IS~二人目の男性操縦者は魔法剣士!?~   作:ピーナ

20 / 65
クラス代表決定戦、後半戦です。


第六話 必殺技は熱く叫べ!

「あー、疲れた」

 

ISのエネルギー補給をしている途中、やる事が無く手持無沙汰になった僕は思わずそう呟いた。

 

(言うほど、疲れてないのでは?)

(と思ったんだけどねー。見世物になってて、気疲れかも)

(普段は中々こんな事起こりませんからね)

 

全く、慣れない事はしない方が良いね。

 

(でもまだ、一夏とのが残ってるしなー。もう一個の方を試すかー)

(ですね。あちらの方が扱いが難しそうです)

(イメージは出来ているんだけど、上手く行くかな?)

(私も二人にレクチャーしていただいたのですが、上手く行くかは…)

(まあ、ぶっつけ本番でも何とかなるでしょ。いざとなったら、さっきと同じ方法で行けば良いだけだし)

 

色々、ぶっつけ本番でして来たし。秘奥義とか。

 

(マスターの人生行き当たりばったりですからね)

(案外そんなもんだね。その中でどれだけ、自分の後悔しない選択が出来るかだね)

 

一寸先は闇、人生を端的に表すとそんな感じ。なら、選択をしないといけない時に後々後悔しないように僕はその時僕の一番したい事をする。これまでそうやって来たし、これからもそうしていくと思う。

 

「さて準備も出来たし、気合い! 入れて! 行きますか!」

 

 

「おっす、一夏。待ったかい?」

 

セシリアの時とは違って今回は僕の方が後だった。

 

「そんなには待ってねえよ。…でもさ、俺、お前に勝てる気しないんだけど」

「そんな一夏に良い言葉を教えてあげるよ」

「なんだ?」

「当たって砕けろ」

「負けフラグじゃねえか!」

「まあ、結果なんてやってみないと分かんないさ。ただ言えるのは最初っから諦めている奴に勝ちは無いって事かな」

 

諦めた奴に微笑むほど、勝利の女神は優しくはない。女神さんは諦めの悪い奴が好みなのだ。

まあ、僕の女神は実在するし、確実に僕に微笑んでくれる。

 

「…そうだな。よし、やってやるぜ!」

「そうそう、その意気。まあ、僕も簡単には負けないよ」

 

こうして世界で初めて男性同士のIS戦が始まる。

 

「んじゃ、先制攻撃といきますか」

 

僕は彩雲で二発のエネルギー弾を撃ちだす。

 

「それくらい!」

 

それを避け、距離をどんどん詰めてくる一夏。

 

「今回は、ただ避けるだけじゃだめなんだなー」

 

僕のその言葉と共に一夏の背後から衝撃が襲う。

 

「くっ、何だ!?」

「今回は、さっきとは別の『Nバレット』で行くよ!」

 

 

 

「フ、偏向射撃ですの!?」

「いえ、あれは恐らく誘導弾ですね」

「一夏…」

「あれは、戦いにくいな。弾速は先程より遅いが、誘導性能と弾数でまともに近付けまい」

 

再び、管制室。今は一夏に変わって、セシリアがいる。

 

「しかし、それならなぜ私の試合の時は使わなかったのでしょうか?」

 

ふと、頭に浮かんだ疑問を口にするセシリア。

 

「理由はいくつか考えられますね。より相性の良い方を選んだとか…」

「二戦トータルで戦術を組んでいたとかな。あるいは、霧島にとっては勝ち負けは二の次で自分の腕試しにしたとも考えられる」

「そもそも、同時に使えない仕様なのかもしれませんしね。後で霧島君に聞いてみてはどうですか?」

「そうですね、そうします」

 

教師と生徒が会話をしている内にも試合は進んでいく。

 

 

 

ここまでの試合内容は完璧に近い。一夏の距離に入れず、確実にシールドエネルギーを削れている。

…しかし、誘導弾のコントロールは疲れる。よくこんなのを何十発もコントロールできるよなー。

攻め方が単調になってるかな? 大分一夏も慣れてきたみたいだし…。

 

(マスター、こちらの準備完了しました)

(OK。んじゃ、そろそろ終わらせますか)

 

