IS~二人目の男性操縦者は魔法剣士!?~   作:ピーナ

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最終決戦前編となります。


第四十六話 ただ、自分の矜持を貫くために

さて、いよいよ全学年専用機タッグトーナメント当日、つまりは一応、今回の事件の最後の戦いが行われる日だ。

僕は今、学園の南の海を眺めている。これが最終決戦になるのなら、地球で起こった魔法関係の事件の最後は全部海だなあ。前二つとの違いは海鳴じゃないのと、日が昇っている事位かな。

 

『マスター、はやてからの連絡です』

「ん、繋いで」

『おはようさん、八雲君。元気?』

「僕はいつも通りだよ」

 

戦いだからって力むほど素人じゃないからね。直前まではいつも通り過ごす。それが大事だと思う。

むしろ今回ははやてから連絡があったから普段よりリラックス出来て、やる気満々だ。

 

『……私が言っておきたいのは、どんなにぼろぼろになっても私の所に生きて帰ってきて。それだけや』

「りょーかい。はやてに嫌われたくないから、絶対に帰って来るよ」

『そんだけいつも通りなら、大丈夫そうやな』

「当然。僕を誰だと思ってるんだい?」

『そうやねえ……「管理局の切り札」「無傷の守護神」とまで呼ばれる凄腕の魔導師で、私の事を心から想ってくれる、私がこの世で一番大好きな男の子かな』

「んじゃ、その僕をこの世で一番大切に想ってくれる、世界一大好きな女の子の為に頑張ろうかな」

 

自分の好きな女の子の前でかっこつけて、頑張るのは、男の子の特権で一番力を出せる状況。僕はそうだと思う。つまり、今日の僕は誰にも、それこそ次元艦隊だろうが一国のIS部隊だろうが世界最強だろうが天災だろうが止められない。

 

 

 

『あら、前と違うISなの?』

 

この前渡された通信機からはスコールさんの声。僕は言われた地点でスタンバイしている。

 

「いえ、これも同じISですよ。ただ、これは僕が選び取った戦場ですから。それを自分自身で表すためですよ」

 

黒は僕の決意の色。それはこの色の騎士甲冑を作った日から変わらない。ただ、自分の思うままに戦う、今日の戦いにはふさわしい色。

 

『気分でコーディネートを変える物かしら?』

「まあ、そんな感じですね」

『……しかし、いくら貴方でも一人じゃ厳しいんじゃない? 今回のゴーレムは二次移行した福音レベルの強さが6体よ?』

 

現れたゴーレムは以前見たのより幾分かスタイリッシュなデザインになっている。

 

「お仕事ですから。……気になったんですけどスコールさんのISは無いんですか?」

『あるけど、この後の仕事の為に使わないわ。整備にも時間が掛かるし』

「そうですか。それじゃ、いつでもどうぞ」

 

さて、霧島八雲、本気でやらせていただきます。

 

 

 

所変わり、アリーナの管制室、そこには一年一組の教師陣+臨海学校の事件に関わった人間となのはがいた。

 

「織斑先生、データ解析終わりました! ……広域攻撃能力を除けば、性能は二次移行した福音と同レベルです」

「「「「「「「「ええっ⁉」」」」」」」」

 

この場に居る大半のメンバーは驚きの声を上げる。

上げなかったのは千冬となのはだけだ。

 

「俺は出撃するぜ、千冬姉!」

「却下だ。それに、織斑先生だ馬鹿者」

「なんでだよ!」

「当たり前だ。お前たち専用機持ちが複数で掛かってようやく対等だったものと同レベルの相手が複数の状態だぞ。教師として出せる訳がないだろ」

「そんなのやってみないと分からないじゃないか!」

「分からないって言っている時点で駄目だよ、いっくん」

 

この前と同じようにどこからともなく現れる束。これにはさすがのなのはも驚きを隠せない。

 

「どういう事ですか、束さん!」

「普通に当たり前の事だよ。ここから20キロ先で起こってる事は競技じゃない、命がけの戦いだよ。それに勝てるかどうか分からない人間を出すほど余裕がないわけじゃないもの。それに……誰が行ってもやっくんの足手まといになって犠牲者を増やすだけだよ。ねっ、ちーちゃん」

「そうだな。私に最新鋭の専用機があれば別だが、あの戦いに付いて行けるのは高町位だろう。次点で更識姉だな。援護射撃位なら更識妹やデュノア、ボーデヴィッヒもこなせるだろう。残りの四人は性格的に無理だな」

「言うねえ~ちーちゃん。でも、衛星から観察した感じだと確かにそうかも。この前のやっくん相手の模擬戦の時も感情のまままっすぐ行ってた感じだし。……しかし、なのちゃんや、やっくんは勝てるのかね?」

 

突然、なのはに話を振る束。束がなのはを知っているのはもちろん、衛星でIS学園を観察していたからだ。

 

「なのちゃんって私ですか? ……まあ、大丈夫ですよ。あの装備の時は本気ですから」

「色の違いが関係あるのか?」

「ありますね。能力云々じゃなくて、あれは八雲君の決戦仕様みたいなものですから。あの八雲君に勝とうと思ったら、学園のIS全部を含めても難しいですよ。それにそろそろエンジンを掛ける頃でしょうし」

 

 

 

 

『さて、叢雲、僕の今の勝算は?』

 

僕は開始から回避と観察に徹していた。スコールさんの言葉を完全には信じられないけど、織斑先生が監視していて、なのはと楯無さんがいるから、いざとなっても大丈夫と踏んだからだ。

 

『データ収集も終わりましたし、普通にフィフティフィフティといった所でしょうか』

『んじゃ、奥の手切ったら?』

『100%ですね』

『じゃあ、ちょっと疲れるけど、奥の手で行きますか』

『了解。コアリンクシステム起動』

 

さて、全力で……

 

『貴方は力を欲しますか?』

『……えーっと、どちら様で?』

『……検索完了。出雲のISコアの意識の様ですね』

 

マジで! こうやって、面と話した人間ってほとんど居ないんじゃないか?

