7対1の模擬戦を勝利で終えた後は他の専用機持ちの戦いを見ていた。
ここ数日教えている、ラウラと簪は他の専用機持ちには結構圧勝だった。うん、練習の成果が早くも出てきているね。
やっぱり、基礎の機動の訓練をやって、防御や回避を集中させて正解だったと思う。いくら僕でも勝つ方法までは教えられないからね。
『勝つ方法』と『負けない方法』っていうのは似ている様で全然違う。『勝つ方法』は相手、自分、その時の状況などで変わって来るので教えるのは、無理に近い。強いて言うなら状況や相手のスタイルを想定しての動き位。でも『負けない方法』と言うのはかなり単純だ。攻撃を食らわない回避や防御を重点的に磨けばいい。それに咄嗟の判断力を模擬戦で身に付ければ、そう簡単には負けなくなる。個人的に負けないようにする事が勝ちを掴む一歩だと思う。
「あ、そうだなのは」
僕は横で一緒に見ていたなのはに話しかける。
「なに? 八雲君」
「今さ、簪とラウラと楯無さんにコーチを頼まれてるんだけど、手伝ってくれない?」
「良いけど、突然コーチしますって言われても信頼感無いと思うよ?」
「確かに。んじゃ、模擬戦やりますか。全力全開で」
「良いねー」
「ほう、面白い話をしているな。それならば、今からやれ」
という訳で、僕となのはは今アリーナで対しています。
なのはのISは出雲のデータから開発された量産前提の試作機、星雲(せいうん)。それのカスタム機がなのはの専用機になっている。
元のデザインは非常に普通のIS的なのだが、初期化と最適化を行った時に何故かなのはのバリアジャケットにそっくりになった。(これは僕にも起こった。どうやら叢雲が最適化の時に何かをしたらしい。恐らく、それを叢雲から聞いたレイジング・ハートが同じ事をしたのだと思う)
武器はなのはに合わせた彩雲改N型。誘導弾のNバレットの使用に特化させた彩雲のカスタム版。
つまり、ほぼ魔法戦と同じ戦い方が出来る。
「こうやって戦うのも夏休みぶりだねえ」
まあそれはミッドでの魔法戦だったけど。
「まさか転校初日でやるとは思わなかったよ」
「確かに」
『二人とも、準備は良いな。では……始め!』
織斑先生の合図で僕達は彩雲を構えて、放つ。Nバレットだと武器的にも習熟度的にも不利だ。しかしFバレットでもなのははフェイトと何度も何度も模擬戦をしているから対処は上手い。だから、それを組み合わせて戦っていくのがベターだ。
普段は様子見から入るけど、僕となのははお互いの手の内を知り尽くしている。だから今さらそんな事はしない。
「「シュート!」」
僕はFバレットの直射で、なのはは誘導弾で攻撃を行い、お互いの間、ややなのは寄りの位置でぶつけ合う。……いやあれは、なのはは僕の弾にぶつけるように攻撃をしたな。なるほどね。流石だよ。
「凄いね~、かんちゃん」
「うん。八雲が凄い事は知ってたけど、なのはがあそこまでとは思ってなかった。想像以上だよ」
相槌を打ちながらも簪は目の前の戦いから目をそらさない。これには八雲が言ったとある言葉がある。それは、
「模擬戦って見るだけでも勉強になるけど、少し意識を変えるだけでもっと良くなるよ。それは、模擬戦をやっている人の立場になって、なんでこのタイミングでこの動きをしたかを一つ一つ自分で考えてみる事と、この状態なら自分はこうするなっていう事を考える事。この二つを心掛ければきっと成長するよ」
という物だった。
「しかし、こうやって考えてみると八雲の言葉の意味が分かるな」
本音の反対側に座っているラウラがそう言った。彼女も同じく、一挙手一投足を見逃さない様にしっかりと見ている。
「そうだね。色んな戦い方を見る事で上手い戦い方の吸収と自分の戦い方の確立。それと自分に合った対処法を考える。見る側での模擬戦の活かし方が分かったよ。マルチタスクのお蔭で見ながら考えるのもしやすいし」
「そうだな。……しかし、高町は変わった戦闘スタイルだな。技術は凄いが」
「アリーナの中央に位置取って、最低限の回避と誘導弾での迎撃での防御。確かに普通の射撃型のセオリーとは違うね。でも、あれは凄く厄介だよね」
「ああ。抜群の空間把握と全ての誘導弾の誘導を処理しきる能力、それに卓越した読みが無いとあのスタイルは出来ないな」
「真似のできないスタイルだよ。でも、あんな危ない橋を渡るより、普通の戦い方でも十分だと思う」
「確かにな。という事は何か狙いが?」
「多分ね。……その辺は終わった後に聞けばいいかな」
やっぱ、戦いってこういう物だよね。お互いの読み合いが前提で、一撃で決める準備を淡々としていく。小さな削りあいはその副産物でしかない。経験の少ない他の専用機持ちにそれを求めるのは酷かな?
