IS~二人目の男性操縦者は魔法剣士!?~   作:ピーナ

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訓練話が案外長くなりました。


第十四話 戦いの鉄則は「頭はクールに、心はホットに」

「では、本日から格闘及び射撃を含む実戦訓練を開始する」

「はい!」

 

実戦形式の訓練は二クラス合同で行われるから、返事がいつもの倍だ。

気合いが入ってる感じがするのはやっぱり織斑先生の影響なのかね? 一部は除くようだけど。その一部は、

 

「何かというと、人の頭をポンポンと…」

「一夏のせい一夏のせい一夏のせい…」

 

さっき、織斑先生に頭を出席簿で叩かれてなんかブツブツ言っている。…客観的に見てたら、授業始まっていたのに話してたのが悪いと思うんだよね。気を付ければ頭を叩かれないし。

 

「さて、今日はまず戦闘を実演してもらおう。ちょうど活力にあふれた十代女子もいる事だしな。―凰、オルコット!」

 

そのブツブツ言っていた二人を指名する織斑先生。

不満たらたらの二人だったんだけど、織斑先生が二人に何かを小声で告げたら、

 

「やはりここはイギリス代表候補生である私、セシリア・オルコットの出番ですわね!」

「まあ、実力の違いを見せるいい機会よね! 専用機持ちの!」

 

やる気満々になっていた。何言ったんだろ? 

二人が戦うのか…。どっちが勝ってもおかしくないから見てて楽しそうだな。そう僕が考えていると、

 

(マスター、直上からISが落ちてきます)

(……なんで?)

(それは、分かりかねますが)

 

叢雲からの報告が。しかも、まだ誰もその事に気付いていない。僕も危ないし、動きますか。

僕はその場でISを展開し、飛んで落ちてきたISを受け止める。そのISを装着していたのは山田先生。

 

「大丈夫ですか、山田先生?」

「は、はい。ありがとうございます、霧島君。少し緊張していまして…」

 

謝る山田先生。生徒に助けられたから恥ずかしいのか、顔が少し赤い。

 

「そうなんですか? でも、会社のアーカイブに有った山田先生の代表候補生時代の戦闘映像見ましたけど、強かったですよ?」

 

正直、今の日本代表とレベルではそんなに変わらないと思うし。

 

「私、上がり症なんですよね…。今でも授業の時少し緊張しています。なので、皆さんにニックネームで呼んでもらっているのは少し気が楽になるのでありがたいですけど」

 

勿体無いよなー。正直、見本と言う意味ではとんでもない能力を活かした織斑先生よりも基本に忠実な山田先生の方が良いと思う。

織斑先生の名誉の為に言っておくけど、もちろん、織斑先生が基本をおろそかにしているとかそういう意味じゃない。織斑先生はそこに目が行かない位、他の事が凄すぎるのだ。

 

『霧島、山田先生、降りて来い』

 

オープンチャンネルを使って織斑先生がそう言う。僕は山田先生を離して下に降りる。

 

「さて、二人に戦ってもらうのは山田先生だ」

「え? あの、二対一では…」

「いや、さすがにそれは…」

「安心しろ。今のお前達ならすぐに負ける」

 

辛辣な言葉をかける織斑先生。言葉は辛辣だけど、内容自体は同意だ。今まで実際に訓練に付き合っていた感じと映像で見た山田先生を比べても、実力は山田先生の方が二人より上だ。二人がかりで上手くやってやっと勝ち目が出るかどうか。

実力だけで言うなら楯無先輩と同じレベル。流石に専用機を持っている楯無先輩には勝てるかは難しいけど、学園トップレベルなのは間違いない。

 

「では、はじめ!」

 

織斑先生の号令でセシリアと鈴がまず飛び立ち、後から、山田先生が飛び立つ。

戦闘の実演の始まりだ。

 

「さて、今の間にデュノア、山田先生のISの説明を」

「あっ、はい」

 

返事をしてから、シャルルは山田先生の乗っているIS、ラファール・リヴァイブの説明を始める。僕はそれを聞きながら試合の方を見る。こう言う時、マルチタスクは便利である。

 

「霧島」

 

すると、いつの間にか織斑先生が僕の近くに来ていた。

 

「なんですか、織斑先生」

「先程の礼をと思ってな。私がいち早く気付き、何とかするべき事だったのだが…」

「先生は説明中でしたし、気付いて動ける人がやれば良いだけの事ですから」

 

それに自分の身にも危なかったしね。

 

「そうか…。それで、霧島はこの対戦どちらが勝つと思う?」

「山田先生だと思いますよ」

「その心は?」

「僕が会社に有った映像を観た限りの山田先生の実力が確かなのもあるんですけど、対戦相手があれですからねー」

 

連携もクソもあったもんじゃない。セシリアも鈴も自分がという考えが強すぎて、相手の事を考えてない。数の利を活かせてない。あっ、ぶつかってる。

 

「決着が付くな」

「そうですね」

「霧島、普段のアイツらの訓練の様子はどうなんだ?」

「普通にちゃんとやってますよ。ただ、一夏を教える時だけは箒を含めて三人で言い合いしていますけど」

 

それだけは、意味が分かんないんだよなー。

 

「…すまんな」

「どうして織斑先生が謝るんですか? 三人が言い合いしてる時は僕達だけで進めてますし。それに喧嘩するほど仲が良いって言いますし」

 

まあ、その後「何故無視する」と三人に口々に言われるんだけど。一夏は正直、かなりの詰め込みでやっているから、あまり時間に余裕が無い。だから、言い合いの時間が惜しいだけだ。あっ、山田先生、グレネード投擲した。

 

「…まあ、お前が気にしていないのなら良いのだが。授業を進めるぞ」

「はい」

 

うーん、織斑先生が最後に言った言葉の意味が少し分からない。別に気にするほどの事でも無い気がするし。それとも何か別の意味があるのかね?

