IS~二人目の男性操縦者は魔法剣士!?~   作:ピーナ

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キャノンボールファスト回になります。

最近話のテンポ速いなあと思ったら、原作でのここら辺のイベント、つまりは更識姉妹関係のイベントを序盤にやっているから、書くことが無いんだと気付きました。


第四十三話 速く、誰よりも速く

キャノンボールファスト当日。今は二年生の最終レースが行われている、楯無さんは今日の開幕レースに出場して。圧倒的な実力を見せつけて、一位を取った。

この次が僕達一年生の専用機持ちのレースでその後に一年の訓練機のレース、最後に三年生のエキシビションレースとなっている。

 

『八雲、聞こえるか?』

『聞こえているよ、クロノ』

 

試合前の集中をしていたら、クロノから通信が入った。

 

『君のいるアリーナ一帯は僕達が全力で監視中だ。何か事態が動いたら連絡する』

『了解。……悪いね、こっちの警備にアースラの設備を使っちゃって』

『気にしなくてもいい。まだ、今回の事件の情報が入るかもしれないからな』

 

正直、僕やなのは、後方にいるクロノ達共通の見解として、ここでは事件に関する情報は得られないだろうと予測している。今回のはそっちよりも侵入者の為の警備の方が意味合いが強い。

 

『それに、君に怪我をされるとこっちの、主にはやての士気に関わるからな。奇襲を無くせるだけ良いだろう』

『大丈夫、大丈夫。一週間以上入院する怪我した事無いのが自慢だから』

『……君の関わってきた事件を考えると奇跡としか言いようがないが、油断はするなよ』

 

一時期、とある階級が上の人間の不興を買って、かなり危険な事件や調査(夜天の書やジュエルシードまではいかないけど、それでも暴走すれば危険なロストロギアや違法研究の為研究所潰し、次元世界を股にかける広域犯罪組織の逮捕など)ばかりしていたけど、大怪我という物は無かった。これ切っ掛けで一時期『無傷の守護神』とか呼ばれるとともに僕だけ怪我を負わない事から『死神』とも呼ばれるようになった。

僕が大怪我しなかったのは、やっぱり、色々な経験の賜物と、自分で怪我の治療が出来る事だと思う。

 

『最近はそこまで危険な事件には関わってないけどね。専ら、クロノの担当してる事件ばっかだったし』

 

件の上官が不祥事で力を失った事をきっかけにそれほど厄介事に巻き込まれる事は無くなったけど、能力的に大きな事件、危険な事件の担当になる事が多い。

クロノも若く、優秀なのでそういう危険な事件の最前線で指揮を執る事が多いから、自然と一緒に仕事する事が多いのだ。

 

『前線で戦う人間の中で君が一番信頼が置けるからな。もちろんなのはやフェイト、守護騎士の皆も信頼はしているが、君が一番所属的に動かしやすいからな』

『まあ、助っ人として呼ばれやすいし。っと、そろそろ時間だ。これで通信切るね』

『分かった』

 

クロノとの通信が終わったので、僕は近くに居るなのはとの念話に切り替える。

 

『なのは』

『うん、アースラが警戒してくれているのはフェイトちゃんから聞いたよ』

『そっか。んじゃ、フォーメーションはいつも通りで』

 

いつも通りのフォーメーションと言うのは、僕達幼馴染組が同じ事件で現場に立つ時のもので前衛僕、中衛なのは、遊撃フェイト、後衛はやてが基本的な物になる。場合によってはフェイトが前にくるし、僕達三人が下がって、広域攻撃魔法×4とかやったりと臨機応変に動くけど。

 

『まあ、何事も無い事を祈るけどね』

『そうなんだけどさ、僕の勘じゃ今回も何か起きるよ』

『……八雲君の悪い勘はよく当たるからね~。まあ、何か起きるまでは普通にレースをしてようか。負けないよ?』

『ははっ、それはこっちのセリフ』

 

ギリギリまではこのレースを楽しもうか。

 

 

山田先生の案内で僕達はスタート位置に着く。

 

『それでは、これより一年専用機持ちのレースを始めます!』

 

