人の未来は光の中に(アムロ ジュドー ロンド・ベルinコズミック・イラ ルナマリアを添えて~ 作:アママサ二次創作
U.C.0093年
一年戦争からのジオンの流れを継ぐ最後の組織『ネオ・ジオン』は、ジオン・ズム・ダイクンの息子であるキャスバル・レム・ダイクン、またの名をシャア・アズナブルに率いられ、連邦に宣戦布告。5thルナ、アクシズという二度の小惑星落としを目論むも、アクシズはνガンダムと人の心によって生み出された光に押し出され、地球への落下ルートからそれた。
光の中心となったνガンダムはアクシズ同様の光に包まれながらもアクシズのように針路を変えること無く、地球の重力に引かれて地球に落ちようとしていた。
「この暖かさを持った人間が、どれだけ地球を破壊してきたと思っている!」
νガンダムの抱えたサザビーの脱出ポットからシャア・アズナブルの声が響く。
「わかってるよ! だから、世界に人の心の光を見せるんだ! あの光は、きっと人々の心に届く!」
アムロは、もう大気圏から逃れることはできないとあがくことをやめ、シャアの言葉に答える。彼もまた人間の、とくに地球連邦政府の汚い部分、絶望しかない部分をたくさん見てきた。だが同時にその中に汚くない、美しいとも言える部分を見てきたことも確かである。だから彼は、シャアほど人間そのものに絶望していなかった。
「その光が! 絶望をより強くするのだ! ララアを失った私の悲しみが貴様にわかるのか!」
「わかっているさ! お前が、彼女を母のように思っていたと……それでも、っ!?」
アクシズを押し返している最中、ララァ・スンが自分の母になってくれるかもしれかなった女性だとシャアは言った。その瞬間は驚きを感じたが、今ならわかる。クェス・パラヤがシャアに父を求めたように、幼くして両親を失ったシャアは、彼女の中に母を感じていたのだ。シャア・アズナブルの悲しみは、一年戦争のあのときから彼の心を蝕み続け、ネオ・ジオンによる小惑星落としという形で吹き出したのである。
その時、νガンダムが激しく揺れた。そこでアムロの意識は途切れ、νガンダムが光に飲み込まれた。後の歴史にMIA(戦闘中行方不明)と記録される通り、アムロのU.C.での戦いはここで終わりを告げる。
それに続くように「地球連邦軍第13独立部隊 ロンド・ベル」の旗艦ラー・カイラムとクラップ級2隻、そして展開されていたMSののうちいくらかが、サイコフレームの引き起こした光に包み込まれ、νガンダム同様に消息を絶ったと、後の歴史には記されている。
時を異にして、シャアとアムロが戦ったU.C.0093年に続く歴史とは別の史実を辿ったU.C0088。この年の前年のグリプス戦役から続く戦乱が収束に向かう中、連邦軍の主力となっていたネェル・アーガマに所属する一機のMSは、ハマーン・カーン率いるジオン軍との決戦の最中、突如としてパイロットごと消息不明となった。
この2つの存在は、宇宙世紀とは別の歴史を辿った世界に召喚されることになる。そこで彼らは、自分たちとは違う『人類のもう一つの可能性』に出会い、どこの世界も変わることの無い戦争に巻き込まれていくこととなる。
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第一話「未知との遭遇」
C.E.73年 ある空域
「う……ここは?」
νガンダムのコックピットで目覚めたアムロは周囲を見渡し、すぐに状況を思い出す。
「宇宙……? なぜだ、俺は大気圏に落ちたはずだ」
νガンダムの位置と状態を確認したアムロは、愕然とする。自分のいる場所は宇宙だったのだ。しかも地球から離れているνガンダムも武装の大半を失っているとは言え大気圏に突入したとは思えないほど状態が良い。
「あの光で吹き飛ばされたのか? しかし……」
アクシズを押し返したあの光りなら、νガンダムぐらいたやすく吹き飛ばすだろう。だが武装が予備のサーベルと頭部バルカンしか残っていない丸裸同然の状態では、ネオ・ジオンのMSと遭遇すると危険だ。
「ラー・カイラムはどこだ? そこまで保つと良いが」
いつまでもその場に留まるわけにも行かないので機体のスラスターを吹かして移動し始める。
次の瞬間、レーダーが何かに反応した。
「これは……ばかな!? Zガンダムだと!? なぜあんな機体がここに……」
ロンド・ベルのジェガンかネオ・ジオンのギラ・ドーガだろうかと様子を探ったが、次の瞬間それが違うことがわかる。レーダーに写っているのは彼もよく知っている、数年前に活躍したZガンダムという機体だったのだ。
それは、グリプス戦役、そして第一次ネオ・ジオン戦争を通して、カミーユ・ビダンとジュドー・アーシタという二人のエースが搭乗したエゥーゴの象徴とも言える機体だ。アムロもその時期に同機の3号機のパイロットを務めていたので、Zのことはよく知っている。シャアとの戦いが始まる前、νガンダムを作る以前に欲したのもZだった。
