人の未来は光の中に(アムロ ジュドー ロンド・ベルinコズミック・イラ ルナマリアを添えて~   作:アママサ二次創作

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第10話 歪み

「ルナマリア、シミュレーションを始めるぞ。ジュドー……いや、すまない。ウラキ少佐! シミュレーターの相手をお願いできるか!」

 

 アムロに声をかけられ、ラー・カイラムのシミュレータールームを珍しそうに見学していたコウ・ウラキ少佐が近づいてくる。

 

「別に良いけど……アムロが相手しないのか?」

「俺は外から見ながらアドバイスすることにするよ。適当にもんでやってくれ」

 

 それを聞いたコウは、首を傾げながらもシミュレーターに潜り込んでいった。すでに彼も、ルナマリアも、そしてアムロもジュドーもここにいる他のパイロットたちもパイロットスーツに着替えている。それが今の彼らの任務だからだ。

 

 

******

 

 

 時は12時間ほど遡る。

 

 会議中に突如として出現した異なる時代からの来訪者によって、連邦軍、フォン・ブラウン双方の上層部による会議は一時休会となった。

 

 その際退出させるという話も有耶無耶となって手持ち無沙汰になっていたジュドーとルナマリア、そして早速νガンダムの改修案に目を通していたアムロに、中将らと話していたブライトが声をかけてくる。

 

「アムロ、ジュドーとルナマリア君を連れてラー・カイラムに戻ってくれ」

「なんだ、俺を連れてきたのはおもりか?」

「だいたいはな。アクシズの光について突っ込まれたときにはお前に話してもらおうと思っていたが……流石にこれ以上は2人もしんどいだろう。特にジュドーは待機続きだ。一度休ませてやれ」

「了解しました。これよりアムロ・レイ、ルナマリア・ホーク、ジュドー・アーシタ休息に入ります」

 

 ぴしりと、アムロがブライトに向かって敬礼をする。

 

「ああ、それとロンド・ベル隊にパイロットが補充されることになった。ラー・カイラムに2名、ラー・キェムとラー・ザイム、ラー・エルムにそれぞれ1名ずつだ。臨時の処置だがな。恐らくネェル・アーガマとゼネラル・レビルを加えて再編成することになるだろうが、それまでの急場しのぎだ。休息を終えた後、隊のパイロットを集めてシミュレーションで練度を高めてくれ」

「練度、でありますか?」

「ああ。ジュドー、ルナマリア君も含めてな。現在の連邦の戦力においてまともに戦闘を経験しているのはロンド・ベル隊だけだ。有事の際には動けるようにしろ」

「はっ」

「それとルナマリア君には専用の端末を持たせるように。何かあった場合にはアドバイスをもらいたい」

 

 ブライトの命令を受諾したアムロは、ルナマリア専用に設定された端末を彼から受け取る。ブライトの提案によって、通信と映像の表示能力以外を排除した端末を急遽基地の備品から作ったものだ。何らかの外部からのアプローチがあった場合、その組織または戦力などに関するアドバイスを受けることが出来れば、現在のフォン・ブラウンにとってこれほどありがたいことはない。

 

「ブライト司令」

「何か」

 

 アムロとブライトの会話が終わった所で、ルナマリアがブライトに話しかける。

 

「捕虜のアスラン・ザラのことなんですが……」

「どうした」

「私に、彼と話させてもらえないでしょうか」

「ルナマリア……」

 

 ルナマリアの真剣な表情に、アムロは思わず声をかける。

 

「……わかった。休息、訓練が一段落したあとでだがな。それまでに手配しておく。それとルナマリア君。私が艦に戻った後には、先程の戦闘中の会話について君と話したいことがある。アムロも艦に戻ったら通信記録を聞いておいてくれ」

「……了解した」

「わかりました」

 

 ルナマリアは、ブライトの言葉からアスランとの関係について根掘り葉掘り聞かれるのではないかと考えていたが、実際の所ブライトが考えていたのは違った。ただ、彼女の言った内容について、いくつか指摘したいことがあったのだ。

 そしてアムロにも、ブライトがしようとしていることがなんとなくわかった。彼はブライトのようにルナマリアとアスランの言い合いを聞いていたわけではないが、彼女が何か、迷いを抱えているのを感じていた。

