ダンジョンにバゲ子がいるのは間違っているだろうか?   作:猪のような

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最近ダンメモを始めた作者です。やだ、ダンメモのガチャって、もしかして優しい…?FGOで地獄を見た作者はポンポンレアキャラをくれるダンメモのガチャに感動しておりますが、そこら辺どうなんでしょうか。それではどうぞ。


第八話 物語の一頁

「アイズがレベル6?」

 

「はい、凄いですよね…リューさんから聞きましたけど、ランクアップって、強大な敵を打ち倒さないと出来ないって」

 

「要は危険を冒す、死闘を制し、偉業を果たば良いという事でしょう。物語の英雄達がその身を削り、知恵を絞って怪物達を倒してきたように」

 

食器を洗いながらベルとバーゲストはランクアップに関する話をしていた。

 

「死闘…」

 

「私にも貴方にも、危険だと分かっていても、命を落とす可能性が高いとしても、戦わなければならない時は訪れます。それを乗り越えた時、恩恵の力は昇華される」

 

「なるほど…」

 

ベルはバーゲストの言葉を聞いて、強くなりたいと改めて思うのだった。そして…

 

「はぁぁ!」

 

「っ!」

 

ベルとアイズの訓練も最終日。二人はバーゲストが見守る中、剣を交える。

そしてベルは遂に、アイズに反撃する事に成功した。

 

「初めて、反撃出来たね」

 

「一週間、ありがとうございました!」

 

「私も、ありがとう。楽しかったよ。それじゃあ、頑張ってね」

 

「はい。アイズさんもその、頑張ってください!」

 

こうして、ベルとアイズの訓練は終了し、ベルは大幅な成長を果たしたのだった。

 

「それじゃあ、本当にヴァレン何某との特訓は今朝で終わったんだね?」

 

「はい。予定通り、今日からロキ・ファミリアの遠征があるそうなので」

 

「そっかぁ、終わったかぁ…」

 

ヘスティアはベルのステイタスの紙を見て少し困惑していた。

 

「それじゃあ神様、行ってきます!」

 

「あ、おいベル君!ステイタス!」

 

「すみません、帰ってから見ます!」

 

「ヘスティア様、私も行って参ります」

 

ベルとバーゲストはホームを出て行き、ヘスティアは一人でベルのステイタスを見ていた。

 

(このアビリティ…)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「アイズさん達、今頃何階層でしょうか?」

 

「まだ潜り始めた頃だろう、私達より上にいる筈だ」

 

ベルとバーゲストはいつも通りリリルカを連れてダンジョンに潜り、現在9階層に来ていた。

 

「しかし…嫌な予感がするな…」

 

「嫌な予感?」

 

「ああ…今日のダンジョンは何か違う、何か…ベル!リリ!」

 

バーゲストが叫ぶと三人の上が崩落する。

バーゲストは咄嗟に二人を吹き飛ばし、二人と分断される。

 

(なんとなくそんな気はしていましたけれど、ダンジョンが崩落なんて絶対にあり得ない…!ここまで仕込みますかっ…!?)

 

バーゲストは振り向くと、拳が眼前に迫っており、バーゲストの意識はそこで途絶えた。

 

 

 

 

バーゲストを気絶させた張本人、オッタルは、バーゲストがダンジョンの壁に背を預けて気を失ったのを確認すると、振り向いて歩き出す。

 

「周辺のモンスターは狩り尽くした、襲われる事は無いだろう」

 

オッタルは次に邪魔をする可能性がある者の下へ向かった。

バーゲストの角が一本取れていた事に気付かずに…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「バーゲストさん、大丈夫かな…?」

 

「きっと大丈夫です。バーゲスト様はとてもお強いですし、どちらかと言えば危ない状況にあるのはリリ達の方でしょう」

 

「そっか…じゃあ早く合流しないとね」

 

バーゲストと分断されたリリルカとベルは合流の為にダンジョンを進んでいると、ベルは立ち止まり、辺りを見渡す。

 

