IS~二人目の男性操縦者は魔法剣士!?~   作:ピーナ

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追い砂糖だ! 受け取れ!


第二十八話 久しぶりなんだから二人っきりの時位は…ね?

結局風邪は2日ゆっくり休んだら治った。夏風邪はしつこいっていうけど、今回は違って良かった。でも、シャマルに病み上がりだからもう2、3日はゆっくりしなさいと言われたので、仕事はせずに家でのんびりしている。

本音は良い子だったから、他の子よりは気が楽ではあったけど、それでも家族同然のはやてや守護騎士の皆と比べるとやっぱり気を張っていたのだと思う。それに事件に警戒していたのもある。

その反動なのか、今の僕は気がこれでもかというくらい緩んでいる。今もリビングのソファーに腰かけて、だらけているし。

 

「八雲君、気抜いているな~」

 

そう言うのは僕の横に座るはやて。

 

「良いじゃんかよ~、八雲さんは三か月ちょっとの学園生活でお疲れなんですよ~」

 

何か変な口調になってる。普段一人称に『八雲さん』なんて言わないし。

ちなみに今日は家には僕とはやての二人っきり。はやてもよほどの事が無い限り僕のこっちの滞在期間中は休みらしい。「どのみち八雲君がおらんのなら、休みがあってもなくても同じやし」と言ってたけど、体には気を付けて欲しい。まあ、僕を含め言ってもあんまり意味は無いだろうけど。

 

「お疲れって…昨日の夜、私にやった事考えたら説得力あんまりないで?」

「やっぱり? でも、それははやてが魅力的なのが悪い」

「言われるのは嬉しいけど、それって責任転嫁やよね」

「だね」

 

昨日の夜ってのは……その、お察しください。僕もお年頃なんで。それこそ、転生の恩恵なのか、元からの体質なのか、比喩表現抜きの『今夜は寝かせない』が出来るレベルなのだが、病み上がりとはやての事を考えたらそこまでは流石に出来ない。はやては僕の欲望をぶつける物ではなく、愛する人なんだし。

 

「しかし、実際過ごしてみるとここ良い場所だよなあ」

「そやねえ。郊外やから静かやし、景色も良いし、かといって中心からそこまで離れとるわけとちゃうし、良い買い物やったと思うで」

「同感。でも、こうなると、色々増やしたくなる」

「例えば?」

「思った以上に景色が良いから露天風呂とか」

 

海に面しているうえ、海が西にあるので夕方は良い眺めになるだろう。

ミッドは日本と同じで四季はあるけど、日本ほど寒暖差がある訳じゃないから一年中楽しめるだろうし。まあ、本当に風呂好きな人ならそんなの気にしないだろうけど。

 

「風流やね。でも、良いんとちゃう? 大人になったらそこでお風呂入りながら二人で月見酒とか良さそうや」

「贅沢だね。まあ、それには溜まってくだけの僕の三年分の給料でも使うか。未来設計の一つとして」

 

正直言うと、僕とはやて、守護騎士の皆はかなり稼いでいる。

まあ、管理局自体が結構良い給料を出すし、僕等はリインを除けば皆士官だから結構貰ってるし、前線での仕事の多いシグナムやヴィータは危険手当が付くしで、我が家の家計は真っ黒だ。

贅沢すれば無くなりはするだろうけど、家計を握るのが、前世含めて主夫歴10年越えの僕と、小さい時からの一人暮らしでシビアな家計の感覚を持っているはやてだ。贅沢よりも貯蓄に天秤が傾いている。

まあ、たまの贅沢とかはするけど。例えば皆の休みが合った時とか。

しかし、露天風呂か……皆で使えるし、何かと忙しい皆のリフレッシュも出来そうだから、案外良いんじゃないかな。

 

「そういや、ここの近くって温泉の名所があるし、案外、掘ったら源泉出てくるんちゃう?」

「ああ、そういや、そんな話有ったな。古代ベルカの頃から、湯治場として有名とかなんとか」

 

ちなみにこの後、実際に温泉があるか地質などを調査する会社に依頼して調べてもらった所、本当に源泉が有りました。しかも、炭酸泉。炭酸泉の効能の一つに美肌効果があるというのを調査会社の人が言った事で、この話は本格化する。具体的にはウチの女性陣(特にはやてとシャマル)に加え、よく遊びに来る、なのはとフェイト、さらには、アリシア、プレシアさん、エイミィさん、極めつけが聖王教会の上の方、つまりはカリムと、管理局の上の方、リンディ提督とレティ提督までもが、資金援助と言う名の圧力を加えて来たので、現実のものとなった。…温泉旅館『八神屋』でも開業しようか? と思うのはもう少し未来の話。

さて、話を今に戻す。

 

