IS~二人目の男性操縦者は魔法剣士!?~   作:ピーナ

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ちょっとしたお話会です。


第四十四話 事情聴取は圧倒的に聞く側が多いです(仕事柄)

「……って感じになりました」

 

あの戦いの後、僕はIS学園の一室で織斑先生直々の事情聴取を受けていた。

ちなみにレースは僕がコースアウトした後もそのまま続けられ、デットヒートの末、僅差でラウラが制した。以下二位なのは、三位シャルロット、四位簪、五位鈴、六位セシリア、七位箒、八位一夏で最下位が僕(コースアウトの為)と言う結果になった。

……後で映像を見たんだけど、残り二週になるまでは上四人と下四人の順位は逆だったんだけど、なのはのシューターの弾幕と簪のミサイル一斉発射で状況が一変、上位陣が一気に下がり、後ろの四人が前に出る展開になった。さらに、残り半周のタイミングでその時四位だったなのはが第二波を発射し前三人を攻撃、二人は抜けたんだけど、トップを走っていたラウラにはギリギリ追いつけなかった。この辺はラウラの作戦勝ちといった所か。

 

「分かった。……苦労を掛けたな、霧島」

「いえいえ。一番迅速に動ける体勢だったのが僕だっただけです。それに被害無く行事が終わって何よりです」

「その辺もお前が考えていた通りだろう? あの飛び方も背部のスラスターを噴かせれば高度を上げやすいし、一番狙われやすい先頭を取ったのも、攻撃が来る心構えがあるお前が居れば、被害が減るという考えからだ」

「……流石ですね、その通りです」

 

その辺気付く辺り、流石は織斑先生といった所か。

 

「無茶だけはしてくれるな。死なれては困る」

「あはは、しませんよ。そんな無茶。そんな事したら、悲しむ人がいますから」

「覚悟云々も違うが、霧島が一夏と一番違うのは自分が怪我したり、最悪の事態になった時に悲しむ人間がいる事を理解できているかどうかだな」

「この前の臨海学校の時みたいにですか?」

 

臨海学校での事件で最初の出撃の時、一夏は負傷した。その理由は箒を庇ってだった。

 

「もしかしたら、頭で理解が出来ていても実感が無いだけかもですね」

「実感が無い……。かもしれないな。私や一夏は近しい人間を亡くした事が無いからな」

 

僕は前世で両親を子供の頃に亡くしている。だから、その事に実感はある。

 

「でも、実際の所そういう事態になったら、僕も無茶しますよ? 逃げたら自分自身を許せないですから」

 

ここに来て、何人も新しい友人が出来た。それを自分の命惜しさだけで逃げれるほど僕は薄情じゃない。だから、出来る範囲の事はやろうと思う。

 

「それは、力があるからか?」

「分かんないです。今の僕には人を護れるだけの力がありますし、色々してきた経験もあります。でも、それが無くても逃げる理由にはなりませんよ。その時自分がやれる事をやるだけです。まあ、あくまで多分ですけど」

 

今みたいに力を振るって護って事は出来ないだろう。だから、もっと他の手段を考える。それと必死に努力する。僕自身が後悔しないために。

『人事を尽くして天命を待つ』……いや、違うな『人事を尽す事で天命を掴みとる』かな。

 

「仮定の事を話しても仕方ないな。つまらない事を聞いた。……それで、最終決戦とやらはどうするつもりだ?」

「相手のご指名ですからね、受けて立つつもりですよ。」

「しかし、大丈夫なのか?」

「大丈夫だと思いますよ?」

「その辺お前はどう思う、束?」

「そうですね、ISの開発者の意見も聞きたいです」

 

織斑先生はそう言って誰もいないはずの空間に話しかける。いや、僕にも分かる。確かにそこには誰かいる。

 

「にゃはは~、ばれちったか~。流石はちーちゃんにやっくん」

 

そう言いながら、誰も居ない空間から現れた束さん。流石は天災科学者といった所だろうか。

 

「まあ、気配などには敏感だからな、後は勘だ」

「僕もそうですね」

 

その辺、武道を習っていたからなのか、前線職だからなのか、はたまたその両方なのか分かんないけど、なんとなく分かる。でも、案外このなんとなくの感覚が大事だったりする。

 

「おお~、流石は世界最強レベルの二人。並の人間とは違うね~。ここまで来るのに誰も気付かなかった、束さん特製のステルス迷彩なのに」

「そういうのはなんとなく分かるんですよ」

「私もそうだな。それで、そんな真似できそうな人間はお前位だからな」

「人の感覚は時に科学すら超えるね~。で、やっくんの最終決戦だっけ? 今までの改造コアの無人機位ならそれこそ束になってもかなわないよ。それ以上なら分かんないけど」

「まあ、どんな状況になっても何とかします。こんな所でくたばれませんから」

「恋人の為か?」

「そうですね。それと、あの時会った未来の娘の為ですかね。可愛い娘に会うまではくたばりませんよ」

 

今年の夏の終わりの出来事のお蔭でもう一つ死ねない理由が出来た。まだ生まれていないあの子に今度は父親として出会う為にも今この時間を頑張ろうと思う。

 

「……時々、お前の実年齢を疑いたくなるな。同年代、年上と話している感覚になる時がある」

 

確かに前世+今世の時間の合計は織斑先生たちの年齢に近いから、あながち間違いだとは言えない。

 