 

 

******

 

 

「あの、アムロ大尉」

 

 コウがシミュレーターに乗り込んだ一方で、ルナマリアはアムロに声をかける。

 

「ん、なんだ」

「あの、通信記録のことなんですけど……」

 

 躊躇いがちに言うルナマリアに、アムロは苦笑する。

 

「ああ、俺も聞いたよ」

「……何も、聞かないんですか?」

「ん、艦長がしたいのは事情聴取じゃないと思うぞ。お節介というか忠告というか、まあ、単純に君に大人として話したかったんだろ。あいつは」

 

 自分、ホワイトベース隊の仲間、カミーユ、ファ、ジュドー、ジュドーのジャンク屋仲間たち――。

 ブライトは、あまりにも多くの若者と戦場で関わってきた。だからこそ、ルナマリアに伝えたい、話したいことがあるのだろう。子供は大人が手取り足取り導いていくものではない。だが、その視野が狭くなっているなら広げるのが大人の役目だ。

 

「お節介……、ですか?」

「詳しいことはわからないけどな。そういう話をするのは艦長の方が得意だ。だから俺は口を出さないようにするさ。シミュレーターを始めるぞ。何か悩みがあるのなら、訓練の後に聞こう」

「は、はい」

 

 アムロにうまくはぐらかされルナマリアは、今はシミュレーターに真剣に取り組むことにした。アムロは対戦相手のパイロットに相手をしてやれ、と言っていたが、すぐに倒してやる。そんな負けん気を感じ、アムロは苦笑した。

 

「ジュドー准尉、キース大尉、そちらもシミュレーターで模擬戦を行ってくれ。俺が外から確認する」

 

 残りの配属されたパイロット、といっても実際はラー・カイラムに収容されていた第8艦隊から来たジェガンのパイロットたち、すなわちユウ・カジマ大佐の部下達であったが、彼らは現在それぞれの母艦となるクラップ級で諸処の確認や整備士との打ち合わせを行っている。

 

「ルナマリア、聞こえるか?」

『はい』

「戦闘エリアには暗礁宙域、つまりデブリ帯を設定する。ルナマリアには、それがこの世界のデブリ帯に近いかどうか確認してほしい」

『わ、わかりました』

 

 この世界のデブリ帯は、その来歴が自分たちの世界のものと違うのであれば、全く異なる環境である可能性がある。そう考えてのことだ。実際はこの世界でも数年前から機動兵器と宇宙艦艇を利用した戦闘は大規模に行われていたので、環境がそれほど変わるものでもなかった。

 

 

******

 

 

「ウラキ少佐、もっと機体を振り回してくれ。加減はしなくていい」

 

 アムロがルナマリアとコウの戦闘を見ながら指示すると、デブリを盾にしながら堅実に立ち回っていたコウのジェガンの動きが変わる。デブリの隙間を滑るように飛び、時に邪魔なデブリを切り裂いたり踏み台にしたりして縦横無尽に飛び回る。もともとコウの得意分野としては、こちらの方が近いのだ。

 オールドタイプであるコウは、経験によって相手の攻撃を予測することができるとは言えアムロやジュドーのように攻撃の一つ一つを紙一重で躱すことは得意としていない。そういう戦い方でもかなり戦えるのだが、彼はそういう不利を補うために、自ら動くことで相手に的を絞らせないような戦い方をするのだ。

 

 それがルナマリアを翻弄していた。

 

「ルナマリア、足を止めるな!」

「はっ、はい!」

 

 アムロに叱咤されて咄嗟にスラスターを吹かしたルナマリアのジェガンの足元を、ビームが走る。咄嗟にそちらに目をやるルナマリアだが、すでにそこに敵はおらず、後ろからアラートが鳴り響く。

 慌てて機体を振り向けるものの、コウが振り抜いたサーベルによってライフルごと右腕を持っていかれた。

 

 ダメージに体勢を崩しながらも距離を取るルナマリアだが、ライフルの無い相手に思い切りよく詰めたコウによってあえなく撃墜されてしまった。

 

