IS~二人目の男性操縦者は魔法剣士!?~   作:ピーナ

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学園祭後編。

お気に入りから来た方は二つ前に戻って前編からどうぞ。


第四十一話 覚悟を問う

学園祭の活気も何処かに行き、片付けに励む生徒たちの声のみが響いている。そんな中、IS学園の医務室は非常に重い空気に包まれている。

今この部屋に居るのは、つい先ほどあった襲撃事件の関係者と事情を聞くために教師陣がいる。具体的には、織斑一夏、更識楯無、織斑千冬、山田真耶、そしての八神はやての五人だ。

重い空気の理由は医務室のベットで眠っている霧島八雲が理由である。

 

「えーと、更識さん、そこの女性はどなたですか?」

「八雲君、それに魔法関連の関係者ですね。はやてちゃん」

「八神はやてです。今回の管理局ではロストロギアの密輸の捜査の指揮をしています」

 

その言葉に教師二人は驚く。

 

「指揮って、どう見ても霧島君と同じくらいですよね?」

「同い年ですよ。私達は九歳から働いていますし、私は指揮官の道を選んでキャリア試験とか受けてますから。一応二佐の位ももろてます」

「ボーデヴィッヒ以上か。その歳で」

「その辺、私も詳しく聞かなかったから、ビックリだわ。そういや、八雲君やなのはちゃんは?」

「八雲君は一尉でなのはちゃんは二尉やね。二人とも現場での功績での昇進やから、かなりの速さやと思うで」

 

ちなみに同年代は大体が士、たまに曹位だ。彼らは異例のスピード出世と言える。ただ、彼らはクロノという特異例(ほとんど変わらない歳で提督になっている)を知っているから、人より少し早いだけと思っている。

 

「自己紹介も終わった所で更識、何があったか話して貰うぞ」

「分かりました。……でも、私からだと主観的な説明になるので、他の人に任せます」

「他? 誰だ。八神か?」

「誰よりも主観的な存在ですよ。叢雲」

 

楯無は八雲の眠るベットの横に置かれた、彼の相棒に話しかける。

 

「了解。丁度、マスターが報告書と今後の相手の戦力分析の為に私に映像で記録する事を命じていたので、その映像をご覧いただければ良いかと」

「なんと言うか……準備が良いですね、霧島君」

「マスターはやらないといけない事は迅速に終わらせるタイプですので、そのための手間は惜しみません」

「確かに手早く終わらせれる事は早めに済ますな~、八雲君」

 

まあ、彼の場合、やるべき事を早く済ませれば大事な人(はやて)との時間がその分増えるというとても不純な理由ではあるのだが。

 

「提案した私が言うのもなんだけど、叢雲は何でも出来るのね」

「何でもは出来ません。出来る事だけです。それに、マスターは独立遊撃部隊として単独行動が多いので、様々な状況を想定して、私もサポートの為にどんどんアップデートする必要があったんです。これもその一つです」

 

「なるほどな。……叢雲、その映像見せてもらえるか?」

「ええ、元々学園にも提出する予定だったので、問題ありません」

 

やる事はしっかりやるが、抜ける所は結構手を抜く。それが霧島八雲という人間だ。

 

 

 

 

 

映像を一通り観終わった後、部屋は更に重い空気に包まれた。

 

「……織斑、お前には謹慎を命ずる」

 

一番最初に千冬が切り出した。

 

「何で!」

「言わないと分からないか? お前はどんな事情があろうと、ISを展開していない人間、しかも学園の生徒を攻撃した。本来なら退学もありうることだぞ」

「なら、八雲は良いのかよ!」

「霧島は生徒会の人間で警備の為にある程度独自に動く事を認めている。霧島を罰するとしたら扉の損壊位な物だろう」

「何だよそれ! アイツは人を殺そうとしてたんだぞ!」

 

 

 

「何だよそれ! アイツは人を殺そうとしてたんだぞ!」

 

その言葉を聞いて私はもう我慢の限界だった。

 

「……なら、織斑君。君は何で八雲君を斬ったん?」

「それは、人の命を守るためだ!」

「相手はテロリストやのに?」

「それでも人殺しはいけないだろ!」

「なら、これで処置が遅れて八雲君が死んだらどうするつもりやったん? これで八雲君に障害が残ったらどうするつもりやったん? これで八雲君が目を覚まさんだらどうするつもりやったん?」

「それは……」

 

言葉に詰まる織斑君。

 

「答えられへんの? ……そんな覚悟で力振り回すなや」

「………」

「ISという大きな力を持って守りたいんなら、その力が起こすすべての事に責任持てや。その覚悟が無いんやったら、そんな気持ち捨ててしまえ。周りを不幸にするだけや」

「……どういう事だよ」

「はっきり言ったるわ。私は私の大事な人である八雲君を斬られて、頭に来てる。だから」

 

私は八雲君のベットの横に置かれた叢雲を手に取る。と同時に叢雲は日本刀の形態をとる。

 

