IS~二人目の男性操縦者は魔法剣士!?~   作:ピーナ

31 / 65
ちょっと色々やりました。


第十六話 バックスクリーン直撃弾

さて、転校生がやって来たと言ってもそれが日常に影響する事はあまりない。

実際に放課後の訓練のメンバーが一人増えただけだ。シャルル・デュノア―いや、シャルロット・デュノアか。

彼女の正体は案外早く分かった。簡単に説明すると、

 

僕が会社に連絡を入れる

 

 

アリサが社長(父親)に報告する

 

 

丁度フランスに居た副社長(アリサの母親)がデュノア夫人に接触し、事情を探る

 

 

までもなく、自ら自慢げに話す

 

 

今度は社長から聞き出す

 

 

までもなく、こちらも自慢げに話す

 

と言う感じ。

簡単にデュノア社の事情を教えてもらったけど、確かにデュノア社はラファール・リヴァイブで世界第三位のシェアを得ているが、ラファール・リヴァイブは所詮第二世代機。各国で第三世代機の開発が進み、試作機も出来上がっている時で、第二世代機のラファール・リヴァイブは時代遅れなのだ。

しかも、ラファールの開発が手間取って第三世代機の開発が進んでない。

いや、デュノアから引き抜いた(ウチに来た?)技術者の人の話によると先代に比べると彼らの扱いが悪くなったとか。

社長の考えは分からんけど、下から愛想を尽かされたって事は会社的にヤバいんじゃないかな。デュノア社はISメインだろ。その大元を成す技術者が抜けていってるんだから。

ちなみに一度この件で会社に行った時、社長にデュノア社の成り立ちを教えてもらった。

 

元々、デュノア社はフランスの小さな町工場だった。それを先々代が腕一本で工場として大きくして、それを見て育った先代が経営者として会社を大きくしていったとの事だ。

会社を大きくした原動力の父親と父親の率いる技術者集団を尊敬していた先代は彼らに働きやすい環境を作る事に全力を尽くしたらしい

事実上会社としては一代でヨーロッパ有数の企業にした先代社長と彼が育て上げた経営陣。それを支える、先々代が築いたヨーロッパ最高レベルの技術者陣。盤石の布陣も現社長が就任した頃からほころびを見せ始めた。

諫言をする経営陣を遠ざける、技術陣の冷遇、自分の利益しか考えない連中の優遇。上げたらきりがない。

先代が築き上げた物は大きいが確実に切り崩されている。

 

なぜ、ウチの社長がこんなに詳しいのか。それは、社長曰く、デュノア社の先代社長が経営の師匠だからだそうだ。その頃の縁で家族ぐるみの付き合いがあったらしい。

会った事のあるアリサの話だと「普通に人の良いおじいさんよ。話に聞いていた凄腕の経営者とは思えなかったわ」との事だ。ちなみに僕はこの話を聞いてグレアム提督を思い出した。

 

閑話休題、シャルル(とりあえず今はこれで呼び名を統一する)が訓練に参加して一夏の訓練の効率が格段に上がった。

擬音ばかりの箒、理論先行のセシリア、感覚の鈴…これじゃ、まともに教えるのって無理だよね。僕は教導隊仕込みの聞くより動けだし。

それらに比べると、シャルルは遥かに教えるのが上手い。今日も一夏に射撃武器の特性を教えている。

 

「ねえ、八雲」

「どうしたのさ、シャルル?」

「三人、ああなってるけど、僕が教えてても良いのかな?」

 

ああなっているというのは見ていて、自分の教えを理解していなかった一夏に文句を言っている事だ。

 

「良いの良いの。教えるのは自分でやるよりも難しいし、適性の方が大事であの三人には向いていないだけだから。今大事なのは、一夏を白式にふさわしい操縦者にしないとね。一応、織斑先生にも頼まれてるし」

 

今の所、一夏は「専用機の持ち腐れ」から「白式の持ち腐れ」にランクアップしたって感じ。まだ、白式の性能をフルには活かせていないと思う。

そんな事を考えていると、なんだか周りがざわざわし出した。何事と思い、周りを見ると周りの皆の目は一機の黒いISに注目している。

 

(機種照合、ドイツ第三世代機、シュヴァルツェア・レーゲン。搭乗者、ラウラ・ボーデヴィッヒ)

 

ISの情報を報告してくれる叢雲。なーんか、一夏を目の敵にしているから、どうせ一夏狙いなんだろう。

 

「織斑一夏、貴様も専用機持ちのようだな。ならば、話が早い。私と戦え」

 

わお、展開も早い。

 

「嫌だ。理由が無い」

 

まあ、一夏は自分から戦闘を進んでやるタイプじゃないしね。

 

「貴様にはなくても私にはある」

 

何て自分勝手な…。

しかし、一夏の様子を見ると心当たりがあるっぽい。

 

「貴様が居なければ教官が大会二連覇の偉業を成しえたのは容易に想像できる。だから私は、貴様を――貴様の存在を認めない」

「ま、また今度な」

「ならば、お前をその気にしてやろう!」

 

そう言いながら、ボーデヴィッヒさんはISを戦闘モードへ。それと同時に左肩の実弾方が火を噴いた。

しかし、それは届かない。

 

「ピッチャー初球ど真ん中ストレート、甘いよ」

 

何故なら僕が打ち返したから。近接ブレードで。砲弾は綺麗にピッチャー返しもといボーデヴィッヒさんに返却した。

 

「ありゃ、ちょいと逸れたかな? まあ、こんな人の居る中であんなものぶっ放すのは人としてどうなのかな?」

「確かに。あんなものをこんな密集空間で使うなんて、ドイツ人の頭は沸点が低いんだね。ビールだけじゃなくて、頭までホットなのかな?」

 