「二人共お疲れ様。少し休憩にしよう。ジュドー、キース大尉、そちらも終わり次第休憩がてら反省会だ。隣の休憩室に来てくれ」

 

 まだシミュレーション真っ最中の2人に指示を出し、3人はシミュレータールームを出る。それぞれのペアで数戦模擬戦を行う中で、アムロがそれぞれを交互に観察し、問題点を探し出していた。

 

「ルナマリア、ウラキ少佐と戦ってどう感じた?」

 

 廊下を歩きながらアムロは、ルナマリアにそう少し意地の悪い質問をする。

 

「とても、強かったです」

「そうか。彼は君たちの言うところのナチュラルだぞ?」

「ッ! それは……」

 

 ルナマリアは、アムロの指摘に愕然とした表情になる。アムロ達が異世界から来たという話を聞いてすっかり頭から抜けていたが、彼らの世界にはコーディネーターという概念は無い。ということは彼らはナチュラルなのである。

 

 アムロがこの話をしたのには理由があった。ルナマリアの説明の際の話から、彼女の無意識にもまたナチュラルへの優越感があることを感じていたのだ。それは、戦場では彼女を殺し得る。また私的な感情に関わるつもりはないが、人種に基づく優位思想などあまりよろしいものであるはずがなかった。

 

「ナチュラル、ってなんだ? アムロ」

「そのうち上層部から発表があるさ。ルナマリア、戦場ではその侮りは命取りになりうる。個人的な思想にケチをつけるつもりはないが、戦場では忘れるんだ」

「……わかりました」

「ん、じゃあ反省会だ」

 

 アムロ達が話していると、シミュレーターを終えたジュドーとキースも合流してきた。

 

「さて、それじゃあ見ていて感じたことを一人ずつ言っておこうと思う。まずは――」

 

 ルナマリアには、個々の動きではなく戦闘全体の動きへの気配りや、突然の事態への心構えなど、様々な点について指摘。

 コウはアムロの目から見てもあまりつつけるところが無い。強いて言うならばスラスターを自分よりもよく吹かしているため消耗が激しいところだが、ニュータイプである自分はまだしもオールドタイプであるコウは攻撃の意思が来るのを見て避けるといった、ある種曲芸じみた戦い方は出来ない。彼の戦い方は、少し攻めに偏るきらいがあるものの模範と言えた。

 ジュドーは今回Zではなくジェガンを使ってもらったが、その差に振り回されないようジェガンのスペックを頭に入れておくことを指摘。現在はホワイトゼータが彼の乗機でありジェガンに乗るかはわからないものの、機体のことや武器のことを頭に入れる癖はつけておいて損はない。またニュータイプ能力に頼りすぎないように指摘した。

 キースはコウほどではないものの操縦技術に卓越している。またコウが攻撃を得意とするのに対し、堅実に、あるいはカウンター気味に戦闘を行うのが得意なようだ。そのためかジュドーも相当攻めあぐねていたようだ。一方で彼自身もニュータイプ能力で攻撃のタイミングを先読みしているジュドー相手に決定打を放てておらず、2人のシミュレーターが長引いた原因ともなった。

 

「以上だ。何か質問は?」

「アムロさん、ニュータイプ能力に頼らない、ってどうやれば良いんだ?」

「相手の動きをよく見れば良い。相手がライフルを向けようと姿勢を整えているのか、自分の攻撃を避けようと身構えているのか、サーベルを使おうとしているのか。それだけじゃなく自分の機体が相手にどう見えているか、周囲の状況はどうか、などだな。相手の動きを推測するのは何もニュータイプ能力だけじゃない。後は経験するしかないな。相手と自分の距離、位置関係などで相手の取る行動は限られてくる。あるいは、自分からの攻撃で制限できる。ニュータイプ能力に頼った戦い方は、ある意味本能的な、受け身の戦いなんだ」

「ふーん? 良くわかんないけど、アムロさんもそれをやってるのか?」

 

 話を聞いての正直なジュドーの感想に、アムロは苦笑しながら答える。

 

