ダンジョンにバゲ子がいるのは間違っているだろうか?   作:猪のような

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コヤンスコヤが欲しかったんだ…なけなしの11連で…タマモヴィッチ!タマモヴィッチ!と叫び、タマモキャットが出た時の僕の気持ちが分かるかい…?後、二回連続でアサシンですり抜けた気持ちも分かるかい…?ふふ、それではどうぞ…


第六話 弱肉強食

ヘスティアがベルのステイタスを更新した時、事件は起こった。

 

「……魔法だ」

 

「え?」

 

「魔法ですか?」

 

「うん…ベル君に魔法が発現してる…!」

 

なんと、ベルに魔法が発現していたのである。

驚きのあまりベルは起き上がり、背中に乗っていたヘスティアがひっくり返ってしまう。

 

「お、おおお…!」

 

「【ファイアボルト】まさか魔法まで発現しちゃうなんて…」

 

「か、神様!魔法、魔法ですよ、僕、魔法を使えるようになりましたぁ!」

 

「おめでとう、ベル」

 

「これはボクの推測だけど、この文面からすると君の魔法は詠唱が要らないのかも」

 

「え?」

 

「ま、とにかく明日、ダンジョンで試し撃ちでもしてくるといいさ。慌てなくても君の魔法は逃げたりしないぜ?」

 

そして三人は明日に備えて就寝したが、今すぐ魔法を使いたいベルはこっそり抜け出してダンジョンに向かうのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして翌日、バーゲストが目を覚ますと…

 

「ゔぐぅぅぅ…!ま、また逃げちゃった…僕のバカバカ〜!」

 

そこには何故か凄く自分を責めているベルが居た。

 

「……一体何があったのですか?」

 

「何だいベル君、悪い夢でも見たのかい?昨日読んでたこの本のせいじゃないのか……うわっ!?」

 

ヘスティアが昨日ベルが読んだ本を手に取って開くと、驚愕の声が上がった。

 

魔導書(グリモア)?」

 

「そう、読むだけで資質に応じた魔法が発現する本。正に魔導書さ。これ、一体どこで手に入れたんだい?」

 

「酒場で借りたんです。誰かの忘れ物だから、読んでみればって…」

 

「誰かの忘れ物ぉ!?」

 

「どうかしたんですか、神様?」

 

「ベル君、魔導書ってのはね、この通り、誰かが一度読んだらそれっきり効力が消えるもんなんだよ」

 

「なっ…!とにかく、謝って弁償しまっ…!」

 

「無理だ、魔導書がいくらするのか知ってるのか、君は!へファイストス・ファミリアの一級品装備と同等…或いはそれ以上だぞ!」

 

ベルの顔がどんどん青くなり、自分が盛大なやらかしをした事に気付く。バーゲストは魔導書について話し合っている二人を横目に朝ご飯を作っていたのだった…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「すみませんすみませんすみません!」

 

ベルは魔導書を持って豊穣の女主人に訪れ、謝罪していた。

 

「それは大変な事をしてしまいましたね、ベルさん…!」

 

「ちょっ、シルさん!何他人事のように言ってるんですか!」

 

「やっぱりダメ、ですか?」

 

「すっごく可愛いけど、ダメです…」

 

「てへ♪」

 

するとミアはベルから受け取った魔導書をゴミ箱に捨てる。

 

「み、ミアさん…!」

 

「忘れな」

 

「で、でも…!」

 

「読んじまったもんは仕方ないだろ!こんな代物、置いてくやつが悪いんだ」

 

「し、しかしですね…!」

 

「ん?」

 

「ダンジョン行ってきます!」

 

ミアに睨まれたベルは店から出て行き、外で待つバーゲストと共にダンジョンに向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

リリルカが休みの為不在だった事以外は特に何事も無く、ダンジョン探索を終えた二人は、翌日、バベルの塔の前の広場でリリルカを探していた。

 

「あれ、リリまだ来てないのかな…?」

 

「…ベル、あちらを」

 

バーゲストが視線を向けた先には、リリルカの背負っている大きな緑色のバックの姿があった。

 

「あ、居た!」

 

そしてベルもリリルカの姿を確認するが、リリルカは冒険者に絡まれていた。

二人はリリルカに近寄ろうとするが、二人の前に別の冒険者が現れる。

 

