い事は
『それがどんなお願いであろうと、
「……今日行こう」
「え?」
「今日行きたい!」
「で、でも…」
「今日行くんだ!」
「ええっ、そんな、バーゲストさんに悪いですよ!」
「おんやぁベル君、そのバーゲスト君に言われたじゃないか、今日一日、ボクのお願い事を、なんであれ、嫌でも、絶対に聞くって」
「ぐっ…、た、体調は…?」
「もう治った!ベル君、6時に南西のメインストリート、アモールの広場に集合だ!じゃ〜ね〜ベル君!」
ヘスティアはそう言って勢いよく飛び出して行った。
(ありがとう、バーゲスト君!君はベル君に並ぶ最高の眷属だ…!)
「そうですか…ではベル様は今日はいないと…」
「ええ、ですので今日は二人で頑張りましょう。リリ」
「はい!それでは今日も張り切っていきましょう!」
ヘスティアがベルとのデートに向けて張り切っている頃、バーゲストとリリルカはダンジョンに潜り始めた。
「ハアッ!」
バーゲストが炎を放ち、キラーアントの群れを焼き尽くす。
キラーアントが灰になり、魔石がゴロゴロと地面に落ちる。
「ふぅ…一先ず落ち着いたか、魔石を回収するぞ」
「はい……あの、バーゲスト様、一つ良いですか?」
「何だ?」
「バーゲスト様は何故ベル様と同じファミリアに入ったのですか?その、バーゲスト様のファミリアには悪いですが、バーゲスト様ならきっとロキ・ファミリアやフレイヤ・ファミリアでも活躍出来ます」
「私がヘスティア・ファミリアに入った理由か…」
リリルカは最初にバーゲストの戦いぶりを見てからずっと疑問に思っていた。何故バーゲストが団員が一人しかいないファミリアに加入したのか、リリルカはその訳を知りたかった。
「ベルを助ける為だな、それ以外に理由は無い」
「へ?それ、だけ…ですか?」
「ああ、他に理由など無かった。私の為になる事など無かったし、他に入るファミリアなら幾らでもあっただろう。だが私は…ヘスティア様の事を知り、ヘスティア・ファミリアに入ろうと決めた。それだけだ」
「ベル様を…助ける為…」
「最初はロキ・ファミリアに入ろうとは思ったがな、やめた」
「それは…やはり【
「リリも知っていたのか、そうだ。ロキ・ファミリアの者と喧嘩をしてロキ・ファミリアに入ろうなど馬鹿げているだろう?だから勧誘されても断った」
「凄いですね…ロキ・ファミリアの勧誘を断るなんて…」
「だが、ヘスティア・ファミリアに入って良かったと、心の底から思っている」
「それは…どうしてですか?」
「あの二人と居て幸福を感じなかった事は無い、夢に向かって走るベル、それを全力で応援するヘスティア様…私は、二人のそういうところに惹かれた。それに、リリにも出会えたからな」
「リリに、ですか?」
「ああ、サポーターを雇い、共にダンジョンに赴き、ヴァリスを多く稼いで喜び合う…きっとロキ・ファミリアでは体験出来なかった事だ、だから私は誇りに思っている。ヘスティア様の眷属である事に」
「喜び、合う…」
「さあ、今日はこれくらいにしておくぞ。そろそろ暗くなり始めるからな」
「あ、はい!」
二人はダンジョンから出て魔石をギルドで換金し、山分けしてから別れた。
「明日も頼みますわ、リリ」
「はい、こちらこそよろしくお願いします!」
バーゲストは誰もいないホームの地下で料理を作りながら二人の帰りを待つ。すると料理が出来ると同時に足音が聞こえ始め、バーゲストは机に料理を並べる。
「ただいま、バーゲスト君!上まで良い匂いが漂っていたよ!」
「ただいま、バーゲストさん。すみません、今日二人で出掛けちゃって…」
「良いのです、三人で出かける機会などこれから幾らでもあります。さ、二人共早く座って、ご飯を食べましょう」
「うぅ…バーゲスト君の優しさが沁みる…!ってあれ、バーゲスト君、どうしてボク達がご飯食べてないって知ってるんだい?」
「帰り道で女神様方に追いかけられているのを目撃しましたから」
「ええー!?そんな、助けてくださいよぉー!」
「二人がどこか楽しそうでしたから」
「まあまあベル君、二人で出かけた罰だと思えばいいさ。さっ、早く食べよう!」
その頃リリルカは、ベル達と一緒に稼いだお金をソーマ・ファミリアの冒険者に奪われていた。
「お前みたいな役立たずが、ソーマ・ファミリアの一員でいられるのは、誰のお陰だぁ?」
「ぼ、冒険者様のお陰ですっ…!」
「だったら、死ぬ気で稼いで来い!」
ソーマ・ファミリアの冒険者はそう言いながらリリルカを蹴落とし、階段を転がっていくリリルカを笑いながら去っていった。
「…何が冒険者様、ですか…まあ、いいです。目標の金額まで、後ちょっと…あのナイフも、絶対手に入れて…」
『リリのお陰だよ、ありがとう』
『明日も頼みますわ、リリ』
「…ホント…変なの…」