「どうかしましたか、ベル様?」

 

「リリ、何か感じない?誰かに見られているような…」

 

「さぁ…ただ何か、この階層には違和感があります」

 

「うん。モンスターが少な過ぎる…それに冒険者も…」

 

ベルは初めてミノタウロスを見た時も、こんな感じだったのを思い出す。

 

「行こう、リリ」

 

「あ、はい」

 

ベルがそう言って、二人が歩き出した瞬間…

 

「グオォォォォォォ!!」

 

モンスターの咆哮と思われる音がダンジョンに響き、二人は足を止める。

 

「今のは…」

 

ドスン…ドスン…と二人の後方から足音が響き、二人が振り返ると、其処には片方の角が折れた、大剣を持っているミノタウロスが居た。

 

「え…え…?何で9階層にミノタウロスが…!?ベル様、逃げましょう!バーゲスト様のいないリリ達では太刀打ち出来ません!早く…!」

 

リリルカがそう呼びかけるも、ベルはあの時のトラウマが蘇り、その場から動けずにいた。

 

「ベル様…!」

 

ミノタウロスは二人に段々近寄っており、完全に二人を狙いに来ていた。

 

「グオォォォ!」

 

ミノタウロスが大剣を持ち上げ、二人に向かって振り下ろす。

 

「しっかりして下さい!」

 

リリは咄嗟にベルを突き飛ばして大剣を避けるが、大剣が叩き付けられた際に生じた衝撃で二人は吹き飛ばされる。

 

「ぁ……!」

 

ベルはハッとし、自分の膝の上に倒れているリリルカを見ると、リリルカは頭から血を流しており、気を失っていた。

 

「リリ…!」

 

ミノタウロスは再びベル達の方を向き、近付いてくる。

 

「リリ…ごめん!」

 

ベルはリリルカは投げ飛ばし、投げた方とは反対に走り出し、ミノタウロスにファイアボルトを放つ。

ミノタウロスはベルの方を向く。

 

「【ファイアボルト】!【ファイアボルト】!」

 

ベルはファイアボルトを連発し、ミノタウロスが炎で生じた煙で見えなくなった瞬間…

 

「なっ…!?」

 

煙から大剣を持ったミノタウロスの腕がベルを殴るように横薙ぎに振われ、ベルは咄嗟に腕をクロスさせてガードするも、吹き飛ばされて壁に激突する。

 

「ぐっ…ぐはっ!」

 

ベルの纏っていた鎧が砕け、ベルの身体から剥がれる様に地面に落ちる。

 

ミノタウロスはベルに近付き、大剣をベルに振るい、ベルはそれをいなす。

攻撃をまともに受ければ、鎧の無くなったベルは今度こそ終わる。

ベルはミノタウロスの攻撃をいなし続けた。

 

(このままじゃ、いずれやられる…!隙を見て逃げ出すか、バーゲストさんや他の冒険者が助けに来るのを待つか…!?)

 

ベルはミノタウロスの攻撃を躱す中で必死に考えていると…

 

「うっ…あ……ベル、ベル様…!」

 

気を失っていたリリルカが目を覚まし、ベルの名を呼ぶ。

 

「リリ…!リリ、逃げて!…逃げて!」

 

「いや…」

 

「逃げろよ!」

 

「ダメです…!」

 

「くっ、早く行けぇぇぇぇぇ!!」

 

「う、うわぁぁぁぁぁぁ!!」

 

リリルカは立ち上がり、叫びながらその場を離脱した。

 

(これで良い…!リリが逃げれば、僕も逃げられる…訳無いだろ!!今、コイツを行かせたらリリは…死ぬ…!)