「おい」

 

「あ、あなたは、あの時の…」

 

そう冒険者は以前ベルが見たパルゥムを追っていた冒険者だった。

 

「お前ら、あのガキとつるんでんのか?となると、何も知らねぇって訳じゃあるまいな?」

 

「な、何がです…?」

 

「とぼけんな、お前俺に協力しろ。一緒にアイツを嵌めるぞ」

 

「なっ!?」

 

「そんな顔すんなって、お前らだってアイツが貯め込んだ金、狙ってんだろ?冒険者同士、協力して()()()()の荷物持ちからっ…!?」

 

「ば、バーゲストさん!?」

 

その冒険者の言葉を聞いた瞬間、バーゲストは冒険者の首を掴み上げた。空中でバーゲストの腕を掴み、必死に抵抗する冒険者にバーゲストは言う。

 

「貴様、いきなり現れてよくそんな戯言を口に出来たものだなっ…!」

 

まだダンジョンに潜っていないのに、戦闘状態の口調になったバーゲストは冒険者を放り投げ、冒険者は尻餅を着きながら咳き込んでいる。

 

「て、てめぇ!こんな事して、タダで済むと…!」

 

「失せろ、お前の様な奴に割く時間は無い」

 

「くっ…!」

 

バーゲストに気圧された冒険者は二人から離れて行った…

 

「…お二人とも」

 

「!リリ、いつからそこに…?」

 

去っていく冒険者を見ていると、後ろからいつの間にか居たリリルカに声をかけられる。

 

「あの冒険者様と何を話していらしたのですか?」

 

「気にしなくて結構、聞くに耐えない戯言でしたから。それよりリリは大丈夫でしたか?絡まれていたようですが…」

 

「はい、大したことありませんよ。さっさと行きましょう」

 

リリルカはそう言ってダンジョンに向かって歩き出し、二人もそれに続いた。

 

「……もう、潮時かぁ…」

 

 

 

 

 

 

 

 

探索を終え、ホームへと向かう帰り道、ベルはバーゲストにある提案をする。

 

「僕、リリが心配です。僕達のホームで匿ってあげる事は出来ないんでしょうか?」

 

「…私もそうしたいですが、ヘスティア様が許してくれるかどうか…」

 

二人はヘスティアにリリルカを自分達のホームで匿えないか相談するのだった。

 

「なるほど、例のサポーター君をね…」

 

「はい…リリはどうも、悪い冒険者に狙われてるみたいなんです。少しの間でも、匿ってあげられれば…」

 

「…二人共、君達にとってそのサポーター君は、本当に信用に足る人物なのかい?」

 

「え?」

 

「ごめんよ、敢えて嫌な事を言ってる。今までの君達の話を聞く限り、彼女はどうもきな臭いんだ、考えてみてくれ。ベル君は本当にナイフを無くしたのか?」

 

「「……」」

 

二人は黙ってヘスティアの話に耳を傾ける。

 

「冒険者に絡まれてた件にしてもそうだ。彼女は君達に、何かを隠している」

 

二人はヘスティアの言葉を聞き、少し考えると、ヘスティアの顔を見て…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「え、10階層に?」

 

翌日、リリルカとダンジョンと共にダンジョンに潜ろうとすると、リリルカが10階層に行く事を提案した。

 

「ええ、今日はそこまで行ってみませんか?お二人の実力なら大丈夫です!」

 

「けど、バーゲストさんならともかく、僕なんてこの前も7階層でリリの魔剣に助けられたられたくらいだし…」

 

「アレは蟻の数が異常だったせいもあると思いますが…」

 

「それに10階層からは……大型のモンスターだって出るし…」

 

「ベルは怪物祭(モンスターフィリア)の時にシルバーバックを倒しているでしょう」

 

「た、確かにそうですけど…!」

 

「問題ありません、今のベル様なら!バーゲスト様だっていますし、昨日見せて頂いた魔法だって!ベル様ならやれます、11階層まで降りた事のあるリリが保証しますよ!」

 

「うーん…」

 

バーゲストは構わない様だが、まだ悩んでいるベルを見て、リリルカはある話をする。

 

「ベル様、実はリリは近日中に大金を用意しなければいけないのです」

 

「もしかしてそれって……」

 