そして翌日、今度は三人揃ってダンジョン潜ると、何時もより夥しい程に数が多いキラーアントに苦戦する三人。
「ベル様、足元!」
「!?」
「しまっ、くっ!退け、蟻ども!!」
ベルに一匹のキラーアントが迫り、攻撃しようとする。バーゲストは大量のキラーアントに絡まれており、ベルを助ける事が出来ない。するとリリルカが懐から魔剣を取り出し、キラーアントに炎を放ち、怯んだ隙にベルがキラーアントは斬り裂く。
「はあぁぁぁぁぁ!!」
「燃えろっ!」
キラーアントを倒し切り、戦闘が終了する。
「ふぅ…本当に今回は多かったですね…」
「ああ、恐ろしい数だった。そうだったな、蟻とは数が武器の生き物だと改めて実感した…」
「ホントですね…そういえばリリ、さっきのってもしかして魔剣?本当にありがとう、なんだか凄く嬉しかったよ」
「えっ!?べ、別にベル様を助けようとした訳じゃないんですからねっ!ベル様が居なくなったら、リリの収入が減るからこうしたまでです!か、勘違いしないでください!」
「?」
「一先ず休憩するぞ、流石にあの数の後直ぐに現れるとは思えん。今のうちに腹拵えだ」
「あ、はい!」
適当に座り、ベルはシルから貰った弁当を、バーゲストは自分で作った弁当を食べ始める。
するとバーゲストはリリにもう一つ弁当箱を差し出す。
「これは…?」
「リリの分だ、しっかり食べろ」
「え、リリの為にわざわざ作ってくれたんですか!?」
「ああ、一人も二人も変わらんからな」
「あ、ありがとうございます…」
リリはバーゲストから弁当を受け取り、美味しそうに食ベ始める。そして弁当を食べ終わると、リリが申し訳なさそうに二人に話す。
「あの、ベル様、バーゲスト様」
「ん?」
「どうした?」
「明日一日、お休みを頂いてもよろしいでしょうか?」
「いいけど…何か用事でもあるの?」
「ファミリアの集会があって…どうしても出席しないといけないんです。契約違反なのは分かっています。ペナルティはお受けしますから…」
「え、いいよそんな事!それよりごめんね、リリ…僕、気が回らなくて…休みたい時は遠慮なく言ってね」
「ベルの言う通りだ、ファミリアの都合なら仕方ないだろうし、リリも体調を崩す時はあるだろう。無茶はするな」
三人はその後暫く探索した後にダンジョンを出た。
そして三人で一緒に道を歩いていると、ベルが立ち止まってバベルの塔を見上げる。
「ベル様、どうかされましたか?」
「あ、いや、バベルって何でこんなに高いんだろ〜って、ちょっと思っただけなんだ」
「ベル様もご存知の通り、バベルは空いたスペースを貸し出ししていますが、それは20階までです」
「え、そうなの?」
「はい、
「うーん…そういう神様達の話を聞く度に思うけど、『天界』ってそんなに暇なところなのかな?神様達が下界に降りたいって思っちゃうくらい?」
(私の前世の世界の神様は割と楽しそうでしたけれど。FGO流行ってましたし、転生者を見て楽しんでましたし)
バーゲストが自身を転生させた神様の事を思い出していると、リリルカがこう言う。
「お仕事が嫌になって、逃げ出して来たのかもしれませんよ?」
「それって…」
「はい、亡くなった人の、死後の進路ですね。まぁ、最終的には、殆どのものが転生させてもらえるようなのですが……でも、リリは死ぬ事に憧れていたことがありましたよ?」
「え…?」
「一度、神様達の許へ還れば、今度生まれ変わるリリは今のリリよりちょっとはマシになっているのかなぁ、なんて」
「リリ…!」
「ごめんなさい、変な事言って。真に受け取らないでください、リリはこれでも逞しくなりましたから。今ではそんな事、ちっとも思っていません!さあベル様、バーゲスト様。遅いのですから早く帰りましょう」
そう言って歩き出すリリルカをベルは少し不安げに見つめていた。
リリルカと別れ、次にシルに弁当箱を返しに行く。
「ご馳走様でした、いつもありがとうございます」
「いえいえ、何時も残さず食べてくれて、作り甲斐があります」
するとベルが前は無かった本か飾られている事に気付く。
「あれ、前にこんなの飾ってありました?」
「ああ、それは…お客様のどなたかが、お店に忘れていったようなんです」
「『ゴブリンにも分かる、現代魔法』?」
「興味あります?」
「え、でも…」
「取りに来る様子はないし、減るものではないですし。読み終わったら返してくれれば良いですから」
そう言ってベルはシルから本を受け取った。
「良いんですか?ありがとうございます!」
そして本を抱えて、ベルはバーゲストと共にホームへ帰ったのだった。
いかがでしたか?家に帰るとバーゲストが美味しいご飯を作って待ってくれている…何だこれ、最高か?リリルカの話は次回で終わると思いますので、楽しみにしていただけるとありがたいです。それではまた次回の話で。