人の未来は光の中に(アムロ ジュドー ロンド・ベルinコズミック・イラ ルナマリアを添えて~ 作:アママサ二次創作
食事をしながら、アムロはルナマリアと様々な話をした。以前話した内容よりもっと踏み込んだこの世界の歴史や、アムロ達の辿った世界の歴史。そして戦闘技術の話し。ブライトの指示によってこちら側の歴史の中でも戦略的、戦術的な話はしていないが、それでもルナマリアには十分衝撃的なものであったようだ。
またルナマリアの話から、この世界の戦争がアムロ達の考えている戦場とはまた違って異常であることがわかった。
『戦争とは他の手段をもってする政治の継続である』とは、かつての軍事学者クラウゼヴィッツの言葉ではあるが、アムロの世界の戦争では常にこれが戦争の根底にあった。
一年戦争時のコロニー落としやハマーン・カーンによるダブリンへのコロニー落とし、そしてシャア・アズナブルの小惑星落としなど、とんでもない被害を出した作戦はたくさんある。
だがそのいずれも、目的はその被害そのものではなく、その被害によって『敵の戦力を削ぎ目標を認めさせる』ことや、被害のその先にあるものであった。そういう意味ではシャア・アズナブルの行った小惑星落としは、連邦や地球に住む者がどう答えようと行われたという意味では他の2つとは違うものであるかもしれなかったが、それでも目的としたのは被害が出た“先”のことである。例え一般の兵士の間に恨みや憎悪があろうと、戦争そのものの目的はそうではなかったのだ。
だがどうもこの世界の戦争においては、被害を出すことを目的とした勢力が多すぎる。ブルーコスモスの過激派や、プラントのザラ派など、まるで殺すことが戦う目的である。
これでは戦争ではなくただの『殺し合い』だ。
そのこともブライト、ひいては上層部に報告しておかないと行けないとアムロは認識を改めた。
「アムロさんは……」
「ん?」
「アムロさんは、なんで軍に入ったんですか?」
アムロの世界の話を聞いて呆然としていたルナマリアは、混乱した思考の中でふと浮かんだ疑問を口にする。ルナマリアの目の前に座っている彼は、何らかの憎しみに駆られているようにも、戦いを好むようにも、また世界を平和にしてやろうという強い意気込みも感じさせなかった。
聞かれたアムロは、持っていた匙を置く。
「最初は偶然さ。俺が15歳の頃だが、住んでたコロニー、あ、コロニーというのはわかるか? 宇宙空間に月や火星に頼らず完全に人工の構造物を浮かべてその中で人が住めるようにしたものなんだが……」
「プラントと同じものですか?」
「まあ形は違うが、やってることは一緒だ。でそのコロニーなんだが……」
宇宙世紀におけるコロニーとプラントのそれは大きく様子が異なる。より近いものと言えばヘリオポリスなどプラント以外のスペースコロニーが宇宙世紀のものに近いだろうが、どれも規模は小さくまた現在はほとんどが破壊されてしまっている。プラントに所属する砂時計に至っては、全長などは宇宙世紀の円筒形スペースコロニーを凌駕するものの、スペースを無駄にする構造と工業施設という本来の用途のために生活できる人口はスペースコロニーの数十分の一というなんとも言い難いものになっている。
「実はそのコロニーで、さっき言った一年戦争の最中に連邦がMSを開発する計画を進めてたんだ。そしてそこをジオンに狙われた。その時ちょうどMSの近くにいた俺は、必死でMSを動かしてジオンのザクを撃退したんだ」
「え、軍人じゃなかったんですか?」
「初めて戦った時はただの民間人だったよ。けどすぐに任官させられて、そのまま一年戦争を戦った。戦争が終わった後は連邦政府に警戒されて軍を辞めることが出来ないまま軟禁されたのさ。それがようやく終わって、今はこうしてパイロットをやってる」
「警戒、されて軟禁、って、何かやらかしたんですか? でもそれだったら処罰されますよね」
ルナマリアの至極まっとうな問いかけにアムロは苦笑する。彼女は宇宙世紀では周知の事実となったアムロの伝説を知らず、シミュレーターでも先程の戦闘でもアムロの戦いを見ていない。一介のパイロットが何故そんなに警戒されるのかというのは、当たり前の感想だろう。
「そのあたりは他の人にでも聞いてほしいな。あの頃の話はあまり自分からしたいものじゃない……。まあ今パイロットをやってるのは……何故だろうな。自分でもはっきりとはわからない。多分他の生き方がわからないんだろうな。俺は」