「事情は言えません。ただ、リリのファミリアに関係することなので…どうか、リリの我が儘を聞いてくださいませんか…?」

 

「…分かった、今日は10階層まで行ってみよっか」

 

「ありがとうございます、ベル様!」

 

そうして10階層目指して探索を進めた三人は、あっさりと10階層に辿り着いてしまった。

 

「リリの提案を聞いてくださり、ありがとうございます。リリはお二人のサポーターになれて、本当に幸運でした」

 

「うん、まあ…10階層だって、いずれは行かなきゃならないからね」

 

「それで…差し出がましいのですが、ベル様。ここからは、これを使ってみてはいかがでしょうか?」

 

リリルカはそう言ってベルに一本の剣を差し出す。

 

「バゼラード?」

 

「はい、バーゲスト様の剣ならともかく、今のベル様の武器では、大型のモンスターを相手するのに、少々リーチが短過ぎますので」

 

ベルはバゼラードをグリーン・サポーターに取り付け、ヘスティア・ナイフを右脚に装備しているポーチに収納した。

 

「よし…さ、行こうか、リリ」

 

「はい、ベル様!」

 

そうして一行は10階層へと足を踏み入れたのだった…

10階層は霧に包まれており、白い草と木が生えていた。

 

「ここが、10階層…」

 

「はい、今回の目的地です」

 

「…二人共、離れるなよ」

 

「「はい!」」

 

歩みを進め、バーゲストとベルは10階層に生えている木を見る。

 

「リリ、これって…」

 

「はい、迷宮の武器庫(ランドフォーム)です。しかし…処理している暇は無いようです」

 

そう言うと霧の向こうからオークが現れ、近くにある木を引き抜き、棍棒のように持つ。

 

天然武器(ネイチャーウェポン)…ダンジョンがモンスターに与える武器…ベル、いけるか?」

 

「はい!」

 

「よし、私が隙を作る。その間に突っ込め!」

 

ベルはオークに向かって走り出し、バーゲストは詠唱を始める。

 

「【鎖は我が猟犬達、我が敵を捕らえる牙となれ】【チェーン・ハーディング】!」

 

バーゲストの右腕から伸びる鎖が剣に巻き付き、バーゲストは剣をオークに向けて投擲する。

 

「ハアァァァァ!」

 

バーゲストの投げた剣がオークの肩に突き刺さり、オークが怯んでいる内にベルはオークの膝を切り裂く。

倒れたオークの上に乗り、バゼラードを胸に突き刺すとオークは絶命し、灰になった。

 

「よし…!」

 

「ベル様、バーゲスト様!まだ来ます!」

 

オークが更に二体現れ、ベルは片方にファイアボルトを放つ。

 

「ファイアボルト!」

 

しかし一発では倒しきれず、二発放って片方を倒すと、もう片方が棍棒を振るい、ベルは避ける。

するとオークの肩背中にバーゲストが飛び乗り、オークが地面に倒れると、バーゲストは鎖でオークの首を絞める。

 

「今だ、やれ!」

 

「はい!」

 

鎖を解こうとするオークの頭にバゼラードを突き刺し、トドメを刺した。

 

「勝てた…やったよリリ!……リリ?」

 

ベルとバーゲストが周囲を見渡すと、リリルカがいつの間にか居なくなっていた。

 

「リリ、何処なの!?まさか、モンスターに…!」

 

「ベル、地面に何かあるぞ!」

 

二人が地面を見ると、そこには何か丸いものが何個も転がっていた。

 

「これって、モンスターを誘き寄せる為の…!」

 

「いや、この匂い…どうやらかなり強力な物だな。見ろ、周りがあっという間にモンスターだらけだぞ」

 

二人が背中を合わせ、周りを見ると大量のモンスターが全方位から迫っていた。

 

「リリ!何処だ、返事をしろ!」

 

バーゲストがそう叫ぶとクロスボウの矢が何本かベルに放たれ、紐の付いた矢がヘスティア・ナイフの入ったポーチに命中するとポーチが引っ張られて奪われる。

矢が放たれた方を見ると上に登る階段の途中にリリが居た。

 

「ごめんなさい。ベル様、バーゲスト様。もう、ここまでです。アイツに全部聞いたんでしょう?」

 

「聞いたって、何を!?」

 

