サモナーがダンジョンにいるのは間違っているだろうか? 作:アパオシャ
「お兄さん、お兄さん。そこのトンガリのお兄さん、サポーターは探していませんか?」
そう左門くんに声をかけるのはキャットピープルの少女。
その正体はリリルカ・アーデ。彼女は左門くんをターゲットに決めたあと、こっそり情報収集をしていたのだが、そのときに猫好きな一面を見つけ、魔法でキャットピープルの姿をとっている。
そんなことは知らない左門くんにとって、この提案は悪いものではない。
彼は召喚術を出し渋ることは無いがモンスターに対する世論を考慮し堂々と使ってもいないため、魔石などのドロップアイテムの収集にけっこう難儀している。
いくら恩恵を受けて能力が特訓と共に上昇しているとはいえ元は運動能力カスの左門くんでは大した量は運搬できない。
目の前の少女がどれだけ持てるのか彼は知らなかったが、魔方陣を仕込んだ紙などを運ばせるだけで十分に役立つと判断した。
これには、ファミリアの資金がホーム建築でほとんど吹っ飛んだが未だに億を越える資産があり、特に金に拘っていないこと、それと彼が大好きなキャットピープルだったという事が判断基準として入っており、ひねくれている左門くんには珍しい判断だった。
「うん、いいよ。」
途端に孫を餌付けするお爺ちゃんの顔になり、リリルカは困惑するも機嫌を損ねてはならないと慌てて平静を装う。
「おお、召介ではないか!今日の探索の結果はどうだ...」
そんな二人のもとに現れたのは左門くんの主神、アンリ。
天界の知神にホームを自慢して過ごしていた彼女は、唯一の眷属に女の影が見えるのを目敏く発見し無言になると...
「な、なんと...猫とネビロス位しか会話相手がいない召介にようやく春が来たのか...余は、余は孫の顔を見るのを諦めていたが...おおおお...」
「ちょおっ!」
アンリの中では話が物凄く飛躍しているらしく、結婚相手と勘違いされたリリルカが思わず叫ぶ。
アンリはインフルババアと呼ばれボッチを拗らせすぎたせいか、家族や友人、恋人に並々ならぬ執着をもっており、ファミリアを結成してからは左門くんを息子として扱っている。
ちなみに、自身の配下の悪魔は部下扱い。側近のアカ・マナフは泣いてもいい。
そうして感極まって号泣するアンリを、娯楽に飢えた神々が修羅場コールで取り囲む。
「アンリ、彼女とはそういう関係じゃないよ。サポーターとして仲間にすることにしたんだ」
「ま、まずは召呼さんに...ん?...そ、そうか...はあ...余の勘違いか...分かった。つまり長女ができることに変わりはないのであろう?」
左門くんはそこまで動揺せず、簡単に事情を説明すると少しして泣き止み、迷い無くリリルカの方へ向かっていく。
これには修羅場を期待していた神たちも落胆を禁じ得ないが、次の瞬間には再び雄叫びを上げる。
なんとアンリがリリルカを脱がそうとしたのだ。
「ちょちょちょ!ちょっと!いきなり何をするんですか!」
「む?知らぬのか。神の恩...」
「知ってますよ!こんな公衆の面前でやることじゃないですよ!だいたい何で神の癖にこんなに力強いんで...あっ」
激しく抵抗するも、正規の手段で下界に来たわけではないアンリは神として十全の力を発揮する。その結果、割けるような音が鳴り...
リリルカの悲鳴が響き渡ることとなる。
ただ、正面にいた左門くんが盾となり、その裸体を見たのは左門くんと、長髪の男神一人。
「痛いっ!ナ、ナァーザ、痛い痛い!」
たまたま通りかかって目撃しただけなのに酷いとばっちりである。
召呼さん...召介の母親。登場することはまず無いであろう。
左門くん...今回の件で神々の間でラッキースケベ野郎と言う呼び名が広まった。