第十四話「委託販売」
「へぇ、そんな事があったんだねぇ」
「せやねん。いくらなんでも乗り換えた駅全部で30分以上待ちって・・・」
週明けの12日、今日からの短縮授業を終えて鉄道部の部室にやってきた俺は、先に来ていた香里奈と紗里に昼飯を食べながら愚痴をこぼしていた。
「あはは・・・でも同人誌のネタにはなったんじゃないですか」
香里奈は苦笑いしながらも、やつれた俺の頭を優しくなでてくれる。
見たか!これが俺の嫁(未来形)や!
「全部聞こえてるよ!」
「はわわ・・・///」
どうやら全部聞こえていたらしい。香里奈は顔を真っ赤にして俯いている。まあ、可愛い。
「まあ、香里奈の言う通り、ネタは豊富やからな」
なんてことを駄弁っていると、
「おい、誰かおるか!」
「あっ、部長。どないしたんですか」
「いやぁ、漫研からな頼みがあるって」
「「「???」」」
「ああ、どうぞ。入って入って」
そう部長が言ったのを合図に入ってきたのは、長い黒髪に海色の瞳、青いヘアバンドというどこぞの艦隊擬人化ゲームの任務娘を彷彿とさせる女子生徒。
「あ、鉄道部の皆さん、はじめまして。私、漫画研究部の部長をやってます千代崎澄香と言います」
「あぁ、鉄道部の白庭総一です」
「同じく、朝潮香里奈です」
「はいっ、平林紗里でーす!」
一通り自己紹介を済ませて、千代崎さんには俺たちが使っていた机に座ってもらう。
「それで、千代崎さん。わざわざこんなところまでどないしたんですか?」
「実は・・・」
彼女の話によると、今年の漫画研究部は初めて俺たちが出展するのと同じコミバに出展するはずだったのだが、出展スペースの取得に落選してしまい、どうしようかと思っていたところ、鉄道部がコミバに出ている事を思い出してここに来たということだという。
「ということは委託販売をして欲しいということですか」
俺の問いに千代崎さんははいとうなずく。
ちなみに、委託販売というのはこのようにスペース取得に落選したり、遠方で来られないサークルが別のサークルに頼んで同人誌やグッズの頒布を行ってもらうことで、彼女はそれをして欲しいという。
「こちらとしても、是非と言いたいんやけど・・・ちょっと顧問と話し合わせてください」
そう言って部長がおもむろに立ち上がって、何処かへと向かう。
それから数分後、部長が戻って来る。
「えー、OK出ました」
「い、いいんですか⁉︎ ありがとうございます!」
よほど嬉しかったのか、千代崎さんは泣いて感謝を伝えてきた。
「でも、大丈夫なんですか?いろいろ持ってく荷物とか増えそうで・・・」
「大丈夫大丈夫。印刷は現地でやって、そこで製本してもらえばええから」
「では、原稿が完成したらSDカードで渡しますね」
それからスケジュールや手はずを伝えて今回はお開きということに。千代崎さんも「本当にありがとうございました」と一礼して部室を後にした。
「いやぁ、委託販売か」
「今年はいろいろ仕事が盛り沢山になりそうですね、部長」
「あぁっ!」
突然、香里奈が何かを思い出したかのように顔を青くして、叫び出す。
「えっ、どないしたんや朝潮!」
「どったの香里奈⁉︎ Gでもでた?」
「ち、違います・・・確か去年、コミバへは電車で行ったはずですよね・・・」
そう言うのでそれがどないかしたんやと返そうとしたが、ここでハッと気づく。
今ここにいる全員も香里奈が言いたいことを察したのだろう。みんな「そうだった」という表情をしている。
そう言えばアレは・・・もうないんやったな。
今回は鉄分ほとんどありませんでしたね。
どうも、柳芽帆奈でございます。
今回は初めて鉄道部以外の部員が出てきました。澄香ちゃんのモデルは察してる人もいるかもしれませんが、艦これの大淀です。ローソン大淀のイラストを見てつい出したくなっちゃいました。設定も書くので気になる人は活動報告を見てってください。
さて、最後に出てきた『アレ』、ヒントは今年の改正でなくなった列車です。