 

「ちくしょう!」

 

ベルはヘスティア・ナイフを抜き、バゼラードとヘスティア・ナイフの二本を持ってミノタウロスと対峙した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃ロキ・ファミリアは、遠征中に怪我を負った冒険者を見つけ、何があったか話を聞いていた。

 

「ま、間違いねぇ…9階層に、ミノタウロスが…」

 

「何れにしろあなた方が無事で良かった…他の冒険者は?」

 

「奥のルームで、一人襲われてた…あの白髪のガキ、今頃は…」

 

「白髪!?ねぇ、金髪の鎧を着た女の人は居なかった!?」

 

白髪と聞いてアイズはベルを思い浮かべ、バーゲストの事を聞く。

 

「い、いや…そんな奴の姿は無かった…」

 

「っ!」

 

アイズは走り出し、ベルを探し始めた。

 

「おいアイズ!」

 

「ちょ、遠征中だよー!?」

 

(まさか、あの子が襲われてる…!?ミノタウロスに襲われているのが、もし本当にあの子で、近くにバーゲストさんがいないなら…勝ち目は無い!殺される…お願い、間に合って…!)

 

アイズは走り続けると、ミノタウロスの咆哮が微かだが聞こえ始める。

 

(ミノタウロスの鳴き声…微かだけど聞こえる。でも、音が反響して、道が…)

 

「冒険者…様…?」

 

アイズがベルの居場所が分からず、どうするべきか考えていると、陰から傷を負った冒険者…リリルカが現れ、アイズに声を掛ける。

 

「冒険者…さま…」

 

「どうしたの?しっかりして!」

 

アイズはリリルカを抱えると、リリルカはアイズを見つめながら小さな声で話す。

 

「冒険者さま…どうか、どうかお助けください…!あの方を、ベル様を、助けてください…!」

 

「!場所は!?」

 

「正規ルート…E-16の、広間(ルーム)…」

 

「ありがとう」

 

(そこにあの子が…!)

 

アイズはリリルカに教えられた場所に向かってリリルカを抱えながら走る。

 

(もうすぐ、広間(ルーム)に…!)

 

「…【剣姫】」

 

「!?」

 

広間(ルーム)へと向かう道の途中で、アイズの前にある存在が立ちはだかる。

 

「【猛者(おうじゃ)】、オッタル…!」

 

オラリオ最強の冒険者、オッタルがアイズの前に立ち、剣を向ける。

 

「手合わせ願おう」

 

「なっ…!?」

 

「敵対する派閥(かたき)とダンジョンで相まみえた…殺し合う理由には足りんか?」

 

「!まさかっ…!」

 

アイズは以前ベルと居た時にフレイヤ・ファミリアに襲われた事を思い出す。

 

(警告の意味は…!)

 

「その娘を置け…死ぬぞ」

 

アイズはリリルカを壁の側に置き、楽な姿勢で座らせる。

アイズはデスぺレートを引き抜き、オッタルを見据える。

 

(相手は、オラリオ唯一のレベル7…!余計なことを考える余裕は、無い!)

 

「【目覚めよ(テンペスト)】」

 

アイズは風を纏ってオッタルに突っ込んでいく。

 

「そこを退いて!」

 

アイズはデスぺレートを振るうが、オッタルはいとも簡単にアイズの攻撃を大剣で受けていく。

 

「っ…!」

 

「━━━温い、だが、新たな高みに至ったか」

 

(この重圧、レベルの差だけじゃない…!これが、【猛者(おうじゃ)】の、武人の力量…!このままじゃあの子が…!行かなくちゃ、助けなくちゃ…死なせたく無い…!)