まずは、攻撃のリズムを少しずつ落としていく。かいくぐり易い様に。

それと同時に僕の近くにロックバレットを仕掛けておく。

仕掛けは上々、後は仕上げるだけですよっと。

さて、誘導弾の雨をかいくぐって、一夏は僕の方に近付いてくる。しかも、あのバカエネルギーの奴を発動させて。

しかもちょっと、仕掛けた地点からずれているし。

 

「やっと、近づけたぜ! これでも食らえ!」

「断る!」

 

僕はそれを銃身で受け流す。体勢を崩した所にロックバレットが仕込まれている。

 

「マジかよ!?」

「マジだよ」

 

一夏にそう返してから僕は距離を取る。

 

「これで決めるよ。ちょっと痛いけどね」

 

彩雲にエネルギーが集束していく。

 

「ちょっ、八雲、何を…」

「僕の必殺技のお披露目さ! ディバイン……バスター!」

 

こう言ってるけど、僕の必殺技では無いんだよねー。

 

 

 

試合を終えた僕はピットに戻り、シャワーを浴びて少し休んでいた

 

「いやー、疲れたー。主に頭が」

 

まあ、体力だけは自信あるしね。高度な誘導は負担が大きい。要練習だね。

 

(映像はもらえるかな? なのはにアドバイスを貰いたい所だけど)

(ですね。Fバレットはともかく、Nバレットの方はもっと訓練しないといけません)

(明日からは、その辺をやるかー)

 

今日はこの後どうしようかな?

 

「霧島良いか?」

 

この後の予定を考えていたら、入り口のドアの向こうから織斑先生に話しかけられた。

 

「別に大丈夫ですよ」

 

僕が返事をすると、織斑先生はピットに入って来た。

 

「今日はご苦労だった。クラス代表の事だが…」

「辞退させていただきます。一夏かセシリアにお願いします」

「何故だ」

「織斑先生はあくまで勝った人に決定権を与えると言っただけなので、辞退するという選択肢を選びました。それに、テストパイロットの仕事もありますし」

「ふむ、分かった。…本当を言うとな、私もお前に辞退を頼みに来たのだ」

「そうなんですか?」

「ああ、お前は実力が有り過ぎる。一年では歯が立たん。それでは、他の者のやる気を失わせるだけだ」

 

…目立ち過ぎた? ちょっとやばいかも。

 

「そんなにですか?」

「自覚が無いのか? 私の見た所、生徒会長と互角以上と言った所だ」

 

アレ、かなりやばくね? 生徒会長って国家代表だよね? それと互角って…凄い目立つじゃないですか! 穏便に過ごしたかったのに。

 

「生徒会長の事だ。その内勝負を挑んでくるかもしれないぞ?」

「遠慮したいですね…」

「とりあえず、伝える事は以上だ。後はオルコット次第だな。…霧島」

 

部屋を後にしようとした織斑先生が僕の名前を呼ぶ。

 

「なんですか?」

「出来れば、一夏やオルコットといった専用機持ちや他の生徒たちの事も面倒見てやってほしい」

「…出来る事はします。僕もまだ学生なんで、人に教えられるような能力は無いとは思いますが」

 

機動は空戦を元にしたオリジナル、攻撃方法も二人の幼馴染のを模倣しているだけだ。

 

「謙虚だな」

「兵器を扱う人間はこれくらいの方が良いと思いますよ。体と技術は時間を掛ければ何とかなりますが、扱う人間の心は本人の意識次第ですから」

 

心はそう簡単に強くなれない。

ISといった強大な力を扱うのだ。その大きな力に飲み込まれない心が必要だと思う。

 

「誰かの言葉か?」

「近所の喫茶店のマスターの言葉です。その人の家は古流剣術を代々受け継いでいるらしいですけど」

「そうか…。是非一度会ってみたいものだ。今日の所はゆっくり休めよ」

 

今度こそ、織斑先生は部屋を後にした。

 

 

「きーりん、おつかれ~」

「ありがとう。そうそう、頼まれた奴作っておいたよ」

 

夕食を食べ部屋に戻り、本音と二人のんびりしている。

頼まれたもの、つまりお菓子の事だ。僕の自信作、フルーツパフェ・ウィズ・チョコレートバナ~ヌおいしおいしを作って出す。

 

「おおー、超豪華! それに…美味し~!」

「自信作だからね~。コーヒーの時話した喫茶店のマスターの奥さんがパティシエなんだけど、その人にお墨付きを貰ったし」

「それは凄いねー」

 

やはり、料理を作って美味しいと言ってもらえるのは嬉しい。

と、そこに部屋のドアを叩く音が。誰だろ?

