IS~二人目の男性操縦者は魔法剣士!?~   作:ピーナ

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最終決戦後半です。


第四十七話 IS学園沖秋の大魔法祭り

『うっわ、じゃじゃ馬~』

 

二次移行した出雲の慣らしの為に回避運動に集中したんだけど、思わず出た感想がこれだった。

 

『ですね。この出力だと通常時で現行機最速の紅椿、白式を超えてますね』

 

今はコアリンクシステムを使っているから、通常時以上の性能を叩きだしている。しかし、どうやら、使わなくてもかなりのスペックを持つらしい。

 

『八雲さんの反射神経、動体視力に対応するために機動性能を最も重視したのでその面は世界最高って言えますよ!』

 

自信満々に言う時雨。

まあ、僕自身この世界に転生して、神様の贈り物である自分の身体能力をさらに鍛え上げたから、その辺は自信がある。

というより、僕が自慢出来る事は運動が出来る事と、料理が出来る事と、可愛い彼女がいる事の三つくらいだし。

 

『さて、機体のスペックも大体把握は出来たし、一気に決めますか! 行くよ、叢雲! 時雨!』

『『了解(です!)』』

 

 

 

「ねえ、ちーちゃん」

「何だ?」

「私自身、ISの事が気になって、モンドグロッソから各国の模擬戦まで結構見てるけど、やっくんてかなり堅実な戦い方するよね。今も相手の動きと力、スラスターと武器の破壊に集中してるし」

「確かに賭けに出ると言った事は無いな。まあ恐らくそれをする必要のない実力の持ち主だからだろうな。その辺どうなのだ、高町?」

「そうですね……模擬戦ならともかく、実戦では堅実ですね。模擬戦は完全に練習って捉えてますから結構色々やりますよ?」

「「「「ああ……確かに」」」」

 

そう呟いたのは最近八雲との模擬戦をしていた四人、楯無、簪、シャルロット、ラウラ。

 

「……一体霧島は何をしたんだ?」

「皆、一回『勝った!』と思わせてから、負けてるんですよ。八雲君曰く『勝つ直前って一番気が緩むからね、模擬戦で一回手痛いの食らっておけば、そんな詰めの甘い事しなくなるでしょ』らしいです」

「具体的だあ。でも、分かるよ~。束さんも開発のミスで多いのは大詰めの時だもん」

「だが、実際にやられるときついだろうな」

 

詰めの一手で綺麗に逆転されるという事はそこまでの経過も八雲の手の内であったという事。自分の選択していたことが、その実選択されていた事だったから、肉体的、精神的疲労感は凄い物だ。

 

「それで、四人はどんな事をされたのだ?」

「以前の模擬戦と同じ。……いえ、より酷い負け方をしましたね。私が押してて、清き熱情を行けると思ったタイミングで撃ったのを、綺麗に躱されて、反撃で負けましたし」

「私も……お姉ちゃんに近い感じです。山嵐の全弾斉射を迎撃されて、煙が上がっている内に攻撃の準備を整えられて負けました」

「僕の場合だと、リズムを掴んで『灰色の鱗殻』でフィニッシュって思ったら、その腕を掴まれて投げられて、態勢を崩してる間に一気に攻められました」

「私は、押しててAICで捉えて決める時に後ろに用意していた誘導弾で妨害を受けてペースを乱されてるうちにです」

 

思い出して苦笑いの4人。

 

「えげつないね~」

「八雲君、模擬戦だとよくやりますよ? 相手を調子乗らせた後、落とすって。訓練の一環で」

「訓練の一環?」

「はい。八雲君数年前から小隊規模ですけど前線部隊指揮を執るようになって、部隊の被害を出さないために色々勉強したみたいです。それは一対一の模擬戦でも同じで『相手一人位、自分の手の内に収められるようになったら、戦況の判断や読みを鍛えられるかな?』って言ってましたし。最近だと相手によっては戦況を支配するレベルですよ」

「なんていうか……努力が斜め上の方向に行ってる気がしなくもないよ~」

「だが、それに意味を見出し、妥協しない。……陳腐だが『努力の天才』が一番似合うか」

 