「俺も心がけてるよ。最も、そういうのはウラキ少佐やキース大尉の方が得意かもしれないけどな。ウラキ少佐。後でジュドーのシミュレーターを見てやってくれるか?」

「了解。アムロは感覚で動くもんな」

「茶化すなよ。さて、他には?」

 

 他に質問は出なかった。コウやキースは、アムロに指摘されたことは理解できているのだ。とくにキースは、自分がウラキほど敵を撃墜することに長けているとは思っていない。それはきっと、ただ射撃の腕で正確に敵に当てるだけでなく、アムロが言っているように相手の行動を先読み、あるいは攻撃で制限してから当てに行くという事をしなければならないのだ。

 とはいえ、彼の腕も間違いなくエース級なのである。ただ相手がジュドーであったと言うだけで。シミュレーターである場合、アムロやジュドーのように戦闘にニュータイプ能力を活用する者は、実機を使った模擬戦や実戦と比べて能力を制限される。なぜなら、敵意の来る方向がシミュレーターでは変わらないからだ。だが、敵意を感じられる以上攻撃が来るということはわかる。その瞬間に何らかのアクションを起こせば、敵の攻撃を躱せるのだ。

 

「ではこれより休憩に入る。ウラキ少佐、キース大尉、ジュドー准尉は13:30より再度シミュレーターを実施せよ。内容はウラキ少佐に任せる。俺とルナマリアは別の用事がある。隊の他のパイロットにも声をかけておくから、もし来た場合には一緒にやってくれ。解散!」

 

 互いに敬礼をすると、ジュドー、キース、コウの3人は連れ立って部屋を出ていった。ジュドーはルナマリアの方を気にしていた様子だが、声をかけることはなかった。

 

「大尉も無茶な事言うよなー。相手の動きを読めなんてさ」

「言っていることはわかったんだろ? アムロは前からあんな感じだよ」

「そうだけどさ……な、ジュドー」

「アムロさんはやってるんだろうけど、やれって言われて出来……」

 

 仲良く話しながら出ていった3人の声は、扉の閉まる音に遮られて消えた。

 

「アムロ大尉」

「何だ」

 

 部屋に残っていたルナマリアに、アムロは視線を向ける。

 

「あの、お話、よろしいですか?」

「……ああ。ここで話すのもなんだし場所を変えようか」

 

 

******

 

 

 ルナマリアが話があるということで、実質それが悩みの相談、それも先程言ったことに関わることだろうと辺りをつけたアムロは、彼女と一緒に展望デッキにやってきた。ここは普段休憩時に艦の乗組員やパイロットが休憩しに来る場所だが、今は時間が昼なこともあって2人の他に人はいなかった。

 

「さっきの話なんですけど……自分でもよくわからないんです」

「何が、よくわからないんだ?」

「なんで、そんな風に考えているか、っていうか……」

 

 ルナマリア自身、特段ナチュラルを見下して自分たちの方が優れているのだと積極的に主張したりするつもりはない。ただ、戦闘の時などにふと思うことはあるのだ。

 『ナチュラルなんかに負けるはずがない』、と。

 

 自分でもなぜかはわからないが、ふとそういう思いが心に浮かぶ。

 ルナマリアがそれを説明すると、アムロは少し考え込んだ後に話し始める。

 

「例えば、の話だが。君が、頭の良い人ばかりが集まる学校に行っていたとする。学校は全寮制で、そこから外に出ることはない。学校の中で物も買えるので、当然入学してから卒業するまでずっと学校にいることになる。そしてその学校では、こんなことを教えられる。『この学校にいるみんなは頭がいい。でも、学校の外にいるのは馬鹿ばかりだ』。さて、この学校を卒業する時、学校の外の人を君はどう思っていると思う?」

「どう、って……学校の外の人は馬鹿ばかり、ですか? でも……」

 

 学校で教えられただけでそんな風に考えが凝り固まるとは思えない、とはルナマリアは言えなかった。実際に自分や、他のプラントのコーディネーターがそうであることに気づいてしまったから。

 

「環境というのは、特に人的環境というのはとても人に大きな影響を及ぼす。人はその環境を当然のものだと思いこむ。特に子供は、そういうものに影響されやすいんだ。ある意味では、君のいたプラントというのは、巨大な洗脳施設、とでも言えるかも知れないな」

