IS~二人目の男性操縦者は魔法剣士!?~   作:ピーナ

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一巻の内容はここで終わります。


IFルート 第二話 諸刃の剣

クラス代表決定戦の後、周りの目は少し変わった。「気味が悪い」から「恐怖」に。

それもそうか。常識から考えたら、イギリス人は国家代表候補生。それなりの実力を持っているのだから。でも、僕はそれに圧勝した。自分の理解できない力を恐れるのは人として当たり前の事だ。まあ、僕には関係ない。

それでも、例ののんびりした女の子は相変わらず、僕に話しかけてくる。最近は彼女だけではない。

 

「ね~、霧島君」

 

ルームメイトの会長さんも積極的に話しかけてくるようになった。彼女達は一体何を考えて、僕なんかに話しかけるのだろう?

 

 

 

予想のはるか上をいった一年一組のクラス代表決定戦。その後のふたりの男子の評価はさらに両極端になった。一人目の織斑君は「初心者でありながら代表候補生に肉薄し、素質を見せつけた」二人目の霧島君は「強すぎて、怖い」というものだ。その恐怖の感情は戦った、織斑君やオルコットちゃんも持っているらしい。

私は同じ部屋で暮らして、彼が勤勉な性格である事が分かっている。人と関わるのは避けているのでアリーナで訓練はしないが、部屋で出来る筋トレや、ISの勉強の予習復習、朝早く起きてのランニングなどの姿を見れば、一目瞭然だ。

そんな彼だから、彼の強さにはちゃんとした理由があると思う。その理由を彼は決して言わないけど。

だから、私は彼の強さにそんな感情を持たなかった人もいる。私はそうだし、本音ちゃんもそうだ。更には彼の担任でもある、織斑先生もそうだった。私達の考えは大体同じ。「暗い眼と強さについて知りたい」この一点だ。

 

 

 

学校に編入生が来た。……どうでもいいけど、なんで、入学式のタイミングじゃなかったんだろう? 入学一ケ月って交友関係とか固まって入りにくいと思うのだけど。まあ、僕には関係ない。

中国人は話しかけてきたのは一回だけで、すぐ引き下がってくれた。ありがたい。まあ、その条件のために一回戦う羽目になったけど。アリサ、というより僕を保護したバニングス社への恩返しをするために相手の機体のデータと僕の機体のデータは欲しい所だし。

彼女のISは空気砲を使ってきた。ユニークだけど、発射のタイミングが分かるから何とでもしようがある。彼女自身、当たらずイライラして攻撃がワンパターンになるという未熟さを見せたし。まあ、データはしっかりいただいたから相手の腕がどうとか関係ない。僕とは関わらないんだし。

それから、中国人は約束を守ってくれた。ただ、他の人とは見ている目が違う。どちらかというと会長さんを始めとした少数に近い。

 

 

 

一年生に編入生が来た、中国の代表候補生、凰鈴音ちゃん。

彼女は今までの他の人とは違う手段をとって来た。それは「引き下がる代わりに一回戦う」という条件を霧島君に飲ませた事。

結果は私の予想通り、霧島君が勝った。凰ちゃんのIS『甲龍』の特殊装備『衝撃砲』の特徴は見えない事。しかし、彼にはそれすら通用しなかった。初撃は多分、勘だろうけど、二発目からは完全に迎撃していた。

確かに、発射のタイミングだけならば見ていれば分かる。彼が考えたのはどこに来るのか分からなければ、正面に立っていれば良いというもの。確かに、射線は直線なんだから、相手と自分の間に砲弾があって、そこに攻撃すれば迎撃は出来るだろう。でも、一度ミスすればダメージは確定の諸刃の剣でもある。少なくとも、私ならこの選択はしない。

途中から凰ちゃんは焦っていたように見えた。……ひょっとしたら、彼は相手が焦るのを待っていた? だとしたら、彼は単に強いだけじゃない。戦い慣れているって事だ。しかし、一体どこで? 謎は深まっていく。

 

 

 

新学期が始まって約一月、私は霧島君の依頼された霧島君の監視(学園、ひいてはIS委員会)と護衛(アリサ)をしていた。彼には謎が多すぎる。

まず、なぜ彼はあそこまで人を遠ざけようとするのだろうか? 彼の経歴を調べる限り、小学三年のクリスマス前後に何かがあったとしか分からない。機会が有ったら本人……は話してくれなさそうだし、アリサに聞こうと思う。

次に彼の強さ。彼はとてもISの初心者とは思えないほどの技量を持っている。恐らく国家代表、しかもその中でもトップクラス。それだけでなく、間違いなく場慣れしている。そうでなければ専用機を持った代表候補生を手玉に取る事など出来ないだろう。それらはどこから来たのか? もしかしたら、前者と関連するものがあるのかもしれない。

……こう思うと分からない事だらけだ。

 

 

新学期が始まって約一ケ月。学園は初めてのイベントクラス代表戦なるものが始まっている。が、僕は全く興味無いのでいつも通り過ごす。……しかし何だ、この嫌な予感は? こういう悪い予感はよく当たる。思えばあの日もそうだった。……いや、今は思い返すような時じゃない。この予感が杞憂であれば良い。打てる手は打っておこう。

