人の未来は光の中に(アムロ ジュドー ロンド・ベルinコズミック・イラ ルナマリアを添えて~   作:アママサ二次創作

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みなさん凄い予想してくれてたので書いてたの出したくなった。
連投ごめんなさい



第9話 未来より思いとともに

 なにもない空間に存在する暖かな緑色の光。オーロラではない。月面ではオーロラは存在しないというのもあるが、何よりそれは、オーロラのような薄い光の膜ではなく、光の粒そのものが空間から溢れ出しているような光景だった。

 

「あれは……」

「アクシズ……なのか……」

 

 一度見た光景と類似したそれに、アムロとブライトは呆然とした様子で呟く。それを聞きとがめた基地司令が、ブライトに説明を求める。

 

「はっ、あの光は、地球に落下するアクシズを止めた際に出現した光と非常に似ています」

「見た目が、か?」

「はっ。詳しいことは何もわかっていません」

 

 そう2人が問答している間にも、光の中から巨大な構造物が。そしてそれに付随するように2隻の艦艇が出現する。

 

「艦艇の照合急げ!」

「MS隊の発進準備急げ!」

 

 司令が指示を出す一方で、ブライトも通信でロンド・ベル隊に司令を出す。

 

「司令、有事のためにMS隊を発進させてよろしいですか?」

「……発進させてよいが距離をおいて手を出させるな。先にこちらから呼びかける」

「了解しました。MS隊発進後は距離をとって監視を行え! 発砲は厳に禁ずる!」

「識別コード確認! ロンド・ベル隊所属のネェル・アーガマと地球軌道艦隊旗艦ゼネラル・レビルという艦艇のようです! ゼネラル・レビルはデータベースにありません!」

 

 識別コードから連邦の艦であることがわかったにも関わらず、連邦のデータベースにはそのような艦は存在しない。また地球軌道艦隊の旗艦として新型艦が就航したなどという話は聞かない。

 

 ロンド・ベル隊所属のネェル・アーガマと照合されたが、ロンド・ベル隊は現在ラー・カイラムとクラップ級数隻のみで構成されており、ネェル・アーガマは所属していない。

 

 2隻の艦艇が寄り添うようにしているのは、艦艇と比べても遥かに巨大な人工物らしき塊。

 

 その全てが異常で、室内の時がピタリと止まる。それを動かしたのは、一本の通信だった。

 

「ゼネラル・レビル並びにネェル・アーガマより通信!」

「つなげ!」

 

 司令が叫ぶと同時に大型モニターが分割され、光から抜け出した巨大な構造物と2隻の艦艇の隣に2枚のウィンドウが開き、それぞれに2人の人物が映し出される。

 

『お初にお目にかかります。ロンド・ベル隊所属ネェル・アーガマ艦長、オットー・ミタス大佐であります』

『ドゴス・ギア級2番艦ゼネラル・レビル艦長マセキ・ダンバエフ大佐であります』

 

 2人の名乗りに対し、その場でも最も答えるのに相応しいカリス中将が答える。

 

「フォン・ブラウン基地司令カリス・マグダネル中将だ。貴官らの突然の来訪に驚いている……と言いたいところだが、そちらも驚いているのであろうな」

 

 その質問に、より冷静なマセキ大佐が答えた。

 

『はっ。恥ずかしながらゼネラル・レビル、ネェル・アーガマともに現状を把握出来ている者はおりません。作戦行動中に突如謎の光に包まれ各基地、コロニー、艦隊のいずれとも連絡が取れず、戦闘下にあったネェル・アーガマと一時停戦した直後に光から押し出されてここに至ります。戦闘による負傷者がゼネラル・レビル、ネェル・アーガマともに多数いるためフォン・ブラウン基地への入港を要請します』

 

「……貴官らのおかれた状況は理解した。ひとまず状況の説明のためにこちらに来てもらいたいが、こちらから見る限り両艦ともかなりの損傷が見受けられる。艦の損傷はどうか」

 

『ゼネラル・レビルは戦闘によってかなりの被害を受けています。艦稼働率は70%以下。今すぐ沈むということは無いが、これ以上の戦闘行動は不可能です』

『ネェル・アーガマも同様です。こちらはカタパルトも複数破損しています』

 

 それを聞いたカリスが、アナハイムの代表であるアルマスに目を向ける。その意図を察したアルマスは頷き、カリスの望む言葉を口にする。

 

「ゼネラル・レビル、並びにネェル・アーガマは負傷者を基地で降ろしたらアナハイムのドックに入ってくれ。すぐに修理を開始させる」

「中将、負傷者の受け入れはともかく修理を行うのはいかがなものか。まだどれだけの物資がフォン・ブラウンにあるかの確認も出来ていないだろう」

「新しく建造するわけではない。使える戦艦を使えるようにしておかねばいざというときに困る。ルナマリア・ホークの話を聞く限り、いずれの勢力もこちらに攻撃をしかけてくる可能性がある」

