IS~二人目の男性操縦者は魔法剣士!?~   作:ピーナ

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あれ? 鈴が出てこない…


第八話 最近のインテリジェントデバイスは凄い

今日使っていたアリーナに有った整備室は人が一人しかいなかった。今まで行ったところは大なり小なり整備科の先輩たちが居たんだけど。ま、いっか。静かな方が良いし。

僕は出雲を展開し専用のハンガーに置く。

 

(叢雲、スキャン開始)

(了解)

 

簡易メンテナンスの手順は叢雲のスキャン→異常があればそこの調整(今までこの手順をした事は無い)→最新のパーソナルデータに合わせた調整、となっている。

正直ほとんど叢雲任せなのだが、スゲーな、ウチのデバイスは。

 

(これくらいは、インテリジェントデバイスなら出来ますよ)

 

訂正、凄いのはインテリジェントデバイスだったらしい。

 

(異常なし。何か変更しますか?)

(本音を言うなら、もう少し出力を上げたいんだけど…)

(今でギリギリですからね。リミッターが有る状態ならですけど)

 

そう、実は出雲は現在出力にリミッターを付けている。と言っても100%ではあるのだ。この上の120%、フルドライブが存在するのだが、僕に負担が大きいから使用していない。

 

(とりあえずはこのままかな。君の分身が来たら、また調整だね)

(そうですね)

 

『君の分身』というのは、出雲専用の近接刀『瑞雲』。いろいろ再現するために少し開発に時間が掛かっている。

んじゃ、今日はこの辺で切り上げますか。夕飯が僕を待っている!

 

「かんちゃ~ん。手伝いに来たよ~、って、きーりん! どうしてここに?」

「僕はちょっと出雲の調整にね。本音は?」

「私はかんちゃんに会いに来たの~」

「かんちゃん?」

「かんちゃん」

 

と、本音の指差す方向には、もう一人の作業している女の子。本音の知り合いだったのか。

 

「本音、どうせまた、姉さんに言われてきたんでしょ」

「違うよー、私はかんちゃん専属のメイドだから、手伝うのは当たり前だよー」

 

なるほど、そりゃそうだ。…って、ちょっと待て!

 

「本音ってメイドなの?」

「そうだよ?」

「全然見えんだ…」

「きーりんの私の印象を詳しく聞きたいよ」

「甘い物好きののほほんした女の子。もしくは豪運ギャンブラー」

 

だって、この前ので一人勝ちだからなー。この印象は大きいよ。

 

「失礼だなー」

「はは、ゴメンゴメン」

「月曜から木曜まで、暮らしを見つめる布仏本音です!」

 

たしかにメイドっぽいキャッチコピーではあるけどさ。

 

「金曜と土曜と日曜は…?」

「えー。週末は休ませてよー」

 

週末にしては多いよ。

 

「それは休み過ぎだよ…」

 

彼女もそう思っているらしい。…そういや、名前知らないな。

 

「自己紹介まだだった…。私は更識簪」

「かんちゃんはねー、4組のクラス代表で日本の代表候補生なんだよー」

「へえ、それは凄い。僕は霧島八雲。本音のルームメイトだよ。よろしくね、更識さん」

「苗字は止めて」

「ん、了解。よろしく、簪。僕も八雲で良いよ」

 

しかし、初めてだな。「名前で良い」というのは有ったけど、「苗字は止めて」と言われるのは。その辺は聞かないのが吉かな。

人が気にしてる事を踏み抜かない。こういうのも大事だしね。

 

「八雲、一つ聞いても良い?」

「別に良いよ」

「ISの調整って言ってたけど何もしていないよね」

 

見てたのかな? まあ、たしかに何もしていないし。

 

(まあ、別に私の存在を言ってもいいのでは? この世界のAIみたいなものではありますし)

(隠す事でもないよねー。言いふらす事でも無いけど)

 

「まあ、簡単に言うとこいつのお蔭」

「どうも。私、出雲の管制AIである、叢雲と申します」

「「へっ!?」」

 

…どうしたんだろ? 動きが止まったんだけど?

