IS~二人目の男性操縦者は魔法剣士!?~   作:ピーナ

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第十五話 大体の学校は屋上に進入禁止。でも、聖祥大付属は普通に入れたなあ

さて、お昼時。僕達―僕の他に一夏、箒、セシリア、鈴、シャルルが居る―は屋上に来ていた。

どうやら、一夏を誘ったのは箒だったらしく、一番最後に来て驚いていた。何か言いたそうだったけど、一夏の「皆で食べた方が楽しい」と言うのにひとまず納得した。

一夏達がまた何かやっているけど、僕はそっちのけでご飯を食べる。

今日のメニューはご飯に特製の野菜炒め。食べやすい大きさに切った豚肉を我が家(八神家)特製のレシピ生姜焼きのたれに漬けて、それと野菜を同時に炒める、ご飯が進む一品である。

まあ、正直弁当をいくつか作るならともかく、一人分だと、量が少なくて、ちょっと難しいんだよね。だから、弁当はご飯とご飯にあう一品にするというのが僕の考え。

 

「ねえ、八雲」

 

シャルルに話しかけられたので、とりあえず、口の中の物を飲み込む。

 

「何?」

「僕達、ここに居て良かったのかな?」

「良いんじゃない? ご飯食べるだけだし。馴染み易い様にっていう一夏の心遣いなんだしさ」

 

それだけ言って僕は再び食べ始める。実習と午後からの事も考えて多めのご飯だからそこそこ速いペースで食べないとね。

 

「なあ、八雲。お前のおかずも貰っていいか?」

 

一夏がそう聞いてきたので僕は弁当を差し出す。口に物が入っていて喋れないから行動で示した形だ。

しかし、思い出すねー。小中学校共に給食じゃなくて弁当だったから、皆でよくやった物だ。懐かしい…ってほどでもないか。

 

「うお、美味い! これは生姜焼きか?」

「正解だよ。生姜焼きのたれがもったいないから付け合せの野菜と一緒に炒めたら美味いんじゃね? ってところから作ってみたんだよね」

「なるほどなー。だから、ご飯多めなのな。合うし」

「白米に合うおかずは大正義だね。ちなみに今日のは午前中が動くから少しいつもより味付け濃くしてあるんだ」

「疲れている時は濃い味の物が食べたくなるよな。米にもマッチして美味いし。日本人だしなー」

 

分かる。よく分かる。これは日本人の業だね。箒も頷いているし。

 

「だよね。ごちそうさま。それじゃ、僕は先に行くね」

「早っ!」

「まあ、皆が喋っている内に食べてたしね。急ぐのも嫌だし」

 

今から行けばかなりのんびりできる。慌てんのは嫌です。

 

 

さて、僕はのんびり移動をしていたんだけど、その途中、

 

「少し良いか?」

 

もう一人の転校生である、ラウラ・ボーデヴィッヒさんに話しかけられた。…何かしたっけな? とりあえず警戒しておこう。

 

「良いけど、何かな?」

「師匠によろしく伝えてくれと言われてな」

 

…何で、ボーデヴィッヒさんの師匠さんが僕の事知ってるんですかね? いや、待てよ…

 

「ボーデヴィッヒさんはドイツの人だよね?」

 

僕の問いに頷くボーデヴィッヒさん。

 

「その師匠さんは日本人だよね?」

 

もう一度、頷くボーデヴィッヒさん。

 

「ひょっとして…その人の名前って高町恭也だったりする?」

 

三度頷くボーデヴィッヒさん。

そういや、ちょっと前に忍さんと帰国した時に、ドイツ軍に日本の武術を教えに行ってるとか言ってた気がしたけど…。

何故、恭也さんがドイツ軍に武術を教えていたか。それは、織斑先生が剣一本でISの世界大会、モンド・グロッソを優勝したからだ。

そもそも、モンド・グロッソに出場した機体のほとんどが射撃をメインとした機体だったらしい。なので、しっかりとしたISの格闘戦の一つとして、織斑先生の戦い方は研究対象になり、その基礎を作った日本の武術はIS関係者を中心に世界中で学ばれている。…らしい。

恋人の忍さんがフリーの技術者なので、そこから知られたのだと思う。

 

「そっか、恭也さんの教え子か」

「そうだ。それに師匠はお前から、強さの意味を学べと言っていた」

「強さの意味ねえ…」

 

恭也さん、それは買いかぶり過ぎですよ。

確かに僕は自分なりの強さの答えを持っていると思う。でも、それはあくまで僕の物であって、万人に受け入れられるものではない。

 

「それは少し僕を評価し過ぎってものですよ。僕はまだ学生ですし、まだまだ鍛えないといけない身ですから、教える事は出来ません」

「……そうか」

 

それだけ言い残して、ボーデヴィッヒさんは立ち去って行った。

しかし、ボーデヴィッヒさんは言葉をそのまま受け取るタイプなのかね? 何か聞きに来たのも恭也さんに言われたからみたいな感じだったし。

だから、恭也さんの言葉も本当の意味では理解できていないと思う。

これは、あくまで僕の考えなんだけど、強さとか自分の中で解決しないといけない問題は他人に聞いても答えは出ないし、自分自身で答えを出す必要があると思う。

…あっ、だから、『聞け』じゃなくて『学べ』だったのかな?