 

アイズはデスぺレートを強く握り、オッタルを睨むと…

 

「!」

 

ティオナとティオネが現れ、オッタルを攻撃し、隙が出来る。

 

「ロキ・ファミリア…!」

 

「今!」

 

アイズはその隙にオッタルの避けて進むが、オッタルはアイズを攻撃しようと振り向きながら大剣を振るうと…

 

「誰に剣向けてんだ、猪野郞!!」

 

今度はベートが現れ、オッタルの大剣を受け止める。

 

「ちっ!」

 

アイズは既に奥へと進んでしまい、ティオナとベートが後を追って奥に向かった。

 

「やぁ、オッタル…」

 

「…フィンか…」

 

オッタルはフィンに視線を向ける。

 

「まさか、立ち塞がっているのが君とはね…理由を訊いてもいいかな?」

 

「…敵を討つのに理由は要らん、時と場所を選ぶ道理も無い」

 

「もっともだ、では…それは派閥(ファミリア)の総意と取っていいのかな?女神フレイヤは、僕達と全面戦争をすると?」

 

「………」

 

「…もう一度訊こう…それは、女神フレイヤの意志なんだね?」

 

フィンはオッタルを強く睨んでそう訊くと、オッタルは目を瞑り。

 

「俺の、独断だ…」

 

そう言ってフィンの横を通ってその場から離れようとした瞬間。

 

「!?ぐっ…!?」

 

「なっ!?」

 

オッタルの背中にアイズ達が進んだ方向から何かが飛んできて命中した。フィンがオッタルの背中に当たった何かを確認すると…

 

「ベート!?」

 

「ぐっ…クソがっ…!」

 

飛んで来たものの正体はなんとベートだった。

すると今度はアイズが勢いよく飛んで来る。

 

「アイズまで…一体何があったんだい!?」

 

「うわぁぁぁぁぁぁ!?」

 

アイズ達が飛んで来た方からティオナが叫びながら走ってくる。

 

「ティオナ、無事か!?」

 

「無事だけど!正直凄く危なかった!一体どうなってるの!?」

 

ティオナはフィン達の側に立ち、振り返って奥の方を見ながらそう言うと、ベートとアイズも立ち上がって奥の方を見る。

 

「おい、何でアイツは邪魔すんだよ?」

 

「分からない、あの人は絶対にこんな事しない筈…」

 

「二人共一体どうした?誰の話を…」

 

「リヴェリア、アレを見るんだ」

 

フィンがそう言い、リヴェリアが前を見ると、何かが歩いて来ている。

背が高く、鎧を纏い、金髪の髪を持った女性…

 

「…バーゲスト…!?」

 

オッタルの次に立ちはだかったのは、何時も持っている剣と、黒い刀身に赤い光の線がある大剣を持ったバーゲストだった。

 

「バーゲストさん、何で…!」

 

「アアアァァァァァァァァァァァ!!」

 

バーゲストはダンジョンにとても大きな咆哮を轟かせ、アイズ達に向かって突っ込んで来る。

 

「ティオネ!その子を連れて退がれ!」

 

「はい!」

 

ティオネがリリルカを連れて後ろに退がり、フィン達はバーゲストが振り落とす黒い剣を避けてバーゲストから離れると…

 

ドゴォォォォォォォォン!!

 

凄まじい衝撃がフィン達を襲い、ダンジョンの地面や壁にバーゲストを中心とした亀裂が入る。

 

「何だよあの馬鹿力!?」

 

「こんな力を持っていたなんて…!」

 

「…リヴェリア、彼女の角、一本無くなっている」

 

「何?……確かに、以前見た時は二本あったな…まさか、角が二本無いとああなるのか?」

 

「恐らくはね…問題は何で角が無いかだけど…」

 

「…なるほど…」

 

「オッタル、何か知っているのかい?」

 

「…恐らく、俺が取った」

 

「恐らく?」

 

「色々事情があった…だが、俺の不始末なら俺がなんとかせねばならんな」

 

オッタルは前に出てバーゲストと対峙すると剣を地面に突き刺し、何も持たずに構える。

 

「アアアァッ!」

 

バーゲストはオッタルに飛びかかり、剣を振るうがオッタルはそれを避け、バーゲストが自身の横を通ろうとした瞬間に…

 

「ぬんっ!!」

 

バーゲストの頭に拳を叩き落とし、バーゲストは地面に激突する。

 

「うわっ、今凄い音したよ、大丈夫!?」

 

「……」

 