「普通よりかなり強力な物を用意しましたが、お二人なら生き残れる筈です。折を見て逃げ出してくださいね…それではさようなら、ベル様、バーゲスト様…」

 

リリルカはそう言って上へと登っていった…

 

「リリ、リリ!」

 

「ベル!先ずは周りのモンスターに集中しろ!」

 

 

 

 

 

 

 

リリルカは上の階層に上がり、立ち止まる。

 

「人が良すぎですよ…【響く十二時のお告げ】【シンダー・エラ】」

 

そう詠唱するとシアンスロープの耳が無くなり、リリルカの姿がパルゥムになる。

 

「お二人が悪いんです…アイツにさえ、会わなければ…ううん、これで良いんです。ベル様もバーゲスト様も、冒険者なんですから…リリの嫌いな…冒険者なんですから…」

 

リリルカはそう言ってベルから奪ったヘスティア・ナイフを取り出す。

 

「へファイストスの武器…これなら何処に行っても売れます。目標の金額にだって、届くかも…」

 

リリルカはヘスティア・ナイフを仕舞って走りだす。

地上を目指して、更に上の階層へ行く階層を登ると、上がった瞬間に何かに足が引っ掛かり、転んでしまう。

 

「あっ…!?」

 

「嬉しいじゃねえか、大当たりだ」

 

リリの足を足で引っ掛けて転ばせた冒険者…ゲドはリリルカを蹴り飛ばしながらそう言う。

 

「散々舐めやがって…このクソパルゥムが!」

 

「がふっ!う、うっ…!」

 

「いい様だな、コソ泥」

 

リリルカを何度か踏みつけた後にゲドはそう言ってリリルカの髪を掴み、乱暴に持ち上げる。

 

「あ、あああっ…!」

 

「そろそろアイツらを捨てる頃だと思ったぜ…此処で()を張ってりゃ必ず会えるってなぁ…!」

 

「あ…み…?」

 

「この階層でお前が使える道はそう多くねえ、四人で手分けしてたんだが…ふ、ははっ!見事に俺の所に来るとはなぁ…!」

 

「ああっ…!」

 

ゲドはリリルカのローブを乱暴に引きちぎり、リリルカを投げ捨ててローブの内側にある物を物色する。

 

「はは、良いもん持ってんなぁ、おい!魔剣まで持ってんじゃねえかよ!」

 

「派手にやってますなぁ、旦那!」

 

そう言って現れたのはリリルカを虐げているソーマ・ファミリアの団員のカヌゥだった。

 

「おお、来たか。早かったなぁ…見ろよこのガキ、魔剣まで持ってやがってよぉ。やっぱりお前らの言う通り、かなり溜め込んでるみたいだぜ、コイツ」

 

「そうですかい…ねえ、旦那。一つお願いがあるんですが、そいつの持ちもん…全部置いてって欲しんでさぁ」

 

カヌゥはそう言ってゲドに袋を投げつけると、袋の中からキラーアントの顔が現れ、ゲドは慌てて地面に叩きつける。

 

「き、キラーアント!て、テメェ…何やってるか分かってんのか!?」

 

「ええ、瀕死のキラーアントは、仲間を集める信号を出す…冒険者の常識でさぁ」

 

カヌゥがそう言うと更に二人、瀕死のキラーアントを背負ったソーマ・ファミリアの団員が現れる。

 

「しょ、正気か…テメェェェェェ!!」

 

「旦那、オレらとやり合ってる間に、奴等の餌食にはなりたく無いでしょう?」

 

そう言って瀕死のキラーアントがゲドの方に投げられる。

 

「く…クソがっ!」

 

ゲドはそう言って魔石を捨て、逃げ出したが、直ぐに逃げた先から悲鳴が起こり、血の浴びたキラーアントが現れる。

 

「ひっ…!」

 

「よぉアーデ、大変な事になったなぁ…?同じファミリアの仲間だろう?助けてやるから、全部寄越せ」

 

「えっ…?」

 

「それとも、昨日みたいにまた誤魔化しやがるのか?それなら…」

 

カヌゥはそう言って瀕死のキラーアントをリリルカに突きつける。

 

「分かりました、分かりましたから…」

 

リリルカは鍵を一つ取り出す。

 

「ノームの貸金庫の鍵です、お金は宝石に換えてしまってあります…」

 