更にアムロは、自分がロンド・ベルに来たのはシャアを止めるためであるということも話さない。それは少し話して理解できるようなものではないと思うし、ブライトのような2人の関係を知っている者以外に積極的に話したいものでもない。
「はあ、そうなんですか」
アムロの曖昧な言いように、ルナマリアは少し落胆した様子を見せる。彼にも何か理由があるのだろうが、彼が部隊長であるという事が信じられなかった。彼よりは先程戦ったウラキ少佐の方がよほど適任のように思える。
「さ、そろそろ行こう」
食事を終えたアムロが、食器を手に立ち上がる。
ルナマリアが、アムロ・レイという男を知るのは、少し後のことだ。
******
「アスラン・ザラ。面会だ。出ろ」
艦内の独房に閉じ込められていたアスランは、外からの声に目を覚ます。捕虜となってすぐに簡素な服に着替えさせられ、独房に放り込まれた。手錠は外されているものの足には重りを巻かれているので、暴れた所で逃げようが無い。
大人しく手錠をかけられたアスランが、どんな尋問官が来るかと身構えて待っていると、部屋に軍服を来た女性が一人だけ入ってきた。
「……ルナマリア! なぜ君が連合なんかに!」
入ってきた女性を見てとっさにそう叫びながらも、アスランは彼女の来ている軍服が連合のそれとは違うことに気づく。
「……アスラン……何故裏切ったの?」
机を挟むようにして座ったルナマリアは、アスランの言葉に答えずに彼女が戦闘中にも繰り返した言葉をポツリと呟いた。アスランと話したいと言った彼女だったが、結局心の中はぐちゃぐちゃで、彼女の中で何一つ結論など出ていなかった。ただ、戦闘中ではない今なら、彼の言葉を聞ける気がしたのだ。
「教えて、アスラン……。多分、何を聞いても許せないと思う。あなたはメイリンを連れて行った。でも、聞きたいの……お願い」
そう言われたアスランは、正直に自分の側の事情を話すことにした。もともと、さっきの戦闘中にアスランがルナマリアに言ったことは、裏切ったことの根本的な理由ではないのだ。むしろあれは後付である。
「俺が逃げ出したのがジブラルタル基地からだったのは、覚えているか?」
「ええ」
自分の方を見ながら話すアスランと目を合わせようとせず、ルナマリアは答える。ルナマリアが目を合わせようとしないのは自分でも自分の心を制御できないからなのだが、それを見たアスランは相当嫌われていると考えて少しばかりショックを受けた。だが、たしかに自分がしたのは彼女にとってはそれだけのことなのだ。
「あのときミーアに、ああ、ラクスのふりをしてた彼女に、レイが俺の事を見張ってたと教えられたんだ」
「……え?」
「彼女が言うには、俺のザフトでの行動を撮影した写真をレイと議長が一緒に見ていて、議長が『アスランはもう駄目かもしれない』という内容のことを言っていたらしい。それを聞いた直後に部屋にMPが尋ねてきて、俺は逃げたんだ」
そして自分同様に議長に利用されていたミーアに共に逃げようと言ったものの、ラクスでありたいと言った彼女はそこに留まった。
「その後メイリンの部屋に咄嗟に逃げ込んで、窓から逃げようとしたらメイリンがシャワーを浴びていたふりをして庇ってくれたんだ」
「それって……あのときの……」
アスランの説明を聞いていたルナマリアは、メイリンが脱走する直前に彼女の部屋の前でタオルを巻いた姿でMPに応対していた彼女を咎めたのを思い出す。
「そのあとは……彼女が盗める機体を探すのを手伝ってくれてグフのところまで来てくれたんだがそれをレイに見られて……レイが彼女も俺の味方として撃とうとしたから、彼女を置いていけなくて一緒に逃げたんだ。」
あのときレイはメイリンがいることにも関わらず配慮することなく撃ってきた。そして彼女も反逆者だと。そのことで、レイにとって仲間を傷つけることに躊躇いが無いのだとわかってしまった。
「そんな……レイがそんなこと……」
「俺が議長の行動に疑念を抱いていたのも……フリーダムを撃墜したシンを素直に称賛できなかったのも事実だ。ただ俺には……裏切る度胸は、多分無かった。何より、フリーダムを、キラを撃墜した側の俺がアークエンジェルに受け入れられるとは思っていなかった。言い訳になるだろうが、あそこで議長やレイにあんな行動を取られなければ、俺はまだ悩んだままだったかもしれないな。流石にオーブを討つときには……裏切っていただろうけどな」