「にしても、2、3日何もしないっていうのは案外辛いな」

「私とおんのに?」

「そうだけどさ、仕事だったり学業だったりで忙しかった反動で何もしないってのが変な感じなんだよ」

「……少し前まで同じような生活をしていた私が言うのもなんやけど、自分の体の事も気を付けて欲しいよ」

「分かってるって。だから言うだけで、こうやってだらけてるだろ? ……そうだ、はやて耳かきどこにある?」

「耳かきすんの?」

「うん。ここ最近やった記憶ないなーって思ってさ」

 

臨海学校以降、割と忙しかったから、そう言うところまで気が回らなかった。

 

「こまめにせなアカンでー。それで、耳かきやな。取って来るわ」

 

そう言って立ち上がるはやて。いや、言ってくれたら自分で取りに行くけど…。そんな事を思っている内にはやては戻って来た。で、何故か少し離れた所に座った。

 

「なんで?」

「いや、大体分かるやろ?」

 

まあ、この状況で考えられるのは一つだけだと思う。

 

「耳かきやってくれんの? しかも、膝枕付きで」

「正解! まあ、三か月頑張った八雲君へのご褒美やね」

「ありがたくいただきます」

 

即答する僕。いや、こんな魅力的な提案をNOっていう奴居ないだろ。

早速、はやての太ももにお邪魔する。

 

「あー…ヤバい」

「どうしたん?」

「本格的にはやての膝枕にハマりそう。このままダメ人間まっしぐらかも」

「そんなダメ人間やったら私は大歓迎やで?」

「毎日は流石に僕が恥ずかしいからたまにはお願いするよ」

「ん、分かった。いつでも待っとるで。はい、反対向いて」

 

はやてに言われた通り反対側を向く。…にしても膝枕の魔力は凄いな。この前も思ったけど凄いリラックスできる。耳かきも気持ちいいし、気温も丁度いいし、なんか…眠たく…

 

 

 

はやてサイド

 

今、私は膝枕をしながら八雲君の耳かきをしている。小さい事だけど、こういうのには憧れがあった。その……ラブラブって感じがするし。

 

「はい、終わったで」

 

私がそう言っても八雲君の返事は無い。

 

「八雲君?」

 

もう一度問いかけると、返事は寝息で返ってきた。まあ、ミッドは日本の夏ほどは暑くないし、今日は程よい感じの陽気やから、眠たくなるんは分かる。

それに数日休んでもまだ疲れが抜けきっても無いんやと思う。

孤立無援……とまではいかんけど、それでも単独での任務が数か月続いたのだから、気付かない内に疲れが溜まってたんやろう。まあ、そんな中でやる事をやるだけの元気はあったみたいやけど。

そんな事を考えてたら、横を向いていた八雲君は仰向けになるように動いた。

八雲君の寝顔をじっくり見れるのは久しぶり。この寝顔や普段のオフの時の感じからは『管理局の切り札』とか呼ばれる凄腕の魔導師には見えへんよなあ。

そんな事を考えながら寝ている八雲君の顔や頭をぺたぺた触る。理由はなんとなく触りたいから。

八雲君自体がギャップの塊っちゃ塊なんよね。同年代のミッドの平均に比べて小柄で童顔だから、年下に見られがちやのに、行動とかが大人びてるし。落ち着いとるのに妙に熱い所もあるし。次元航行艦に乗ってテンション上げるような男の子らしいところがあると思ったら、料理とか編み物とかのそこらの女の子よりも女の子らしい事が得意やし。

……我ながら八雲君の事よく見てるな~。もしこれが傍で聞かれてたら、どんだけ好きやねん! って感じかな? まあ、そんな事言われたら、この世で一番好き! って答えるだけやけど。

 

「う、ううん……。はやて、僕寝てた?」

「少しの間だけな。眠いんやったらもう少し寝てても構わんよ」

「ん、そんじゃ、言葉に甘えるよ…」

 

それだけ言ってもう一度眠る八雲君。やっぱり、疲れが溜まってるんやろか? まあ、私の膝枕でゆっくり休めるのなら、八雲君が望む時は貸そう。八雲君と一緒に支えあって歩いて行く。これが告白した時から変わらない私の気持ちなんだし。

ちなみにこの後、八雲君に疲れが溜まってるから二度寝したのかを聞いたら、「いや、はやての膝枕が想像以上にリラックス出来たから、そのまま寝た」と言われて、嬉しいやら恥ずかしいやらで顔が真っ赤になった。

そういう時に八雲君が見せるしてやったりみたいな少し悪い笑顔も良いなあって思ってしまう私は心底八雲君に惚れてるんやなあ。




……何かテンションが行方不明でしたね、前書き。

次回はどうしようかな~。
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