その事を考えていたら、セシ鈴が落ちてきた。おっ、この二人纏めての略し方しっくりきた。って、それは置いておいて。最初から最後まで山田先生のペースだったなー。ていうか、二人とも熱くなりすぎ。頭にまで血が上ってたし。あ、また言い合ってる。懲りないねー。

 

「オルコット、凰、その辺にしておけ。…さて、これで諸君にもIS学園教員の実力が分かっただろう。以後敬意を持つように。この後の指示だが、織斑、オルコット、霧島、デュノア、ボーデヴィッヒ、凰の専用機持ちがリーダーとなってグループの実習を行う。1グループ9人、男子のグループのみ10人に分かれろ。ISはラファール・リヴァイブと打鉄が三機づつだ」

 

あ、なんか嫌な予感。

 

「織斑君、一緒に頑張ろう!」

「分かんない所教えて~」

「デュノア君の操縦技術見たいな~」

「ね、ね、私も良いよね? 同じグループに入れて!」

 

途端に、一夏とシャルルに群がる女子。おお、大体予想通り。

 

「きーりん、よろしくー」

 

僕に話しかけてくる本音。後ろには何人かのクラスメイトが居る。全員一組の人だ。

実は楯無先輩に勝ったことで、僕が「得体のしれない強さを持った男子」という評判が立って、他のクラスの人には少し恐れられている。

 

「本音はあっちに行かないの?」

「今は授業中だから、一番上手い人に教わろうと思ってねー」

 

本音の言葉に続いて頷く他の人達。

 

「んじゃ、丁度人数も居る事だし始めようか。ISは…打鉄で良いかな? 専用機出来るまで訓練してたのが打鉄だから、そっちの方が教えやすいし」

 

僕の言葉に同意する班のメンバー。ISも決まった事だしさっさと始めますか。

織斑先生は…とりこみ中っぽいし、山田先生の所に行く。

 

「山田先生、IS取りに来ました。打鉄お願いします」

「はい。…しかし、霧島君はマイペースですね。騒ぎの中でどんどん進めて行くんですから」

「かもしれませんねー。自分がまきこまれない限りは崩れませんし」

 

ちょっとやそっとじゃ、僕のペースは崩せない。そうじゃ無ければ、まあ、いろいろある管理局の中ではやっていけないんだよね。経験の賜物って所か。いや、他人の目を気にしなかったのは前からで、それが今のマイペースになったのか。まあ、色々あったんだよね。

 

「皆の時間を無駄にするわけにはいかないので、行きますね」

「はい。頑張ってください」

 

 

 

訓練は特に面白い事は無かった。いや、当たり前の事なんだけどね。

ただ、一夏とシャルルの所はなんか、バラエティ番組で見た事あるような事してたし、一夏に至っては、ISに乗せるためにお姫様抱っこしてたし。後者はどうやら、立たせたまま解除したかららしいけど、そんなん、一回一夏が直せば良いだけだ。

そのせいで一夏の所は結構ぎりぎりだったし。

 

「お疲れ、一夏」

 

更衣室に戻った僕は先に戻っていた

「いつも以上に疲れた…」

「最後も一人で片付けていたからねー」

「まあ、力仕事は男の仕事だろ。そういや、八雲の所はどうだったんだ?」

「僕の所? 織斑先生は特に手段は言わなかったから皆の訓練ついでに、格納庫まで装着してリレーしてもらった」

 

流石に格納庫内は不味いと思い、そこからは人力だったけど。

 

「色々考えてんなー。そういや、八雲は昼どうすんだ?」

「今日は気まぐれに弁当を作ってみた」

「そういや、趣味料理って言ってたな。んじゃ、昼屋上で食べないか?」

 

天気も良いし、外で食べるのもアリか。

 

「ん、分かった。…って言うか、いちいち脱ぐの?」

「え、脱がないのか?」

「うん。午後も実習なんだし、脱ぐ必要ないじゃん。着るにも脱ぐにもそこそこ手間掛かるし。吸汗性高いし、動きの邪魔にもならないし」

「そうだな」

「それに今日の場合だと、僕達、飯食べた後の移動がそこそこしんどいよ?」

「着替えが入るととんだ中距離走になるな。…このままにしておくか」

 

という訳で、僕と一夏、それに少し後からシャルルは着替えを済ませて、昼ご飯を食べるため屋上に向かった。

 




次回はお昼編です。
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