議長に、そしてレイに身に覚えのない罪を着せられていなければ、あのまま、シンとの確執を抱えたまま、自分の思いを口に出せないままヘブンズベース攻略戦に参加して……そしてきっと、オーブを討つことには納得できなくて、裏切っていただろう。そういう意味では、いずれ裏切っていたことに変わりはない。
「……なんで……それを私達に言ってくれなかったの? 私達は……私は、仲間じゃなかった……?」
「っ! そんなことはない!」
涙声になりながら問いかけてくるルナマリアに、アスランは咄嗟に叫び声を上げる。自分に対して敵対的なシンや、何かとよくわからなかったレイでも仲間だと思っていたし、ルナマリアは自分の事をよく気にかけてくれた。考えることに頭を悩ませていたとはいえ、彼女を仲間ではないと考えたことなど一度もない。
「あのときの俺は、自分の事を考えるのに精一杯で、それにシンやレイは話を聞いてくれなくて……ラクスが偽物だってことも最初から知ってて、ずっと議長のやり方が正しいのかどうか悩んでて……相談するなんて、考えたこともなかった」
元来アスラン・ザラという人間は、人に相談するというのが苦手である。キラ・ヤマトと戦ってしまったことしかり、父のやり方に疑問をいだいたこと然り。人に相談などせず、自分で解決しようとしてしまう。それが周りに、自分を信用していないのかと疑念を与えてしまうことまで気が回らないのだ。
「……そう……」
アスランの説明を聞いたルナマリアは、大きく息を吐く。今でも、メイリンを連れて行ってしまったことは許せない。裏切ったことよりも許せないのはそちらの方だ。彼女は、妹は、ルナマリアの大切な人間なのだ。
だが、彼の話を聞いて、全ては信用できないものの彼にも理由があったことがわかった。何よりレイがアスランを監視していたというのは、それはそれで、例え任務であったとしても裏切りのように思える。自分たちは、彼のことを無条件で信頼していたというのに。
「……メイリンは、ラクス・クラインの元で戦うことを望んでるの?」
「……それはわからない。今の彼女には、俺達と一緒に来るしか道はないと思うし、だから一緒に戦ってるんだと思う。でも、ラクスや俺たちを嫌っているようには思えない。彼女は、ラクスのファンなんだ」
単純な話、メイリンはラクス・クラインのファンなのだ。そして、偽物よりも本物を選んだ。ただそれだけの話しだろう。あるいは、最初はそのラクス・クラインとミーア・キャンベルの違いを理解していなかったかも知れない。でもあの言いようなら、今もラクス・クラインのことを信じているのだろう。
「……メイリンは、ずっと歌ってたラクスより、後から出てきたラクスを選んだのね……」
「え?」
ぽつりと、思わず呟いたルナマリアの言葉に、アスランは疑問の声を発する。その意図するところがわからなかったからだ。
「……私も、私達の知ってるラクス・クラインが偽物だったってわかって、悩んだの。なんで議長はそんなことをしたのか、本物のラクス・クラインはどこにいるか、って」
「……彼女はずっとオーブで暮らしていた。そこを、ザフトの特殊部隊に襲われたんだ」
「ザフトの? 何でわかったの?」
「新型のアッシュを8機、用意していたらしい。旧型ならともかく、アッシュを用意できるのは正規軍ぐらいだ」
それすらも不明瞭な、推測でしか無いのはアスランにもわかっていた。状況証拠に過ぎない。
ムラサメに攻撃された。だから敵はオーブだ。
そんなものは証拠にならない。
実際アークエンジェルに搭載されていたムラサメ型は、オーブの意思を離れて行動している。
「俺も、本当に議長なのか怪しいとは思ってるよ。でも、俺はもうプラントでは生きていけない」
生きていくには、ザフトを倒すか、議長の専横を止めるしか無い。それがアスランの置かれた状況だ。あるいは地球に隠れ住むことも出来たかも知れないが……出来ることをしないことが出来ないのがアスラン・ザラだ。彼は、一般人として生きるという選択肢を持っていないのである。
「じゃあアスランは、なんで戦ってるの?」
「なんで……だろうな。もちろん、議長は俺のことを消したいと思ってるだろう。だから、議長の側につくことは出来ない。ただ、俺もなにかしなければいけないと思っている。だから俺が今出来る、戦うことをしようとしてるんだ」
そう答えながら、アスランはずっと抱えていた戦う理由への疑問を再認識していた。
議長は自分の敵。それはそうだ。少なくとも議長はアスランをよく思っていないし
自軍にあるうちから驚異と認定して消そうとしたのは間違いない。
だから、ラクス達の味方をする。
本当にそうなのか?