その言葉にその場にいた一人を除く全員が頷いた。その一人は心の中で、「八雲君はそんなに大層な物じゃない。八雲君を表現するのは『世界一強い普通の男の子』がぴったりだと私達幼馴染は思ってます」と思っていた。

言葉にしないのは……前述のとおりである。

 

 

 

『さて、相手の翼はもぎ取れたかな?』

『相手の飛行速度、平常時より7割低下です』

『ほとんどPICのみで飛んでいる状態ですね。流石です八雲さん』

『褒めてくれるのは嬉しいけど、そういうのは全部終わってからね』

 

まだ、最後の締めが残っている。

 

「さて、決めますか! 捕らえろ、風刃縛封!」

 

動きが遅くなった無人機を風の刃で一か所に飛ばし、真空の球体に閉じ込める。これも、叢雲の空間座標の指定があるからこそ、複数相手にでも使える。

 

「風の刃で灰塵と化せ! 風塵封縛殺!」

 

魔力で作られた無数の風邪の刃が一点に集められたゴーレムたちを襲う。そして装甲が切り刻まれていく。

攻撃が終わると、見るも無残な残骸が残るのみだった。

 

『封印解放を確認。コアリンクシステム、シャットダウン』

『お疲れ様です、八雲さん』

『久しぶりに魔力使ったからね~。ちょっと疲れた。さて、時雨にご飯食べさせて、タッグマッチの準備しますか』

 

開始はお昼からなので、二時間ちょっとは休めるな。

 

「さて、コアを回収…」

『マスター、落下地点から再びエネルギー反応!』

 

その言葉を聞いた次の瞬間、この前の福音戦とは比べものにならない位の大きさの暴走体が出現した。

 

『暴走かよ! くそっ、あの変態技術者が! 叢雲、一回IS学園に戻って、時雨のエネルギーを回復させるぞ。ついでになのはも連れてくる』

 

折角終わったと思ったのにこの展開なんだから愚痴を言うくらいは許して欲しい。ここからは、純粋な魔法戦だ。

 

『ですね。彼女、そして、出雲のエネルギーを考えると補給させないとトーナメントに出れません』

 

出雲のSEは残り30パーセントほど。このままやってやり切れない事は無いけど、後の事を考えると補給させるべきだ。

 

『……すみません』

『気にしなくていいよ?』

『でも……』

『ならさ、後で実験に付き合ってくれる? それでチャラ』

『……分かりました。絶対に帰ってきてください』

『はいよ。叢雲!』

『転移座標固定。いつでも、行けます』

 

目指すはアリーナ第一整備室。この後の補給の為に織斑先生に頼んで開けておいてもらったのだ。

 

 

 

整備室の補給装置を起動させれ、出雲にエネルギーを補充する。

 

『八雲君、今どこ?』

『アリーナの第一整備室。なのはは?』

『織斑先生に場所を聞いたから、そっちに向かってる』

『分かった。合流して、出撃しよう』

『一分で行くよ』

 

流石はいくつもの修羅場を切り抜けてきた、魔王様。行動が早い。僕も整備室の入口で待っていよう。

それにこっちに来てくれるのはありがたい。少しでも休めるし。

 

『八雲、今どこだ?』

『次はクロノか……学園に戻ってISの補給中。なのはと合流して出撃する』

『こちらも僕とはやて、フェイトが出る』

『どれくらいかかる?』

『二分以内には』

『スクランブルで二分って早いねえ。流石はクロノとアースラスタッフ。……しかし、海でこのメンバーだと』

『六年前、いや、最初はもう七年前の事になるか。それを思い出すか?』

『ああ。まあ、闇の書事件の時と比べると守護騎士がいなくて、ジュエルシードの時だとはやてが居るって差があるけど』

 

海上で巨大な暴走体との戦闘と言う意味ではそっくりだ。

 

『解決方法もその時と同じで良いでしょ』

『だな。その方が僕達らしい』

『はは、違いない。……そろそろ、なのはが来るし、先に出撃するよ』

『分かった、すぐに合流する……これが終わった次の週の週末にアースラで簡単な打ち上げをやろうと考えているのだが』

『りょーかい。その辺、決まったら連絡をくれ』

 

最後、業務連絡からちょっと関係の無い事になってたけど、まあいいか。

二次移行して、僕を保護してくれたバニングス社にかなり恩返しできただろう。

 