ま、とりあえず、時間がある時に連絡しよう。忍さんに。

 

 

 

さて、時間は流れ放課後。僕は生徒会室の前にいた。

今日生徒会に来て欲しいと楯無先輩の伝言を朝、本音に言われた。

僕はノックをしてからドアを開ける。

 

「失礼します」

「待っていたわ、八雲君。とりあえず空いている所に座って。生徒会のメンバーを紹介するわ」

 

先輩に勧められたので僕は空いている椅子に座った。

 

「まず、一応私から。私は更識楯無。知っての通りこの学園の生徒会長よ。左に居るのが会計の布仏虚ちゃん。右に居るのは書記の布仏本音ちゃん。本音ちゃんはクラスメイトでルームメイトだから知ってるでしょ?」

「虚先輩は本音のお姉さんですか?」

「そうです。いつも、本音がお世話になっています。霧島君」

 

そう言って、頭を下げる虚さん。

 

「いやいや、僕の方こそ色々教えてもらってますし」

「八雲君あんなに強いのに?」

「IS戦はいろんな要素があると思いますけど、勉強は時間が必要ですから。いくらやっても三か月ちょっとの僕より何年もやって来た皆の方が出来ると思いますよ」

 

恐らく世界トップクラスの難関校に入学する生徒達だ。才媛ぞろいなのは間違いない。

僕達の使用する魔法の特徴上、理数系には強いし、読書が趣味だから、文系も比較的出来る。ミッド語が英語に似てるから、そこも問題無い。不安なのはISの理論系統の授業。

かなり短い期間での詰め込みの授業だから、不安な所はたくさんある。でも、ルームメイトの本音がその辺の知識がしっかりしているから、色々教えてくれている。

 

「そうね。早ければ中学に上がる前後から、遅くとも中学3年のうちにはISの勉強を始めるからね。どう考えても八雲君と一夏君は知識面では不利よね」

「きーりんはともかく、おりむーは参考書間違って捨てちゃったからねー」

 

そういや、そんな事も言ってたな。

 

「それはどうかと思うのよ。あれは、間違えないでしょ」

「表紙の装丁は変わっていないはずですから、私達が貰った物と同じなら、あれは間違えれるようなものではありませんね」

 

どうやら、持つ感想はみんな同じらしい。まあ、かなり目立つ見た目だしね。

 

「そういや、今日は何で僕呼ばれたんですか? 楯無先輩に誘われて、結構経ってたからもう無かった事になってるのかって思ってましたよ」

「今日は顔合わせのつもりで呼んだの。今まで呼べなかったのは、八雲君にも聞いたけど、この前の事件の後始末が有ったからよ」

「まあ、何も知らなかったら後始末の邪魔になるだけですしね。それで、これから僕はどうすれば?」

「定例の会議は毎週木曜日の放課後。これだけは出来るだけ来て。流石にテストパイロットの方の用事が有るのなら無理は言わないけれど。臨時の会議がある時は本音ちゃんに伝えるわ。最初の方は仕事は私や虚ちゃんの手伝いから始まると思うわ」

「と言っても、現在至急の案件はありませんので、そこまで人手が必要な訳でもありません。その間に慣れてくださいね」

「分かりました。…次忙しくなるのは学年別トーナメントの時ですかね?」

「多分、そうね」

 

学年別トーナメントとはそのまま学年ごとのトーナメント戦の事だ。三年生には国や企業からのスカウト、二年生はこの一年の成果、一年生は素質が試される。

そんな側面があるので世界各国のIS関係者が訪れる。

 

「そういや、一年は転入生が三人来たから一人だけシードになるんですね」

「そうだね~。ラッキーな子は誰かな?」

 

まあ、IS戦の経験値を積めるのが一回減るから人によってはラッキーとは言えないと思うけど。

 

「二年と三年は予想が付くんだけど、一年は荒れそうよね。専用機持ち6人、各国の代表候補生、男性操縦者。とりあえず、私は八雲君を応援するけど。私に勝ったんだし」

「あんまりハードル上げないでくださいよ」

 

ここに来て気付いたけど、注目されるのは結構疲れる。

中学までは目立たない様にしてきたし、管理局に入った時も僕よりなのは達の方が目立っていたし、その後ちょっとした事件を起こして、知る人ぞ知るみたいな存在になったからあんまり矢面に立ったことは無かった。

まあ……世界で二人だけの男性のIS乗りで現役国家代表を倒してしまったから、目立たないというのは無理な注文だね。

 

「まあ、今日は特にやる事は無いから解散ね」

「そうですか。それじゃ、失礼します」

 

部屋を後にする僕。さて、これからどうしよう?

 

(とりあえず、魔法の方のトレーニングもしたいよなー)

(久しぶりに魔力負荷、かけますか?)

 

魔力負荷と言うのは、これをする事によってただ体を動かすだけでも魔力を使う事になり、結果的に魔力の増加に繋がったり、無駄のない魔力運用の練習になったりする。

ただ…割と慣れた状態だとあんまり効果ないんだよね。だから魔法を使い出した頃から小学生の間は何もしない時は基本的にしてたんだけど、それ以降はしなくなった。

 

(まあ、初心に帰る意味も込めて、久しぶりにやりますか)

(了解)

 

途端に、体に大きな負担がかかる。

あー、何か懐かしい感覚。この両手両足に重り付のバンド巻いている感じ。…って、あれ?

 

(何か、前と違う感じなんだけど…)

(バインドと、マスターの『グラビティ』を組み合わせて、魔力的だけでなく物理的にも負荷をかけています)

 

つまり、さっきの表現が現実のものに?

 

(といっても、物理的な方はあまり体の負担にならないようにはしていますが)

(まあ、少し日常生活が疲れるかな? ってレベルだね。そんじゃ、このままよろしく)

 

ISにしても魔法戦にしても、体を鍛えるのは必要な事だ。と言っても僕達は学生だから一日中それが出来る訳では無い。日常で簡単に出来るというのはそれだけでありがたい。

ま、ちょっと疲れるけど、その内慣れるだろ。

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