バーゲストは地面に伏せたまま動かなくなると、黒い大剣が小さくなり、やがてバーゲストの角になる。

 

「彼女の角が今の黒い大剣…!?リヴェリア、彼女の容態は?」

 

「…頭から血は出ているが、命に別状は無さそうだ。レベル1で【猛者(おうじゃ)】に殴られてよくこの程度で済んでるものだ…」

 

「そうか…ありがとう、オッタル」

 

「元々俺の引き起こした事だ、感謝される必要は無い」

 

オッタルはそう言って今度こそその場から去っていった…

 

「さて…また目覚めたら暴れる、なんて事になる前になんとかしないとね…」

 

「何かで縛るか?」

 

「馬鹿、そんなのあの力の前じゃ意味無いわよ」

 

「この角が元に戻れば良いんだが…」

 

「元の場所に戻したらくっつかないかな…」

 

ティオナはバーゲストの取れた角を持ってバーゲストの角があった場所に近づける。

 

「いやそれでくっつく筈が…」

 

「あ、くっ付いた!」

 

ティオナの声で一同は一斉にバーゲストの顔を見ると、確かに取れていた角が元の場所に付いていた。

 

「不思議な身体だね…ティオナ、バーゲストを背負ってくれ」

 

「はーい!

 

ティオナはバーゲストを背負い、アイズは再びベルが居る広間(ルーム)に向けて駆け出した。

 

フィンはアイズの後を追っていると、リヴェリアが話しかけてくる。

 

「フィン、バーゲストについてどう思う?」

 

「…本当に人かどうか疑っているよ、あの力、僕でもまともに喰らえばタダじゃ済まなかっただろうね…取り敢えず彼女の主神や、ロキにこの事を話しておく必要がありそうだ」

 

「…私は、バーゲストは悪人では無いと思っている」

 

「僕だってそうさ、なんてったって、レフィーヤの事があるからね…食堂で見た時も、礼儀正しい子だと思ったし、悪人とは思えないけれど…さっきの姿を見た時、僕の親指は今までで一番疼いていた」

 

「脅威になると?」

 

「彼女次第かな、あの力を自分の物にするかそれとも…恐ろしい厄災になるか…」

 

そうしてアイズ達がリリルカの言っていた広間(ルーム)に辿り着くと、そこには…

 

「…うそ…」

 

「アイズ!どうしたのって…!」

 

アイズ達の視線の先には…

 

「はあぁぁぁぁ!!」

 

「グオォォォ!!」

 

死闘を繰り広げているベルとミノタウロスの姿があった…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ベルはミノタウロスの攻撃をいなしていたが、隙を突かれてグリーン・サポーターごとミノタウロスの折れていない左の角で突き上げを喰らい、地面に叩きつけられた。

 

「ぐ、ぐあっ…!」

 

ベルが起きあがろうにも中々起き上がれずに、ミノタウロスが徐々に迫って来る。

 

(ここまで、なのか…)

 

ベルは一瞬内心、少し諦め始める。

 

(リリ、無事だと良いな…バーゲストさんも大丈夫かな…)

 

ベルは目を閉じ、リリルカやバーゲスト、ヘスティアの事を思い出す。

 

(神様、すみません…僕…)

 

『あなたなら、きっと出来るわ』

 

「っ!!」

 

ベルは瞬時に起き上がり、ミノタウロスが振り落とした大剣を回避する。

 

(馬鹿か僕は!あの日言っただろう、追いつきたいって、強くなりたいって、英雄になりたいって!それを応援してくれる人が、信じてくれる人がいるのに!先ず僕が諦めてどうする!)

 

ベルはヘスティア・ナイフと地面に刺さっていたバゼラードを引き抜き、再びミノタウロスと向き合う。

 

「また前みたいに…アイズ・ヴァレンシュタインや、バーゲストに助けられる訳にはいかないんだ!!」

 

(そうじゃないと、英雄になんてなれない…!高みなんて届かない!)