 

「二人とも、どうしたの?」

「…流暢に喋るAI初めて見た」

「もっと片言のイメージだよねー」

「ああ、なるほど。…ぶっちゃけ言うとね。この機体はウチの会社はこんな事できますよー、っていう広告の為の機体だから、皆が全力を出し過ぎているんだよねー」

 

これは半分本当。バニングス社の技術の全力を見せるための広告塔、それが『出雲』のコンセプト。

まあ、時空管理局の技術者も組み合わさって、半ば崩壊しているコンセプトだけど。

 

「という事は、AIもその一環?」

「まあ、そうだね」

「ほえ~、なんかすごい話だね~。あっ、そうだ。今日ねー、おりむーのクラス代表パーティーが有るんだ。きーりんも来る?」

「一応行くけど、今から今日の調整の結果を連絡しないとだから、少し遅れるよ」

「おーけー、皆に伝えとくよー。早く来てねー」

 

そう言って長い袖を振りながら走って(傍から見ると走っている様には見えないけど)行く本音。

 

「…そういや、気になったんだけど、聞いていい?」

「何?」

「いや、ここで何してたのかなーって。答えたくないなら、良いんだけど。僕の興味だけだから」

「…私の専用機を作ってた」

 

へえー……作ってた?

 

「いや、聞き流しそうだったけど作るって、普通に凄い事じゃない?」

「全然凄くない。…姉さんも一人で作った」

「姉さん?」

「更識楯無。私の姉さんでここの生徒会長でロシアの国家代表」

 

楯無先輩の妹さんだったんだー。…うん? ちょっと待てよ?

 

(叢雲、ウチの会社の閲覧可能データの中に先輩のIS、ミステリアス・レイディだっけ? の事が書かれたファイルが有ったよね?)

(ありましたね。一応、外部に出すのはNGですが…アリサに言付として、「身内ならOK」というのを頂いています)

(一応言っておくかな?)

 

たしか、データの中では楯無先輩のISは未完成の状態のを先輩が引き取って、学園の生徒とウチの会社の協力で完成させたとあった。

ロシアはウチの会社との大口契約を餌に、その事実を社外秘にするように要求、ウチはそれを了承したという事になっていた。

その後の事を考えると楯無先輩をアイドルとして仕立てあげたかったんだろう。

 

「えーっと簪。ウチの会社のデータに有った事なんだけど、楯無先輩は決してISを一人では作ってないよ」

「えっ?」

「そのデータとか、技術者の話だと、確かに先輩は専用機の開発に関わっていたみたいだけど、今の簪みたいに未完成のを引き取って、IS学園の生徒と協力して作ったって。ウチの会社も一枚噛んでるみたいだけど。ロシアはそれを隠したがってるみたいだけど」

「『ウチの国家代表は凄いですよ』って宣伝?」

「多分。簪なら心当たりあるんじゃない?」

「一番ありそうなのは本音のお姉さん。三年の整備科主席だから」

 

へえー、今度本音に聞いて色々ISの事教えてもらおうかな?

 

「最後に一つだけ、本当に楯無さんに勝ちたいのなら、機体開発で意地張るんじゃなくて、ISで勝つ事を考えた方が良いと僕は思うよ。まあ、僕の考えであって、どうするかは簪次第だけどね」

「…考えてみる。八雲にも協力お願いするかも」

「ん、時間があれば受けるよ」

「いざという時はわが社にご用命を」

 

…ウチのデバイスがセールスマンみたいな事言い出したんですけど。誰も改造していないよね。

 

 

 

「おっす、アリサ」

『おっす。定時報告ね。そっちはどう?』

「特に変わりなし。出雲もすこぶる順調だよ。そういや、叢雲になんか言付してたらしいね」

『叢雲に? …ああ、楯無の件ね。あれは楯無本人に頼まれた事よ』

「先輩に?」

『そう。アイツなんでも出来る癖に、妹相手には不器用なのよ。だから協力してくれー、って泣き付かれてね』

 

なんか果てしなく意外な事を聞いた。

 

「学校のイメージだと、何でもできる完璧超人だと思ってたけど」

『そんなん、居ないわよ。アイツは外見はしっかりしてるけど、妹にはヘタレなどこにでもいる姉よ』

「ボロクソだねー。そういや、アイツ呼びだけど、知り合い?」

『まあね』

「そんな、アリサにも欠点あるの?」

『家事全般が苦手。女子としてははやてが羨ましい』

 

まあ、生粋のお嬢様だしねー。

 

『さて、長話はこの辺にしますか。あ、そうそう。もうすぐクラス代表戦が有るのよね?』

「あるね。来週だったと思うけど」

『私も行くから、エスコートお願いね』

「はあっ!?」

 

返事も聞かず電話を切りやがるアリサ。なんか、面倒な事にならないと良いんだけど。

 

 

 

さて、僕がパーティ会場に着くと、会場はもう出来上がっていた。…軽く何か食べて帰ろうかな?