カヌゥはリリから鍵を奪いとる。

 

「これだったかぁ」

 

カヌゥはリリの服のフードの部分を掴んで持ち上げる。

 

「か、カヌゥさん…!」

 

「見てみろよ、アーデ」

 

リリルカが顔を上げると、数え切れない量のキラーアントが現れていた。

 

「こんなに、ヤバい状況だぜ?お前、囮になってくれ」

 

「えっ!?そんな、約束がっ…!」

 

「サポーターなんぞと、マトモに約束する冒険者が何処にいる?お前はもう用済みだ。最後に俺たちを、しっかりと支援してくれやぁ!サポーター!」

 

カヌゥはリリルカをキラーアントの群れに向かって投げつけ、その間に離脱した。

キラーアント達はいきなり飛んできたリリルカに警戒するが、ジリジリとにじり寄って来る。

 

「は…は…これだから冒険者は…でも、そうですよね…これは、あのお人好しのベル様とバーゲスト様を騙した報い…だとしたら、諦めも…悔しいなぁ…」

 

リリルカは目に涙を浮かべながら言う。

 

「神様…どうして、どうしてリリを、こんなリリにしたんですか…?弱くて、ちっぽけで、自分が大嫌いで…でも、何も変わらないリリに…

 

(寂しかった、誰かと居たかった、必要とされたった。でも…もう、終わる。やっと死ねる、やっと終われる。何も出来ない自分を、弱い自分を、ちっぽけな自分を、価値の無い自分を、寂しい自分を……ああ、リリはやっと…)

 

『『リリ』』

 

「死んでしまうんですかっ!?」

 

「ファイアボルトォォォ!!」

 

「ハアァァァァァァ!!」

 

瞬間、リリルカに迫っていたキラーアントに二つの炎が放たれる。リリルカの近くにいたキラーアントは燃え尽き、その他のキラーアントは炎を放った存在を一斉に見る。

 

そこには、手を翳しているベル・クラネルと、炎を宿した剣を持ったバーゲストが居た。

 

その頃リリルカの所属するソーマ・ファミリアについて調べ、リリルカがベルとバーゲストによからぬ事をしていると感じたエイナは、へファイストス・ファミリアの店でバイト中のヘスティアの下に来ていた。

 

「お願いします、神ヘスティア。私からも説得しますが…あのサポーターと手を切るようベル君とバーゲストさんに…」

 

「無駄だよ」

 

「はい?」

 

「二人はもう決めちゃってるんだ。ベル君は、何があろうと、あのサポーター君を、見捨てないって。バーゲスト君は、何があろうと、あのサポーター君を守るって」

 

ヘスティアはそう言いながらベルとバーゲストがリリルカをどうしたいのか答えた時の事を思い出した。

 

「神様…僕はそれでも、あの子が困っているなら、助けてあげたいです。寂しそうなんです、その子…神様と出会う前の僕みたいに…」

 

「…バーゲスト君は?」

 

「私は…あの子が傷ついているなら、守りたいのです…騎士として、そして私の信念の為…弱肉強食。弱者は強者に尽くし、強者は弱者を守る。リリは今まで私やベルの為に尽くしてくれました。例えそれが自分の為であったとしても、私は尽くしてくれたリリを守りたい、例えどんな事があろうと…!」

 

 

 

 

 

 

「「はぁ…はぁ…はぁ…」」

 

ベルとバーゲストはキラーアントを全滅させ、リリルカの方に振り向く。

 

「リリ、無事だよね?なんとも無い?」

 

「怪我をしているな、早く手当しなければ」

 

「ベル様…バーゲスト様…どうやって、ここまで…?」

 

「いや、霧でよく見えなかったんだけど…あの後他の冒険者が来て、周りからオークが居なくなっちゃって…それで直ぐ追って来れたんだ。間に合って良かったよ!」

 

「…どうして…」

 

「え?」

 

「どうしてリリを助けたんですか!どうしてお二人はリリを見捨てないんですか!?」

 

「え、え?」

 

「まさか、ご自分が騙された事に気付いて無いんですか!リリがお二人を驚かそうと思ってベル様のナイフを持っていったとでも思ってるんですか!!」

 

「っとと!…リリ?」

 

リリルカは隠していたヘスティア・ナイフを乱暴に投げつけ、ベルは慌ててキャッチする。

 