 

『えと……初めまして。貴方のIS『出雲』のコアの意識であるものです』

 

なんか、出足を潰されて役が崩れてる。

 

『どうも。で、何で突然?』

『本来はよっぽどの事態にならないと私達の声は聞こえないはずなんですけど……』

 

どうやら、彼女も分かっていないらしい。

 

『叢雲は?』

『恐らくですが、マスターのリンカーコアとISコアを同調させたからでは? プラス出雲の経験値でしょうか』

『その辺はまあ、後々考えればいいか。で、力を欲するって言われたけど、具体的には?』

『えっと、二次移行の条件が整いました。後は、貴方の意志のみです』

『OK、分かった。んじゃ、ついでにさっきの質問にも答えるけど、僕は力を欲さない。ただ、君の力を借りるだけだよ。一緒に飛んでくれるかい?』

『そういう回答は初めてだと思いますけど……もちろん、喜んで。八雲さん、叢雲さん』

『マスター、彼女の名前を考えては?』

 

名前、名前ねえ……。

 

『雲から生まれたから……時雨なんてどうかな?』

『時雨……良い名前です』

『じゃあ、よろしくね、時雨』

『よろしくお願いします、時雨』

『はい、よろしくお願いします、八雲さん、叢雲さん』

 

さて、一人と二機の新たな力、見せるとしますか。

 

 

 

「おおっ、あれは二次移行だね! やっくんと出雲の経験値を考えたら十二分にありうることだけどさ。さて、どんな感じになるかな~」

 

二次移行の光に包まれた八雲を見て一人楽しそうな声を出す束。

 

「うーむ。性能は上昇しているけど、見た目的には大きな変化は……って、なにこのエネルギー反応!」

 

次の言葉が一瞬で驚きの声に変わった。

 

「どうした、束」

「出雲がありえない出力を出してるんだよ! 多分、あの白銀の粒子はその影響だと思う。ワンオフ・アビリティーかな?」

「ああ、それは違いますよ」

 

そういうのはこの場で出雲を一番詳しく知る人間。

 

「どういう事だ、高町」

「あれは、出雲にしか搭載していない、コアリンクシステムです」

「コアリンクシステム? 何それ?」

「私と八雲君の機体には私達の魔力をエネルギーに変換して撃ち出すシステムがあります。コアリンクシステムはそれの出力版で、ISコアの出力に八雲君自身のリンカーコアを同調させて、出力を強化するシステムです」

「なるほど~。でも、なんでなのちゃんの機体には載せてないの?」

「八雲君の魔力量が多いのと、回復スピードが早いのと、私のは量産前提の機体ですから、使い手を選ぶ装備は載せなかったからです」

 

ちなみに彩雲改は量産用のデータを得るために搭載しているので除く。

 

「やっくんはチートなんだね~」

「お前が言うな、お前が」

 

しかし、この二人以外の全員は思っている。「織斑先生、貴女も言えないだろう!」と。

 

「チートですね~。八雲君の大技なんか、それこそ、地震とか台風とかと同じですから」

「……前、霧島の全力でこの島を更地に変えれると言っていたのは事実なのだな」

「八雲君なら出来るでしょうね。私でも校舎を吹き飛ばすくらいなら出来ますから」

「わお、そいつぁ~予想外だ~。魔導師って皆そんな事出来るの?」

「そんな訳ないじゃないですか。私達に素質があって、それを伸ばして来ただけです」

「……その『だけ』を伸ばせる奴がどれだけいる事か」

「しなかったら、その代償を何かの形で払わないといけなくなりますから。自分か仲間か知らない人か、それは分かりません。だけど私達はそれを許容できないから努力するんですよ」

 

この心があるからこそ、彼女達は管理局員であるともいえる。

 

「まあ、あそこで戦ってる私の幼馴染の本当の原動力はそこじゃないんですけどね」

 

……なのはの呟いた言葉は結局誰にも届いてはいない。まあ、それが八雲の為にもまわりまわってなのはの為にも良かったのだろう。

八雲はその後の追及が、なのははさらにその後に来る、八雲の八つ当たりと言う名のOHANASHIが無くなるのだから。




いかがでしたでしょうか? 出雲の切り札とコア意識の出現に二次移行と色々やってみました。最終決戦で強化は王道だと思います。

コアリンクシステムは発想の大本はシードデスティニーのハイパーデュートリオンエンジンの「二つの異なる動力源を使う」という物からです。
存在的にはどちらかというとダブルオーのトランザムに近いですけど。
まあ、魔力での身体能力強化のIS版と捉えていただければいいかなと思います。

次回は最終決戦後編。
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