 

(叢雲、魔力サーチャーを広範囲散布、嫌な予感がする)

(了解)

 

何時でも、動けるように外に居よう。アリーナの近くのベンチで待機だな。

少しして

 

(マスター、アリーナ直上に魔力反応。対象はISに模してありますが、内部にロストロギア『ゴーレム』のコアがあります)

 

と叢雲の報告が。はあ……面倒事だよ。まあ、良いや。敵が強ければ僕が死ぬ。弱ければ死なない。それだけだ。

 

「さあ、行こうか」

 

僕はISを纏って飛び立った。燃え尽きるのは僕の命の炎か、相手か。

 

(マスター、アンノウンは攻撃態勢。高エネルギー砲でシールドを突き破ろうとしています)

「たとえ、どんなんでもやる事は一つだけだね。貫け」

 

僕は手に魔力で出来た漆黒の槍を作り出す。

 

「デモンズランス」

 

それを投擲する。僕の腕力+ISで強化された力で音速並みのスピードで飛翔する槍。しかし、相手はそれを避ける。

 

「やるね……」

 

初撃を避けられたので、僕はまず、高度を取る。敵認識をしてくれたのなら、上を取って地上への被害を減らさないと。にしても……

 

(叢雲、あれは無人機だね? スラスターがどう考えても人が耐えれるように設計されていない)

(同意です。私もそう思い、念のために生体スキャンしましたが、確認できませんでした。無人機と判断してもよいでしょう)

 

それなら、容赦なく行こう。まずは、瞬時加速をいつでも使えるように用意しておく。後は、タイミング。ひたすら、それを待つ。

相手はアリーナのシールドに撃とうとしていた砲撃をこっちに向ける。来た。待っていたタイミングが。僕は近寄ろうとする。

発射される砲撃。

それをギリギリで回避し、用意しておいた瞬時加速を発動、一気に近寄る。

 

(コアは、相手の左胸、人の心臓に当たる部分に有ります)

(ありがとう、叢雲)

 

僕は言われたところに剣を突き立てる。そして、魔力により雷を落とす。技の一つ、雷神剣。

 

(叢雲、コアは剣に刺さってる?)

(はい)

 

確認が取れたので、コアごと、剣を引き抜く。さて、先生に報告しないと。

 

 

 

クラス代表戦。IS学園新学期始まってすぐのイベントであり、各クラスの現在の指標にもなる、結構重要なトーナメントでもある。

かくいう私も、参加はしないが、のちのちライバルになりそうな子がいないか確認の意味を込めて見に来ている。生徒の実力を把握するのも生徒会長の仕事の一つだ。

今日は一年の部が行われる。私の妹もクラス代表なのだが、とある事情で参加はしていない。四クラスだけなので、初戦の一組VS二組が事実上の決勝戦と言える。

その最中、私が見ていた管制室に一本の通信が入った。相手は何と霧島君。外を出歩いていたら、アリーナの上に変な反応を見つけたから、ISで迎撃して、沈黙させたらしい。

 

『事後報告ですみませんが、指示お願いします』

「ああ。第二アリーナに搬入しろ。その後、戦闘ログの提出だ。今回は緊急事態だから、無断展開については不問とする。……よくやってくれた」

『いえ、やれるところに僕が居ただけです。では』

 

彼は、移動しながら、管制室に戦闘ログを送って来た。

最初奇襲に近い感じで開戦した、誰も見ていない戦い。奇襲のは彼のISの第三世代兵装だろう。効果はエネルギーを任意の形に形成し、それを武器とするだったかな。その後お互いの牽制射撃を避けつつ、膠着した展開。

先に動いたのは正体不明機。映像でも分かるレベルの高エネルギー砲を躊躇なく放ってくる。たとえ、ISに絶対防御があると言っても、あんなのを食らったらひとたまりもない。しかし、彼はそれで怯みすらせず、切り込みながら回避、そしてその瞬間に瞬時加速をし、一気に飛び込む。そして、不明機の左胸に剣を突き刺す。そしてコアごと引き抜き、鎮圧完了。

 

「……織斑先生」

「なんだ、更識?」

「霧島君と同じ事出来ます? 今までを含めて」

「訓練なら出来る。しかし、あの状況で同じ事をやれと言われれば、恐らく無理だろう」

 

私も織斑先生と同意見だ。彼の機動自体は特に難しい事をしていない。それこそ、やろうと思えば現状の織斑君でも可能だろうし、みっちり訓練出来れば一般の生徒も一月もあれば出来ると思う。

問題は当たれば大怪我確実の攻撃に向かってそれをしたという事。度胸があるという次元じゃない気がする。それはまるで……自分の命を投げ捨てるようなものだ。

ちなみに、クラス代表戦は織斑君の瞬時加速を凰ちゃんが上手く衝撃砲でカウンターし勝利、そのまま二組の優勝となった。

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