「お二人は何なんですか!?バカなんですか!マヌケなんですか!救いようの無い阿保なんですか!」

 

「ベルはともかく私も入るのか?」

 

「え、ベルはともかくってどういう事ですかバーゲストさん!?っていうかリリ、落ち着いて「無理です!」」

 

「お二人は何も気付いて無い!リリは換金の時にお金をちょろまかしていました、お二人とリリの分け前は2:1では無く半々です!調子に乗って1:2にした時もありました!アイテムのお使いを頼まれた時も、定価の倍以上の料金を吹っかけました!陰で酷い悪口を言った事もあります!分かりましたか!?リリは悪い奴です、盗人です!お二人に嘘ばかり吐く、最低のパルゥムです!それでも、それでもお二人はリリを助けるんですか!?」

 

「うん」

「当然だ」

 

「どうして!?」

 

「お、女の子だから?」

 

「何だその理由は」

 

「馬鹿ぁ!またそんな事言って、ベル様は女性なら誰でも助けるんですか、信じられません!最低です!ベル様のスケゴマシ!女ったらし!スケベ!女の敵ぃぃぃぃ!!」

 

「…じゃあ、リリだからだよ」

 

リリルカに酷く罵られた後に、ベルは優しくそう言った。

 

「えっ…?」

 

「僕、リリだから助けたかったんだ。リリだから居なくなってほしく無かったんだ」

 

リリルカの足元に、涙がポツポツと落ち始める。

 

「理由なんてみつけられないよ。リリを助ける事に、理由なんて」

 

リリルカは顔を上げ、涙を流しながらベルを見る。

 

「リリ、困ってる事があるなら、相談してよ。僕馬鹿だから、言ってくれないと分からないんだ。ちゃんと助けるから」

 

「う、うぅ…!」

 

「…リリ」

 

次はバーゲストから声をかけられ、リリルカはバーゲストの方に顔を向ける。

バーゲストは穏やかな表情で、戦闘時の口調ながらも優しく言った。

 

 

「私には信念がある。弱肉強食…弱者は強者に尽くし、強者は弱者を守る。お前は今まで私達に尽くしてくれただろう?だから私もお前を守る。お前に刃が向けられたなら、私が刃を受け止めよう。お前に刃を向ける者を、私が倒そう。お前を虐げる全てから、お前を守ろう…だから、これからも私達の為に、頑張ってくれるか?」

 

「あ、ああぁぁ!!」

 

リリルカはその言葉を聞いてから二人に思いっきり抱き着いた。

 

「うぐっ、ひっぐ…ごめんなざいぃぃぃぃ!」

 

二人は顔を顔を見合わせ、優しく笑いながらリリルカを抱きしめたのだった…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そしてその夜、ヘスティアがバーゲストのステイタスを更新すると…

 

 

━━━━━━━━━

 

バーゲスト

 

レベル1

 

力:B 734

 

耐久:B 779

 

器用:C 697

 

敏捷:C 643

 

魔力:A 824

 

《魔法》

 

【チェーン・ハーディング】

 

・拘束魔法

 

・詠唱式【鎖は我が猟犬達、我が敵を捕らえる牙となれ】

 

《スキル》

 

太陽の騎士(ガウェイン)(着名(ギフト))】

 

・任意発動

 

・魔力を消費することで武器に炎を付与エンチャントする

 

・魔力を消費することで炎を放出させる

 

【聖者の数字】

 

・日の当たる午前中において、力の超高補正

 

【ワイルドルール】

 

・自身に従う存在がいると全能力の補正

 

・従う存在が多いほど効果向上

 

・モンスターを倒す度に短時間、自然治癒力が上昇

 

・モンスターを倒す度に短時間、力に補正

 

 

強者(仲間)としての責務】

 

・早熟する

 

・守る存在がいる限り効果持続

 

・守ろうとする想いの丈により効果向上

 

━━━━━━━━━

 

「何だこのスキルー!?」

 

ヘスティアはまた頭を抱えたらしい。

 

 




はい、という訳でこれで回収出来るバーゲストのスキルは回収しましたね。ファウル・ウェーザーごめんな…これでリリルカ編が終わり、次はベル君のレベルアップに向けた話が始まります。それでは次回もお楽しみに!
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