大きなアナウンスと共に僕達はスラスターを点火する。

それと共に前の空間にモニターが現れ、赤いシグナルが点灯する。それが五つ点いた次の瞬間、シグナルが青に変わる。レースのスタートだ。

僕はレースのスタートと共に一気にトップに出る。今回は様子見は無しだ。

そのまま、トップスピードで第一コーナーを過ぎる頃には僕を先頭に若干後ろにセシリア、そのさらに後ろが集団で纏まっている状況になっている。さて、仕掛けますか。

僕はスピードを落とさずに後ろを振り向き、Fバレットで妨害を開始する。

 

『ああっと、先頭を行く霧島八雲選手、背面飛行をしながら上体を起こす事で減速をせずに後ろを向いて妨害している!』

 

実況の先輩も驚きの声を上げている。

原則、高速飛行は推進力の向きを一点に集中させるために前傾姿勢になる。

ISは背部と脚部にスラスターを持っているが後ろを向いたり背面飛行となるとそれが一点に集中できない。だから、高速飛行には不向きなのだ。僕はそのセオリーを破った事になる。

 

『解説の織斑先生どういう事でしょう?』

『ふむ、背部のスラスターの出力をわざと落として脚部スラスターの出力を上げる事で高速飛行中でのあの飛び方を可能にしている様だな。ある意味、ISの常識を知らない人間だからこそ生まれた発想だろう』

 

織斑先生の言う通りだ。原則向かないのなら、出来る手段を考えれば良いだけ。ただのレースなら必要ないけど、これは妨害アリのレース。なら、攻撃できる方法も考えて、この発想になった。

まあ、ぶっちゃけ僕がなのは位誘導弾を上手く使えてたら、誘導弾での妨害に集中してただろうけど。

このまま、レースが二週目に入ろうとした瞬間、

 

『八雲、上空より、アリーナに接近する機体がある!』

『了解! なのは、会場の防御は頼む!』

『任せて!』

 

そう言い残して、僕は一気に高度を上げて、上空からの射撃を迎撃し、そのまま敵機に接近、一気にアリーナ上空まで押し出す。さて、無粋な乱入者はご退場願おうか。

 

 

 

「ふん、中々やるな。オータムを退けた事はある」

「オータム? ああ、学園祭の時に襲ってきた人。あんまり強くなかったから、今まで忘れてた。君も同じ組織みたいだし、所詮あの程度でしょ?」

 

無論挑発だ。あの人は頭に血が上りやすいのが欠点だろうけど、実力自体はあるはずだ。一夏を護りながらというハンデがありながらも楯無さん相手に互角以上の戦いをしていたんだし。

 

「なら、試してみろ!」

 

そう言って、ビットとライフルの連続射撃を開始する。かなりの連射速度と正確性だ。多分今のIS学園で対抗できるのは楯無さんとなのは位だろう。少なくとも、アリーナに居る皆が束になっても難しい。が、

 

「温いねえ。それくらいじゃ、当たらないよ?」

「そのようだな。だが、これで!」

 

そう言うと、攻撃のレーザーが曲がった。

 

「おお、偏向射撃だ。まあでも、レーザーが曲がった位で当たる訳にはいかないよ」

 

えげつなさではなのはのシューターの方が上だ。これ位なら問題は無い。最短ルートで駆け抜け、斬りつけるが、ビットの一部がシールドになり防がれる。

 

「どうした? 届いていないぞ?」

「みたいだね。まあでも、今から目の前の僕は消えるよ。幻狼斬!」

 

転移魔法で一瞬のうちに背後に周り、斬りつける。

 

「ぐっ……それが、ドクターの言っていた魔法か」

「まあ、そうだよ。ドクターって人は魔法に詳しいみたいだねえ」

「ああ。それと、お前と戦うなとも言っていた。今ならよく分かる。私達では勝てないだろう」

「それが分かっているのなら、引いてくれないかな? そしたら僕は追わないよ」

 

あくまで防衛と観客の安全が最優先だ。この子を捕らえる必要は無い。

 

「ちょっと待て、なんだ、スコール。何? 通信を変わって欲しい? ……ウチのリーダーがお前と話したいそうだ」

 

そう言って、拡張領域から通信機を取り出す。

 

「はい、もしもし、えーっと、スコールさんで良いんですか?」

『ええ。それで構わないわ。二番目の男性IS操縦者にして、『管理局の切り札』とも呼ばれる凄腕の魔導師、霧島八雲君』

「そのドクター、いや、ジェイル・スカリエッティはよっぽど口が軽いんですね。人の情報をペラペラ喋るなんて」

 