僕の横でいつの間にか銃を呼び出していたシャルロットがそう言った。

 

「ふん、フランスのアンティークに商人どもの作った機体で私の前に立ちふさがるとはな」

「少なくともドイツのルーキーよりは動けるよ」

「あんまりウチの技術を舐めない方が良いよ」

 

しかし、売り言葉に買い言葉、このままだと危ないよなー。僕が率先して問題起こすわけにはいかないし…。

 

『そこの生徒! 何をやっている! 学年とクラス、出席番号を言え!』

 

今日のアリーナ担当の先生が来たようだ。良かった。皆が目撃者になってくれるはずだし、大きくはならないだろう。

 

 

 

アリーナの一件が有った後、僕は会社に、社長に直接呼び出され、学園に関するとある密命を受けた。

いやね、そこで知った事が色々驚きすぎて少しパンクしそうなんだけど…。まあ、これもお仕事、頑張りますか。

という訳で、僕は学園のとある部屋の前にいた。僕は部屋をノックしてから、

 

「入るよー」

 

と強行突入。すると、ベットの上でシャルルに覆いかぶさる一夏。

 

「………ゴメン、明日から話しかけないでね一夏」

 

ちょっと、貞操の危機を感じたのでそう言って帰ろうとする。

 

「ちょ、ちょっと待て! 勘違いだ!」

「ふーん、なら……シャルルが女の子って分かっていて襲い掛かっていたのかな?」

「「なっ!?」」

 

二人とも顔に出やすいね。

 

「さて、僕はちょっとした仕事で来たんだけど、話を聞いてくれるかな。一夏と、デュノア社社長令嬢、シャルロット・デュノアさん」

「……そこまで分かってるんだね」

「というか、君の会社の社長さん達がウチの社長たちにペラペラ喋ったらしいよ。労力ゼロ。それで、話を聞いてくれるかな?」

「……分かった」

 

ベットから出てきて、ベットに腰掛けるシャルロット。一夏は自分のベットに、僕は備え付けの椅子に座る。

 

「まあ、めんどいから今までと同じ感じでシャルロットで行くよ。君は第三世代のめどが立たず、経営不振に陥っているデュノア社からの指示でIS学園で僕や一夏の男性操縦者や各国の第三世代機のデータを収集する、まあスパイみたいな仕事が有った。これはOK?」

「その通りだよ。フランスは第三世代機が上手く言っていないから『イグニッション・プラン』からも外されちゃったし」

 

まあ、各国の最新鋭機の運用データの収集の為にここへの留学生の持っている専用機のデータはある程度スパイされているんだけど。

 

「これがどこからか洩れたらヤバい事になるって言うのは分かってるよね」

「でもさ、特記事項の二十一があるだろ? あれで、とりあえず三年は大丈夫なんじゃないのか?」

「一夏の言う通りシャルロットは三年は大丈夫だね。でもね、デュノア社はそうじゃないんだよ。今の社長が就任してから確実に負のスパイラルにはまり込んでいる。フランスからの呼び出しでここから一歩でも出ればアウトだ」

 

一応、一文に『本人の同意が無ければ外的介入は出来ない』とあるけど、本国の意向を無視すれば立場は悪くなったり、色々有るからそんな真似は出来ない。自分の意思でここを出てしまえば後は本国で牢屋送りだ。

 

「何だよそれ!」

 

怒りをあらわにする一夏。

 

「さて、ここからが本題だ。シャルロット・デュノアさん。ウチの会社で働きませんか?」

「……えっ?」

「簡単に言うと、取引をしたんだよ。ウチがフランス政府に技術提供やらをするからその代わりにシャルロットの身柄をウチの会社所属にするってね」

「でも、そんなのデュノア社が許すわけ!」

「っと、ここで明日の経済紙の一面。『デュノア社社長、社長夫人、会社の資金横領か!?』こんなのがあるんだよね。義理の親はもう終わりだよ。デュノア社は政府主導の企業になるだろうね」

「何で僕を…?」

「建前は君がその取引に合うだけの人材だとウチの社長が思ったから。本音は…この人の依頼」

 

そう言って僕はシャルロットの前に一枚の写真を取り出す。

 

「この人…お母さんと一緒に住んでいた時に近所に住んでいたおじいさん。何で…」

「その人はデュノア社先代社長、君のお祖父さん。バカ息子のした事の責任を取りたいんだと。んで、これはその人からの伝言。『君が良ければ私の養女にならないか?』だってさ。ちなみに、この人裏でシャルロットとお母さんの生活の支援もしてたみたいだよ」

 

いやー、不器用だよね。もう少し分かりやすく支援すれば良い気もするよ。

 

「…伝言良いかな。社長さんと僕のお祖父さんに」

「なんでもどうぞ」

「社長さんには、『その話お受けします。これからよろしくお願いします』お祖父さんには…『夏休みには帰るから、その時にゆっくり話したい』って」

「ん、了解。じゃ、僕はやる事があるから、これで」

 

僕は部屋を後にしようとするけど、一回足を止める。

 

「あ、そうそう。もし僕が来る前の事の続きをするなら、責任は取れよ、一夏」

「ちょっと待て、八雲!」

 

待てと言われて待つ奴など居ない。僕は部屋を後にした。

さて、これで夏のボーナスに期待できるかな? ちゃんと出たら、はやてとこっちで盛大に遊ぶか。




色々やり過ぎた気がします。
後一話挟んで学年別トーナメント突入です。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。