なのはの戦闘スタイルから行くとフィニッシャーは十中八九、大火力砲。彩雲が使えるディバインバスターはSE満タンでも当てれれば一撃で終わらせることが出来る。Nバレット特化の改ならそれ以上でなおかつ欠点のチャージ時間も何とかなってるだろう。
必中を期すために、どこかでロック、バインドを使ってくるはず。問題はそれがどこかという事。
相殺を狙ってくるのは多分、僕をイライラさせるため。集中力、判断力を欠かせるのが狙いだと思う。実際攻撃が当たらず、思うように行かないからイライラしてるし。
ただ、それを理解できているから、問題はそこまでない。
後、なのはは迎撃をする時、少し弧を描くような軌道で誘導弾を放っている。つまり、こっちに近寄りやすくしていると思う。という事は、既に接近戦の間合いに何かを仕掛けてあるんだろう。そこから先はいくつかパターンが考えられるけど、それは開けてみないと分からない。
(叢雲、ディバインバスターの準備しておいて)
(了解)
下準備はこんなもんか。さて、鬼が出るか蛇が出るか……どう考えても、魔王が出るな。
それはそれとして、僕は一気に切り込む。弾幕は……避けた! どう来る?
そう思いながら切りかかると、プロテクションで防がれる。しかも、それだけじゃない。
「くそっ、バインディングシールドかよ!」
防御する共に相手も動きも止めれる捕縛盾『バインディングシールド』を用意している辺り、計算ずくだったんだろう。
なのははその隙に距離を取り、
「ディバイン……」
砲撃の構えを見せている。予想通りだ。無理やり抜け出すより、撃たれる方が早い。僕は彩雲を構える。
「「バスター!」」
相殺しか防ぐ手段がなかった。低めの位置に僕が居るので辺りには土煙が巻き上げられる。でも、これでなのはの攻撃の手段は潰したはず。このまま一気に……
(マスター、上空に高エネルギー反応です)
嘘だろ、もう一段階上があるのかよ。
「これが、私達の全力全開! スターライト……」
あ、これ僕死んだわ。
「ブレイカー!」
そうして、僕は閃光に飲み込まれた。
やっぱり、魔王さんは流石だよ。今回は完敗だね。
「いやー、負けた負けた。流石はなのは」
観客席に戻って来た僕は先に戻って来たなのはにそう話しかけた。
「まあ、今回は八雲君が転移戦法を使わないのが分かってて、射撃戦は私が分が有るっていう、かなり私に有利な状況だったからね。何処かで絶対切り込んで来るのは確信してたし。でも、八雲君も流石だよ。ディバインバスターだけで十分だと思ってたもん。最後の切り札まで使わされたのは想定外だよ」
「やっぱり、最初からの迎撃は僕の集中力を乱すため?」
「うん。リズムに乗れないって戦いにくいからね。そのついでに撃ち合いで焦って、接近戦に切り込んでくれたら儲けものって感じだったよ。分かってたから、ディバインバスター同士の相撃ちが出来たんだね」
「ああ。ご丁寧に突撃の時の道を空けておいてくれたから、近くに寄って来た時動きを止めて何かするんだとは思ってた。それを逆手にとって、対応して近接戦に持ち込もうと考えてたけど、上手くいかなかったね~」
この辺は僕の読みがまだまだ甘いって事だ。精進あるのみだね。
「でさ、なのは。スターライトブレイカーって改型限定なのか?」
「今はそうだよ。このデータを活かして多分その内八雲君の方にもフィードバックされるんじゃないかな? 魔力をライフルのエネルギーに変換させてチャージ時間を短縮させてるし」
「なるほどなー。今の彩雲だと魔力対応がYバレットだけだから、出来ないな」
「ちなみに、普通に撃とうとすると、ディバインバスターの倍は掛かるから実戦的じゃないよ。この機構を使うかカートリッジを使うか。まあ、前者の方が良いと私は思う」
「そうだね」
カートリッジは体への負担がそこそこあるし、僕は機体性能の一時向上の方に使いたいから、スターライトブレイカーの方に回す余裕は無いと思う。
まあ、これでなのはの実力を証明できたし、皆のコーチも捗るかな。僕と楯無さんは生徒会の仕事もあるから毎回出れるって訳じゃないし。
なのはVS八雲のIS戦。これぞ、クロスオーバーの極み!
今は艦これのイベント中なので更新が遅れる……と思いきや日曜日までに全部クリアして実装艦の朝雲も拾いました。ついでにまるゆが三隻とか、しおいとか。
後、押さえておきたいのは前回イベント艦の早霜だけなので、のんびり掘っていこうと思っています。なので、そこそこのペースで更新できると思います。