「そんな……」

「もちろんプラントの偉い人はそんなことを意図してないだろうさ。だが、多分そういう考え方をする人ばかりが集まったんだろうな。君の話を聞く限りでは」

 

 何も洗脳を意図したものではなくても、同じ思想を持った人たちが集団を形成することはよくある。そしてその集団の中に、確かな自分の意思、決意を持たない子供が入り込めば、そこに染まるのに時間はかからないだろう。

 

「ある意味では、君のその考えはプラントでは当然の考えと言えるのだろうな。だが、自分で考えてみることだ」

「……アムロ大尉は……」

「ん?」

「大尉は、どう、思うんですか? 私の話を聞いて」

 

 まだ自分でずっと考えたりしたわけではない。だが、わかる気がしない。ナチュラルがその性能においてコーディネーターに劣っているのは当然のことなのだ。コーディネーターとはそういう人間なのだ。

 

「俺か? そうだな。……正直に言えば、くだらない話だと思う」

「くだらない、ですか?」

「ああ。後は、随分と複雑に話がなったものだな、とも思うな」

 

 一息ついたアムロは、自分の感じたことを、宇宙世紀での出来事を交えながら話す。

 

「まあ、そうだな。……例えば、コーディネーターが今のように集団で存在するのではなく、普通に村の中に一人存在した時、そのコーディネーターは周りにとってどう見えると思う?」

「……わかりません」

「考えてみろ。その人は周りと比べるとどんな人だ?」

「多分、優れた人だと思います」

「ん、まあ優れたというよりは、能力が高い、というとこだろうがな。人格の形成は恐らくコーディネーターもナチュラルも関係ないんだろう。どっちにも馬鹿なことをするやつはいるみたいだからな。それはさておき、その能力が高い人だが……普通、果たしてその人がナチュラルか、コーディネーターなんて考えるか? この世界のようにコーディネーターの存在が認知されていないとして、だ」

「それは……多分、凄い人がいるな、ってみんな思うってことですか?」

「まあ似たようなものだが……」

 

 そう言ってアムロは頭をかく。彼は自分の考えていることをうまく表現するのは苦手だ。そういうのはブライトのすることだとも思っている。

 

「最初から、ナチュラルやコーディネーターなんてものが出てくる前から、他の人より何かしらの点で秀でた人間なんてたくさんいたと思う。けどコーディネーターが出現して初めて、それを『普通の人間よりすごい人』という扱いで区別し始めた。だから『すごい人』の側は自分たちが『すごい』なんて思ってるし、すごくない人の側は自分たちより凄い人が許せないんだ」

「確かに……そう言われたらわかる気もしますけど……」

 

 そんな理由でナチュラルとコーディネーターの争いがこんなに激化するとは思えない。それは、嫉妬とか、優越感とか、そういうレベルでの話だからだ。

 

「だから複雑なことになってると言ったんだ。コーディネーターなんて名前をつけて一般に方法が普及した時点で仕方ないかも知れないが、そういう風に名前をつけずにこっそり社会に溶け込むだけだったらこれほど大問題にはならなかっただろうな。それと、ルナマリア」

「……はい」

「人間は、愚かな生き物だよ。争いを生むのに理由なんてなんでも良いんだ。俺たちの世界じゃあ、宇宙で生活する人間をスペースノイド、地球で生活する人間をアースノイドなんていって、互いが互いを見下して戦争をやった。ただ住む場所が違う、というだけでな」

 

 もちろんジオン公国と連邦政府の戦争には、独立や権益など様々な問題が絡んではいたものの、兵士レベルで互いを蔑む感情があったのはいなめないのだ。

 

「そんなこと、あるんですか?」

「事実だよ。俺も馬鹿げてるとは思うがな。争いが起こる理由についてはそんなところで、だから俺はくだらないと思ってる。だがそんなことで争いを生みながら前に進むのが人間だ。それとコーディネーターの優越感については、君には悪いが馬鹿馬鹿しいと感じた」

 

 アムロは、コーディネーターの優越感を評する言葉として、あえて厳しい言葉を使った。ルナマリアの反発を受ける可能性もあったが、彼女の先入観を叩き潰すにはそれが必要だと感じたのだ。だから悪役になることを決めた。

