人の未来は光の中に(アムロ ジュドー ロンド・ベルinコズミック・イラ ルナマリアを添えて~   作:アママサ二次創作

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久方ぶりの投稿。書き溜めつつの投稿なので遅くなりました。


第6話 ジュドーの事情

無事ドックに戻る直前のラー・カイラムに帰還した3人は、指示通りに着艦してMSを降りる。降りたところで、3人の方にアストナージがやってきた。

 

「大尉、ジェガンはどうでしたか?」

「ああ、いい出来だったよ。やはりジェガンは基礎性能がジムとは比べ物にならないな」

「それは良かった。ジュドーも慣れない機体で良くやったな」

「ジェガンも良いけど俺はやっぱりZに乗りたいよ。後俺はやっぱりZの操縦桿の方が使いやすい」

「はははっ。まあそう言うなよお前の機体は少し古いんだ。改修が終わればもっと動かしやすくなる。操縦桿の方もZはそのままにしてある。というより……」

 

 そう言ってアストナージはアムロの方を向く。その動きで彼が自分に話があるのだと察したアムロは、ジュドーとルナマリアの方へ向き直って先に行くように伝える。

 

「ジュドー、ルナマリアを艦長室に連れて行ってやってくれ。俺もすぐに行く」

「わかりましたよアムロさん。さ、行こうぜ、ルナマリアさん」

「ルナマリアで良いわよ、ジュドー」

 

 そう言葉を交わした2人は、アムロたちに別れを告げて格納庫から出ていった。パイロットスーツのまま出ていった2人を見て、アムロは一つ問題を思い出す。

 

「ルナマリアの服はどうするんだろうな」

「は?」

「いや、こっちの話だ。それより、話があるんだろ?」

 

 単純な話であるのだが、ルナマリアの今の所属は曖昧だ。少なくとも連邦軍ではないのだが、かと言って捕虜であるのかと言われると、現状の連邦、フォン・ブラウンが彼女の所属していたザフトなる組織と敵対しているかが曖昧なため明確な捕虜として扱うことも出来ないのだ。そのため連邦軍の服を着せることは出来ないのだが、かと言ってそれ以外の服で艦内を動き回れるのも……という状況である。

 その辺りはブライトが考えるべきなのだろうが、この現状に対してブライトは相当に精神を参らせているようにアムロは感じていた。彼は恐らく、ハサウェイの声を聞かなかったのだ。

 

 そう考えているアムロに、アストナージが声を潜めて話し出す。

 

「いくつかアナハイムからの連絡で気になるものがあったんですが、良いですか?」

「ああ、続けてくれ」

「まずνガンダムについてなんですが、修理は終わったそうです。ただあっちの技師に言わせるとあれはまだ未完成の状態らしく、完成した状態への改修を行いたいと言ってきてます」

「フィン・ファンネルラックのことか?」

「いや、機体全体です。実際に動かしたデータを元に改修案、というか完成案を作成していたと向こうは言っています」

 

 その言葉に、アムロは眉をひそめる。彼が設計図をひいたνガンダムは、実働試験を行ってはいないものの再接続が不可能となったファンネルラック以外は設計道理に機能したのだ。それに、νガンダムを実際に動かしたデータをアナハイム側が手にしたのはつい先日のことである。完成案とやらを作るには、あまりにも短すぎた。

 

「どういうことだ? データを渡したのは一昨日のはずだが……」

「そのことなんですが、もう一つの話の方が関係してまして。と言ってもはっきり聞いたと言うよりは向こうの技師が話してるのを聞いただけなんですが……」

 

 躊躇いがちに言うアストナージに、アムロは先を促す。

 

「どうも、技師の間で食い違いがあって話し合ったところ、別の世界から来てるらしいんです」

「ん、俺達が別の世界にいるらしいのは確かにそうだが、何か関係があるのか?」

 

 すでに、自分たちがコロニーや連邦軍の存在しない場所に来てしまっているというのは、ロンド・ベル内では共通の認識になりつつあった。そのためにアストナージの言っているところをはっきり理解できなかったアムロがそう言うと、アストナージは首を振る。

 

「違います。どうやら俺たち宇宙世紀の人間は別の世界に来てしまったらしいんですが、その宇宙世紀から来た人間の中にも、2つ以上の世界の人間が混ざってるらしいんです」

「……詳しく教えてくれ」

「はい。例を上げるとすれば大尉のガンダムですが、一部の人間は完成案について知っており、実際に設計図も存在しています。ですがνに重要な位置で関わった者でも、それを知らない者もいます。他にも、行われていたはずの試験機のテストが行われていなかったり、逆に存在していなかった新型機の試験が行われているなど、明らかに宇宙世紀の人間であっても同じ世界じゃない者が混ざり合っているようです。例のサイコフレームとやらも、どうやら大尉が聞いてきたときよりも情報があるようです」