『そう言えば、マスター。時雨に協力してほしい実験とは?』

『ああ、あれね。僕がふと思った事だよ。ヒントは五年前の大きな出来事だよ』

『五年前? ……なるほど、分かりました』

 

上手く言ったらちょっと面白い事になるだろう。まあ、それはこれが終わってからゆっくりやろうかな。

 

「お待たせ、八雲君」

「良いよ。さて行きますか。叢雲!」

「レイジング・ハート!」

「「セット・アップ!」」

『『OK. stand by ready』』

 

バリアジャケットを装備して、僕達は現場に跳んだ。そういや、僕の転移魔法って完全に僕個人用で、自分と僕に振れている物や人しか連れてけないんだよね。だから、なのはの手を握ったんだけど、これって、浮気になるんでしょうか? ……もしそうだったらはやて、許してくれるかなあ。

 

 

 

僕となのはが現場に着いた時、まだクロノ達は来ていなかった。

 

「確実に学園の方に近付いてきてるねえ」

「そうだな。んじゃ、動きとめますか。無慈悲なる白銀の抱擁、アブソリュート!」

 

海と海水で出来た暴走体の体を一気に凍らせる。これで動きは封じたから、学園への被害は無くなるだろう。

 

「八雲君に続くよ! ディバイン……バスター!」

 

なのはの十八番である砲撃魔法、桃色の閃光が相手を撃ち貫く。

 

「お待たせ、なのは、八雲。私も行くよ! アルカス・クルタス・エイギアス。疾風なりし天神、今導きのもと撃ちかかれ。バルエル・ザルエル・ブラウゼル。フォトンランサー・ファランクスシフト!」

 

無数の金の光弾が暴走体を襲う。そういや、ファランクスシフトって久しぶりに見るなー。

 

「スパークエンド!」

 

最後に集中させた雷の槍が貫き、轟雷を降らせる。

 

「僕も久しぶりに行かせてもらうぞ! スティンガーブレイド・エクスキューションシフト!」

 

クロノが前線で魔法を使うなんて、それこそ闇の書事件ぶりだし、エクスキューションシフトを見るのもジュエルシードの時以来だ。そして、その威力も健在。流石だね。

 

「八雲君の氷結も切れかけてるし、もう一回動きを止めとかなな。彼方より来たれ、やどりぎの枝。銀月の槍となりて、撃ち貫け。石化の槍、ミストルティン!」

 

はやてから放たれた銀の槍は着弾した部分から石化していく。

 

「そろそろ決めるよ! 全力全開、スターライト……」

「雷光一閃! プラズマザンバー……」

「響け! 終焉の笛! ラグナロク……」

「「「ブレイカー!!!」」」

 

三人から放たれる極大の直射砲撃魔法。三人の最大級の砲撃魔法、名付けるならトリプルブレイカーかな?……しかしえげつねえ……。っと、僕も準備をしないとね。

 

「叢雲」

『Mode Release Over Limit』

「この事件、これで終わらせてもらうよ。天光満ところに我はあり。黄泉の門開くところに汝あり。出でよ、神の雷! インディグネイション!」

 

詠唱にある通り、まさに『神の雷』とまで言える巨大な雷が降り注ぐ。そして、起こる爆音と水煙。

……そういや、インディグネイション使ったのも久しぶりだなあ。いつ以来だろ?

あ~……疲れた。トーナメント持つかね?




シリーズ通算四回目(時系列的には三回目)の大魔法祭りをお送りしました。

ちなみに一回目がジュエルシード最後の暴走体
(バインド→タイダルウェイブ→ディバインバスター→サンダースマッシャー→スティンガーブレイド・エクスキューションシフト→フォトンランサー・ファランクスシフト→スターライトブレイカー→インディグネイション)

二回目がナハトヴァール
(ユーノ&アルフ&ザフィーラ→なのは&ヴィータ→フェイト&シグナム→ザフィーラ→はやて&リインフォース→八雲&クロノ→なのは&フェイト→八雲&はやて&リインフォース→八雲→アルカンシェル)

三回目が今回

四回目がヴィヴィオの護送中
(八雲&はやて&なのは&フェイトの一斉攻撃)

次回も早めに上げれると思います。
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