 

「はいはーい、どちらさんで…って、一夏。それに箒とセシリアも。どしたん?」

「いや、今日の映像を見直して反省をしようと思ってな。だから、全部勝った八雲にダメ出しをしてもらおうと思って」

「真面目だねー。今日くらいはゆっくり休んだら?」

「復習はその日のうちにって言うだろ?」

 

まあ、たしかにそうか。

 

「分かったよ。入って」

 

三人を招き入れる。

 

「きーりん、お客さんは誰?」

「一夏と箒とセシリアだよ。なんでも反省会なんだって」

「お邪魔しまーす。って、のほほんさん、何食べてんの?」

「これはねー、きーりんに作って貰ったの」

「今日のクラス代表決定戦に協力してもらったお礼かな。そういう約束だったし」

 

僕も作らないと腕が鈍るしね。もうちょっと学校に慣れたら、弁当作ろうかな?

 

「ちょっと待ってねー。今日の試合の映像、山田先生に貰ってきたから」

 

自分の動きを後で確認できるように、アリーナでの試合の映像は原則後で誰でも見る事が出来る。

一応訓練のも見れるらしいけど、人数が多すぎる時だと誰か分からないらしい。専用機は各国、各企業のデータ収集の要素もあるので、機密性の高いアリーナの使用が許可されている。そこだと、大丈夫なんだとか。

それはさておき、三戦まとめて対戦の映像を見る。

 

「さて、まずは一夏からだね。まあ、今日専用機を貰ったから基本が出来ていないのは当たり前だから、基本を覚えるとして、これから、クラス代表戦まであの剣『零落白夜』だっけ? を模擬戦の時使わない事」

「何でだよ?」

「何であんなん、練習の時にまで使うんだよ。それよりも、使わずに試合の時間が長引く方が、攻撃を避けたり、懐に飛び込んだりの実戦的な練習が出来るだろ? 結局、『零落白夜』を使うにしても、使わないにしても必要な要素なのは変わらないんだから、練習の時くらいは頼らない」

 

一戦一戦エネルギー切れ、もしくはそれに近い状態ってのは練習の効率も悪いしね。

 

「それもそうだな」

「分ればよろしい。んじゃ、次ー。セシリアはね、攻撃パターンを増やす事かな」

「パターンですか?」

「そうだよ。見た所、一番反応が遅れるとこ、所謂死角からの攻撃なんだけど、気付けば一夏みたいな対処が出来ちゃうんだよね。それをなくすためにもいろんなパターンの攻撃が欲しいね。例えば僕の場合だと、高速弾と誘導弾があるけれど、その中でも結構いろいろ出来たりするんだよ」

「一夏さんとの戦いでもわざと途中から速度を落としていましたものね」

「おー、そこに気付くとは流石、代表候補生。気付かれない様に少しづつだったんだけど」

「どういう事だ?」

 

どうやら、戦っていた本人は気付いていないようだ。

 

「一夏の戦いの時、大分誘導弾に慣れてきてたみたいだし、僕の方も色々準備が出来ていたから、少しづつ弾のスピードを遅くしてたんだよ。最後の仕上げの為に」

「マジで?」

「マジで。大分と一夏も慣れてきてたから、このまま押し切れないと思ってさ」

「…俺は八雲の手のひらで踊ってただけかよ…」

「結果的にそうだね。まあ一夏とは経験が違うからねー」

「いや、経験なら上のセシリアにも勝っただろ」

「あれは純粋に機体性能と身体能力、特に反射神経の差。僕こう見えて運動とかめっちゃ得意だし。そのせいで機体も凄くピーキーだからね。なんか、僕がどんな調整をしても乗りこなしちゃうから、会社の人達が悪乗りでどんどん性能を上げていってね、最終的には誰がこんなの乗れるんだよって思える機体になってた」

 

伊達に、時空管理局の身体能力テストで三年連続トップは取っていない。つーか、あのテストの上位50人位は人間辞めてるからなー。…あれ、自分で自分の事を人間辞めてるって言ってる気が…。

 