「そういうことか……」

 

 それを聞いたアムロは、少し考えた後顔を上げる。

 

「うちの整備士で同じような事になっている者はいるか?」

「いや、うちは大丈夫みたいです。少なくとも、現段階では食い違いは起きてません」

「わかった。俺から司令に伝えておく。恐らくアナハイムの側からも異世界に来たことに関する懸念事項として言ってくるだろうけどな」

「わかりました。それで、ガンダムはどうしますか?」

「……今うちにある機体で、ジェガンより動くのは何だ?」

 

 アムロの質問に、アストナージは端末を操作して数機のMSを表示させる。

 

「ホワイトゼータとZプラス、Mk-Ⅲ、それにデルタプラスという試験機が1機です。どれもこれも予備のパーツは送ってきましたが、ジェガンと規格が合わないので大破されると修理が厄介です」

「デルタプラス……? 見せてくれ」

 

 聞き慣れない機体名に、アムロはアストナージから端末を受け取ってデルタプラスなる機体のデータを確認する。それは、データ上はZガンダムに勝るとも劣らないスペックの可変MSだった。推力こそ劣るものの、Zより洗練された機構によってそれを補っている。少なくともリ・ガズィよりは上だ。

 また武装面に関しても、新型のビーム・ライフルはZ同様に先端からビーム刃を形成することが可能となっており、シールド内臓のビームキャノンに2連装グレネード・ランチャー、サーベルと、アムロの愛機であるνに比較的近い装備を持っていた。更にバイオセンサーまで搭載されているようである。

 

「バイオセンサーか。これは一体何の試験機だ? だが、使えそうではあるな。こいつを俺のセッティングにしておいてくれ。ジェガンは戻して構わない。それとνの改修は急ぐように伝えてくれ。それと後でデータをこちらに回させろ」

「よろしいんですか?」

「少なくともこいつならジェガンよりは大分戦える。俺がこいつを使えばジュドーにホワイトゼータを回せるしな。Mk-Ⅲもある。少しは持つだろう。俺から司令には伝えておく」

 

 νの改修案の話を聞いた時、アムロは自分の勘が改修を行わせるべきだと告げているのを感じた。だが気になることもあった。

 気にしていたのは、戦力となる機体の数だ。先程の戦闘ではアムロはジェガンで出撃したが、やはりνと比べると物足りなさを感じた。そのためすぐにでもνをラー・カイラムに戻しておきたかったのだが、改修を行うのであればそうもいかない。だからこそ、その間戦える機体が必要だった。

 

 いつまでもジェガンでは有事の際に困る。そこでホワイトゼータを使いたかったのだが、まだジュドーのZが戻ってきていないため、彼の機体を考える必要もあった。そこで、自分がデルタプラスを使うことにしたのだ。そうすればジュドーにはホワイトゼータを使わせることができるし、ZプラスとMk-Ⅲもある。何より復帰できるパイロットがいた場合、ピーキーな試験機やワンオフ機よりもジェガンがあったほうが安心できるだろう。

 

「わかりました。恐らくサイコミュの調整でまたアナハイムから連絡があると思います」

「わかった。他に連絡事項はあるか?」

「いえ、以上です」

「整備を頼む。それとアストナージ……」

 

 そこでアムロは少し躊躇うが、続きを口にする。

 

「無理はするなよ」

「わかってますよ。整備が一段落したら休みます。それに、最後に中尉と話せましたから。大丈夫ですよ」

「……そうだな」

 

 アストナージの表情から、彼が本当に無理をしていない事を感じたアムロは、彼に別れを告げて艦長室へと向かった。

 

 

******

 

 

ラー・カイラム通路

 

「ルナマリアさんは、どこに所属してたんだ? あのMSはジオン残党のだったのか?」

 

 ルナマリアを案内して通路を行きながら、ジュドーは先日の戦闘について尋ねた。アムロはルナマリアと話す中で状況をはっきりと認識したのだが、ジュドーはそうではないのだ。何より、他のロンド・ベルのメンバーと違ってジュドーは一人だけ違う時代から来ていたため、現状をタイムスリップ程度のことかと勘違いしていたのである。

 

「私が所属してたのはザフトよ。後でアムロさんも説明してくれると思うんだけど……」

 

 そう前置きをして、ルナマリアはアムロとの会話でわかった事をジュドーに説明する。それに対するジュドーの反応は、ルナマリアの思っているものとは違っていた。彼には、それほど驚いた様子が無かったのだ。

 

「ふーん。なんでそんな事が起きたんだろうな」

「驚いてないの? アムロさんはすごく驚いてたけど」

「そりゃあ驚いてるけどさ。俺はもともとアムロさんとは別の時代から来ちゃってるからな。今更驚かないよ」

 