 

 出来得る限りの備えをする。それがフォン・ブラウン基地司令であるカリスのやり方であった。その生真面目さが疎まれて地球から月に移動させられたものの、その後彼は基地及び駐留艦隊で頻繁に模擬戦や演習を行わせ、来る時に備えていた。月面第一の都市であるフォン・ブラウンは、ティターンズであれアクシズであれ、何らかの勢力を持つものには必ず狙われてきたのだ。

 

「……軍備に関することは中将にお任せしよう。ただしこちらにも話は通していただきたい」

「私は現在を非常事態であると心得ている。ここに他の地球連邦軍はおらず、都市、議会もない。であれば、フォン・ブラウン市長並びに市議会が文民となり、我らが軍の最高機関となると先刻も述べた通りだ」

 

 フォン・ブラウン市長がそれにうなずいたのを確認して、カリスはモニターへ向き直った。

 

「両艦とも指示通りに行動してもらいたい」

 

 続けてカリスが2隻の上空に存在する巨大な物体について尋ねる。

 

『それについては私が説明します。あれはメガラニカ。民間で建造された巨大要塞であり、軍の所有物ではありません。本艦はロンド・ベル隊司令ブライト・ノア大佐に与えられた任務の過程でメガラニカを防衛しました』

 

 オットーの後方から『司令!』と正直に報告したオットーに咎めるような声がかかるが、彼にそれを気にする様子はない。

 

「民間の要塞だと! ……失礼。今はそんなことを言っている場合ではないな」

 

 駐留艦隊の司令代行は『民間の』巨大要塞という、明らかに法に反した存在に声を荒げそうになるが自制する。続けて中将に意見を具申した。

 

「中将。我々はメガラニカとやらを掌握すべきだと考えます」

「……民間の要塞だ。どれほどの出来か不明だぞ」

「ですが、我々の世界から来たものであれば我々のアドバンテージとなる技術やデータが残っている可能性があります。あれほどの規模のものなら破壊するより確保したほうが有用でしょう」

 

 その言葉にカリスが少し考え込んだところで、モニターの向こうのオットーが口を開く。

 

『中将。本艦はブライト司令の命令の元、連邦軍本部の意向に反する形で行動しております。またその過程で民間人並びに『袖付き』の協力を得ており、本艦とメガラニカには彼らがいます。寛大な処置をお願いしたい。そうでない場合には本艦も彼らと運命を共にする覚悟があります』

『オットー大佐!』

 

 軍属としては考えられないオットーの言葉に、マセキ大佐が叱責の声を上げる。それを聞いたカリスはブライトの方に話を振った。彼の腹づもりは決まっている。自分たち地球連邦軍の任務は地球連邦に所属する人々や都市を守ることだ。本来ならばそれを実行するためにも厳しい軍規が求められるものだが、今は軍規を理由に処罰を行っても人員の補給はない。直接的に悪事を働いたわけではないのであれば、保留すべきである。

 

「と言っているようだが。ブライト大佐。君が指示を出したのか?」

 

 そう言われて手招きされたブライトが、アナハイムの人員と話していた部屋の隅からモニターに映る位置まで移動する。

 

『ブ、ブライト司令!?』

 

 冷静に、そして覚悟を持って話していたオットーだが、ここにブライトが居ることには目を向いて驚愕の表情を見せる。

 

「本官はそのような指示を出しておりません。またロンド・ベル隊に配備されていたのはクラップ級4隻にラー・カイラムのみであり、ネェル・アーガマは現在ロンド・ベルの指揮下にありません」

『なっ……!』

 

 自分たちを見捨てるようなブライトの言いようにオットーは驚愕する。彼の上官はそのような事を、部下を切り捨てるようなことをするような人物だと思っていなかったのだ。だが、ブライトは続ける。

 

「彼らは我々とは異なる世界、あるいは、未来からここに来ている可能性があります」

「ほう?」

 

 カリスが興味深げな声を漏らす一方で、部屋の他の者からは信じられないという言葉が聞こえてくる。ジュドーが過去から来ているという話を聞いて、自分たちが一番時代的に新しいと考えていた。だが、それずらも違うとしたら。

 

 ブライトの目配せを受けて、先程まで彼と話し込んでいたオクトバーが説明を始める。

 

「現在ネェル・アーガマですが、ここフォン・ブラウンの我が社のドックにおいて改修作業が行われています。同艦は0090以降ずっとフォン・ブラウン工場が保管していました。先程確認しましたが、現在もちゃんとドックに収まっています。またドゴス・ギア級2番艦ゼネラル・レビルについてですが……現在は設計が完了した段階で、まだ建造は始まっていません。2週間前のアナハイム内の会議で確認されています。建造自体は月面のアナハイムで行われることになっていますが、例え始まっていたとしてもあの規模の艦艇が2週間で完成するなどありえません」

