IS~二人目の男性操縦者は魔法剣士!?~   作:ピーナ

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何処から、誰がやってくるんですかねえ?


第三十三話 ○○から○がやって来た……えっ、マジで?

夏休みも残り5日。IS学園もいつもの活気を取り戻してきた。

簪、ラウラ、楯無さんのマルチタスク習熟状況は中々のペースといった所。元々、ISのマニュアル操作で無意識的には行っていたのだから、コツさえ掴めれば一気に伸びるのは道理というものだ。

今日も回避機動のトレーニングをしている。これは四方から撃ち出されるものをひたすら避け続ける物。

 

「確実に避けられるようになっているな」

「うん。何かに集中して視野が狭くならないからね。ここまで視野の全方位接続がマルチタスクと相性が良いとは思わなかった」

「分割して考えるから、『何処から来るか』『どう避けるか』『それ以降の予測』みたいに複数を同時に考えながら、普段通りに動けるってのは凄いわ。出雲が回避重視で作ってあるのも納得だわ」

「皆、視野の第一段階は出来るようになったね」

「「「第一段階?」」」

 

全員が声を合わせて、聞く。

 

「うん。あくまで僕が勝手に言ってる事で、僕の感覚の物だし、今ので充分だとは思うんだけど。第二段階は視野から入ってくるものを俯瞰的に捉える事。アリーナの上空からすべてを見下ろす感じだね。その次ラストがそれを立体的につまりは鳥瞰で捉える事。これが出来て攻撃がある程度読めれば……回避練習プログラム、難易度MAX、一斉射、二十連発」

 

四方八方に訓練用射撃ドローンが展開される。その数100。その一斉射の隙間に確実に入り込んでいく。

 

「とまあ、こんな曲芸じみた真似も出来る。これはあくまで一斉射で直線的な攻撃って分かってるから、隙間さえ見つけられたら出来る事で実際はフェイントとかもあるから、ここまで上手くはいかないよ」

「いや、十分凄いぞ」

「普通、あそこまで上手くいかないよ」

「分かってたけど、自信失くすわね……」

「でも、俯瞰的な視野はあると便利だとは思うよ。ISだけでなくスポーツでも戦術を立てたり、説明する時は俯瞰の視点でするでしょ? マルチタスクを活かす事で、戦闘と同時に俯瞰の目線で状況を分析する事で相手のやりたい事も気付けるんだよ。この辺は経験も必要だけど」

 

これらは僕が管理局で戦う際に前線に立つ身としてはそこそこ階級が上がったので指揮を執る事が増えた事が理由だったりする。前線指揮官には正確な状況の把握とそこから戦術を読む事が必要だと僕は思う。それで、味方の身を守り、相手を効率よく無力化するのが腕の見せ所だ。

 

「なるほど、図面演習の視点をリアルタイムで見る訳か。部隊を率いる身としては勉強になるな」

「それだけじゃないわ。二学期には専用機持ちだけのタッグトーナメントが予定されているから、そこでも役に立つと思うわよ」

「俯瞰……意識してみる」

「じゃあ、もう一回やって……」

 

僕の言葉を遮るように、プライベートチャンネルに通信が入る。相手は……織斑先生。

 

『なんですか、先生?』

『実はな、束が妙な発明をしてな。暴走で周りに被害が出ない様に、お前にフォローを頼みたい』

『はあ……分かりました』

『そこに専用機持ちはいるか?』

『えーっと、簪と楯無さんとラウラがいます』

『よし、そいつらも連れてこい』

『分かりました』

 

通信が切れる。その後僕は皆に事情を話して先生に指定された所、今日は使用されていないアリーナに向かった。そこには相変わらずの格好の二人が居た。

 

「おひさーやっくん。後ろの子達は、日本代表候補の子とドイツの子とロシア代表の子だね。私は束さんだよ、よろしく~」

「束、どういう心変わりだ? お前が自分から興味の無い人間に話しかけるなんて」

「いやー、やっくんの話を聞くと、もしももっと世界に興味を持ってたら、もっと早く魔法に気付けたかもしれないじゃん? 束さんはまだ若いし、今から少しずつ人にも世界にも興味を持とうと思ってね~」

「そうか。私は良い事だと思うぞ」

「それで、束さんが開発したのはあれですか?」

 

アリーナのど真ん中に置かれた謎の装置を僕は指差す。

 

「そうだよ~。次元世界に行くための装置を開発してみました~」

 

……何も知らない状態で、そんなものを作るとは、これが天災か。でも……

 

「次元世界の中心のミッドに行くのなら、ウチの会社に直通のトランスポーターがありますよ?」

「……ホントに?」

「ええ。簪と楯無さんは夏休みに僕の家に遊びに来ましたし」

「で、でも自分で道を切り開くのが私流なのだ! スイッチオン!」

 

そう言って、装置を起動させる束さん。次の瞬間、強い光を放って……僕達の身にはなにも起こらなかった。ただ…装置の前に一人の女の子が。その女の子は僕が出会った頃のはやてにそ「パパだ!」……なんですと?