自分がしなければならないことは、ラクスやキラと共に戦うことなのだろうか。彼女らは、正しいのか?
「さっきのね、話」
「ああ」
「偽ラクス……ミーア・キャンベルって名前?」
「ああ」
「あの人、本物のラクス・クラインが何もしてない間も、ずっと歌ってた。ずっと歌って、ザフトやプラントを勇気づけて……みんな応援してた。でも、本物がちょっと声をかけただけで、みんな彼女のことを……私みたいに少し好きかなって人だけじゃなくて、メイリンみたいにすごく熱心に応援してた人も否定するんだって……私、ちょっと怖くなった」
ラクス・クラインの偽物を立てた議長のやり方は、とてもほめられたものではないと思う。だからラクス・クラインこそが正しいのだと、ルナマリアもちらりと考えたことはあった。でも、例え偽物だったとしても、彼女が頑張ってきたのは本当のことなのだ。それが、何もしていなかった本物が一声かけるだけで、みんなそちらに目を向けて、頑張っていた彼女を否定し始めた。
実際は、人間には騙されたことがわかると騙したものを積極的に批判するようになる者が多い。それはその功罪いかんに関わらず自分を騙したという事実を気にしているのであって、積極的に本物を認め支援しようという意図ではないのだが、そんな人間の性質を知らないルナマリアには、その流れが理解し難いものに思えたのだ。
「そうだな……俺もそう思う」
それはアスランも薄々感じていたことだ。ミーア・キャンベルは、確かにラクス・クラインではない。だが、彼女の、ラクスとして人々を励まそうとする思いを彼は知っていた。もちろん彼女には、憧れのラクスでありたいという思いがあったのも知っている。だがそれだけで、あそこまで頑張れるものでもない。それをあっという間に取り返してしまったラクスは、たしかに恐ろしいかも知れない。
「ルナマリア」
「……何?」
「今更かも知れないが、俺の悩みを、相談しても良いか?」
そう言われたルナマリアは、目を瞬かせる。アスランが、自分に相談すると言った。あの戦闘中にも、全く話が通じそうになかった彼が、だ。
「なぜそんなに驚く」
今は、これまででも一番腹を割って話せたように感じていたというのに。そう言いたげなアスランに、ルナマリアは思わず笑って答える。
「ううん、なんか、嬉しいなって。それで、何の相談? 議長の倒し方なんて私もわからないわよ」
「そうじゃないさ。ただ……」
そう言って考えをまとめたアスランは、ルナマリアに静かに話始める。
「議長のやり方は、もしラクス暗殺が議長のしたことじゃなかったとしても、例えば偽物を立てたりとか、レクイエムやメサイアを突きつけたりとか、間違っているところはたくさんあると思う。だが、今君と話しても思ったが、ラクス達のやり方が絶対にあってるとは……思えない」
それは、初めてのことだったかも知れない。前大戦から含めて、彼がラクス・クラインのやり方を真っ向から否定したのは。
「確かにディスティニープランは、俺も問題が多いと思う。特に今のまま実施するとしたら、必ずコーディネーターとナチュラルの間で争いが起きると思う。なにせコーディネーターはナチュラルより遺伝的に優れた存在だ。だから、このプランは結局、コーディネーターが上に立って、ナチュラルを支配する、というような構造を生み出す気がする。それを議長は、レクイエムやネオジェネシスを使って、力づくでやろうとしている」
それはつまり、端的に言えば脅しだ。従わなければ、撃つ。戦争とは結局より強い武力を持つものが相手を脅して集結させるものだが、それを最強の武力で全てを踏み潰して実行しようとした場合、それは暴君と変わらない。