 

 オクトバーの説明に、モニターの向こうから叫び声が上がる。

 

『どういうことだ!』

『これは、何かの冗談ですか?』

 

 それぞれに怒気を吐き出しながら問いかける2人の艦長にカリスは静かに問いかける。

 

「冗談でもふざけてもいない。これが我々の置かれた状況だ。ときに、君たちは今が何年だと捉えている?」

『は? ……宇宙世紀0096年でありますが』

 

 その言葉にカリスは、そうか、と頷く。

 

「こちらに居るもののほとんどは宇宙世紀0093年だと認識している。また今の所1名だけだが、0088年だと言うものもいる」

『は……?』

「我々の中には『袖付き』なる組織について知っているものはいない。直近の脅威であったシャア・アズナブル率いるネオ・ジオンがロンド・ベル隊によって打ち破られたばかりだ」

『何を……おっしゃっているのか……』

 

 2名の艦長は呆然とした様子で問いかける。

 

「オットー大佐の言い様、何らかの重要人物がいるからなのだろうが、今はそれどころではないのだ。それを説明し今後について相談するためにも、両名にはこちらに来てもらいたい。少なくとも我々の世界に戻れない限りは、過度な処罰を行わないことは約束する。便所掃除ぐらいは建前上行ってもらうがな。またメガラニカはこちらから部隊を送って防衛、掌握を行わせる。今すぐこちらに向かって落ちてくる心配はないのだな?」

『メ、メガラニカは巨大要塞ではありますが超大型エンジンを備えた移動要塞です。掌握できているのであれば、落ちる心配は無いでしょう』

「そうか」

 

 一言うなずいたカリスは、室内の諸将に鋭い目を向ける。その目つきに、それぞれが姿勢を正す。

 

「キーン大佐、すぐに月軌道艦隊からメガラニカに防衛隊をあげよ。最低でも艦艇2隻、MSは20以上だ。シナプス大佐、フォン・ブラウン駐留艦隊並びに基地の兵力からメガラニカ掌握のための部隊を編成せよ。あの規模の要塞だ。設備の確認のためにも1000人以上を動かせ。ブライト大佐、ロンド・ベル隊の現状の戦力を至急まとめよ。実戦においては貴艦隊が先導する必要がある」

「「「はっ!」」」

「会議は一時休会とする。よろしいか?」

 

 指示を受けたキーン、シナプス、ブライトの3名が室内の通信設備を使って行動し始める。カリスの確認に、フォン・ブラウン側も頷くしか無い。

 

「今回の件に関して報道を行ってもよろしいか? 情報統制を行っているものの市民も不安に感じてきている」

「……果たしてすべてを説明したところで、民衆の不安は打ち払えるのか?」

「いずれ説明せざるを得ないだろう。我々が何らかの現象によって異世界に来てしまっていること、物資や防衛戦力は十分であること、今後の具体的な指針はまだ協議中であること、すでに攻撃を受けたものの撃退していること、軍が万が一の事態のために市の防備を固めていること、こちらの世界にいるのも人間であることを説明したい」

「根拠はどう提示されるつもりか」

「フォン・ブラウン以外の全ての基地、都市、コロニーと連絡が一切できないことを説明、市民にも実践することを求めた上で、月から地球の望遠映像を示す。ロンド・ベルからの話が正しければ、オーストラリア大陸が一年戦争以前の形状なのだろう?」

 

 説明が出来ていなければ、有事の際に説明を信じられない市民が暴動を起こしたり議会の指示に従わない可能性がある。それよりは、明らかにできる部分、現在が異常事態であると理解できる部分、安心できる部分を説明した上で理解を求めたほうが良い。例え現在の市民にバレている異変をごまかすことが出来たところで、異変の解決の目処は立っていないのだ。

 

「……了解した。その中で、兵役経験者には志願兵として受け入れる用意がある事を伝えてくれ。具体的な受け入れはまだ後になるが、この非常事態において軍備を整えるのは危急の課題であり、希望するのであれば準備をしておいてもらいたい、と」

「……それを述べれば、市民の不安を煽ることになりかねない」

「その代わり物資の確認を急いだ上で、食料や日常品の供給を減らさないように心がければいい。いずれにしろ現状を説明した時点で不安は免れまい」

「……市の警察組織の代表者もここに参加させ、市内の保安に務めさせよう」

 

 一時休会となったため、報道の手配をするためにフォン・ブラウン市側の者が何人か部屋から走り出していくが、市長は残ったままだ。今、この会議室がフォン・ブラウンを守る最前線となっているのを理解しているのだ。

 

「フォン・ブラウン市内にいる全ての連邦兵に対して緊急招集を発令しろ! 受け入れ体勢も整備する!」

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