パパとは男親、父親の事を指す言葉だ。そして、この中でそれに当てはまるのは僕だけ。

 

「でも、若いし……すみません、今は新暦何年ですか?」

 

新暦で聞いてきたって事は、確実に管理世界の子だ。

 

「今は新暦72年だよ」

「7年前……。えっと、お兄さんのお名前は?」

「僕? 僕は霧島八雲。君は?」

「私は八神咲耶。ママは八神はやて、パパは旧姓霧島、今は八神八雲です」

 

……って事はこの子は僕の未来の娘⁉ でも、この子さっき7年前って呟いていたよな。

 

「えーっと、年齢は?」

「今年で10歳です」

 

……どうやら、あっちの僕は13歳の父になったらしい。

 

「織斑先生」

「……なんだ?」

「この、近接ブレードで介錯をお願いします。どうやら、僕は13歳の時に同い年の女の子を妊娠させたクズらしいです。それでも、向こうの僕は人の親なので何とも出来ません。なので、僕が責任をとって腹を切ります。叢雲」

「ちょ、ちょっと待ってくださ~い! 確かに私は10歳ですけど、私が生まれたのはパパたちが19歳の時です。しかも、ロストロギアの誤作動です。パパはちゃんと誠実にママと結婚しました!」

 

咲耶ちゃんの言葉に我を取り戻す。取り乱してしまった。

 

「しかし、念のために色々聞いた方が良いんじゃない?」

「そうですね、楯無さん。それじゃ、いくつか質問するよ」

「どうぞ」

「まず、僕とはやての誕生日は?」

「パパが6月1日、ママが6月4日です」

 

正解だ。

 

「次、僕達が出会ったのは?」

「海鳴市立図書館で、ママが取れなかった本を取ったのが切っ掛けです」

 

これも正解。

 

「三問目、僕達が恋人になった日と告白した場所、した方は?」

「出会った年のクリスマスイブにママの家に間借りしていたパパの部屋で。した方はママから」

 

これまた正解。……つーか、あっちの僕は娘に何を聞かせてるんだ?

 

「四問目、僕がはやての初めての誕生日プレゼントに送った物は?」

「イチゴのショートケーキ1ホール」

 

……なんでも話してるな、僕。

 

「じゃあ、ラスト。僕達の幼馴染、高町なのはの好きな人は?」

「ユーノ・スクライアさん。ちゃんと、今は結婚しているよ」

「そりゃ、良い事聞けた。さて、僕としてはこの子を自分の娘と言ってもいいと思うんですけど。DNA検査とかできればいいんですが」

「まっかせて! そう言う事は私が一瞬でやっちゃうよ~。髪の毛ちょーだい」

 

僕と咲耶ちゃんは一本髪の毛を抜いて束さんに渡す、そして、次の瞬間、

 

「うん、さっちゃんは正真正銘、やっくんの娘さんだよ。この束さんが保障しよう! でも、この年頃の娘さんを親から離すのはちょっとね。若い時のお父さんがいるけど。という訳で、さっきの運用データで何とか出来るように装置を改造します! 皆の衆、あでゅ~」

「嵐のような人だね、パパ」

「確かに」

 

あっ、自然とパパ呼びに反応してしまった。まあ、良いか。

 

「しかし……はやてちゃんにそっくりね~」

「確かに。でも、瞳と髪の色は八雲の色」

「ふたりの言う、はやてとは誰なのだ?」

「「八雲(君)のお嫁さん」」

「まだ違います!」

「……という事は」

「何時かははやてちゃんと結婚する訳ね」

 

……ハメられた。ていうか、この二人、案外似ているところあるよな。こう言う所もそうだし、不器用な所とかもそっくりだ。妙に息ピッタリだし。

 

「しかし、部屋とかどうしよう?」

「その辺は私が何とかしよう」

「良いんですか?」

「何、一学期は何かと霧島には迷惑をかけた。これぐらいはさせてくれ」

「ありがとうございます、織斑先生」

「礼は良い。今度酒の肴にお前の彼女関係の話を聞かせてもらえればいい」

 

……やっぱり、織斑先生も女性って事だね。

 

「……機会が有れば」

「では、この子は束が帰す用意を終わらせるまでお前の部屋で預かれ。理由は親戚の子を預かったで良いだろう。では、私も先に失礼する」

 

そう言い残して織斑先生は帰っていった。

 

「さて、さっき織斑先生が言った通りに過ごす訳なんだけど……流石にパパは止めてね」

 

もし誰かに聞かれたら……うわ、考えたくねえ。

 

「分かりました!」

「よし。んじゃ、今からどうしようか?」

「えーっと……私と戦ってください!」

 

……なんですと?

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