 

「馬鹿馬鹿しい、ですか?」

「ああ。最初に君と戦ったときの2機のガンダムタイプや、多分あのピンクやハネツキも、コーディネーターが乗っているんだろう?」

「ピンクとハネツキって、ジャスティスとフリーダムのことですよね? アスランはコーディネーターだけどハネツキはわかりません……でもあの強さはそうだと思います」

「コーディネーターがライフルもシールドも無い俺に圧倒されたり、いつもの機体より弱い機体に乗った俺に圧倒されてる時点で、コーディネーターの方が優れているなどと何を言っているのかという話だよ」

「それは……!」

「すまない。厳しいことを言ったな。だが俺の聞いた限りでは、コーディネーターはせいぜい能力の高い人間だ。それが自分の能力によるものならともかく、コーディネーターであるというだけで優越感に浸るなんていうのは、とても優れた人間のやることには思えない。君という人間がパイロットとして優れているのは、コーディネーターがパイロットとして優れてるからじゃない。君が優れているからだ」

 

 そこまで言い切って、アムロはルナマリアの様子を伺う。彼女にとってはおそらく厳しいことを言った。今の話で混乱しているかもしれない。だが、彼女には考えてほしかった。本質がどこにあるのか、ということを。

 

「それに、人間の可能性はそんな弱いものじゃない。君たちが言うところのナチュラルやコーディネーターの中で、自分の到達できる最高点に到達している人間なんて存在しないはずだ。そういう意味で言えば、何もしていないコーディネーターは、鍛えたナチュラルに劣る。スタート地点と限界に差があるだけで、それが直接差につながるものじゃないさ」

「可能性……」

 

 人がニュータイプにならなければ地球が沈むと言ったのは、シャア・アズナブルだ。だが、アムロはそうは思わない。例えニュータイプにならなくても、人間は、その心は、力は、成長の余地を多分に残している。シャアの言うように言えば、それは人間の叡智であるとも言える。そこに到達するのはナチュラルでもコーディネーターでも至難の技で、恐らくたどり着ける人間などおらず、どころか半ばまで努力できる人間もそうはいない。

 

「さて、俺たちも休憩にしよう。一緒に食事でもどうだ?」

「あ、はい。でも」

「あのジャスティスとやらに乗っていた捕虜に会うんだろう? それまで俺が君の付添い人だから一緒に食べてくれると嬉しい」

「わ、わかりました」

 

 彼女が今後もロンド・ベル隊と一緒に行動するかはわからないし、何より彼女の決断次第では出ていく可能性もある。だが、少なくとも今はアムロに預けられた。だからできる限りの関係を築いておきたいのだ。




ナチュラルとコーディネーターの関係について思うこと

これは個人的にSEEDを見て考えて思ったことなのですが。
『あまり人類をなめるんじゃねえ』

何故コーディネーターになったというだけで勝ったつもりでいるんでしょうか。あるいはナチュラルというだけで負けたつもりでいるんでしょうか。

人間は、レベル1からスタートします。そしてレベル99で限界を迎えます。
そんな中コーディネーターはレベル10からスタートして、経験値も倍の速度で稼ぎ、限界はレベル200です。

だからナチュラルはコーディネーターに勝てない。

それはあまりにも傲慢でしょう。いつ君たちが限界に到達したんですか。

人間なんてせいぜいがレベル20とか30までしか努力出来ない存在で、絶え間なく人生を極めれる人間でも60ぐらいが良いところでしょう。コーディネーターだろうがナチュラルだろうが限界に届くことなど到底出来ないというのに、限界値で競っているのは非常に馬鹿らしく思えます。
ましてや傲慢さの塊であるコーディネーターは自己の限界を極めようとすらしませんし、傲慢にも自分の限界を知った振りでいるナチュラルは限界に挑むことすらしません。

その程度で可能性を語らないでくれ。人間にはコンピューターの答え合わせを自力でする天才や、何のルールも見えなかったところにルールを導き出したような天才たちが山程いるんだ。それを……

と、あまり思うままを書いても仕方がないのでこの辺りにしておきます。
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