関西人の関西人による関西人のための鉄道旅行記   作:柳芽帆奈

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第十五話「嗚呼、我等愛しの月光よ」

「あぁっ!」

 

「えっ、どないしたんや朝潮!」

 

「どったの香里奈⁉︎ Gでもでた?」

 

 三者面談で来られない鶴見を除いた鉄道部四人で同人誌の編集作業をしていたところ、突然香里奈が叫びだしたので、何事かと視線を集める。

 

「ち、違います・・・確か去年、コミバへは電車で行ったはずですよね・・・」

 

「それがどn・・・!」

 

「総一、お前も分かったか」

 

「はい。多分、香里奈は・・・」

 

「「「ムーンライトのこと(言うてますよね)(言ってんねん)(言ってるんじゃないの?)」」」

 

 どうやら全員同じ事を考えていたようだ。

 

 ちなみに、ムーンライトとはJRの夜行快速列車のことで、これまで鉄道部は、コミバに向かう際は偉大な先輩たちも含めてそのうちの一つ、東京〜大垣間を走っていた『ムーンライトながら』を利用していた。まあ、理由はこの列車は『快速』なので、指定席券を用意出来れば皆様ご存知、青春18きっぷだけでも移動可能なので、臨時化されてもかなり重宝されていた。

 

 しかし、使用車両だった185系の廃車や、乗務員の不足とかいう名目で2021年春のダイヤ改正、実質的には2020年の冬の運行をもってムーンライトながらは廃止されてしまった。

 

「そういえば、もうなかったな・・・」

 

「でも、どうするんですか?ムーンライトがダメなら、新幹線か飛行機しか・・・」

 

「あかん、新幹線は高い、飛行機は俺が乗られへん」

 

「えぇ、そーくん、飛行機無理なの?」

 

 その通り、俺は飛行機だけはどうも無理だ。飛行機といえば墜ちるイメージばっかりが先行して、世界一安全な乗り物と分かってはいるものの、どうしてもこれだけは・・・

 

「うーん、ほな後は東京まで鈍行で行くしか・・・」

 

「部長?今私の耳が狂っていなければ、東京まで鈍行まで行くなんて事が聞こえた気がしたんですけど」

 

「フッ、残念やな!一字一句そのまんまや!」

 

 部長が放った宣告に、香里奈の表情はただでさえ肌が白っぽいのに、どんどん青白くなっていく。

 

「でも、これ本気で言うてるんやで。この時期やったらさっきの二つはめっちゃ高なるからな」

 

 その点は部長の言う通りである。飛行機や新幹線は確かに速いが、俺たちが行くこの時期は繁忙期にあたるため、値段が跳ね上がる。夜行バスもまた然り。その点だと、5枚綴りで通年で12050円(2021年現在)の18きっぷに軍配が上がるのは言うまでもない。まあ、快適かどうかは置いといて。

 

「それに、鉄道部が鉄道以外で行くなんて本末転倒やろ?」

 

「クッ・・・ここにきて正論をぶつけてきましたね。ですが・・・」

 

 相当嫌なのか、香里奈は食い下がってくる。

 

「総一、頼む」

 

「はあ、分かりました。なあ、香里奈。皆で鈍行で東京に行くってやった事ないからちょっと面白そうやん。やってみいひん?」

 

「はい!総一さんと行けるなら!」

 

「Wow すごい変わりようだねぇ」

 

 まあ、何はともあれ香里奈もOKしたので、後は鶴見だけ。鶴見は今日はこられないので、明日でも聞いておこう。

 

 まあ、たかが10時間ぐらいやし大丈夫やろ。

 

 




どうも、まだまだ高頻度投稿が続く柳芽帆奈でございます。
史実ではコロナで去年の春から運休して、そのまま廃止になりましたが、この世界では一年間生き延びています。ただ、185系はコロナ関係なしに置き換わる予定だったので、冬まで運行して、今年の春改正で廃止ということにしました。
そんな訳で鉄道部員は10時間の行軍を強いられます。いやぁ、書くのが楽しみだ。
それではまた次回。
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