 そう言ってジュドーは、今度は自分の事情を説明する。自分がいたのはU.C.0088であったこと。そしてアムロ達がいたのはそれより後のU.C.0093であること。

 

「パラレルワールドだけじゃなくてタイムスリップまで……? 本当になんでそんなことが起こったのかしら」

「俺の方が聞きたいよ。アムロさん達はサイコフレームのオーバーロードじゃないかって言ってたけど」

「サイコフレーム?」

 

 ルナマリアに聞き返されたジュドーは、そのことについて口外しないように言われていた事を思い出し、慌てて話を変える。

 

「それより、ルナマリアは自分の部隊に帰らなくて良いのか? 多分みんな心配してるぞ」

「……うん。でも、それはジュドーたちも一緒でしょ。私は少なくとも同じ世界にいるもの。それに、ジュドーは大丈夫なの?」

「大丈夫、って、何が?」

「0088年のジュドーがこっちに来ちゃったんでしょ? それならアムロさん達の時代のジュドーは消えちゃってるんじゃないの? それとも0088年に行方不明になってるの?」

 

 そう言われたジュドーは、ラー・カイラムに着艦した直後のブライト、アムロとの会話を思い出す。

 

 

******

 

 

「つまり、ジュドーはZZに乗らないままハマーンと対決したのか?」

 

 アムロと共に懐かしい機体でラー・カイラムに着艦したジュドーを艦長室に迎えたブライトは、彼の話を聞きながら艦内の端末を操作していた。そこには、第一次ネオ・ジオン戦争後にまとめられたネェル・アーガマとジュドー達の戦闘記録が記されている。途中からジュドーと話が噛み合わないことに気づいたブライトは、ジュドーの話を聞きながら一つ一つの出来事を確認していたのだ。

 

「うん。グレミーと……プルツーを撃墜した後、ハマーンと一騎打ちになった。それでハマーンが俺にわざと討たれて、頭が真っ白になって……気がついたらあの宙域にいた。そしたらアムロさんから通信が来たんだ」

 

 アムロとブライトは、ジュドーの告白に顔を見合わせる。彼の言葉が本当ならば、自体はタイムスリップよりも厄介なことになっている可能性がある。目の前にいるジュドーは、自分たちの知るジュドーとは別人なのだ。と言っても、話を聞く限りではZZにに乗っていない事以外は同じ様に聞こえるが。とは言え、何が起こるかわからない。

 

「そうか。だとすると、俺達のいたところとジュドーのいたところは、時間が違うだけじゃなくそもそも別の世界かもしれんな」

「どういうことだい? ブライトさん」

 

 疑問の声を上げたジュドーに対して、ブライトは自分の知っている情報を伝える。特にZZガンダムの下りになると、ジュドーは真剣に聞いていた。

 

「……新しい機体がアーガマに来たことはあった。でもビーチャとモンドがそれを持って逃げ出したんだ」

「何? 何故だ?」

「そいつを土産にすればネオ・ジオンで優遇されるなんて言ってさ。でもその後の戦闘であいつらはリィナを人質に取ろうとして、ハマーンに撃墜された。だから俺はZZには乗ってないんだ」

 

 その話に、ブライトとアムロは確信を深める。自分たちとジュドーがいた世界は、似ては居るが別の物なのだ、と。

 そこでブライトは、一つの事を思い出す。ジュドーがずっと大切だと言っていた彼の妹についてだ。確か、ハマーンを倒したときの彼はまだ妹が生きている事を知らなかったはずだ。もしそこが変わっていないのであれば……。

 

「ジュドー、君の世界ではリィナは、君の妹はどうなっていた?」

「趣味悪いぜブライトさん。知ってるだろ? リィナは死んだんだよ」

「そうか。だが俺達の世界の話だが、戦争が終わった後、君はリィナと出会っている」

 

 ブライトの説明に、ジュドーは驚いて顔を跳ね上げる。そこには、ブライトとアムロの優しげな顔があった。

 

「リィナは助けられていたんだ。そして戦争が終わった後に君と再会している。君の世界は俺たちの世界と細かな部分で違っているが、大きな部分はそう違いは無いように思える。だとすれば、君の妹も生きている可能性がある」

 

 それを聞いたジュドーは、喜びを隠せなかった。

 

「本当かいブライトさん!」

「ああ。少なくとも俺たちの世界ではそうだった。だから……今すぐ何ができるというわけでもないが、希望を忘れないでくれ」

 

 そう言われたジュドーは、珍しく涙を浮かべながら何度もうなずいた。リィナが死んだ後自分の戦う理由を見つけたとはいえ、妹の死は彼の心に深く突き刺さっていたのだ。

 