「確かにそんな感覚はあるかな~」

「まあ、僕自身様々な経験があるのと、社会人でもありますから、年齢より大人びてるのかもしれませんね。僕はこれが普通なんですけど」

「そういうものなのかな~」

「そういう物だと思いますよ」

 

僕と言う意識は確かに今の年齢以上だけど、それ以上に魔法に出会ってから、管理局に所属してからの時間で得られた物の方が今の僕にとっては大きいと思う。

 

「話は変わるが霧島、お前、二学期に入ってから、何人かの生徒にコーチをしているらしいな」

「してますね。今は楯無さん、簪、ラウラ、シャルロットの四人です。一番最初の切っ掛けはウチの会社が開発した魔法関連の技術の応用したもののテスターの報酬代わりにコーチをしてくれって頼まれたんです」

「その技術って、何かな?」

 

かなり興味津々の束さん。

 

「えーっと、僕達の魔法に必要な並列思考、マルチタスクを鍛えるものですね」

「ふむふむ、でもさ、ISに乗ってる人って無意識下でそれが出来てるよね?」

「ですね。それを意識的に鍛える事で色々出来るようになりますし」

「クラス代表決定戦でのお前みたいにハイパーセンサーの全方位接続の有効活用とかだな」

「おおー、なるほど。見る事と判断する事を分けて並列化する事で普通に見るのと同じ感じにするんだね。そう考えるとPICのマニュアル飛行や第三世代のイメージインターフェイスにも相性が良さそうだね~」

 

この辺すぐに理解するのはやっぱり、長年ISに関わって来た織斑先生と開発者の束さんだからだろうか。

 

「それから、基本的な回避訓練を徹底した位ですね。その後はなのはと模擬戦で徹底的にやってます」

「高町もなのか?」

「なのはは管理局で教導官をやってるプロですから。んで、ウチの教導隊の基本方針って『徹底的にきっちり打ちのめす。その方が教わる側は学ぶことが多い』ってものですから、僕達はその方針でやってますよ。向上心があれば、負けた方が得るものが多いですし」

「なんていうか、ちーちゃんよりも鬼コーチだね~」

「誰が鬼だ。しかし、それも確実に実を結んでいる様だな。今日のキャノンボールファストに二学期初日の一年全クラスの実習で実証されている」

「それは彼女たちの意識の高さですよ。僕はそれを後押ししただけです」

 

たとえどんな有用なトレーニングメニューもやらせるだけでは効果が半減してしまう。やはり本人の意識と言うのは大切だ。

 

「うんうん、意識って大事だよね~。束さんも好奇心を推進力にやってきた今までを見直して色々挑戦の毎日ですよ~。でも、そのおかげで、新しい原動力を見つけられたから、良かったと思うよ~」

 

……多分、こうやって自分のやりたい事を見つけられて邁進できるから、束さんは天才なんだろう。

 

「しかし、意外だったな。更識姉妹ならともかく、ボーデヴィッヒとデュノアがお前と一緒に訓練しているとはな」

「ああ、一夏関係の話ですね。ラウラはそれより、ラウラ・ボーデヴィッヒの強さを見つけるための努力を優先したみたいです。シャルロットは全クラス実習の時の織斑先生の評価を受け入れてですね」

 

恋に生きるか、夢を追うか、それは個人の自由だから僕は何も言わない。でも、男性視点から言わせてもらうと、あのいがみ合い方じゃ、一夏が意識するのかは怪しい所だと思う。

 

「それで、その4人の伸び具合はどうだ?」

「そうですね……国家代表の楯無さんは別にして、残りの三人は国家代表と訓練している事と切磋琢磨する相手がいるから、かなり伸びてますね。具体的には、僕が初めて戦った時の楯無さんと良い勝負できるくらいには」

「ふむ、更識は国家代表でも上の方だからな。三人は並みの国家代表と同レベルといった所か。それで、その更識はどうなんだ?」

「元々技量は高かったんで伸び具合は相応だと思います。でも、だからこそマルチタスクの訓練に集中してたのと僕が教えている戦い方を実践してるんで凄く強くなってますよ」

 

楯無さんは夏休み中の一週間でのマルチタスクの伸び具合が簪に負けた事が悔しくて、そこから、かなり訓練を積んだらしい。今は互角まで来ている。本人曰く「私って負けず嫌いだから」らしい。

 

「その辺はボーデヴィッヒに聞いた。直感型の私には教えられない事だな」

「僕の戦い方は秀才型ですからね、だからこそ積み上げて来た事を教えられるんですよ」

 

もちろん、直感が無いわけじゃないけど、僕の戦い方において大事なのは膨大な戦闘経験の上に成り立つ読みと洞察力。だから、自分の戦い方を表すのに『秀才型』とした。織斑先生の直感型は『天才型』になるかな。どっちが強いとかじゃなくて、この辺は個人の相性だと思う。

 

「それに、流石は代表候補生や国家代表。理解と吸収が早くて楽ですよ。多分国家代表も夢じゃないですよ」

「そうか、近い将来、教え子がモンドグロッソで戦う姿を見れそうだな。……今日はゆっくり休め」

「了解です。それでは」

 

そう言って、僕は部屋を後にした。……あっ、そうだ。クロノに報告しとかないと。




次回もお話回になります。
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