8月。どこかのサーキットにて……
バクシン「さぁて始まりました!ロータリー記念!実況は私(わたくし)サクラバクシンオー!解説にウオッカさんをお迎えしてお送りします!」
ウオッカ「な、なぁ……俺バイクは分かるけど四輪車は……」
バクシン「そして、対戦者がレーンに入ってきました!まずマルゼンスキーさん、そしてマルゼンスキーさんのトレーナーさんです!ここで両者の紹介をしましょう!」
ウオッカ「聞いてないし……」
マルゼン「………」(仁王立ち)
バクシン「おお、これはまさに食って掛からんばかりの表情!マルゼンスキーさんの愛車、紅のタッちゃんも輝いております!」
トレ「………」(仁王立ち)
バクシン「こちらもいい表情をしていますね!トレーナーさんの愛車は……えーと」
ウオッカ「シルエイティ……」
バクシン「そうですシルエイティ!その紺碧にトレーナーさんも反射しておりますッ!」
ライス「あわわわ……」
ウオッカ「ライス先輩……何がどうしてこうなったんすか?」
ライス「ラ、ライスのせいなの……」
ウオッカ「え?」
ライス「えっと……」
…………
数日前、トレセン学園のトレーナー室にて
ライス「そういえば、お姉さまもスポーツカー乗ってるんだよね?」
トレ「そうねー。毎日乗ってる訳じゃないけど。日産のシルエイティ。純正品の」
マルゼン「あら、そうなの?意外~。それにだいぶレトロな車ね~」
トレ「そう見えない?」
マルゼン「見えない」
トレ「直球ッ!あとレトロ云々はマルゼンさんも言えないぞー!」
ライス「えっと、マルゼンさんのタッちゃんとお姉さまのシルエイティ、どっちが速いの?」
トレ「そりゃあ」
マルゼン「もちろん」
トレ「私のでしょ」マルゼン「タッちゃんでしょ」
「「「………」」」
トレ「聞き捨てならんなぁ。マルゼンさんでもゆる早苗よ?」
マルゼン「私の聞き間違えかしらぁ……」
トレ「よし、勝負だ」
…………
ライス「ってことなの……」
ウオッカ「なるほど……」
バクシン「両者、愛車に乗り込みスタート位置へ!出走?へのカウントダウンスタート!」
テ、テ、テ、テ
トレ「マルゼンさんには……」
マルゼン「トレーナーちゃんには……」
テーン!!!
「「負けない!」」
バクシン「両者好スタート!さてこのロータリー記念ですが、一周4719mのサーキットを2周するレースとなっております!長距離を超えた、まさに超長距離のレースです!いつか私(わたくし)も走れるようになるでしょうか!?」
ウオッカ「でも……トレーナーに不利すぎやしないか?」
バクシン「ウオッカさん、その心は?」
ウオッカ「いやだってよ?マルゼン先輩のタッちゃんって、バリバリのスーパーカーだろ?シルエイティとはエンジン出力も桁違いなんじゃ……」
トレ『聞こえてるわよー』
ウオッカ「うぉお!?無線機!?いつの間に!?」
トレ『舐めてもらっちゃあ困るわ。確かにタッちゃんは化け物の愛称が似合うスーパーカー。それは私も認める所。だから流石にチューニングはさせてもらったわ。これはマルゼンさんも同意済み』
ウオッカ「な、なるほど」
トレ『それに今、マルゼンさんは四苦八苦してるでしょうね……』
バクシン「おや?タッちゃんのスピードがさほど乗ってないように見えます!」
ウオッカ「ッ!!あんたまさか!?」
トレ『さすがウオッカ~。そう、このサーキットはね』
……
マルゼン「くっ……カーブがきつくて……思うようにスピードが!」
マルゼン(それにこのコース、ストレートの高低差が激しすぎる!一回でも操作ミスったら芝生入り間違いなしじゃん!あーもうなんで詳細も聞かずに乗っちゃったかなー私のアンポンタン!)
マルゼン「ああっ!抜かされた……!このぉッ!」
マルゼン(何よあの加速!?ホントにシルエイティなの!?)
マルゼン「でもッ!タッちゃんのエンジンと私のドラテク、舐めないでよね!」
……
トレ「おーおー、単純なオーバルコースじゃあ勝てないから敢えて全体的に直線短くて右にも左にも上下にもグニャグニャのサーキット選んだけど怖いねー。流石スーパーカー。でもねぇ、こっちだって!」
トレ「譲れないもんがあんのよ!」
トレ「ずっと封印してたレースエンジン、こっちはその封印だって解いてんだ!きっちり1万1千、べた踏みで回してくよ!」
……
バクシン「両者一歩も譲らず最後の直線!」
ウオッカ「すげぇ……タッちゃんにスピードが乗ってねぇってのもあるけど、なんだあのシルエイティ……」
バクシン「トレーナーさんか!?マルゼン先輩か!?これは大接戦!大接戦ゴール!!」
ライス「ど、どっちが勝ったの……?」
ウオッカ「これは……」
バクシン「写真判定です!これは……!」
ライス「同、着……?」
トレ「………」
マルゼン「………」
バクシン「おおっと?マルゼン先輩とトレーナーさんが車から降りて向かい合っています!!」
トレ「なかなかやるわね」
マルゼン「トレーナーちゃんもね」
バクシン「これは……握手です!熱い握手を交わしています!」
ウオッカ「丸く収まったようで何よりだ……はぁ」
トレ「今度交換しよ!」
マルゼン「いいわねー!」
~後日~
どこかの自動車整備場にて
トレ「おっちゃん!エンジン見て!」
整備士「おっちゃんは止めろって言ってんだろ!ったく……で、どうしたぁ?」
トレ「この間さ、タコメーターとか色々交換したじゃん?そのあと全力で回したら調子悪くて」
整備士「どれどれ……こりゃオーバーホールが必要だな……」
トレ「いくら?どれだけかかる?」
整備士「……50万で三か月ってとこだな」
トレ「案外安く済んだ。じゃカード、分割で」
整備士「あいよ。にしても一瞬でエンジンダメにするたぁ……どんな化け物とやりあったんだよおめぇは……」
トレ「カウンタック」
整備士「……はぁ?」
トレ「色々あるのよ、トレーナーにはね」
女トレの持ち車
・MAZDAアテンザ(AT)
元教習車。左側にブレーキペダルだったものが残っている。買い物などの普段使いや釣りに行くときに使うのはこっち
採用理由:作者の通ってた自動車学校で使ってたのがこれ。すごく乗りやすくて(当たり前)楽しかった
・シルエイティ(6速MT)
珍しい純正品。純正の改造パーツといったものは一切搭載しておらず、レース用エンジンのみが搭載されている。タコメーターを換装すれば1万1千回転を発揮する
ただし、普段は9千回転までのタコメーターを搭載し、意図的に落としている
採用理由:趣味です。乗るかどうかは別として、趣味です。