 

「来い!!僕は今日、お前を倒す!!」

 

ミノタウロスはそう宣言したベルを見て…

 

「グオォォォォォォォォォォォ!!」

 

今までで一番の咆哮…いや雄叫びを上げ、ベルに向かって行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アイズ達はベルとミノタウロスの戦いを静観していた。

 

「…おい、助けるんじゃ無かったのかよ」

 

「ベート、分かるだろう。彼とミノタウロスから伝わってくるこの気迫…邪魔するなと一人と一匹が叫んでいるようなものだ」

 

「けど、良いの?あの子、レベル1なんでしょ。死んじゃうよ?」

 

「………」

 

ティオナからそう言われてもアイズは黙って戦いを眺めていると…

 

「手は出さなくて良い…」

 

「うわっ!バーゲスト起きたの!?」

 

ティオナの背負っていたバーゲストが目を覚まし、ティオナはバーゲストを降ろす。

 

「すまない、迷惑をかけたようだ…頭が痛いし考えが上手く纏まらない…思考も少し単純になっている…角が外れたか?」

 

「やはり、あの角は君にとって重要なものみたいだね」

 

「まぁな…」

 

「それよりさ、本当にあの子助けなくて良いの?」

 

「ああ…アレはベルの冒険だ、手を出そうものなら私が止める…」

 

バーゲストはベルとミノタウロスの戦いを見てそう言った。

 

「バーゲスト様…」

 

「リリ、心配するな。ベルなら大丈夫だ」

 

ベルはミノタウロスの攻撃を避けながらこう思っていた。

 

(確かにお前は大きい…!けれどバーゲストさんの方がもっと硬かったし、力が強かったし、お前より大きく見えた!)

 

ベルは一日だけアイズとの特訓でバーゲストとも特訓した事がある。あの時はバーゲストに手も足も出なかったが…

 

(バーゲストさんより弱いお前の攻撃を躱す事は出来る…!けど、攻撃が通らない、ファイアボルトもあまり効いてないし、一体どうすれば……待てよ…ミノタウロスが硬いのはともかくバーゲストさんは何であんなにも硬いんだっけ…!)

 

ベルはバーゲストの姿を思い出すと、戦うバーゲストの姿は硬そうな鎧を纏っていた。

 

(鎧で身を守っているからあんなに硬かったんだ、なら、鎧の内側はそうでも無いという事…!ならミノタウロスも、外側からじゃなく内側からなら…!)

 

バーゲストの鎧とミノタウロスの体表を同じものとして考えたベルはミノタウロスも内側から攻撃出来ればと考えるが、ヘスティア・ナイフやバゼラードでミノタウロスの内側に刃を通すのは困難である。

 

(もっと考えろ考えろ!バーゲストさんも言ってただろ!物語の英雄達は身を削り、知恵を振り絞って怪物を倒してきたって!)

 

ベルはミノタウロスと攻防を繰り広げながらミノタウロスに決定的な一撃を与える為の作戦を必死に考える。

 

(ヘスティア・ナイフやバゼラードじゃ軽すぎる…!ミノタウロスの肉を斬り裂くには、もっと重い剣が……!)

 

ベルはそこでミノタウロスの持つ大剣を見る。

 

(…よし!)

 

「【ファイアボルト】!」

 

ベルはファイアボルトを放ち、ミノタウロスを怯ませる。

 

「あの魔法、詠唱していない!」

 

「ああ、だが相手が悪い」

 

「軽過ぎだ!」

 

「じゃあ、手詰まり…」

 

ベルがミノタウロスに突っ込んでいき、ミノタウロスはベルに向かって大剣を振り下ろす。

ベルはそれをバゼラードで受け止めると、バゼラードは耐えきれずに砕け散る。

 

「はあぁぁ!」

 