「この感覚、俺はあいつを知っている……。カミーユではない、ジュドーか?」
アムロはZに懐かしい感覚を覚えた。ロンド・ベルのMS隊全てを把握している彼がZが来ているとは思っていなかったので、所属を確認するために通信回線を開く。
「Zのパイロット、聞こえるか? こちら地球連邦軍第13独立部隊所属、アムロ・レイ大尉だ」
返事はすぐ帰ってきた。
「こちらジュドー・アーシタ。アムロさん、久しぶりですね」
ミノフスキー粒子が薄いのか、無線の音声の音質は比較的クリアだった。この時アムロは気づいていなかったが、この宙域にはミノフスキー粒子が存在していなかったのである。
「ああ、久しぶりだな。それにしてもジュドー、君がなぜここに? 第8艦隊から来たのか?」
「それはこっちが聞きたいぐらいですよ。ハマーンと戦ってたはずなのに、気がついたらこの空域にいたんですからね」
ジュドーの発言に、彼は違和感を覚える。
「ハマーン・カーンだと……? いつの話をしているんだジュドー。やつは君が倒したはずじゃ……」
「何言ってるんですか。今は戦争の真っ最中でしょう?」
どういうことだ? ハマーン・カーンが生きていて今も戦闘をやっているなどと聞いたこともない。第一シャアがそれを知っていればうまく利用しようとしたはずだ……。
そこまで考えたアムロは、おぼろげながら一つの可能性に行き着く。
「ジュドー、今日は何年だ?」
「え? 何年って0088年だけど。どうしたんです突然」
アムロはこの言葉で、ジュドーが自分よりも過去の人間であることに気づいた。
「そうか。しかし俺は0093年だと思っている」
「え?」
だがジュドーの言う通り0088年だとしても、0093年だとしてもおかしいことがある。話しながら周囲の状況を探っていたが、この宙域にはミノフスキー粒子がほとんど存在しないなかった。その上、地球を始めとする全ての地域との連絡ができない。
「どこも反応なしか……。ジュドー? どうした」
Zガンダムから驚愕の気配が伝わってくるのに気づきアムロがそちらを見ると、Zは地球を見ていた。
「あ、アムロさん、地球を見てくれ!」
「なんだ、どうしっ!?」
そこに、アムロもまた驚くべき光景を見る。Zが指を向ける先には、もう記録の中でしか見ることができないはずのかつてのオーストラリア大陸の姿があったのだ。
宇宙世紀の歴史では、オーストラリア大陸はコロニーの直撃を受け大部分が水没したはずである。
それがどうだ、眼前に広がる地球には一年戦争の戦乱の残痕が見当たらない。
「どういう、ことなんでしょう……?」
「……わからんな。少なくとも俺たちが知る地球じゃないことは確かだ。タイム……いや、今考えるのはよそう。とりあえず俺の母艦を探す。ジュドー、Zを変形させてくれ」
νガンダムがウェイブライダーの上に乗る。νガンダムがいくら最新鋭機とは言え、純粋な速度ではウェイブライダー形態のZの方が速い。
加速していく2機を、遠くから監視する「目」があった。
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「あの機体、どこの所属なんでしょう? 新型でしょうか」
「さあな。少なくとも地球軍にもオーブにもあんな機体は確認されてないはずだ。とにかく監視を続けろ。我が軍の領域に入った場合は、敵とみなして攻撃を開始する。もしかすると、先程確認された国籍不明艦の艦載機かもしれぬからな」
「了解」
2機を監視しているのは、ザフト軍の長距離強行偵察型ジンだった。
この時期、ザフト軍は地球側との決戦に備え、メサイヤに戦力を結集し始めていた。
決戦前に戦力の消耗を何としても避けたいザフトとしては、たとえ未確認の機体であっても監視だけに留めていた。
だが、メサイヤにこれ以上接近されるのを見過ごすわけにもいかない。
「司令部から命令です。『未確認機をポイントD-01に追い込み次第、鹵獲する。なお、増援にはミネルバを送る』とのことです」
「ミネルバだと? たった2機の相手にあの部隊を動かすのか?」
「ハッ、どうやらそのようです。上の連中は確実に鹵獲したいのでしょう。ミネルバなら損失無くやってのけるでしょうし、こちらの戦力も増えます」
「たった2機でか? 戦力なら他でも良いだろう。ミネルバは最前線の要だぞ。それを未確認機の調査に向かわせるとは、上の連中は何を考えている?」
パイロットの一人が部下に愚痴をこぼす。
「さあ? あの部隊なら確実に成功させられるからじゃないですか?」
彼らの言う『ミネルバ』とは、ザフト最強の部隊であると同時に議長が最も信頼している艦の名だ。搭載機にはガンダムタイプが多く戦場の要所に配置されているが、作戦の成功率も他の部隊より遥かに高い。そのため、彼らの働きは上層部にも高く評価されているのだが、それがこのパイロットには不満なのだ。