「今すぐ、君をこの場で斬りたい。でも、それは八雲君が望まんやろうからせえへん。でも、八雲君が二度と目を覚まさんってなったら、私は地の果てまで追ってでも君を殺す。力を持って守るって事は人を傷つけるって事。傷付けた相手が誰であっても、それは変わらん。その相手を大切に想う人から見たら、どんな理由があろうと、『大切な人を傷付けた人間』って認識にしかならん。絶対に」

「そんなの……」

「あるよ。人の感情は理屈やない。逆恨みの多い仕事やし、少なくとも君よりは理解しとるよ。それで、その被害は自分だけじゃなく周りに及ぶ可能性だって十分ある。自分と同じ気持ちを味あわせるために近い人を狙うとか。……で、もう一度聞くけど、君に力を振るう事で起こる出来事を背負う覚悟はあるか?」

 

私はそう問いただした。織斑君は下を向いたまま言葉を発さない。

やっぱり、普通の高校生がこれの答えを出すのは無理かあ……。まあ、私らが異常なんやけどな。

この話はこの辺で終わりにしとこ。このまま話してたらマジで攻撃しそうやし。

 

「で、織斑さん」

「なんだ?」

「織斑君の処分ですけど、謹慎は止めておいた方が良いかと」

「理由を聞こうか」

「相手は学園のイベントを集中的に狙ってきてます。という事は次はすぐに控えたキャノンボールファスト。しかも警備の厳しいIS学園ではなく学外の開催。大規模な襲撃が予想できます。戦力になりうる専用機持ちを外すのは得策ではないかと」

「ふむ、一理ある。とりあえず、来週いっぱいの謹慎と反省文辺りか?」

「いや、それより、織斑さん考案の特訓の方が良いんちゃいます? 八雲君曰く『迷っている時こそ一心不乱に何かに打ち込む方が良い』らしいですし」

 

直情的に動くタイプらしい織斑君は、考えて袋小路に入れるよりも、考えられない位へとへとにさせる方が良いと思う。

 

「確かにな。私自身迷った時には吹っ切れるまで体を動かすタイプだからな。織斑もそっちの方が良いだろう。……では、私達は少し席を外すか」

「ですね」

「じゃあね、はやてちゃん」

 

そう言って、私を残して他の人は外に出ていった。さて……、

 

「起きとるやろ、八雲君」

「……ばれた?」

 

目を覚まし、起き上がる八雲君。

 

「だって、叢雲が途中で起きているって教えてくれたし。魔力を使って治癒力を上げてるから、怪我の方も大丈夫やろうけど……無事で良かった」

「心配かけてゴメン。でも、剣で斬られたぐらいじゃ死なないよ。ある程度の傷ならバカみたいにある魔力で治せるし」

 

それはそうなんやけど、心配な事には変わらへんよ。まあ、いくら言ってもやらないといけない時に八雲君は躊躇せんやろ。そこが良い所でもあり、悪い所でもある。

 

「しかも嫌な役までやらせてさ」

「大した事あらへんよ。半分は本心やし、それにここに関係ない私の方が都合良いやろ。こういう事は」

 

八雲君がさっきの事を言ったら学園生活がぎくしゃくするかもしれへんからな。なのはちゃんや本音ちゃんがおるからそこまで問題ないやろうけど。

 

「んで、話は変わるけど、映像を見たって事はこっち側の犯人は分かったよな?」

「うん。あの特徴、スカリエッティやな。……危機回避能力と技術力は超一流やから、気付いたのが遅すぎるな」

「地球側への取引も終わったっぽいし、こっちで証拠は掴めなさそうだね」

 

この件はここで手詰まりかあ。管理外世界でボロなんか出さんやろうし。

 

「一応、密輸業者の線は調査続行するけど、そっちからのアプローチも望み薄やろな。とりあえず後は出て来たゴーレムを封印してかなアカンな」

「その辺は僕となのはの仕事だよ。バックアップはよろしく頼むよ」

「任しとき。それじゃ、後でまた、こっちで分かった事連絡入れるわ」

「はいよ。じゃ、最後に」

 

そう言って八雲君は私の肩に手を置き、唇に軽くキスをした。

 

「うん、元気でた! お仕事頑張るわ」

「そっか、良かった。僕もこっちで頑張るよ」

 

元気が出たけど、少しの間のお別れはやっぱ寂しいなあ。でも、頑張らなな。八雲君となのはちゃんが仕事に専念できるようにするのが私ら後方の人間の仕事やからね。




乗り越えて見せろよ、主人公(ゲス顔)

学園祭のタイミングで力を使う事への覚悟を問うのは結構予定通りです。
当初ははやてのビンタから始まって責めるようにしようと思ったのですが、叢雲が八雲の容体をはやてに細かく説明しそうだなと思い、静かに怒るような感じにしました。


ちょっとした追記

作中で『ちなみに同年代は大体が士、たまに曹位だ。彼らは異例のスピード出世と言える』と書いていますが、これの比較対象はSTS時のスバルとティアナです。
STS時の二人は二等陸士。そもそも、士官候補生スタートの八雲やなのは、さらにキャリアのはやてと比べるとの違うと思いますが、対象が無かったので。
さらにさらに、陸士校はスバティアの二人より大半が少し年上らしいので、そもそも八雲達と同年代は研修生の可能性もあります。
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