しかしベルは自身の横を通るミノタウロスの右手首にジャンプして、ヘスティア・ナイフを空中から全体重を掛けて突き刺す。ミノタウロスは体勢を崩して地面に倒れ、ベルは続けてヘスティア・ナイフを捻る事でミノタウロスの右手を使用不能にする。

 

「…ミノタウロスが大剣を振り落として重心が前に行った瞬間に全体重と空中からの勢いを使ってミノタウロスを倒れさせ、その隙に右手を使えなくする…考えたな。バゼラードが壊れたのも想定内か、ミノタウロスの勢いを出来るだけ殺さないように…」

 

「そこまで考えているのか?」

 

「必死に考えているだろうな、勝つ為に」

 

ミノタウロスが立ち上がり、大剣を持とうとするも、右手に力が入らなくなっており、ミノタウロスの右手から大剣が落ち、地面に刺さる。

 

「ふっ…!」

 

「グオォォ!」

 

ベルがヘスティア・ナイフを左手に持ち変えてミノタウロスに近付き、ミノタウロスは右腕を振り回し、ベルに攻撃するがベルはそれを避けて大剣を拾う。

 

「はあぁぁ!!」

 

ベルは大剣を振り回し、ミノタウロスの身体を切り裂いていく。

ベルとミノタウロスは距離を取り、再び睨み合うと、ミノタウロスが姿勢を低くする。

 

「はあぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

「グオォォォォォォォ!!」

 

正面から互いに突っ込んでいくベルとミノタウロス。

 

「若い…!」

 

「馬鹿が…!」

 

ミノタウロスの突進に真正面から挑むのは危険な行為であり、それでミノタウロスにやられる冒険者は少なくは無い。

 

「ベル様!」

 

「「大丈夫(だ)」」

 

リリルカが叫び、アイズとバーゲストが同時にそう言うとベルの持った大剣とミノタウロスの角がぶつかると大剣が砕ける。ベルはミノタウロスの角を横に避けるが、ミノタウロスは角をベルに向けて更に突き出す。

しかしベルは姿勢を低くしてミノタウロスの角に下を潜ってミノタウロスの懐に入ると…

 

「はあっ!」

 

「グオッ!?」

 

大剣によって出来た傷にヘスティア・ナイフを突き刺す。

 

「【ファイアボルト】…!」

 

「グ、グオォ…!」

 

ミノタウロスは身体の内側から燃やされ、口から血を噴き出す。しかしベルに向けて腕を振り下ろそうとすると…

 

「【ファイアボルト】!」

 

「グオォォォ!?」

 

更に燃やされ、動きが止まってしまう。

 

「【ファイアボルト】!!」

 

ベルが三発目のファイアボルトを放つとミノタウロスの身体は膨張し、上半身が弾け飛ぶ。

残った下半身から炎が上がり、膝をつくと灰になって消えた…

 

「…ベル様…」

 

「勝ちやがった…」

 

「立ったまま、気絶してる…」

 

「マインド、ゼロ…」

 

ミノタウロスとの死闘を制したベルは立った状態で気を失っており、背中に刻まれたステイタスが丸見えになっていた。

 

「…よくやったな、ベル…」

 

バーゲストはそう言ってベルに微笑んだ…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あの後アイズとリヴェリアの二人にホームへ送ってもらったベルとバーゲスト。

ヘスティアはベルをベッドに寝かせ、バーゲストと共に様子を見ている。

 

「バーゲスト君は大丈夫かい?」

 

「頭痛はしますが、特に問題はありません…それより今は、ベルを褒めてあげてください」

 

「うん…頑張ったね、おめでとう…」

 

ヘスティアはそう言ってベルの額にキスをする。

 

「これがボク達の…物語の一(ページ)目だ…!」

 

 

 

 

 




やっとミノタウロス倒したなベル君全く…戦闘描写って書くの難しいな!!因みにベル君ですがアンケートの結果を見てFate方面に強くするのが確定しました。どんな風に強化されるかはお楽しみです!多分次位になったら分かる…かもしれない!それではお楽しみに!
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