後半の方とか特に。まあ、見ず知らずの犯罪者に言っても仕方ない所だろうけど。

 

『やはり、スカリエッティの正体には気付いたみたいね』

「まあ、特徴と技術力を考えたら、分かる事です。……で、僕に用って何ですか?」

『正直ね、貴方のせいでこっちの戦力はどんどん減ってるの』

「それは、仕方ないでしょ。僕とあなた達の立場も言い分も違って対立してるんですから」

 

っていうか、それを文句言われても困る。

 

『で、面倒だから、最終決戦を挑もうかと思ってね』

「……妙に正々堂々してますね。秘密組織の実働部隊なのに」

『私達は飼われてるだけなのよ。それも最近は失敗続きでどうなるか分からないけど。だから、最後にスカリエッティから貰った戦力を全部貴方にぶつけてすっきりしようかと思って』

「なるほど、理解はできませんけど分かりました。それであなた達はどうするんですか? 飼い主に噛みつくんですか?」

『私とオータムは二人でのんびりするためにそうするつもりよ』

 

……これはひょっとしてガチな人っぽい?

 

「じゃあ、僕の目の前に居る人は?」

『その子は、特別な出で立ちで、見た目と年齢があっていないの。魔法の技術も使われてるし、クローンだし。マドカ、バイザーを外して』

 

スコールさんの言葉でバイザーを外す、マドカさん。その見た目は織斑先生そっくりだった。

 

『彼女は、私達亡国機業の幹部会が最強のIS乗り製造の為に作り出した織斑千冬のクローンの成功例。それにさらに魔法技術も使った、特殊な体なのよ。戦闘機人だったかしら?』

 

戦闘機人とは人の体に機械を組み込み常人以上の力を発揮させるための技術を組み込んだ存在。かつて、僕が所属する管理局も安定した戦力供給を目的に、実用寸前までいったけど、倫理的な問題が壁になって凍結された。でも、犯罪者であり、稀代の技術者でもあるスカリエッティには関係の無い事だろう。

 

「でも、彼女から魔力反応は感じませんよ?」

『マドカに施された改造はIS適性と身体能力強化だからね』

「しかし、彼女を僕はどうしようも出来ないですよ?」

 

こっちではただの高校生だから、庇う事位しかできない。

 

『バニングス社は?』

「犯罪者を庇った事で起こる迷惑を会社にかける訳にはいけません」

『彼女自身は犯罪を起こしていないんだけどね。その機体もイギリスの物だけど、奪ったのは私とオータムだし』

「ふむ、ならば適性を報告して、イギリスでの保護が妥当な所でしょうか。技量的にも問題ないですし」

『ちょお~っと、待った~!』

 

突然通信に割り込んでくる、謎(多分、スコールさんにとっては)の声。

 

「……束さん、どうしたんですか?」

『話は聞かせてもらったよ、やっくん! 束さんがベストな解決方法を教えよう!』

「ベストな解決方法?」

『うん。私の専属テストパイロットになる事だよ。そうすれば誰も手出しできないし』

 

いやまあ、それはそうだけど。

 

『篠ノ之博士はそれでよろしいのですか?』

『えーっと、スコールさんだっけ? 良いよ。彼女も私のISの被害者……みたいな物でしょ? なら、私が出来るのは彼女を保護して普通の暮らしをさせてあげる事位だよ。テストパイロットは欲しかったのは事実だし。なんなら、スコールさん達も来る? 人手は多い方が助かるし』

『……考えておきます』

「これにて、一件落着かな? んで、その最終決戦とやらはいつになるんですか?」

『今度ある、タッグトーナメントの直前、IS学園の南20キロの海上で』

「分かりました。全て封印してこの事件を終わらせます。ゆっくり学園生活を楽しみたいんで」

 

ようやく事件も終わりが見えて来たし、後ひと踏ん張りだな。




ちょっと思いつきで八雲にスパロボ風精神コマンドを付けてみました。

集中、努力、加速、直感、直撃、愛

……正直、愛以外はリアル系の王道っぽい編成にしてみました。直撃を覚醒にするのもありかな? 愛は必須ですけど。
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