「だから、俺は少なくともレクイエムとネオジェネシスは、排除しなければならないと思う。だが……」
「……だが?」
「デスティニープランと、実行しようとしている議長は、排除しなければならない人類の敵なのか?」
「……わかりやすく説明してくれない? 私、あんまり賢くないから」
ルナマリアはそう言いながらも、アスランの言葉を真剣に聞こうとしていた。
「ラクスたちの言うように、ディスティニープランが実行された場合、人は生まれた段階から人生を決められることになる」
パイロットになりたいとか、スポーツ選手になりたいとか、学者になりたいとか、そんなのは関係ない。
君は教師、君は電気技師、君は清掃員。そんな事が、生まれた瞬間に決められてしまう。それはきっと、人間にとって不幸なことだ。
「だが、だからそれを言い出したデュランダル議長は、人類の、平和の敵なのか? それを言うなら……兵士になることを選んだザフトの人間は、戦争という手段を取った父は、平和の敵なのか?」
アスラン・ザラは、父の前大戦最終局面でのやりようを正しいと思ったことはない。あれは、大きな大きな父の過ちだ。だが、父が戦争を始めたのは、推進したのは、プラントの未来のためだったと思う。それがいつのまにか、ナチュラルの殲滅というものに変わってしまったが。
そんな父の、個人としての選択さえも、平和の敵と断罪されるものなのか。
アスランが考えていたのは、本質的には思想の自由についてである。すなわち、考えることは自由であるということだ。デュランダル議長がディスティニープランという、世界の行末を憂いた計画を考えるのも、パトリック・ザラがプラントの未来のためにナチュラルを撃つと考えたことも、彼らの自由意志であり、それを縛ることは近代国家においてはタブーとされている。
無論、結果テロリズムなどに走った場合、それは思想の自由から離れて処罰の対象となる。
では、議長を止めるのは、処罰するのは、誰だ?
なぜ、ラクス・クラインが議長を討とうとする? 対話によって、あるいは実施の段階で、あるいは恐らくプラントにも無断で実行したのだろうから、プラント最高評議会で。
議長に準備する時間を与えてしまったら、もし彼が独裁的にプランを導入しようとした時に止められなくなると懸念した上での、レクイエムとネオジェネシスという最高の驚異を排除するというのは分かる話だ。それは国家としての予防線、先制攻撃による防衛に他ならないが……果たして、彼女らはそのことを理解しているのか?
アスラン・ザラは一人で考え込みすぎる傾向があり、感情が理性を上回ることが多々あるもののバカではない。それこそ政治、あるいは戦術的な知識についてはキラや理想ばかりを追い求めるカガリと比べて遥かに高いレベルのものを有している。冷静になって、全てから離れて考えればわかるときはわかるのだ。
「レクイエムやネオジェネシスはたしかに脅威だから排除する。だが、デュランダル議長のプランは、断罪するべきものなのか? そして、それは俺たちが……ラクス・クラインがしなければならないことなのか? いや……してもいいことなのか?」
「難しいことはよくわからないけど、つまり相手の強力な武器を排除するのはありだけど、議長とその考えを排除するのはなしだ、っていうこと? でも、その違いはなんなのかしら」
ルナマリアにもそれはわからない。
そこに、室内のスピーカーから声が響いた。
随分ご無沙汰しました(自分的に3ヶ月は超ご無沙汰ですが、意外とそうではないのかな?)。 取り敢えず投稿しますが、過去話含めて思想やラクスの考え周りで書き直す可能性があります。