 

「あっと、やって来たね、最後の取材対象が」

「あのー、どちら様で?」

「おっと、私は黛薫子。新聞部の副部長をしています」

「はあ、よろしくお願いします。黛先輩」

 

しかし、取材とか初めてでどう答えればいいか分かんないぞ。

 

「んじゃ、まずは決定戦について。全勝で終えたけど要因は?」

「思い出したくもないくらい辛い努力と出雲を作ってくれたスタッフの力ですね」

「その、思い出したくもない努力って言うのは?」

「普通のIS操縦訓練5時間、で勉強中にも出来るシュミレーターをぶっ続けで10時間を一月ちょっと休みなしでやってましたから」

 

まさしくIS漬け。ちなみにシュミレーターというのはもちろん叢雲の事だ。

 

「…良く、持ったわね体」

「体力には自信有りますから」

「なるほどねー。それじゃあ、次。クラス代表に成らなかった理由は?」

「テストパイロットの仕事が有るので。という建前で、本音は面倒な事は避けたいので」

「ぶっちゃけるねー。記事の書きがいがあるよ。それじゃ、最後にこれは私の趣味なんだけど、あのライフル! どうなっているのか凄く気になるの!」

「…機体よりもですか?」

「そうよ! 機体の性能は凄い高いで済むけど、あのライフルは今までとは違う新しい物で作られている気がするの、整備科の人間として、技術者を志す者として凄く気になるのよ!」

 

ああー、ウチの技術者と同じ感じの匂いがする。

 

「えーっと、ほとんど社外秘なんで無理です」

「まあ、そうだよね」

「時に、先輩。卒業後、ウチの会社に就職しませんか?」

「へっ?」

 

予想外の言葉に驚きの言葉を上げる先輩。

これは、技術部の主任さんに言われたことを行っただけだ。主任さん曰く「有能な技術者がいたら唾を付けといて欲しい。IS乗りは寿命が短いけど、技術者は一生物で、たくさん欲しいから」との事だ。

IS操縦者と同じで技術者も各国間のスカウト、ヘッドハンティングの競争が激しい。

その点ウチは多国籍企業なのである意味あらゆる国に所属しながら、どこの国にも所属していない状態だ。これはメリットにもデメリットにもなる。

メリットは、かなり自由に研究が行える事。三人寄れば文殊の知恵とは上手く言ったもので、ISの技術として生まれた物が他の人が見る事で別の形で世の中に出回っている事もある。まあ、これは好奇心の野獣の巣窟であるバニングス社の技術部全般だから言える事なのかもしれないけど。

デメリットは国家の所より安全面がどうしても落ちるという事。こればかりはいかんともしがたい。

 

「いやー、技術部の主任にですね、面白そうな人が居たら引っ張って来いって言われてまして」

「へ、へえー。…ちなみに、その話を受けたらどうなるの?」

「面接するらしいですよ? その後は卒業後就職になると思います」

「…かなり、美味しい話よね。その話持ち帰らせてもらっていい?」

「どうぞ」

「それじゃあ、決めたら会いに来るわね」

 

そう言って、黛先輩も色よい返事をくれると良いんだけど。

会社に返せる恩返しの一つだよね。小さい事からコツコツと、だね。

伝説の三提督曰く「最も得難い物は有能な人材」との事だ。基盤の大きな会社だから技術者はいくらいても良いと思うし、無責任かもしれないけど、決めるのは会社の方だ。

さて、明日の為にしっかり食べますか。




僕の作品の特徴。更識姉妹が原作よりも早く出てくる。
一期ヒロイン5人の中では、シャルとセシリアが好きなのですが、更識姉妹もかなり好きなんですよねー。だから、前倒しで出しちゃうんだと思います。
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