「話を戻すよ。攻撃のパターンを増やす事だけど、緩急つけたり、武器を上手く組み合わせたりすればいくつか作れるから頑張ってね」

「ありがとうございます」

「後は、セシリアの場合、一夏や訓練機を借りれた時に箒と接近戦の練習をする事かな」

「一夏さんは分かりますが、箒さんもですか?」

「近接戦だけなら、一夏より上手いと思うよ。訓練機なのが惜しいくらい。出来れば織斑先生に頼みたいんだけどねー」

「それは流石に無理ですの!」

「あの千冬さんに勝てるわけないだろ!」

 

もー、皆分かって無いね。

 

「一番手っ取り早い方法は、徹底的に打ちのめされる事だよ? 実力者の先生達に模擬戦してもらって、倒される方が自分の為になるよ?」

 

多分、今日一の笑顔だと思う。

 

「いや、その笑顔、逆に怖えーよ!」

「まったく失礼だね。ま、こんなとこかな? 今日は疲れたし僕はもう休むよ。皆も早く寝なよ」

 

 

 

その日の夜。僕はベットを抜け出し屋上に居た。今宵は満月。月が綺麗だ。

 

(叢雲、結界よろしく)

(分かりました)

 

これは、僕がユーノに頼んで叢雲に組みこんでもらった結界魔法。ホントは一人で訓練するために頼んだんだけど、今は違う使い道だ。

 

『もしもし、八雲君?』

「はやて、久しぶり。元気にしてた?」

『少し前まで元気なかったけど、八雲君の声聞いて、元気でた』

「はは、僕もだよ」

 

ここに来て気付いた事がある。それは僕の中ではやてがどれだけ大きな存在かという事。

ただ会えないだけで、心にぽっかり穴が開いたような感じがして、声を聞くだけで元気になる。

前世じゃこんな事無かったと思うんだけどなー。寂しい…とは違う感情。何だろ? 

ともかく、僕ははやてに会えない事が辛い。だから、こうやって数日に一回抜け出して、電話を掛けている。

結界のお蔭で、ばれないしね。

 

『へー、そんな事があったんやね。お疲れさんや』

「まあ、クラス代表は避けれたから、少しのんびり出来ると思うけどね」

『こっちはそこそこ忙しくて、ちょっと行けそうにないわ。…ゴメンな』

「いいよ、管理局が忙しいのは僕も良く知ってるし。何とか、誕生日の近く位は会いたいけど」

『そっちは、リンディ提督とレティ提督が何とかしてくれると思うで』

 

ホント、あの二人には頭が上がらないな…。

 

「士郎さんと桃子さんに頼んで、お酒を見繕ってもらうか」

『やねー。お金は出し合えば良いだけやし』

「いや、多分、週末一日翠屋で働くだけで良いとか言われると思う」

『ああ、ありそうやね。そうしたら、皆で遊びに行くわ』

「約一名、ただの実家帰りだけどな。っと、そうだ。はやて、なのはの予定知ってる?」

『確か今日明日は休みで、こっちの家に必要な物を買いに行くって言ってたけど、どうしたん?』

「いや、ISの誘導弾のトレーニングメニュー組んでもらおうと思ってさ」

 

持つべきものは頼れる幼馴染だね。

 

『なるほどな。それやったらメールにしたって』

「何で?」

『その買い物、ユーノ君と一緒に行くから、タイミング悪いとアカンやろ?』

「OK、了解。ちゃんと空気は読む」

 

んじゃ、この後メールを入れておきますかね。

 

『そろそろ時間も遅いし、八雲君、明日も学校やから切ろか』

「そうだね。んじゃ、はやて、また掛けるよ」

『楽しみにしてる。お休みや、八雲君』

「お休み、はやて。大好きだよ」

 

そう言って、電話を切る。…ああ、自分の言葉だけど、なんだかむず痒い。

 

(なら、言わなければいいのでは?)

(いや、自分の気持ちは言葉にしないとね。さて、明日の為に寝ますか)

 

僕は見つからない様に慎重に戻っていく。

部屋に着いた時、ヴィータから『家ではやてが顔を赤くしてたんだけど、八雲何か言ったか?』とのメールが来た。…ヴィータ、写真も欲しかったな。




次回は鈴登場話になると思います。


誘導・集束弾『Nバレット』

なのはの得意魔法『アクセルシューター』を模したエネルギー弾を放つ。
弾速はFバレットに劣るが、誘導・操作性能が高く、弾幕やオールレンジ攻撃が可能である。ただし、扱いは難しい。
また、エネルギーを集束させることで、エネルギー砲撃『ディバインバスター』も放つ事が出来る。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。