 

******

 

 

 ルナマリアの疑問を聞いたジュドーは、頭の中を整理しながら答える。

 

「うーん、それがさ。俺がいた世界とアムロさんとかブライトさんの世界は別なんだってよ」

「え?」

「俺が知ってる出来事と、アムロさん達の出来事が違うってこと。だから、そこもまた別の世界なんじゃないかって。ブライトさんが言ってたんだよ。俺もそう思った」

「そんな……ことって……」

 

 ジュドーの話を聞いたルナマリアが絶句する。これ以上ありえない事があるのかと。だがジュドーにとっては違った。すでにありえない事が起きているのだ。それが2つ重なろうが3つ重なろうが、関係ないのである。

 

「さ、ついたぜ。艦長室だ。艦長、ルナマリアさんを連れてきましたよ」

 

 開いた扉からジュドーとルナマリアが入室する。

 

「ジュドー。今の俺は司令だ。臨時とは言え隊の所属になったのだから気をつけてくれ」

 

 ブライトに苦笑されながらそう言われ、ジュドーは慌てて敬礼をする。

 

「し、失礼しました。ジュドー・アーシタ准尉、ルナマリアさんを連れてきました」

「ルナマリア・ホーク入ります」

 

 一方慣れているルナマリアは、綺麗な敬礼をして見せてブライトに挨拶する。

 

「ご苦労。楽にしてくれ。ジュドーも来てくれたのはちょうど良かった」

「え、俺? あ、いや、俺がですか?」

 

 まだ軍の規律正しい話し方に慣れない様子のジュドーに、ブライトは内心苦笑し、ルナマリアは笑いをこらえる。

 

「ああ。先程フォン・ブラウン市並びに駐留艦隊、月軌道艦隊より至急の会議を行いたいという連絡があった。そこで俺、アムロ大尉、ジュドー准尉、ルナマリア君と参謀、それに護衛で向かうことにした。君たち2人には状況を説明するのを手伝ってもらいたい。早速で悪いが」

 

 ブライトがそこまで言ったところで連絡が入る。

 

「何だ」

 

 連絡は医務室からであった。

 

『ブライト艦長。3日前に収容したロンド・ベル以外のジェガンのパイロットの一人が目を覚ましてそちらに向かいました。本人は第一教導機動大隊MS隊隊長ユウ・カジマ大佐だと名乗っています。事情を説明すると寝ている場合ではないと飛び出していかれました』

「体に異常は無かったのか?」

『むしろ今まで目を覚まさなかったのが不思議なぐらいです』

「わかった。こちらで対応する」

 

 通信を切ったブライトは、連絡の内容に頭を悩ませる。ロンド・ベル以外の部隊であれば88艦隊から出撃したMSであろうが、彼の母艦はこちらの世界には来ていないようなのだ。

 そうこうしているうちに外から声がかかり、一人の人物が入ってくる。

 

「失礼します。第一教導機動大隊隊長ユウ・カジマ大佐であります」

「外郭新興遊撃艦隊ロンド・ベル司令ブライト・ノア大佐です。お体は大丈夫ですか?」

「救助感謝します。現状の説明を詳しく受けたく参上しました」

 

 部屋に入って敬礼をしたユウは、唖然としているルナマリアとジュドーにちらりと目を向けるが、すぐに視線をブライトへと戻す。必要ないことは聞かない主義だ。

 

「……現在われわれはフォン・ブラウン市並びに基地司令より呼び出しを受けています。カジマ大佐にもご同行願いたい。状況は車内で説明します」

「……了解しました。佐官用の士官服はありますか? あればお借りしたい」

「用意させます。ジュドー、ルナマリア」

「はっ、はい」

「君たちはすぐに制服に着替え、ラー・カイラム乗艦口に一時間後に集合だ。アムロにも伝えておいてくれ」

「了解了解、っと、了解しました!」

 

 いつもどおり軽く応えたジュドーは、そこにユウが居るのを思い出して慌ててきれいに敬礼をする。ネェル・アーガマという、軍からしてみれば緩い船にいたときの感覚がまだ抜けきっていないのだ。というよりは、もともとそういう話し方をしてこなかっただけなのだが。

 そんな姿を見て、ブライトは『これもどうにかしなければならないな』とため息をつくのであった。




以前から『感想などでガンダムの設定などに関するアドバイスお願いします』と言っていましたが、どうやらこのハーメルンというサイトはそれすら禁止されているようです。ですので、そうした内容『だけ』を感想で送って下さろうとしている方は、今後は活動報告の方のコメントにお願いします。(個人メッセージでも良いよ!)



ジュドーだけでなく、アストナージが生きてたり、アムロ達がデルタプラスについて知らなかったりと色々原作とは異なってます。
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