「議長はミネルバを信頼しておられる。だが、それが命取りにならなければいいが……」
議長の、ミネルバへの信頼は度を越しているように思える。彼らはあくまで艦一隻とその所属MSだけであるにも関わらず、戦場の要所には必ず配置され、まるで彼らが戦闘の勝敗を決めるかのように扱われているのである。万が一の事があって彼らが出撃できないようなことがあったら、どうなるかわかったものではない。
20分後 ミネルバ格納庫
「鹵獲? 敵を?」
「いや、何でもオーブにも連合にも確認されていない未確認機のようだ。それを調査し、出来れば捕獲してほしいと議長から命令が下った」
「なんで俺たちがそんなこと……」
「未確認機がインパルスのような高性能の機体だった場合、量産機では被害が出るだろう。その点俺たちなら、不測の事態にも迅速に対応できる」
ミネルバのMS隊のまとめ役のレイ・ザ・バレルが通信で任務の詳細を説明する。
「そうだな。こんな任務さっさと終わらせて、フリーダムとジャスティスへの対策でも考えるか」
通信に答えたのは、ザフト最強のMS、ディスティニーのパイロットであるシン・アスカだ。機体だけでなく彼自身の腕もザフトで1,2を争うものである。
彼はテロ同然の行為で戦場を混乱させる『アーク・エンジェル』と『エターナル』、それらを率いるラクス・クライン、そして、シンの思い人であったステラ・ルーシェを殺しかけた『フリーダム』に対して激しい憎悪を燃やしていた。
決戦となると当然彼らも介入するだろう。
(今度こそ、俺がアイツを討つ……!)
特に、彼が一度討ったはずのフリーダムはさらなる力を得て復活した。それは、シンにしか討つ事ができないだろうし、他のパイロットに討たせるつもりもない。
シンの望みはフリーダムとの決着。それだけだった。だから、これから調査に当たる未確認機のことなど歯牙にもかけていない。
だが、シンは後に思い知ることになる。人の真の革新が何であるか、そして、人の心の強さを。
そして、彼はまだ知らない。自分たちとは違う世界で、遥かに長い戦乱の中で、戦い続けてきた者たちがいることを。
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ミネルバから『レジェンド』と『ディスティニー』が発進していく。
2機のプレッシャーを感じ取ったアムロたちは、それぞれの機体に戦闘態勢を取らせた。後ろから追ってくるなら振り切っても良かったが、プレッシャーは2機の前方から来ている。
「ジュドー、感じたな?」
「ええ、ばっちり。このどす黒い憎しみ……まるでハマーンみたいだ……」
ジュドーは、その高いニュータイプ能力によってシンの思念と、そこに渦巻く感情を敏感に察知した。シンが発した『憎しみ』のプレッシャーがハマーンのそれと類似したものであったため、ジュドーはこう言ったのだ。
「ん、このスピード……速いな、敵は量産機じゃ無さそうだ! ジュドー、1機でも撃破して活路を開くぞ!」
「了解!」
レーダーに映ったMSが並の機体ではないと判断したアムロは、交戦するという選択を取った。
例え自分たちがガンダムという高性能機に乗っていても、二人は敵を侮らない。過去のガンダム6号機のようにガンダムが落とされた実例はいくつか存在するし、何より二人は『自分が運が良かったから生き残れたのだ』と思っている。自分たちが他のパイロットより腕が良くても、戦場では死ぬときは一瞬なのだ。敵のプレッシャーも、油断できる相手ではないことを二人に教えてくれる。
更に機体の状況も二人の緊張感を高めていた。2機とも機体自体には大きな損傷は無いが、ともに残弾の少ないバルカン砲とビームサーベル、グレネードランチャーのみしか武装の持ち合わせがない。これでは二人がいくら卓越した操縦技術を持っていようと、量産機にすら不覚を取りかねない。
幸い相手の機体も2機のようなので、戦いようによってはうまくやれるかもしれないとアムロは判断した。
「アムロさん、あれ!」
「ガンダム……! どこの機体だ……」
アムロとジュドーが驚きの声を上げる一方で、シンとレイは、サーベルを構える2機に襲いかかる。。
「来るなら来い! 俺が薙ぎ払ってやる!」
シンは憎しみを顕に対艦刀をディスティニーに構えさせ、レイは冷静に様子を伺いながらその後に続く。
-νガンダムとZガンダム、デスティニーとレジェンド。
それぞれ違う世界のガンダム同士の対決。
-アムロたちのC.E.での初陣が、今、始まる-
初投稿です。のりよく投稿していきます。地の文が重たいとか、セリフが多すぎとか、そういうのがあったぜひコメントお願いします。
また私のマイページの自己紹介みたいなのを読んでおいていただけると幸いです。